多くの人々を惹きつける新フォーマット:パイオニア
「パイオニア」は、つい先月発表されたばかりの新フォーマットです。
ところが、現実世界に先駆けてマジック・オンラインで大会が開催されるようになると、多くのプレイヤーが魅了され瞬く間に人気フォーマットの仲間入りを果たしました。
旧環境のスタンダードデッキをそのまま持ち込んだり、当時の環境では使えなかった昔のカードや直近のカードを加えてアレンジしてみたりと楽しみ方は十人十色!
すでにプレイヤーズツアーやグランプリの開催も決まっており、今後のさらなる盛り上がりが予想される「パイオニア」ですが、晴れる屋でも11月23日(土)に第1期パイオニア神挑戦者決定戦を開催する運びとなっています!
本日はそれに先立ち、「パイオニア」の先駆け的存在であった「フロンティア」の歴代の神々のみなさまにインタビューを実施いたしました。歴戦の神々の目にこの新フォーマットはどのように映っているのでしょうか。また、「フロンティア」や「パイオニア」のようなカードプールの広いフォーマットでデッキを選ぶ際に秘訣はあるのでしょうか。
なお、第12期、そして最後のフロンティア神となった三科 良太選手には別途インタビューを行っておりますので、お時間のある方はぜひそちらも合わせてご覧ください。- 2019/11/17
- フロンティア神・三科 良太に聞く!パイオニアの魅力!
- 晴れる屋メディアチーム
それでは、早速インタビューをご覧いただきましょう!
初代 / 第9期フロンティア神:松本 友樹選手
Q1:新フォーマット「パイオニア」が発表されておよそ1カ月が経過しました。現時点で「パイオニア」にどのような印象をお持ちでしょうか?
ほのぼのとした環境、という印象を持っています。
フェッチランド・《守護フェリダー》・《夏の帳》などが禁止され、「探査」呪文やコンボデッキは当初の懸念よりも暴れることはなくなりました。代わりに隆盛しているのが各色の単色アグロデッキです。正直、ここまで単色アグロが活躍しているフォーマットは類を見ません。
そんなアグロデッキのおかげで中速デッキを抑圧するコンボ・ランプが抑え込まれており、やりたいことを好きなようにやっても十分に戦える環境になっていると感じています。まだまだ環境は大きく変化していくのでしょうが、一強と言えるデッキが決まっていないこともあり、のびのびと楽しめる、ほのぼのとした環境だなと感じています。
Q2:「フロンティア」や「パイオニア」のようなカードプールが広大なフォーマットで強いデッキを作る、または見つける秘訣があればお教えください。
環境が定義されていない中で強いデッキを作るのであれば、基本的には2パターンの方法があると考えています。
1つは過去のデッキをアップデートすること。《霊気池の驚異》デッキを例に挙げると、当時活躍していたフィニッシャーである《絶え間ない飢餓、ウラモグ》・《約束された終末、エムラクール》以外にも《精霊龍、ウギン》という強力なフィニッシャーを追加することができます。サブプランとしても《約束の刻》などを利用したランプ型から、《湖に潜む者、エムリー》などを利用したアーティファクト特化型など、様々なバリエーションが思いつきます。
2つ目は1枚のカードをフィーチャーすること。例えば《弧光のフェニックス》というカードからデッキを構築します。環境に存在するカードから、このカードと相性の良いカードを探します。1マナのインスタント・ソーサリーで手札を捨てるカードを探せば、《稲妻の斧》が素晴らしいパートナーであることが分かりますし、手札を捨てるとなれば《癇しゃく》もマッチします。また細かく呪文を唱えることはそのまま《氷の中の存在》の条件を満たすことにつながり……と、1枚のカードからその環境に存在する相性の良いカードを芋づる式に引き出すことができます。
どちらのパターンでも、最終的に出来上がったデッキが本当に強いものである保証はありません。むしろそうでないことの方が多いですが、この手順を何度も繰り返すことで、あるいは運が良ければ、当たりと言えるデッキにたどり着くことができる……はずです。
Q3:ズバリ、今注目しているカードやギミック、デッキがあればお教えください。
注目のカード
《霊気池の驚異》が最注目カードです。
《異界の進化》も使いたいし、《湖に潜む者、エムリー》も活躍させてあげたいと思っていますし、他にも《荒野の再生》とか《パラドックス装置》とか気になっているカードは山ほどあるのですが、とりあえず今は最強の《霊気池の驚異》デッキを作りたいという思いでいっぱいです。
第10期フロンティア神:木原 惇希選手
Q1:新フォーマット「パイオニア」が発表されておよそ1カ月が経過しました。現時点で「パイオニア」にどのような印象をお持ちでしょうか?
とにかく楽しい!懐かしい!《スフィンクスの啓示》が唱えられる!!!
パイオニアでは、モダンやレガシーで環境速度的に使うのが難しいカードや、他のフォーマットで禁止されているカードを唱えることができるのが魅力的ですね。スタンダードローテーション落ち以降、押し入れにしまったままの思い出のカードを風に当てるチャンスです。
パイオニアの発表と同時に各種フェッチランドが禁止カードに制定されたことにより、フロンティアほどの多色化は難しくなっていますが、カードプールがフロンティアよりも少し広く設定されているので単色or2色でまとめても十分にカードパワーを担保できています。
まだまだ環境初期で禁止カードの追加や新セットの発売で大きく環境が動くと思うので、これからに期待!
Q2:「フロンティア」や「パイオニア」のようなカードプールが広大なフォーマットで強いデッキを作る、または見つける秘訣があればお教えください。
どのフォーマットでもすべてのデッキの動きを知ることが一番大事なことだと思います。
「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」ということわざの通りにまずは環境理解を深め、その上でその環境的に強い動きができるデッキを考えていくと自ずと強いデッキになるという考え方でいつもデッキを作っています。
なので、カードプールの広さとは関係なく環境の推移を見定めることに注力しましょう。環境理解を深めることこそが強いデッキを作る一番の近道です。「”凝”をおこたるなよ。」
もちろんカードプールのカードを全て知ることは必修科目なので、まだ見たことがないカードがあるという人は早めの受講をおすすめします。
Q3:ズバリ、今注目しているカードやギミック、デッキがあればお教えください。
注目のカード
注目のカードはもちろん《スフィンクスの啓示》!
モダンやレガシーでは環境速度が速すぎてほとんど使われることがなく、フロンティアでもリーガル範囲から漏れてしまっていたため長らく唱えられなかったカードですが、X=4以上で唱えると最高に気持ちよくなれます。
デッキ内に複数枚入れることで《スフィンクスの啓示》が《スフィンクスの啓示》を呼び、幸福の連鎖を形成できます。
第11期フロンティア神:石渡 康一選手
Q1:新フォーマット「パイオニア」が発表されておよそ1カ月が経過しました。現時点で「パイオニア」にどのような印象をお持ちでしょうか?
パイオニアを遊んでの感想ですが、『圧倒的既視感』というのが一番近いでしょうか。あれ、この環境どこかでやったような……あ!これフロンティアじゃん!
