はじめに
みなさんこんにちは。今週末にはグランプリ・名古屋2019が開催されますね!
10月21日の禁止制限告知でスタンダード環境を支配していた《死者の原野》が禁止カードに指定されました。
新環境に入って早々に禁止カードが出される事態になりましたが、果たしてスタンダード環境は健全さを取り戻したんでしょうか。今回の連載では、先週末に開催された第15期スタンダード神挑戦者決定戦とSCG Atlanta Classicsの入賞デッキを見ていきたいと思います。
第15期スタンダード神挑戦者決定戦
Selesnya Adventureが《王冠泥棒、オーコ》デッキの海を渡り切る
2019年10月26日
- 1位 Selesnya Adventure
- 2位 Temur Fires
- 3位 Simic Food
- 4位 Simic Food
- 5位 Simic Food
- 6位 Bant Food
- 7位 Bant Food
- 8位 Rakdos Aggro
宇都宮 巧
トップ8のデッキリストはこちら
禁止改定直後に開催された第15期スタンダード神挑戦者決定戦は、Simic Food(Bant、Temurなども含める)が最もポピュラーなデッキで、プレイオフに入賞したデッキの内6名が《王冠泥棒、オーコ》を採用したデッキという結果になりました。
第15期スタンダード神挑戦者決定戦 デッキ紹介
「Selesnya Adventure」「Simic Food」「Rakdos Aggro」
Selesnya Adventure
8 《森》
4 《寺院の庭》
-土地 (20)- 4 《エッジウォールの亭主》
4 《フェアリーの導母》
4 《巨人落とし》
3 《亜麻色の侵入者》
3 《群れの番人》
4 《恋煩いの野獣》
4 《敬慕されるロクソドン》
-クリーチャー (26)-
使用率は低かったものの、《王冠泥棒、オーコ》デッキが多数を占めていた今大会を制したことからも要注目のデッキの一つです。
軽いクリーチャーによるビートダウンによって《王冠泥棒、オーコ》デッキに強く、《大集団の行進》の存在もありほかのアグロデッキとも互角以上に渡り合えます。
☆注目ポイント
軽い「出来事」持ちのクリーチャーを多数採用したこのデッキは、《エッジウォールの亭主》によってアドバンテージを稼ぎやすく、このクリーチャーを序盤に安定して出せるように《むかしむかし》も採用されています。
素早く展開したあとに《敬慕されるロクソドン》でクロックを強化します。《大集団の行進》もメインからフル搭載されているのでデッキパワーが高めです。
自軍のクリーチャーに警戒を付与する《寛大なる者、アジャニ》は「召集」スペルと相性が良く、[-2]能力によって全体強化が可能でほかのアグロデッキとのマッチアップで強さを発揮します。
Simic Food
5 《島》
4 《繁殖池》
4 《神秘の神殿》
2 《ギャレンブリグ城》
-土地 (25)- 4 《金のガチョウ》
4 《楽園のドルイド》
4 《ハイドロイド混成体》
2 《大食のハイドラ》
1 《厚かましい借り手》
4 《意地悪な狼》
2 《探索する獣》
1 《裏切りの工作員》
-クリーチャー (22)-
《死者の原野》を採用したランプデッキの退場により、強力なプレインズウォーカーである《王冠泥棒、オーコ》を軸にしたSimic Foodは新環境において有力なデッキとされていました。
《金のガチョウ》から《王冠泥棒、オーコ》を2ターン目から展開し、《世界を揺るがす者、ニッサ》に繋げる動きが理想で、マナが余る中盤以降は《ハイドロイド混成体》によってカードアドバンテージとライフの両方が得られます。
☆注目ポイント
《王冠泥棒、オーコ》は3マナと軽くライフゲイン、クロックの提供、盤面に触れる能力と揃っておりモダン、レガシー、ヴィンテージ、そして新フォーマットのパイオニアでも第一線で活躍している強力なプレインズウォーカーです。食物シナジーが強力で、[+1]能力によって相手のクリーチャーを無力化し《意地悪な狼》で格闘することで容易に除去することができます。
《世界を揺るがす者、ニッサ》にまで繋げることができれば、大量のマナから《ハイドロイド混成体》によってアドバンテージを得られます。《ハイドロイド混成体》は、《王冠泥棒、オーコ》の[+1]能力によってサイズをあげることができるので覚えておきたいところです。
プレインズウォーカーなどを奪取できる《裏切りの工作員》がメインから採用されていることからも、同型が多くなることを想定していたことが分かります。
Rakdos Aggro
7 《山》
4 《血の墓所》
2 《試合場》
2 《ロークスワイン城》
-土地 (23)- 4 《熱烈な勇者》
4 《漆黒軍の騎士》
