Translated by Nobukazu Kato
(掲載日 2019/11/13)
はじめに
ここ数週間のスタンダードはマジックにとって問題児のような存在になっています。《死者の原野》が支配する環境にプレイヤーたちが全くワクワクしていなかったのは明らかでしたし、この土地が禁止になって状況はさらに悪化したとさえ言えるかもしれません。フードが猛威を振るうようになり、極度にミラーマッチが多いメタゲームが形成され、メインデッキから《害悪な掌握》、《霊気の疾風》、《夏の帳》を搭載することが標準となっているのです。
スタンダードの現状に対して不満が漏れるのは理解できます。ただ、マジックプレイヤーは環境に対する別の解決策を必死に探したり、ミラーマッチを練習したりすることなく、まず最初に不平を口にする傾向があります。
語弊がないように言っておきますと、《王冠泥棒、オーコ》が(場合によってはその他の緑のカードたちも)明らかなデザインミスであり、ゆくゆくはスタンダードで(もしかしたら他のフォーマットでも)禁止になり得るというのも事実です。そしてこれは同時に、フード以外のデッキを選択する理由を他者に理解してもらうのが難しいことを意味しています。とはいえ、オーコ以外の選択肢を探している方もおられるでしょう。そんな方におすすめなのがラクドス一輪車、最強と言われるフードと渡り合えるデッキです。
グランプリに向けた調整とデッキリスト
《死者の原野》禁止後のスタンダードに着手し始めたとき、最初に手を伸ばしたのはエスパースタックスでした。フードと張り合うための選択であり、ときには異常に強い動きができる《一族の暴行》デッキを作ったこともありました。しかし、いずれのデッキも(特にサイドボード後の)シミックフードに力及ばず、という結果でした。
そして私はサクリファイスデッキを調整し始めます。さまざまな構築方法があるアーキタイプであり、それぞれに長所と短所があります。ジャンド、スゥルタイ、4色、ラクドス、ラクドスタッチ緑といった選択肢を洗いざらい検討しました。そのなかで意外に感じたのは、ゲーム終盤になってもシミックフードに遅れを取らないということでした。事前に思ってもみなかったことです。
4色《フェイに呪われた王、コルヴォルド》(以下、4色コルヴォルド)は手札の呪文が唱えられれば強いという印象で、私はマナベースとサイドボードの調整に膨大な時間を注ぎました。《フェイに呪われた王、コルヴォルド》のカードパワーは極めて高く、生き残った状態でターンが返ってくれば勝てることが普通ですし、大鹿になったとしても+1/+1カウンターが置かれていれば盤面を圧倒できます。しかし、調整を重ねてもこのデッキは安定することなく、マナクリーチャーを除去されてしまえば機能不全に陥ってしまうこともありました。グランプリで使用を検討していた最新のリストがこちらです。
4色コルヴォルドはカード選択や《害悪な掌握》が刺さるという点でフードと類似しており、ほぼ互角の相性です。《むかしむかし》はこのデッキで真価を発揮するカードではないですし、中盤でお手軽に2マナを用意してくれる《世界を揺るがす者、ニッサ》を採用していませんが、マナベースを安定させるために《むかしむかし》は必要です。
サクリファイスデッキのなかでも特に気に入ったのはラクドスカラーの構成でした。4色コルヴォルドに比べて動きがスムーズであることが多く、緑のカードがないことで相手のメインデッキに搭載されている《害悪な掌握》を腐らせることができます。また、あまり周知されていないデッキという印象で、戦い方を熟知している相手はいないだろうと思ったのです。《フェイに呪われた王、コルヴォルド》をタッチする考えもありましたが、《害悪な掌握》の的を作ってしまう点が受け入れられませんでした。
ラクドスサクリファイスはフードに対して抜群のパフォーマンスを見せました。相手の不意を突いて一気に勝ったり、他のデッキならば崩壊してしまうような絶望的な状況から逆転したりしたのです。こうしてグランプリに登録する75枚が完成しました。
ちなみにですが、ラクドス一輪車というデッキ名は《波乱の悪魔》のイラストに由来しています。お気に入りのカードですし、特にフレイバーテキストは最高です。まぁ、アリストクラッツとかサクリファイスでも良いですけどね 🙂
カード選択
上記のリストは、MTGアリーナのミシックチャンピオンシップ予選(MCQ)を通過したアントニーノ・デ・ロサ/Antonino De Rosaのものを参考にしていますが、最初にこの構築を考えたのはジャン・モリッツ・メルケル/Jan-Moritz Merkelだったかと思います。私はメインデッキとサイドボードに少し手を加えただけです。たとえば、メインデッキの《害悪な掌握》をサイドボードに移しました。フードとの相性は十分に良かったですし、MCQやミシックチャンピオンシップに比べてやや多様性に富んだメタゲームになるグランプリで腐る機会が増えるリスクを避けたかったのです。
最も難しい判断となったのは《炎の侍祭、チャンドラ》を抜くかどうかでした。《炎の侍祭、チャンドラ》は《忘れられた神々の僧侶》や《波乱の悪魔》などの多くのカードと強力なシナジーをつくりますが、安定して《炎の侍祭、チャンドラ》を唱えられないなら意味がありません。残念ながら、上記のマナベースでは赤のダブルシンボルの3マナ呪文に対応できず、4マナ域として妥協したとしても依然として不十分です。かといってマナベースをもっと赤に寄せてしまえば、黒の1マナ域や《夜の騎兵》を運用するに足る黒マナが確保できなくなります。
メインデッキ
サクリ台(生け贄に捧げる効果を持つカード)
サクリ台がなければこのデッキは始まりません。《魔女のかまど》と《大釜の使い魔》のコンボは、無限にチャンプブロッカーを供給し、ゆっくりと相手のライフを吸収していきます。2種のサクリ台は《初子さらい》でコントロール奪取した相手のクリーチャーを除去する役割もあります。欲を言えば、軽量で何度も使えるサクリ台がもう1種類あると嬉しいのですが、他に良さそうな選択肢はありません。
生け贄要員
この1マナ域のクリーチャーたちは、生け贄に捧げると効果を誘発する3マナ域のクリーチャーやサクリ台の本領を発揮させるだけでなく、《忘れられた神々の僧侶》のコストにもなります。元のリストから《どぶ骨》を1枚追加したのは、クリーチャーをテンポ良く出した方が明らかにデッキの動きが強くなるからです。
生け贄に捧げると効果が誘発するカード
サクリ台と生け贄要員が揃うと恐ろしさが一気に増す3マナ域たち。《真夜中の死神》は大量のドローを実現し、《波乱の悪魔》は盤面をコントロールします。
除去
《初子さらい》はプレインズウォーカーにプレッシャーをかける手段でありながら、クリーチャーの除去も可能です。特に《世界を揺るがす者、ニッサ》に強く、クリーチャー化した土地を奪って攻撃すれば《世界を揺るがす者、ニッサ》を破壊できる可能性があり、さらにサクリ台で生け贄に捧げれば相手の土地を減らすことにもなります。サイズの大きい《ハイドロイド混成体》を奪っていきなり相手のライフを0にすることもあるでしょう。
《アングラスの暴力》は用途が多い除去で、フードが繰り出してくる《金のガチョウ》や《楽園のドルイド》、プレインズウォーカーを対処できます。運に恵まれれば《魔女のかまど》も除去可能です。
《夜の騎兵》はフィニッシャーであり、除去であり、サクリ台でもあります。3枚目を追加したのは、予想以上に強いことが多く、必ず引き込みたいと思ったからです。理想的な展開は、《初子さらい》でクリーチャーを奪い、《夜の騎兵》をプレイし、奪ったクリーチャーをその効果で生け贄に捧げ、もう1体のクリーチャーを除去することです。
マナベース
本当は《ロークスワイン城》の3~4枚目を入れたくてたまりません。極めて強いカードであり、枚数を増やしても裏目は少ないようにも思えます。しかし残念ながらこれ以上増やすべきではありません。アンタップインする黒マナ源が14枚は必要だからです。ただでさえ4枚の《寓話の小道》でテンポを損なうことがあるので、タップイン土地をこれ以上増やすのは危険でしょう。
土地が2枚目で詰まることだけは避けたいため、土地は25枚としました。追加でドローする機会が多いデッキですし、ゲーム終盤になっても伸びた土地を活かせます。
サイドボード
サイドボードのカードは非常にわかりやすい構成で、説明する必要のないカードがほとんどでしょう。《戦慄衆の解体者》は高速のクロックであり、除去が腐ってしまう相手に対して投入されるため、穴埋めのような存在です。《朽ちゆくレギサウルス》も似たような役割を果たし、《炎の一掃》や《溶岩コイル》で除去されませんが、3マナ域をさらに増やしてしまうことになります。
採用に至らなかったカード
実際に試した、あるいは可能性を考えたカードのなかには採用に至らなかったカードも存在します。ここではその一部をご紹介しましょう。
《悪ふざけの名人、ランクル》
採用してもおかしくないクリーチャーです。実際に私も3枚入れたリストを試したことがあります。《悪ふざけの名人、ランクル》はプレインズウォーカーにプレッシャーをかけられるだけでなく、追加のサクリ台にもなり、4ターン目なら自軍のクリーチャーを、5ターン目なら《初子さらい》で奪ったクリーチャーを生け贄に捧げられます。1~2枚入れた構成も十分にあり得るでしょう。
《永遠神バントゥ》
採用するなら《夜の騎兵》の枠に入るカード。条件が合えば《夜の騎兵》よりも大きな活躍が見込め、大量のドローを可能にしたり、《波乱の悪魔》がいればパーマネントの数に等しい《火の玉》を放ったりできます。ただ、平均的なパフォーマンスで見れば《夜の騎兵》よりわずかに劣っていると思います。劣勢の盤面を必ずしも押し返せるクリーチャーではないですからね。
《炎の侍祭、チャンドラ》
このデッキにとても噛み合っています。ですが先にも述べたように、現在の構成では安定して唱えることができません。特にサイドボード後に魅力が増す1枚で、《強迫》や《害悪な掌握》を”フラッシュバック”できます。
《灯の収穫》
除去とサクリ台を兼ね備えたソーサリーですから、除去の枠に1枚挿ししても良いでしょう。マナ効率が良いですが、序盤では使いづらい点が個人的に気がかりです。
《災いの歌姫、ジュディス》
《災いの歌姫、ジュディス》は少々質が下がるものの、5枚目以降の《波乱の悪魔》として機能します。すでに3マナ域は多くなっていますが、1枚なら採用が考えられます。
《ラゾテプの肉裂き》《オルゾフの処罰者》《嵐拳の聖戦士》
こういった2マナ域を採用すればマナカーブを整えることができます。クリーチャーをテンポ良く展開したときに最大限の強さを発揮するカードが多いですから、2マナ域を追加する意義はあるでしょう。
デッキを回すうえでの小技
ラクドス一輪車を乗りこなすのは難しく、スキルの要求値が高いです。細かい判断が多いため、グランプリ本番では私も何度かミスプレイをしてしまいました。回し方を改善していくように努めましょう。
自分自身を対象にとる
《アングラスの暴力》と《忘れられた神々の僧侶》は自分自身を対象にとることができます。《波乱の悪魔》の誘発型能力を追加で使いたいときに有用です。
《忘れられた神々の僧侶》は、自分自身を対象にとるべきタイミングが《アングラスの暴力》よりも多いです。たとえば、相手が《夏の帳》を構えていると思うならば、《忘れられた神々の僧侶》の効果の対象を互いのプレイヤーにした方が良いこともあります。こうすることで、《夏の帳》を使われたとしても少なくとも黒2マナの追加と1ドローができます。
相手の《忘れられた神々の僧侶》のコントロールを奪った場合は、自分自身を対象にとることで《忘れられた神々の僧侶》自体も除去可能です。
《肉儀場の叫び》
《肉儀場の叫び》を使ってくる相手には、追放されないように《大釜の使い魔》を自分のターンで生け贄に捧げた方が良いことがあります。
土地の処理
《波乱の悪魔》の効果を誘発させたいため、《寓話の小道》はそのときに備えて手札に抱えておくことが通常です。ただ、マナカーブ通りに呪文をプレイする必要性もあります。そのため、土地が4枚目まで伸びない可能性があるならば、《寓話の小道》は1~2ターン目にプレイし、3マナ域を3ターン目に出せるようにした方が賢明です。
相手も《波乱の悪魔》を使ってくる場合は、こちらの《寓話の小道》で能力を誘発させる機会を与えてしまいかねないので、できるだけ早いターンにプレイすべきこともあります。
自分のクリーチャーに《初子さらい》
特定の相手には《初子さらい》がほぼ無価値になることがあります。その場合は、3マナ域のクリーチャーか《忘れられた神々の僧侶》に速攻を与える使い方が最善になることが多いです。
《夜の騎兵》にまつわる小技
《夜の騎兵》の最初の能力がスタックに乗ったら、《夜の騎兵》を《魔女のかまど》で生け贄に捧げて《波乱の悪魔》か《真夜中の死神》を戦場に戻します。最初の能力の誘発を解決させ、《大釜の使い魔》か《どぶ骨》(クリーチャーがいない場合は戦場に戻したクリーチャー)を生け贄に捧げます。このように処理すると、戦場に戻した3マナ域のクリーチャーの能力を一度誘発することができるのです。《夜の騎兵》の最初の能力は、クリーチャーを生け贄に捧げたタイミングで破壊する対象を選びます。
《魔女のかまど》と《夜の騎兵》
デッキのアップデート
あらゆるメインデッキカードがパズルの小さなピースです。劇的な変更を加えるのはやめた方が良いでしょう。《悪ふざけの名人、ランクル》などのカードをメインデッキに使いたいのであれば、4枚目の《アングラスの暴力》と《初子さらい》の枠に入れることになると思われます。その他の枠に関しては、変えたくないものばかりです。
ただ、サイドボードは理想から遠いと痛感していて、改善が必要です。フードとの相性はすでにある程度有利であり、サイドボーディングで抜くカードを見つけるのが難しい状況です。そのため、《害悪な掌握》は4枚採用しなくても良いと考えています。
他にも、《戦慄衆の解体者》の枠をもっと有効活用したいところです。使えなくはないですが、ティムール再生がサイドボード後から追加してくる《ショック》や《溶岩コイル》に見事に引っかかってしまいます。この枠は追加の手札破壊呪文や《恐怖の劇場》にした方が良いかもしれません。
さらに、ミラーマッチが増えるようであれば《波乱の悪魔》や《真夜中の死神》を除去できるカードがサイドボードに必要になります。そのため、《焦熱の竜火》(あるいは《壮大な破滅》)を採用したいと考えています。
こういった考えを踏まえてサイドボードを更新するとすれば、このようなものになるでしょう。
各マッチアップ解説
ラクドスサクリファイスはシナジー重視のデッキですから、サイドボード後もデッキの動きが鈍らないように、過剰な入れ替えは避けるべきです。以下では異なる2つのサイドボードプランを示しますが、1つ目はグランプリで実際に私が使用したもの、2つ目は先ほどのアップデートしたサイドボードを使ったものとなっています。新しいサイドボードで十分にテストしてない点についてはご了承ください。
フード
グランプリのリストの場合
対 フード (先手、グランプリのリスト)
対 フード (後手、グランプリのリスト)
最新のリストの場合
対 フード (先手、最新のリスト)
対 フード (後手、最新のリスト)
サクリ台2種は《王冠泥棒、オーコ》と《意地悪な狼》で封じられかねません。そのため、《初子さらい》は一定の有用性はあるものの、《害悪な掌握》ほど頼りにならない除去になります。ただ、できるだけ注意してケアしたい《夏の帳》で防がれないというのは《初子さらい》の魅力です。
当初は《忘れられた神々の僧侶》を後手のときにサイドアウトしていました。《意地悪な狼》を考えると使いづらいからです。しかし、サイドアウトするには惜しいほどのカードパワーがあるため、《意地悪な狼》で除去されるリスクを背負ってでも残す価値はあるという考えに変わりました。明らかに相手が《意地悪な狼》を持っていて、《忘れられた神々の僧侶》の他にプレイするものがある場合は、《忘れられた神々の僧侶》を唱えないようにしましょう。
