死者はパイオニアに蘇る ~バントランプデッキガイド~

Immanuel Gerschenson

Immanuel Gerschenson

Translated by Nobukazu Kato

原文はこちら
(掲載日 2019/11/22)

はじめに

パイオニアって何だ?あの日の告知を見たとき、誰もが驚いたはずだ。ウィザーズはこの世界に新たなフォーマット、パイオニアを誕生させた。『ラヴニカの回帰』から始まり、現在の最新セットである『エルドレインの王権』までのカードを使用できる(『モダンマスターズ』や『モダンホライゾン』などの特殊セットは除く)。

また、禁止カードの総枚数がモダンよりもはるかに少ない。執筆時点で禁止されているのは、《吹きさらしの荒野》《汚染された三角州》《樹木茂る山麓》《溢れかえる岸辺》《血染めのぬかるみ》《守護フェリダー》《ニッサの誓い》《夏の帳》《豊穣の力線》だけだ。

血染めのぬかるみ守護フェリダー
ニッサの誓い夏の帳豊穣の力線

パイオニアは生まれたばかりのフォーマットであり、当初は洗練されたリストがほとんど世に出回っていなかった。だからこそ、デッキビルダーたちは己が最も得意とすること、つまりデッキ構築をし始めた!俺自身も新しいデッキを考案することが大好きで、腕試しとしてパイオニアのデッキをいくつか考えてみた。ただ、特に面白い構築方法ではなかったかもしれない。他のフォーマットで禁止されたカードを起点に構築を始めたんだ。

これまでの作品を並べることもできるが、もったいぶらずに完成度の高いデッキを紹介することにしよう。そのデッキは今のところ環境で最強だと思っている。サンプル数が多いわけではないが、30マッチやって27-3という成績を収めた。負けたのはミラーマッチ2回とミスクリックによる1回だけで、多種多様なデッキを打ち倒した。

デッキ解説

死者の原野

禁止カードを起点としたデッキ構築にこだわり、俺は現在スタンダードで禁止されている《死者の原野》を搭載したデッキを組み上げた。リストを見ればわかると思うが、マナベースを除けばほとんどがスタンダードで使えるものになっている。スタンダードと比べて大きな違いは、《約束の刻》《至高の評決》があること、それから若干マナベースが良くなっていることぐらいだ

メインデッキ

《至高の評決》

至高の評決

個人的に《至高の評決》はかなり重要なカードだと思っている。パイオニアのほとんどのデッキがクリーチャーを並べて勝つことを狙いとしているが、《至高の評決》が盤面を一掃する前に決着するだけの速度を備えていない。もしも5マナの呪文だったとしたら、環境の速度に追いつけなかっただろう。「打ち消されない」という文言も思っている以上に価値がある。環境には青単信心や緑単タッチ青などが存在していて、ゲームの勝敗を分ける呪文を打ち消して勝利を目指してくるからだ。

《約束の刻》

約束の刻

パイオニアで最強の勝利条件カードは何かと問われれば、《約束の刻》と答えるはずだ。唱えるのは一般的に4ターン目になるので、ゲームを安定させるだけの猶予はあるだろう。一度展開を落ち着かせれば、もうゲームを支配したようなものだ。キャスト・解決までこぎつけたら、基本的に《死者の原野》を少なくとも1枚はサーチするようにする。もう1枚のサーチ先はマッチアップ次第だが、《死者の原野》《ヴァントレス城》《寓話の小道》《光輝の泉》《伐採地の滝》あたりになるだろう。

7種の土地が揃うように気を配っていれば、《約束の刻》で誘発した《死者の原野》がゾンビトークン2体を生成し、その後も継続的にトークンを供給してくれるようになる。パイオニアのようなレベルの高いフォーマットでは、数体のトークンを並べることが特に強力だとは思えないかもしれないが、ほぼノーコストでターンを重ねるだけでトークンを続々と展開できるんだ。しかも相手はその流れを止める術があまりない《死者の原野》を破壊するか、トークンの軍勢を無視できる形でプレッシャーをかけなければならないからだ。対するこちらは土地を毎回セットするたびにトークンが出るだけなく、その土地を活かして呪文を唱えることができる。

高マナ域の呪文

スフィンクスの啓示ハイドロイド混成体精霊龍、ウギン

カードを引くことが嫌いな人なんているのだろうか。伸びた土地を余すことなく使えるのであれば、インパクトもマナコストも大きなものを採用するのは当然だろう。上記のリストを見ての通り、俺はこの枠に《スフィンクスの啓示》2枚、《ハイドロイド混成体》2枚、《精霊龍、ウギン》1枚を採用している。

《スフィンクスの啓示》と比べてしまうと《ハイドロイド混成体》は見劣りしてしまう。このデッキには巨大なクリーチャーがいなくても勝てるし、ドローの枚数が多い方が好ましい。しかし《ハイドロイド混成体》は数枚入れるべきだと考えている。ドローとライフ回復効果は唱えたときにスタックに乗るため、その能力を個別に対処する呪文を使われない限り解決できるからだ。それに、巨大なサイズのブロッカー/アタッカーとしても時には有用になる。ライフ回復とドロー効果はゲームを長引かせるだけでなく、《死者の原野》やゲームの流れを引き寄せる呪文を引きやすくなる。

ゲームの流れを引き寄せるといえば、俺の友人である《精霊龍、ウギン》に対峙したことはあるだろうか?この大型のドラゴンは戦場に出ると盤面を一掃し、その後も盤面に残ってさらなる仕事を果たす

マナ加速と汎用呪文

樹上の草食獣成長のらせんエルフの再生者約束の刻

いくらか調整をした結果、マナ加速呪文の構成は《樹上の草食獣》2枚、《成長のらせん》4枚、《エルフの再生者》4枚、《約束の刻》4枚とした。《樹上の草食獣》を4枚にしなかったのは、終盤に引くと悲惨なカードで、通常は2ターン目までにプレイしたいからだ。1ターン目にプレイするのが理想なのは明らかだが、残念ながら1ターン目にアンタップインする緑マナ源は6枚しかなく現実的ではない。

マナベースに手を加えて1ターン目に《樹上の草食獣》をプレイする頻度を上げることもできる。ただ、そうすると《死者の原野》を弱体化させてしまうし、《むかしむかし》を採用する必要が出てくるはずだ。今のリストに《むかしむかし》を入れていないのは、このリストに入れたところでデッキの動きが安定するとは思えなかったからだ。そもそも何を手札に加えるのだろう?メインデッキにはクリーチャーが8体しかおらず、土地はすでに30枚も確保されている。《むかしむかし》でクリーチャーを手札に加えようというのは、このデッキで目指すべきことじゃない。

アゾリウスの魔除け

《樹上の草食獣》を2枚に抑える代わりに、ゲームを長引かせるカードを何枚か採用することにした。その一例が《アゾリウスの魔除け》だ。30マッチを通して、全てのモードを何度も使用した。

時を解す者、テフェリー

同様に《時を解す者、テフェリー》を4枚採用した。大好きなカードだから入れたなんて言っても満足してもらえないだろうが、相手のターン終了時に全く介入の余地を与えずに《約束の刻》を唱えられるのだから、それで十分だろう。

サイドボード

秋の騎士

3

ドビンの拒否権

3

不屈の追跡者

2


安らかなる眠り

2

豊潤の声、シャライ

1

黎明をもたらす者ライラ

1


裏切りの工作員

1

否認

1

残骸の漂着

1


ここまででメインデッキのほぼ全てのカードに言及した。となれば、サイドボードに話題を移すべきだろう。しかし正直に言えば、まだ構成を練っている段階だ。ただ、いくつか言えることはある。《不屈の追跡者》はサイドボード後のリソース戦で黙々とアドバンテージを量産してくれる。《安らかなる眠り》はまだサイドインしたことないので何とも言えないが、《秋の騎士》は環境で最強クラスのサイドボードかもしれない

こんなにも《秋の騎士》を高評価しているのは、《密輸人の回転翼機》のような機体や《悪性の疫病》などのエンチャントを破壊し、攻撃的なデッキに対してはライフを回復しつつブロッカーとして機能し、必要とあらば+1/+1カウンターでサイズを上げてプレッシャーをかけることもできるからだ。

ちょっとしたテクニック

現状ではサイドボードガイドを提示することできず申し訳ないが、その代わりとしてデッキを使ううえでのアドバイスをいくつか送ろう。

おわりに

パイオニアは活発な時期であり、大会が各所で行われている。デッキ構築が好きな人、パイオニアをプレイしたい人は、今こそデッキを組んで近所の大会に出るときだ!

この記事がみなさんのために少しでも役に立ったのなら嬉しい。いつかプレイヤーズツアーで多くの読者とお会いできることを心より楽しみにしている。さぁ、パイオニアを楽しもう!

イマニュエル (Twitter)

この記事内で掲載されたカード

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Immanuel Gerschenson

Immanuel Gerschenson イマニュエルは構築戦を得意とするプレイヤーで、グランプリ・マドリード2014 (モダン)、そしてグランプリ・セビリア2015 (スタンダード) という2つの大会で頂点をつかみ取った、オーストリア屈指の実力派。 プロツアー『イクサランの相克』ではサイドに《遅延》を採用した独特のトラバース・シャドウを手に、構築ラウンドを9勝1敗で駆け抜け14位に入賞。さらにオーストリア選手権2018では準優勝に輝き、オーストリア代表の座を手にするとともに、ゴールドレベルを手中におさめた。 Immanuel Gerschensonの記事はこちら