つまるところ、パイオニアは実質フロンティアでした。
いつか見た、考えた、戦ったデッキ。そして広がったカードプールからもたらされる新たなデッキ。禁止改定も含めて明らかに異なるけれど、確かにそこにある息吹。
パイオニアはフロンティアの先にあるフォーマットであり、近代マジックの集大成と言うに相応しいものです。
モダンがスタンダードの受け皿ではなくなって久しく、ローテーションから逃れられる環境の需要が高止まりしていたのは、現状のパイオニアに集まる熱気から明らかでした。
パイオニアはマジックのこれからを現す場所だと思います。
Q2:「フロンティア」や「パイオニア」のようなカードプールが広大なフォーマットで強いデッキを作る、または見つける秘訣があればお教えください。
秘訣は集合知。
私は一人でデッキを組みあげるプレイヤーのことを本当に尊敬しているのですが、それは自分で成功した試しがないからです。
なので人の意見を聞くし、デッキをシェアしてもらうし、自分の考えを言ったり世間の評判を拾ってそれを検証したりします。
単純作業でカードプールを掘り返すのにも、人の数だけ広い視野で眺められますから。ネットの海というのは本当に凄いと思います。
そうやってデッキを強くするのが好きですが、そのためには多くの人の力を借りる必要があります。文殊の知恵ですね。協力してくれる友人には感謝の想いでいっぱいです。
Q3:ズバリ、今注目しているカードやギミック、デッキがあればお教えください。
注目のギミック
パイオニアのデッキは色々と組みましたが、やはり「ガチョウオーコ」がこの環境のカギであるのは間違いないでしょう。
現在のtier1である黒単アグロ・緑単信心・バント原野ランプには入っていませんが、シミックアグロなどには搭載されており、スタンダードの経緯からもパワーは折り紙付きです。
緑単信心タッチ青(《王冠泥棒、オーコ》+《ハイドロイド混成体》)やシミックフード鱗など、様々な可能性があると思います。
ただしオーコ自身にはある種の悠長さがあって、それを苦にしないデッキが今のtier1である3種類なのかなと。
注目のデッキ
パイオニアのカードプールでは3色デッキのマナベースが非常に厳しいと考えていますが、マナサポートがあれば話は別。
《霊気との調和》を擁する「昂揚・霊気池の驚異」が良いと思っています。
1 《島》
1 《山》
4 《樹木茂る山麓》
4 《植物の聖域》
2 《シヴの浅瀬》
1 《燃えがらの林間地》
4 《霊気拠点》
1 《見捨てられた神々の神殿》
-土地 (21)- 4 《ならず者の精製屋》
2 《つむじ風の巨匠》
3 《墓後家蜘蛛、イシュカナ》
1 《絶え間ない飢餓、ウラモグ》
2 《約束された終末、エムラクール》
-クリーチャー (12)-
4 《蓄霊稲妻》
1 《削剥》
3 《コジレックの帰還》
4 《発生の器》
2 《アズカンタの探索》
4 《織木師の組細工》
4 《霊気池の驚異》
1 《精霊龍、ウギン》
-呪文 (27)-
黒単、緑単には《神々の憤怒》《コジレックの帰還》がよく効き、《墓後家蜘蛛、イシュカナ》と《織木師の組細工》がアグロに蓋を。原野ランプには《絶え間ない飢餓、ウラモグ》が火を吹きます。
残念ながら《約束された終末、エムラクール》に関しては、豊富なラス(全体除去呪文)とオーコという強敵が如何ともしがたいのですが……。
パイオニアバージョンの《霊気池の驚異》デッキも研究していきたいですね。
第13期フロンティア神:中道 大輔選手
Q1:新フォーマット「パイオニア」が発表されておよそ1カ月が経過しました。現時点で「パイオニア」にどのような印象をお持ちでしょうか?
特殊なコンボデッキやただ強カードを排除してパワーバランスを整えたモダンといった印象です。モダンだとパワーが低く日の目を見なかったカード達にも可能性が出てくるのは良いことだと思います。
特にフェッチランド各種が禁止カードとなっているため、色マナを簡単に確保するのが難しく多色デッキに制限がかかっているのは良い点だと思います。
しかし、現状は《むかしむかし》を採用した緑系デッキが頭一つ抜けていると思いますし、土地バランスが対抗色と比較するとファストランド、ダメージランドがない有効色はデッキが組みづらい印象です。
今後の禁止改定や発売セットで改善されることを願いつつ、最終的にビートダウン、ミッドレンジ、コントロール、コンボがバランスよく存在できる環境になることに期待してます。
Q2:「フロンティア」や「パイオニア」のようなカードプールが広大なフォーマットで強いデッキを作る、または見つける秘訣があればお教えください。
すぐに強いデッキを作りたいのであれば、すでに結果が出ているデッキリストを見て、気になったデッキを片っ端から試してみるのが1番手っ取り早いでしょう。
試してみれば改善点なども見つかるはずですので、そこからは自分に合った調整をするようにしています。
また、今回のように新しいフォーマットであれば、カードプールと睨めっこして気になったカードをどんどん試していくのも良いと思います。
実際に使って試してみないと分からないこともありますので、とりあえずは弱そうでもいいのでデッキを作って試してみることをオススメします。
Q3:ズバリ、今注目しているカードやギミック、デッキがあればお教えください。
注目のカードとデッキ
個人的には、《絶え間ない飢餓、ウラモグ》が使いたいので、エルドラージランプが気にはなっています。
3 《ギャレンブリグ城》
3 《ハシェプのオアシス》
2 《不屈の砂漠》
3 《見捨てられた神々の神殿》
2 《爆発域》
2 《死者の原野》
2 《ウギンの聖域》
1 《大瀑布》
1 《光輝の泉》
1 《屍肉あさりの地》
1 《海門の残骸》
-土地 (28)- 4 《歩行バリスタ》
4 《樹上の草食獣》
4 《エルフの再生者》
2 《不屈の巡礼者、ゴロス》
2 《絶え間ない飢餓、ウラモグ》
-クリーチャー (16)-
Magic Online PTQで優勝した原野ランプもコントロールやミッドレンジに対して強そうなので試してみたいですね。
2 《平地》
1 《島》
1 《繁殖池》
1 《神聖なる泉》
1 《寺院の庭》
1 《寓話の小道》
1 《啓蒙の神殿》
1 《神秘の神殿》
1 《豊潤の神殿》
1 《氷河の城砦》
1 《内陸の湾港》
1 《陽花弁の木立ち》
1 《灌漑農地》
1 《まばらな木立ち》
1 《茨森の滝》
1 《平穏な入り江》
1 《植物の聖域》
1 《伐採地の滝》
1 《ヤヴィマヤの沿岸》
1 《ヴァントレス城》
4 《死者の原野》
1 《爆発域》
-土地 (28)- 4 《樹上の草食獣》
4 《エルフの再生者》
1 《ハイドロイド混成体》
-クリーチャー (9)-
3 《王冠泥棒、オーコ》
2 《拘留の宝球》
2 《残骸の漂着》
1 《秋の騎士》
1 《黎明をもたらす者ライラ》
1 《裏切りの工作員》
1 《神秘の論争》
1 《安らかなる眠り》
-サイドボード (15)-
クリーチャーで殴るデッキだと、《アーティファクトの魂込め》ビートダウンも速くてブン回りがあるデッキなので良さそうに思えます。
2 《蒸気孔》
4 《シヴの浅瀬》
4 《尖塔断の運河》
4 《産業の塔》
4 《ダークスティールの城塞》
2 《変わり谷》
-土地 (21)- 4 《石とぐろの海蛇》
4 《ボーマットの急使》
4 《ジンジャーブルート》
2 《ギラプールの希望》
4 《技量ある活性師》
1 《つむじ風のならず者》
-クリーチャー (19)-
3 《アンティキティー戦争》
2 《搭載歩行機械》
2 《猛火の斉射》
2 《焙り焼き》
1 《つむじ風のならず者》
1 《軽蔑的な一撃》
1 《溶岩コイル》
-サイドボード (15)-
《王冠泥棒、オーコ》が入った形も面白そうです。
4 《繁殖池》
4 《植物の聖域》
4 《ヤヴィマヤの沿岸》
4 《ダークスティールの城塞》
1 《産業の塔》
-土地 (19)- 4 《石とぐろの海蛇》
4 《金のガチョウ》
4 《ジンジャーブルート》
1 《ギラプールの希望》
4 《技量ある活性師》
-クリーチャー (17)-
おわりに
神々へのインタビューは以上となります。
歴代の神のみなさまが紹介してくれた以外にも、緑単信心や青白フラッシュなど歴代スタンダードで猛威を振るったデッキから、最近のカードをふんだんに使用したスゥルタイ・ミッドレンジまで、実に様々なデッキが活躍する群雄割拠の「パイオニア」。今後まだ見ぬ新デッキの登場も考えられますし、それを実現させるのはあなたかもしれません!関東近辺にお住まいの方は、初代パイオニア神を目指しぜひ第1期パイオニア神挑戦者決定戦にご参加ください!
また、挑戦者決定戦の決勝ラウンド、神決定戦の模様は実況・解説付きの生放送でお伝えいたします。残念ながら参加が叶わないという方も、ぜひこちらの放送で新フォーマットの息吹を感じとってみてください! (第1期パイオニア神挑戦者決定戦 / 第1期パイオニア神決定戦)