フードに対しては、相手のライフよりもプレインズウォーカーを退場させることを優先させます。ゲームが長引くことを恐れる必要はありません。終盤になれば勝てることが多いですから。
ティムール再生
グランプリのリストの場合
対 ティムール再生 (グランプリのリスト)
最新のリストの場合
対 ティムール再生 (最新のリスト)
不利な相手だと思っていましたが、グランプリでは不思議と3度も勝つことができました。しかし通常はサイドボード前に腐るカードが多いため、相手に有効なプレッシャーをかけるのは難しいです。
2戦目以降は、サイドインした《強迫》と《戦慄衆の解体者》で妨害しつつ速攻をしかけられます。とはいえ、《戦慄衆の解体者》さえも《ショック》、《溶岩コイル》、後手の《炎の一掃》に引っかかるため、特別有効だというわけでもありません。
だからこそ《ドリルビット》を搭載したサイドボードが良いと考えています。手札から《荒野の再生》を上手く射抜くことができれば、大抵はゲームが長引いて勝てます。《荒野の再生》を失った相手はコントロールの立ち回りをせざるを得ず、”コンボ”で早期決着を図ることもできないため、いずれは《魔女のかまど》、《大釜の使い魔》、《波乱の悪魔》で相手のライフを削りきれるのです。
ティムール再生の構成によっては、サイドボードから《生体性軟泥》のようなクリーチャー戦略をとってくることがあります。相手の入れ替えに注意し、柔軟に対応するようにしましょう。
ラクドスサクリファイス
グランプリのリストの場合
対 ラクドスサクリファイス (グランプリのリスト)
最新のリストの場合
対 ラクドスサクリファイス (最新のリスト)
《波乱の悪魔》ミラーは非常に込み入っていて、ややこしい対戦になります。《波乱の悪魔》の誘発型能力の対象を選ぶに際し、アクティブプレイヤーかノンアクティブプレイヤーかで違いが出るのです。ノンアクティブプレイヤーの誘発型能力は常に先に解決されるため、自分のターンに何かを生け贄に捧げるときはよく考えてからにしましょう。
ジュリアン・フェリックス・フルーリー/Julian Felix Flury(4色コルヴォルド)との準々決勝では、かつてないほどのスタック数を積み上げ、《波乱の悪魔》の能力やその他の効果もあいまって20近くのスタック数になりました。スタックを正確に追い、全てを正確に処理するためだけにジャッジを呼ぶ必要があったほどです。
《アングラスの暴力》で《魔女のかまど》が除去される隙を作ってはなりません。必要であれば《魔女のかまど》を後出しすることを検討しましょう。《恐怖の劇場》の2枚目も視野に入りますが、もう少し調整してみないと断言はできませんね。
4色コルヴォルド
グランプリのリストの場合
対 4色コルヴォルド (グランプリのリスト)
最新のリストの場合
対 4色コルヴォルド (最新のリスト)
相手が《大釜の使い魔》をコントロールしていると《アングラスの暴力》のクリーチャー除去モードは使いづらくなるものの、《王冠泥棒、オーコ》の対処に有用であるだけでなく、《金のガチョウ》や《楽園のドルイド》を除去できれば相手のマナ基盤を崩せます。《初子さらい》は相手の《波乱の悪魔》を奪えば最高ですが、サクリ台を機能不全にされた際には頼りない呪文になりかねません。
エスパースタックス
グランプリのリストの場合
対 エスパースタックス (グランプリのリスト)
最新のリストの場合
対 エスパースタックス (最新のリスト)
手札破壊呪文よりも《戦慄衆の解体者》の方がわずかに優れているかもしれません。序盤にダメージを稼ぎつつ、相手が《ケイヤの怒り》で盤面を一掃してくれば追加でダメージを叩き込みます。
大切なのは《予言された壊滅》の価値を最小限にとどめるような盤面構築を心掛けるとともに、《ケイヤの怒り》で大損害を被らないように盤面を広げ過ぎないことです。サイドボード後は、手札破壊で《屋敷の踊り》を落とせれば、中盤から終盤にかけてあっさりと勝てるでしょう。ティムール再生の対戦と似たような流れです。
青白コントロール
グランプリのリストの場合
対 青白コントロール (グランプリのリスト)
最新のリストの場合
対 青白コントロール (最新のリスト)
この対戦でもメインデッキにほぼ無価値のカードが多いです。《厚かましい借り手》が入っている構成であれば、《初子さらい》の使い道ができることもあります。
青白コントロールとの相性は非常に良いと考えています。相手はゲームを安定させたらいち早く決着をつけなければなりません。そうしないと、《大釜の使い魔》のドレイン効果で負ける可能性があるからです。ラクドスサクリファイスには終盤戦に勝てるツールが揃っています。《ロークスワイン城》、《真夜中の死神》、《どぶ骨》、《大釜の使い魔》、《夜の騎兵》。その全てがカードアドバンテージや粘り強い脅威となります。
《アングラスの暴力》は《時を解す者、テフェリー》を除去しますが、受け身にならない方が良いと思いますし、いずれにしても《時を解す者、テフェリー》はラクドスサクリファイスにそこまで有効ではありません。また、《ドリルビット》は《王国まといの巨人》のような「出来事」クリーチャーを捨てさせられます。《強迫》にはできない芸当です。
ゴルガリアドベンチャー
グランプリのリストの場合
対 ゴルガリアドベンチャー (グランプリのリスト)
最新のリストの場合
対 ゴルガリアドベンチャー (最新のリスト)
ゴルガリアドベンチャーは《害悪な掌握》の対象があまり多くないので、相手の構成によって《害悪な掌握》の枚数を調整します。
《アングラスの暴力》と《初子さらい》の有用性は振れ幅が大きいです。たとえば、ゴルガリアドベンチャーは《アングラスの暴力》で生け贄に捧げても問題ないクリーチャーを多く抱えていますが、《戦慄衆の将軍、リリアナ》を対処できないと負ける可能性がありますし、《魔女のかまど》を封じている《魔術遠眼鏡》も除去できた方が良いでしょう。
セレズニアアドベンチャー
グランプリのリストの場合
対 セレズニアアドベンチャー (グランプリのリスト)
最新のリストの場合
対 セレズニアアドベンチャー (最新のリスト)
《恐怖の劇場》はサイドインしなくて良いでしょう。《大集団の行進》や《敬慕されるロクソドン》を使ってくる相手にはゲームをあまり長引かせたくないからです。序盤は盤面をコントロールして《敬慕されるロクソドン》による強力な動きを阻み、中盤は《波乱の悪魔》や《夜の騎兵》で逆転の芽を摘み取ります。
ジェスカイファイアーズ
グランプリのリストの場合
対 ジェスカイファイアーズ (グランプリのリスト)
最新のリストの場合
対 ジェスカイファイアーズ (最新のリスト)
ティムール再生との戦いに似ていますが、異なる点があります。手札から真っ当にマナを払って「騎兵」や《帰還した王、ケンリス》を唱えることもできるため、デッキ名を冠するエンチャントを捨てさせても十分にデッキが回るのです。注意していただきたいのは、クリーチャーを並べ過ぎて《轟音のクラリオン》で大損することです。少なくとも《真夜中の死神》で損をしないようにしておきましょう。
ラクドスサクリファイスの未来
禁止制限告知が11月18日に控えています。フードから少なくとも1枚が禁止リストに加わるというのが私の予想です。この予想が現実になった場合のラクドスサクリファイスの立ち位置を現時点で予想するのは非常に困難です。フード以外のデッキが増えると、立ち位置が少し悪化する可能性はあります。ただ同時に、ラクドスサクリファイスにとって戦いづらい相手、ティムール再生やジェスカイファイアーズはフードに相性が良いと思われているからこそ選択されていると考えれば、禁止制限告知後のスタンダード環境の予想はほぼ不可能に近いでしょう。
ラクドスサクリファイスは強力かつシナジーに富んだデッキであり、ほとんどの相手と渡り合えます。ですから禁止制限告知でスタンダード環境が変わり、このデッキが突如として使い物にならなくなるようなことはないと思っています。
ここまで読んでいただきありがとうございました。何か気になることがあればご連絡ください。
アンドレアス・ガンツ (Twitter)