『すべそれ』3巻発売記念企画 ~2人の『伝説(サーガ)のはじまり』~

晴れる屋メディアチーム

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『すべそれ』3巻発売記念企画 ~2人の『伝説(サーガ)のはじまり』~

私が部屋に入ると、ちょうど群れを成した漆黒のクリーチャーたちがライフを削りきったところだった。

『すべそれ』3巻発売記念企画

2019年12月1日、東京都新宿区高田馬場。晴れる屋トーナメントセンターにて、”それ”は行われていた。

それとはすなわち、『すべての人類を破壊する。それらは再生できない。』(以下『すべそれ』)3巻発売記念トーナメントである。

『すべての人類を破壊する。それらは再生できない。』3巻発売記念トーナメント

1990年代後半を舞台に、神納 はじめと沢渡 慧美がマジック:ザ・ギャザリングを通じて巻き起こす青春ラブコメだ。

今回は作者である伊瀬 勝良先生(原作)と横田 卓馬先生(漫画)のお二人から、『すべそれ』の題材にもなっているマジック:ザ・ギャザリングとの関わり方についてお話いただいた。

《むかしむかし》

ーー本日はよろしくお願いします。まず初めに先生方がマジックを始めた時期について教えていただけますか?

伊瀬「僕は『ウェザーライト』~『テンペスト』くらいです。小学校時代に内々でやっていました。中学校に入ったころには周囲も結構やるようになっていました」

横田「僕は『ウルザズ・デスティニー』からです」

ーー当時はどんなデッキを使っていたんですか?また好きな色があれば教えてください。

伊瀬「当時は黒のデッキを好んで使っていました。好んでというよりも小中学校年代だとそんなに高いカードって手に入らないじゃないですか?なのでコモンアンコモンのカードがデッキの中心となるウィニーデッキが組みやすかったんですよ。『ストンピィ』のようなビートダウンデッキが周りの友達含めて人気があって、僕はその中から黒を選びました」

カーノファージ

ーーということは伊瀬先生が使っていたデッキが主人公、神納 はじめのデッキとなっているのでしょうか?

伊瀬それは偶然の一致です。自分が黒好きだから主人公のデッキも黒にしたわけではなく、設定を決めていくうちに自然とこうなりました」

伊瀬「僕個人も後々青いデッキなども使うようになって、メガパーミッション『ユーロブルー』も使っていました。当時は《ミューズの囁き》《衝動》もありましたし」

ミューズの囁き衝動

ーー懐かしいですね。横田先生はいかがでしょうか。

横田「僕は『ウルザス・デスティニー』から始めましたが、その時は《アカデミーの事務局長レイン》入りの構築済みデッキ(『エンチャント使い』)を買いました。それもあって青が好きかなぁ」

アカデミーの事務局長レイン

伊瀬「緑とか使ってなかったんですか?《皇帝クロコダイル》とか好きみたいですけど」

横田「緑は使ってはいましたが、《皇帝クロコダイル》に関しては絵が好きなんですよね」

皇帝クロコダイル

ーーわかります!当時欲しくてブースター剥いた記憶がありますね。

伊瀬「あれは確かにカッコいいですよ。大人気のカードでしたね」

横田「青白から始めましたが、ブースターパックを剥いて出たカードを見て、使いたいと思ったカードでデッキを作り変えたりしました。その中でもやはり青が面白いなという感じで」

《戦慄の復活》

ーーその後一度お止めになられていたと聞いていますが、復帰された現在はどのような遊び方をされているのでしょうか?

伊瀬「つい最近、それこそ20年ぶりくらいにスタンダードで黒単を組みました」

ーーおー!何かきっかけになるようなカードがあったのですか?

伊瀬「ずっと黒単を組みたいと思って、カードプールを細目にチェックはしていました。これまでは黒単が活躍できる環境ではないということもあって中々組めませんでしたが、『基本セット2020』で《漆黒軍の騎士》などのカードが登場し、完成に至りました」

漆黒軍の騎士

ーーなるほど。ではこれから実践投入ですね。

伊瀬「実は先にMTGアリーナで構築して使ってみました。回してみて、面白い!これならいける!!と思い、すぐに実際のカードを買い揃えました」

ーーMTGアリーナも遊ばれているんですね。

伊瀬「めちゃくちゃやりこんでいるわけではないですが、やってます。黒単の前は『《ドビンの鋭感》青白』みたいなデッキを組んでいました。テンペスト時代に『ユーロブルー』も使ってましたし、ビートダウンに限らずコントロールも好きなんですよ」

ドビンの鋭感

ーー横田先生はいかがでしょうか?

横田「今は時間もなく友達も身近にはいないので、ほとんどやれていないですね。以前は晴れる屋トーナメントセンターへよく遊びに来ていたのですが、遠方へ引っ越してしまい通い難くなってしまいました。ただ、デッキを組むとしたらライフを削るのではなく、特殊な条件で勝てるデッキを組みたいと思います。勝つためにゴールを目指して、手段を工夫することが好きなんです」

横田昔好きだったのは《機知の戦い》ですね。ちょうど発売したくらいの時期にやめてしまったので、これでデッキ組みたかったなと思っていました。今の環境だと《めでたしめでたし》くらいかなぁ」

機知の戦いめでたしめでたし

伊瀬「あれはデッキ組むの難しそうですね」

横田「そうですね。だからこそ構築のしがいもありますし、それもマジックの魅力の一つだと思います」

――確かに。対戦も面白いですが、デッキ構築もマジックの魅力ですものね。ところで横田先生はMTGアリーナはされているのですか?

横田「実はよくわからなくて、MTGアリーナはやってないんです」

禁止カード ~マジック《生まれ変わり》

ーー『すべそれ』第12話で親友の来島が使用している『ターボジーニアス(MoMa)』は大量の禁止カードを輩出することになります。最近、スタンダードでは以前に比べると高い頻度で禁止カードが出るようになっていますが、一マジックファンとしてどう思われますか?

伊瀬「昔(中学生の時)はカジュアルに遊んでいたので、禁止カードなんて遠い別世界の話でしたね。『ターボジーニアス(MoMa)』のことは今でも色々言われますが、同じくらい強力だった『ネクロ(《ネクロポーテンス》)』や『プロスブルーム』もキーパーツでも禁止しようと思えばできたはずじゃないですか。有名じゃないですか『ネクロの夏』って」

ネクロポーテンス

伊瀬「その時に比べると《死者の原野》から始まった一連の禁止カードの流れは、ウィザーズ・オブ・ザ・コーストが環境の健全化に努めている証拠だと思います。《トレイリアのアカデミー》の禁止の記事を見返すと、何年何か月ぶりに禁止が出るというフレーズがあるくらいなので」

横田「僕も禁止については、健全化に努めてるんだなぁという考えですね。色々な種類のデッキが活躍できる環境の方が、対戦するたびに今度はどんなデッキが相手だろうとワクワクするため、個人的には好きですね」

伊瀬「僕の生活におけるマジックはMTGアリーナが中心となっています。先ほどの横田先生の言葉にのっかるようになるのですが、色んなデッキが共存できる環境のほうが対戦していて楽しいですね」

ーーカードゲームの魅力って一つはデッキ構築ですものね。マジックはいくらでも色を増減でき、選択肢は無限にありますものね。

伊瀬「『すべそれ』のキャラクターは一人一人に好きな色があり、その色を基調としたデッキを使っています。自分の好きな色を見つけてその色をメインに据えてデッキ組む、そういう楽しみ方もあるんじゃないかなと思います」

浄火の鎧対抗呪文暗黒の儀式
ボール・ライトニング適者生存

横田「自分はデッキを考えるのが面白いので、試行錯誤しながら頭を悩ませていますね。それが形になった時の喜びもひとしおなので」

伊瀬「多様性という意味では、子供のころはお金もなくてやってませんでしたけど、リミテッドがぴったりかもしれません。プレリ(プレリリース)は2人とも参加してますよ」

ーーSNSでも拝見させていただいてます。プレリは新規も古参も楽しめる、お祭りみたいな大会ですものね。

伊瀬「(分からないカードがあっても)ちょっと見せてもらってもいいですかって、気軽に聞けるじゃないですか。真剣勝負でありながら、緩い空気もあって、参加者全員で楽しめる」

――シールド戦は難しいですが、空気感は一番ぴったりかも知れないですね。カードの能力を知らないのが当たり前の大会ですものね。

《映像の造形者》

ーーマジックの広報媒体としてミシックチャンピオンシップ(以下MC))やマジックフェスト(以下MF)、マジックプロリーグ(以下MPL)の大会配信、人気ストリーマーによる動画配信、Webサイトにおける対戦カバレージがありますが、そういったものは御覧になられたりしていますか?好きな現代のプロプレイヤーや配信者はいますか?

伊瀬「MCは何度か見ました。『すべそれ』の企画が立ち上がってからマジックに復帰したので、今の環境も勉強しておこうかなと思いまして」

入念な研究

横田「僕はストリーマーの動画をほぼ見ないですし、大会の中継も見ていません。理由はゲーム展開が早過ぎるから。カードの効果を表示する時間とやりとりが早くて、考える暇がなくほぼ見切れません(笑)」

ーー熟練者同士となるとお互いに知っていて当然の流れでスピーディーにゲームが進んでいきますものね。動画は多くは見ていないようですが、では贔屓のプレイヤーは……?

伊瀬・横田「(口を揃えて)中島 (主税) さんで!」

中島 主税

中島 主税選手

ーー中島 主税さんといいますと、以前Hareruya Prosにも所属しておりましたマジック界の生き字引ですよね。

伊瀬・横田「『すべそれ』にご協力いただいているので、中島さんでお願いします!!」

《最後の言葉》

――最後の質問になります。本日、『すべての人類を破壊する。それらは再生できない。』3巻発売記念トーナメントが開催され、63名ものプレイヤーが参加する大盛況となっております。実際に集まったファンの方を目の当たりにしてのご感想をいただけますか?

伊瀬「僕らはサイン会は実施していないので、ファンの方と直接接する機会は初めてとなります。もしかするとアンチの方もいるかもしれませんが……」

横田「優勝してもらったプレイマットを破る人も……(笑)」

――いやいや、参加者にそんな方はおりません!!!

伊瀬「冗談はさておき、『すべそれ』のタイトルの名のもとにこれだけたくさんのプレイヤーが集まってくれたことに、感謝しかありません

横田「参加者が2~3人だったらどうしようと不安に思ってましたが、多くのプレイヤーに楽しんでもらえ嬉しい限りです」

『すべそれ』3巻発売記念企画

伊瀬「これは大会開始に立ち会った際に思ったことですが、参加者の男女の割合にだいぶ開きがあるように見えました。中には八雲ちゃん(諏訪原 八雲)みたいな子もいるかもしれませんが、パッと見た限り10:0ですね。こういう男性比率の高い場所へ新規の女性プレイヤーが訪れるのはハードルが高いので、お店も常連客も、新規プレイヤーや女性プレイヤーが参加しやすい空気作りをして、マジックのすそ野を広げてくれたら嬉しいです」

新たな芽吹き

伊瀬「読者の方からこんな感想をいただくことがあるんです。90年代のマジックを思い出して懐かしい。でも当時は慧美ちゃんや八雲ちゃんみたいな子はいなかったよ、と。それなら、これからみんなでそういう環境を作っていけばいいんじゃないかなと思うんですよ。今日がその一歩になってくれたら、と思います」

ーー現在、弊社の女性スタッフが中心となり女性限定大会も開催していますし、初心者向けのイベントも企画しておりますが、通常大会ともなると厳しい部分もあります。ですが、先生方のおっしゃる通り、今日をはじめの一歩として、多くの方が楽しめる環境作りに務めていきたいと思います。本日は長時間に渡り、ありがとうございました。

おまけ ~《宿命の決着》

白騎士黒騎士

それは、私のふとした一言がきっかけとなった。記事用の画像のために、先生方に対戦をお願いしたのだ。

伊瀬「どっちが先手でやります?」

横田「さっきこっちが負けたので、自分が先手で」

私が入室した時のゲームのことだろう。伊瀬先生の『黒ウィニー』は展開したクリーチャーたちで、『白ウィニー』を使う横田先生のライフを削りきった。

小休止というにはいささか長かったインタビューを挟み、両者は再び対峙する。変わらぬ相棒を手に取ると、2人は慣れた手つきでシャッフルしていく。7枚の手札を手に取り、キープの代わりに頷く2人。

するとそこには、神納 はじめと沢渡 慧美の2人が向かい合っていた。

Game2

慧美が《平地》を出しただけでターンを返すと、はじめは早くも仕掛ける。黒のお家芸《暗黒の儀式》によるマナ加速からの《カーノファージ》《黒騎士》だ。

暗黒の儀式カーノファージ黒騎士

一瞬驚いた慧美だったが、そこへ現れたのは黒き刃から姫を守る純白の騎士。

白騎士

だが、はじめは流れるように《悪魔の布告》をキャストすると、4点のダメージを与える。

慧美「これはまずい」

とはいったものの『白ウィニー』には土地以外のマナソースはなく、《白き盾の騎士団》を召喚するにとどまる。

はじめは《カーノファージ》を休めると、再び2点を与え、ダメ押しとして《ダウスィーの殺害者》を追加する。『テンペスト』ブロック特有の回避能力「シャドー」だ。

シャドーに対抗するにはシャドーしかない。慧美は《サルタリーの修道士》を召喚すると、ダメージレースで不利なのをいとわずに《白き盾の騎士団》を攻撃へ送り出す。

ダウスィーの殺害者サルタリーの修道士

はじめ「どうしたもんかな」

今度ははじめが悩む番だ。とは言ったものの、《ダウスィーの殺害者》には強制アタック効果があり、先ほどの《サルタリーの修道士》にブロックされることは決まっている。

ならば、最大打点を刻むしかあるまい。己がライフ尽きるよりも早く、もっと早く。

『すべそれ』3巻発売記念企画

《カーノファージ》へライフの支払いを済ませると、3体のクリーチャーをレッドゾーンへ送り、《ダウスィーの殺害者》と引き換えに4点を与える。これで互いのライフは、はじめ16-10慧美となる。

はじめ「いける、いけるぞ!!」

勝利が近づきはじめの心の声は確かに聞こえた。が、それと同時に慧美が3枚目の《平地》を置いたことで気づいてしまう。

慧美「どうしよっかなぁ」

頼む、自分の想像であってくれ。願うしかないはじめへと、現実は突きつけられる。

慧美「うーん、いっとけ!」

浄火の鎧

可憐な手から1枚のカードが放たれ、はじめのライフを大きく削る。慧美の場は数的には不利であったが、その分手札は多くあった。4枚とため込んだ手札を力に変えることができる《浄火の鎧》によりたった一撃で戦況は逆転した。

序盤に大きくリードしながらも、はじめが押し切れなかった理由もある。5ターン目を迎えたにもかかわらず、はじめの土地はわずかに2枚。毎ターン展開こそすれど、召喚しきれないクリーチャーたちが手札に溢れているのだ。慧美の《浄火の鎧》と違い、はじめのデッキにはたまった手札を有効活用する手段を持ち合わせてはいない。展開力で凌駕できなければ、いとも容易くダメージレースはひっくり返えされてしまう。

《カーノファージ》の1点すらも重くのしかかるこの場面。はじめは考え、そして腹をくくる。場を見る限り、死は避けられない。ならば、自身への1点と引き換えに2点のダメージソースを確保する。

はじめ「ドローします」

静寂の中、はじめの言葉が響き渡る。

はじめ「あぁ、ちょっとなぁ。1ターン、遅かったか」

そうつぶやくと、はじめは《不吉の月》を設置する。

不吉の月

横に並んだクリーチャーたちのパワーラインは3、慧美を強襲する。

対応は、ない。いや、するまでもない。9点のダメージが入り、残るは1。

この1点は十分過ぎた。慧美のアンタップ・ステップを迎えるまでもなく、はじめは敗北を認めた。

はじめ 1-1 慧美

すでに十分すぎるほど写真は撮り終えた。《浄火の鎧》《不吉の月》の競演、まさに『すべそれ』だ。だが、ここで終わることなどできようもないのだ。

はじめ「決着つけましょう」

インタビュー前にはじめのクリーチャーたちがビートダウンしたGame1。今、目の前で慧美の《浄火の鎧》がその力を存分に見せつけたGame2。現在のスコアはこれで1-1。この二人に、引き分けの文字なんてありはしない。互いの気力とマナが尽きぬなら、決着をつけるしかあるまい。

はじめへの答えとして、慧美は静かにデッキをシャッフルし始める。

Game3

先手をとったはじめは手札を見ると、小さく、しかし確かに「よし」と呟いた。

《カーノファージ》が戦いの口火を切る。《白騎士》はお馴染みの《悪魔の布告》で即応するも、3ターン目に追加クリーチャーはない。端的に言おう、はじめはフラッドしている

ここで慧美が《白き盾の騎士団》でも召喚しようものなら、勝負は決まっていただろう。しかし現れたのは《サルタリーの僧侶》。どうやらすれ違いのダメージレースが始まりそうだ。

自嘲気味に笑い、はじめは《不吉の月》をエンチャントする。クリーチャーの数を揃えて一気にパンプアップする本来の使い道からは程遠く、現状《邪悪なる力》にも劣る。では、なぜはじめは「よし」と呟いたのか。

その手には《憎悪》の姿が!

憎悪

はじめが初手から描いたプランはこうだ。《カーノファージ》で慧美のライフを減らし、厄介なプロテクション持ちは《悪魔の布告》で除去し、5ターン目に力の限り《憎悪》をたたきつける。5枚目の土地は既に手札にあり、ライフも十分に残っているため、次のターンには間違いなく必殺の一撃が放たれる……はずだった。

再び慧美の手からキャストされる《浄火の鎧》。一気に7点のダメージが入りはじめのライフは10、アップキープにより9となる。

はじめ「じゃあ、勝負を決める!」

土地と《憎悪》に手をかけ……

はじめ「ん、いや。決められない」

先ほどの一撃により伊瀬のライフは9となり、《憎悪》の追加コストとしてライフを8までしか支払えず、最大でも11点しか与えることができない。慧美のライフはまだ13残っており、これでは届かない

再び土地に手をかけるとフルタップで《生命吸収》をキャストし、自身のライフを12まで引き上げ、攻撃と合わせ慧美のライフを7とする。つまりは、次の慧美の攻撃を耐えるライフを得ただけでなく、《生命吸収》をトップデッキしたことで、形成を一気に逆転させたのだ!!

生命吸収

ドローすると慧美の手札は6枚となるが、はじめのライフには届かない。そう、このままなら。

慧美の手札にはクリーチャーと土地。そして、2枚目の《浄火の鎧》

『すべそれ』3巻発売記念企画

はじめ「これ(《浄火の鎧》)強すぎる」

はじめ 1-2 慧美


気が付くと、はじめと慧美の姿は消え、目の前には伊瀬先生と横田先生の姿があった。確かに今の今まではじめと慧美がいたはずの場所に、だ。

談笑する2人に、対戦を終え「いい勝負だった」とはじめと慧美が握手を交わす姿が重なり合う。2人がマジックを通じて友達となる、あの瞬間だ。

『すべての人類を破壊する。それらは再生できない。』はマジック:ザ・ギャザリングを通じて巻き起こす青春ラブコメだ。だが、もし勝ち負けの部分だけが苛烈に表現されていたとしたら、魅力は半減していたかもしれない。マジックは勝ち負けだけではない、それ以上に大切なものがあることを、改めて私たちへ教えてくれている。

だからきっと、次に対戦を終えた時、私は自分から右手を差し出すだろう。目の前で行われた伊瀬先生と横田先生の、いや、はじめと慧美の対戦を思い出して。

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