4 《黒槍の模範》
4 《リムロックの騎士》
4 《恋に落ちた剣士》
4 《嵐拳の聖戦士》
4 《残忍な騎士》
3 《真夜中の死神》
3 《朽ちゆくレギサウルス》
-クリーチャー (34)-
赤黒の優秀な騎士クリーチャーを中心としたアグロデッキ。
軽いアタッカーと《エンバレスの宝剣》によってSimic Foodに対してもスピードで勝負ができるデッキです。
☆注目ポイント
《熱烈な勇者》は騎士クリーチャーとのシナジーもあり、序盤において主力のアタッカーとなります。《エンバレスの宝剣》をマナを支払わずに装備可能にしてくれる中々の性能持ちです。《黒槍の模範》は瞬速持ちなのでコンバットトリックとしても運用可能で、2マナパワー3はアタッカーとして十分なスペックです。
《嵐拳の聖戦士》は回避能力持ちで相手にもドローさせてしまうデメリットはありますが、速度で勝るこのデッキではアドバンテージを生かしやすく息切れ防止になるクリーチャーとして活躍します。「出来事」が優秀な《残忍な騎士》はクリーチャー面も絆魂持ちの2/3と十分に戦力になる騎士クリーチャーで、このデッキの主力となります。
《エンバレスの宝剣》は強力なコンバットトリック兼フィニッシャーとして機能します。デッキ全体が軽く構成されているので《朽ちゆくレギサウルス》の手札を捨てるペナルティーあまり気にならず、《エンバレスの宝剣》が付けばゲームを速やかに終わらせることができます。
SCG Atlanta Classics
Okoだらけのスタンダードの環境
2019年10月27日
- 1位 Sultai Food
- 2位 Sultai Food
- 3位 Sultai Food
- 4位 Jeskai Fires
- 5位 Sultai Food
- 6位 Jeskai Fires
- 7位 Rakdos Aggro
- 8位 Four-Color Wolves
Dominic Harvey
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Simic Foodに黒をタッチしたSultai Foodがプレイオフの半数を占めるという極端な結果となったSCG Classics Atlanta。
あの《精神を刻む者、ジェイス》と並んでマジック史上最高のプレインズウォーカーとされている《王冠泥棒、オーコ》ですが、ライバルであったGolos Rampの退場によりSimic Food系のデッキの隆盛は想像に難しくなかったと思われます。
SCG Atlanta Classics デッキ紹介
Sultai Food
Simic Foodの同型を意識した結果黒がタッチされ、《ゴルガリの女王、ヴラスカ》や《害悪な掌握》などを採用した構成となりました。気になるマナ基盤も《寓話の小道》のおかげで3色ながら安定しています。
☆注目ポイント
同型や緑デッキを意識した構成で、メインから《害悪な掌握》がフル搭載されているなど徹底しています。《害悪な掌握》や《ゴルガリの女王、ヴラスカ》といった《王冠泥棒、オーコ》を除去する手段にアクセスするためのタッチ黒で、サイドには《強迫》も採用されているのでプレインズウォーカーを対策する手段が豊富に用意してあります。
《害悪な掌握》がメインから採用されている辺り、いかに環境が緑デッキに支配されているのかが伺えます。この環境では、緑以外のデッキと当たっても《王冠泥棒、オーコ》の[+1]能力によって緑のクリーチャーに変えることができるので、裏目に出ることは少なくなります。
《害悪な掌握》のような黒い除去やハンデスにアクセスできるSultaiが流行ることで、サイドの《夏の帳》はより重要なカードになります。1マナと軽いので《世界を揺るがす者、ニッサ》などキースペルをカウンターから守るのに使いやすく、サイド後の黒い除去の扱いも変わってきます。《霊気の疾風》は打ち消しではないので《夏の帳》の影響を受けないのが強みなので、ほかのカウンターや除去と使い分けていきたいところです。
総括
《死者の原野》の退場により健全さを取り戻すと思われていたスタンダードでしたが、現環境は《王冠泥棒、オーコ》系のデッキ一強状態となりました。
同型対策に《害悪な掌握》がメインから当たり前のように散見されるほどで、お世辞にも健全な環境とは言えませんが、来週末にアメリカのリッチモンドで開催されるミシックチャンピオンシップVは現環境のスタンダードで開催されることが確定しています。どんな結果になるかある意味楽しみですね。
USA Standard Express vol.159は以上になります。
それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいスタンダードライフを!