はじめに
みなさんこんにちは。
いよいよ今月14-15日にThe Last Sun 2019が開催されます。各地の厳しい予選を勝ち抜いた実力者のみが参加できる招待制のイベントなため、レベルの高いゲームが期待できそうです。
今回の連載では、グランプリ・コロンバス2019と先週末にMOで開催されたModern Premierの入賞デッキを見ていきたいと思います。
グランプリ・コロンバス2019
あらゆるフォーマットで活躍する最高のプレインズウォーカー
2019年11月23-24日
- 1位 Sultai Urza Food
- 2位 Tron
- 3位 Humans
- 4位 Sultai Urza Food
- 5位 Humans
- 6位 Burn
- 7位 Burn
- 8位 Tron
Brian Coval
トップ8のデッキリストはこちら
《信仰無き物あさり》と《甦る死滅都市、ホガーク》が禁止後に開催された初の個人戦モダングランプリ。今大会を制したSultai Urza Foodは、2日目進出率13パーセント以上という数字を記録しました。
最近登場したこのデッキに目が行きがちですが、初日全勝を果たしプレイオフにも残ったHumansは母数に反して高い勝率を出しており要注目です。
グランプリ・コロンバス2019 デッキ紹介
「Sultai Urza Food」「Humans」
Sultai Urza Food
1 《冠雪の森》
2 《繁殖池》
1 《湿った墓》
2 《神秘の聖域》
4 《霧深い雨林》
2 《溢れかえる岸辺》
2 《汚染された三角州》
2 《沸騰する小湖》
-土地 (20)- 4 《金のガチョウ》
4 《湖に潜む者、エムリー》
4 《最高工匠卿、ウルザ》
-クリーチャー (12)-
2 《謎めいた命令》
4 《ミシュラのガラクタ》
4 《オパールのモックス》
3 《仕組まれた爆薬》
1 《永遠溢れの杯》
4 《アーカムの天測儀》
1 《魔法の井戸》
4 《王冠泥棒、オーコ》
3 《大いなる創造者、カーン》
-呪文 (28)-
2 《致命的な一押し》
2 《思考囲い》
2 《暗殺者の戦利品》
2 《湖での水難》
1 《トーモッドの墓所》
1 《真髄の針》
1 《罠の橋》
1 《マイコシンスの格子》
-サイドボード (15)-
今大会を見事に制したSultai Urza Foodは、最も人気があったアーキタイプでした。
優勝を果たしたBrian Coval選手のリストには、ソプターコンボや《発明品の唸り》パッケージが不採用で、《王冠泥棒、オーコ》と《金のガチョウ》による食物トークンとのシナジーを搭載したミッドレンジ寄りの構成となっています。
☆注目ポイント
《ミシュラのガラクタ》や《オパールのモックス》は従来通りに搭載されており、《湖に潜む者、エムリー》と《ミシュラのガラクタ》によってアドバンテージを稼いでいきます。最終的に《大いなる創造者、カーン》+《マイコシンスの格子》によって相手をロック状態に持ち込むプランが勝ち手段の一つとして組み込まれています。
《湖での水難》はカウンターとしても除去としても機能するフレキシブルなスペルです。《暗殺者の戦利品》はデメリットこそありますが、マナアーティファクトなどを妨害してくる《大いなる創造者、カーン》やトロンランドも含めて環境の厄介なパーマネントに触れる万能除去です。
Humans
4 《古代の聖塔》
4 《魂の洞窟》
3 《手付かずの領土》
4 《地平線の梢》
2 《灼陽大峡谷》
-土地 (18)- 4 《教区の勇者》
4 《貴族の教主》
4 《サリアの副官》
4 《スレイベンの守護者、サリア》
4 《帆凧の掠め盗り》
4 《翻弄する魔道士》
4 《幻影の像》
2 《魅力的な王子》
4 《カマキリの乗り手》
4 《反射魔道士》
-クリーチャー (38)-
3 《拘留代理人》
2 《ガドック・ティーグ》
2 《ファイレクシアの破棄者》
2 《秋の騎士》
2 《疫病を仕組むもの》
1 《異端聖戦士、サリア》
-サイドボード (15)-
2日目に進出したデッキの中でも高い勝率で初日全勝者を輩出し、プレイオフにも2名送り込むなど今大会の勝ち組デッキの一つだったHumans。
《信仰無き物あさり》の退場により苦手なマッチアップだったIzzet Phoenixが衰退し、青白系のコントロールもメタの変化とともに減少傾向にありました。妨害要素を多数搭載したHumansは、除去が薄いUrzaを始めとしたコンボデッキに強かったこともこのデッキが復権してきた主な要因だと思われます。
☆注目ポイント
モダンで最もポピュラーなアーキタイプの一つで、デッキの完成度も高くマイナーチェンジが見られるもののメインの構成にそれほど変化は見られません。多数のモードを持つ《魅力的な王子》は、このデッキの新戦力です。ドローの質を向上させてくれたり、ライフゲインはBurnなどとのマッチアップで有効です。また、場に出たときの能力を持つクリーチャーを多数搭載しているので、《反射魔道士》などの能力を再度使用することができます。
Infect、《献身のドルイド》コンボなど有効なマッチアップが多く同型対策にもなる《疫病を仕組むもの》は、今後より重要なサイドボードカードとなりそうです。Urzaを始めとした多くのデッキに採用されている《王冠泥棒、オーコ》を対策可能な《ファイレクシアの破棄者》も、引き続きサイドに数枚採用しておきたいところです。
Modern Premier #12033254
優勝はMono Red Prowess
2019年11月30日
- 1位 Mono Red Prowess
- 2位 Simic Eldrazi
- 3位 Dredgevines
- 4位 Colorless Eldrazi
- 5位 Bant Snow Control
- 6位 Infect
- 7位 Grixis Death’s Shadow
- 8位 Infect
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今大会の上位デッキはEldrazi、Dredge、Infectといった直線的な戦略が中心でした。
高速コンボアグロのInfectは除去が薄いUrza系やTronに強く、《稲妻》を使ったフェアデッキが減少傾向にある現環境では良チョイスでした。
Modern Premier #12033254 デッキ紹介
「Mono Red Prowess」「Infect」
Mono Red Prowess
《信仰無き物あさり》が禁止になり弱体化を余儀なくされたMono Red Prowessでしたが、果敢持ちのクリーチャーとそれらをサポートする軽い火力やキャントリップによるクロックは健在です。
禁止後の環境に対応したバージョンとして《ギタクシア派の調査》が禁止にされる前の2016年頃から見られた《窯の悪鬼》を採用したバージョンにお呼びがかかりましたが、今大会で見事に優勝を果たしたリストには《窯の悪鬼》の枠に《遁走する蒸気族》が採用されています。
☆注目ポイント
キャントリップスペルで手札を積極的に消費していくので、中盤以降の《騒乱の歓楽者》はほぼ2マナ3枚ドローとして機能し攻めを継続させることが容易です。
《焦熱島嶼域》、《危険因子》、《舞台照らし》など追加のドロー手段が豊富なので、赤単アグロにありがちな中盤以降に攻め手が途切れることが少ないのが魅力です。UrzaやTronなどに強い戦略で、今大会で多数上位入賞を果たしたInfectにも相性が良いのでオススメです。
《遁走する蒸気族》は爆発力では《窯の悪鬼》に劣りますが、軽いスペルを多用するこのデッキではサイズアップもしやすく継続的な4点クロックとして機能します。カウンターを取り除いてマナに変換する能力は、《騒乱の歓楽者》などで手札を補充したスペルをそのターン中に使用することを可能にしてくれます。
Infect
2 《繁殖池》
1 《ドライアドの東屋》
2 《吹きさらしの荒野》
2 《樹木茂る山麓》
1 《霧深い雨林》
1 《新緑の地下墓地》
2 《冠水樹林帯》
1 《植物の聖域》
2 《ペンデルヘイヴン》
4 《墨蛾の生息地》
-土地 (20)- 4 《ぎらつかせのエルフ》
4 《貴族の教主》
4 《荒廃の工作員》
2 《呪文滑り》
-クリーチャー (14)-
Humansの項でも挙げたように、環境から軽量除去を使うデッキが減少し、除去に貧しいUrzaやTronなどが中心の環境となってきているのでInfectも有力な選択肢となります。
感染クリーチャーを《古きクローサの力》や《強大化》といった強化スペルで強化することで、最速2ターン目に勝つこともできます。
☆注目ポイント
TronやAmulet Titanなど様々なデッキで活躍している《むかしむかし》は、このデッキでも感染クリーチャーや《墨蛾の生息地》 、《ペンデルヘイヴン》を探しに行ける優秀なスペルでデッキの安定性の向上に貢献しています。
《王冠泥棒、オーコ》はこのデッキにも採用されています。単体で勝利に貢献してくれるのはもちろん、《呪文滑り》などこのデッキにとって厄介なクリーチャーを無力化することもできます。サイド後はさらに3-4枚目の《王冠泥棒、オーコ》が追加されるので、コンボをちらつかせつつSimicミッドレンジのように振舞うこともできるので、除去を多用するミッドレンジやコントロールとの相性も改善されています。
《夏の帳》は《致命的な一押し》や《思考囲い》、《集団的蛮行》などの対策になる優秀なスペルです。クリーチャーや呪文1枚がゲームに与える影響が大きいこのデッキでは、それらを守ることで大きな役割を果たしてくれます。
総括
史上最高のプレインズウォーカーとしてあらゆるフォーマットで活躍している《王冠泥棒、オーコ》。幅広いデッキに採用されているこのカードが環境に与える影響を懸念する声も多いようですが、モダンはスタンダードと異なり低マナ域での回答が多く食物トークンシナジーによるアドバンテージを無視できるデッキが複数存在します。これからのメタゲームでどのような活躍をするか、楽しみですね。
USA Modern Express vol.35は以上となります。
それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいモダンライフを!