Translated by Kohei Kido
(掲載日 2019/12/17)
はじめに
読者の皆さんこんにちは!この記事はグランプリ・ボローニャ2019へ参加した僕の体験記の第2回です。前回は大会の準備に関する話で、僕がどのような過程を辿り最終的に使うデッキを決めたのかが書いてあります。今回はグランプリについての話であり、一回戦ごとの大会レポートと旅に関する逸話が付属しています。前回の記事を読んでいない方はそちらを先に読むことをおすすめします!
- 2019/12/24
- グランプリ・ボローニャ2019に向けたレガシー調整録 Part1
- アーネ・ハーシェンビス
前回の最後で「バント《自然の秩序》」のデッキリストを見せると約束しましたね。友人でレガシー専門家のジャスパー・グリマー/Jasper Grimmerが作り上げ、僕と一緒に調整したデッキです。中身が気になるみなさん、もう少しお待ちを!デッキリストと戦略について書くのはこの記事の最後までとっておきます。
グランプリ前日
金曜日から話を始めましょう。ボローニャへは一人で移動し、いつものようにベルリンの友人たちと一緒ではありませんでしたが、その代わりにハンブルグから来た3人の友人と一緒に滞在することができました。とはいえベルリンの空港で何人かのMTGプレイヤーがレガシーについて話す場面に遭遇し、後にボローニャのコンベンション・センターまで一緒のタクシーに乗ることができましたけどね。
こんなにもたくさんのプレイヤーがベルリンからレガシーのグランプリへ向かうのを見ることは驚きでした。この伝統的なフォーマットが、これほどよく遊ばれていたなんて思いもしませんでしたからね。
旅の始まりは運に恵まれていました。僕が乗った飛行機が離陸したあとに、滑走路近くの工事現場から第2次世界大戦時の不発弾が見つかったことを、ボローニャへ着陸したときに耳にしたのです。空港は何時間も航空機の発着を許可しなかったそうです。不発弾は空港での遅延以外には特に問題にはならず、特殊部隊によってすぐに除去されたということでした。
この旅は結果を出さなければならない大会というよりは、楽しい休暇旅行のようにしたいと思っていました。一緒に滞在する友人たち(ミルコ、ヨシェン、フェリックス)は楽しい時間を過ごすことを大切にしていたので、僕の目的も大会の優勝ではなく、仲間たちと記憶に残るような旅行をすることになっていましたからね。
競技志向の強いプレイヤーである僕も、そういう点については友人たちから学び始めています。優勝することや結果だけにとらわれず、大会自体を楽しむほうが精神的なプレッシャーをなくしてくれます。今回はリラックスした気持ちで参加でき、失敗を恐れていませんでした。
このグランプリは僕が3byeで参加できる最後の大会であり、ゴールドレベルプロとして参加する最後の競技レベルの大会でした。プレイヤーとしてのひとつの章が終わり……それはいい章でした……そして次の章が始まります!ピラミッドの上位のプロプレイヤーから、また「街のカードショップにいる」ごく普通のプレイヤーへと戻るのです。
ブリュッセルで開かれる初めてのプレイヤーズツアーへの招待だけを弾みとして、また一から始めることになります。僕は再び自分の実力を証明する機会を楽しみにしていますが、今回は楽しい時間を過ごすことを最優先としていました。
話をボローニャへ戻しましょう。コンベンション・センターへ着き、友人に挨拶したところからです。金曜日の残りの時間はミステリードラフトへ参加し、レガシーの熱心なファンのステファン・シュッツ/Stefan Schuetzとカードの選択肢について話し多くを学ぶことができました。
その後は360人規模のPTQへ参加していた友人のフェリックスの激励に向かうことに。フェリックスはデス&タックスを使い決勝トーナメントまで進みましたが、残念なことに試合が長引いたことが不利にはたらき、ミラーマッチを落とす結果となりました。それでもとてもいい結果で、大量のパックとグランプリ本戦に向けたいい経験となりました。
その後は美しいボローニャの旧市街でパスタとピザ、ビールをとって夜を終わらせました。食事は最高でしたよ、やっぱりイタリアンはイタリアで食べるのが一番ですね!
グランプリ初日
2 《冠雪の平地》
1 《冠雪の山》
1 《Tropical Island》
1 《Tundra》
1 《Volcanic Island》
4 《溢れかえる岸辺》
4 《沸騰する小湖》
1 《虹色の眺望》
-土地 (20)- 3 《瞬唱の魔道士》
3 《僧院の導師》
-クリーチャー (6)-
4 《思案》
4 《剣を鍬に》
1 《呪文貫き》
1 《呪文嵌め》
1 《削剥》
2 《否定の力》
1 《議会の採決》
1 《至高の評決》
4 《意志の力》
4 《アーカムの天測儀》
1 《仕組まれた爆薬》
2 《王冠泥棒、オーコ》
2 《時を解す者、テフェリー》
2 《精神を刻む者、ジェイス》
-呪文 (34)-
これが僕の選んだデッキです。こういったデッキは自分の実力に応じて強さが変化するため、使っていて本当に楽しいですね。金曜日も遅くになると同じデッキを使っている選手たちが《終末》を足すことを検討していましたが、試合中の選択肢を増やしすぎて自分を苦しめたくなかったので、僕はデッキを変更しませんでした。
ですが土曜日の朝、8時58分に滑り込みでデッキに変更を加える決断をくだし、2枚目の《至高の評決》の代わりに2枚目の《王冠泥棒、オーコ》を入れることにしました。結果的にすごくいい判断だったと感じています。
朝にトマトとモッツァレラのパニーニとコーヒーを摂ったあと、バナナ、シリアルバーとフルーツスムージーで武装しました。もちろん僕にとって一番大事な道具である水筒も持ちましたよ。時として、もっとも単純なものがあるかないかで大きな違いがでます。もし大会に参加したのに水筒がなければ試合が始まる前から負けています。
さあ、試合開始です。
4回戦 (3-0): vs. グリクシスデルバー(《もみ消し》入り)
1ゲーム目は対戦相手がキャントリップしか打たないゆっくりとしたスタートを切りました。早期にリソースをトレードしあって、打消し合戦のあとに対戦相手が《グルマグのアンコウ》を空の盤面に着地させました。僕の手札は空で対戦相手は1枚手札が残っている厳しい状況です。
ですが、少し殴られたあとに引いた《思案》から《剣を鍬に》を得て脅威に対処し、《王冠泥棒、オーコ》がまもなく試合を支配しました。付け加えておくと、対戦相手は《意志の力》で追放することによって、僕に《もみ消し》を見せてしまいました。
再び対戦相手からゆっくりとしたゲームが始まり、《汚染された三角州》を立てたままターンを渡してきたため、《もみ消し》があるとしか思えませんでした。僕はフェッチランドを3枚抱えていたため、ゆっくりとゲームを進めることを考え、動かないことを決めました。
すると嬉しいことに、最初の4ターンはお互いに土地をおくだけでゲームが進行し、次第に試合は減速していき、僕の望むゲームプランの方向へ進むことに。十分な土地を確保し、相手がこちらに対しプレッシャーをかけられない状態で中盤戦以降に入っていきたかったのは、僕の呪文のほうが強力であり、デルバーに対して優位を取れるためです。5ターン目になっても盤面には何もなく、そこからゲームを勝利へと導くのはあまり難しくありませんでした。
5回戦 (4-0): vs. 赤抜き4色氷雪コントロール
この試合こそ、僕がレガシーにおいて何を愛しているかをよく表していました。判断が勝敗を左右する青いデッキミラーで、試合の主導権は行ったり来たりします。1ゲーム目は30分かかり、対戦相手が上を行きました。僕が試合を早く終わらせるために《僧院の導師》2枚を盤面に置きましたが、対戦相手の手札には《真冬》が控えていたのです。
対戦相手の《王冠泥棒、オーコ》と《時を解す者、テフェリー》を《仕組まれた爆薬》で吹き飛ばしたりしましたが、こういう競り合う試合で強力な《セヴィンの再利用》が相手から繰り出されて、1ゲーム目は僕の負けが決まりました。
2ゲーム目では僕が《夏の帳》と《紅蓮破》を使って試合をリードして、《僧院の導師》で試合を早く終わらせました。
3ゲーム目も似たような展開でした。僕は《夏の帳》を重要な場面で使って今回も試合をリードし、追加ターンで勝利を決めることができました。試合が終わると対戦相手は手札の《夏の帳》を見せてくれました。僕が試合を素早く進めながら、相手の脅威に対処するのに青い打消し呪文の代わりに《紅蓮破》を使ったため、使う機会がなかったのです。
こういうところが「《悪意の大梟》入り」氷雪デッキよりも4色メンターが好きな理由のひとつです。対戦相手に《夏の帳》を効果的に使わせないために、《セヴィンの再利用》に対して強い《否定の力》だけ残して、《意志の力》はすべてサイドアウトしていました。
6回戦 (5-0): vs. 青赤ドレッジ
この試合はHareruya Hopesのアンドレアス・ガンツ/Andreas Ganzと当たりました。本題からそれますがアンドレアスは素晴らしいプレイヤーであるだけでなく、いつでもちょっとした面白い逸話があるんです。アンドレアスのデッキが2重スリーブではなかったため、高価なカードやデュアルランドの少ないドレッジか黒赤リアニメイトだと予想しました。
予想通り青赤ドレッジを使っていたため、ディスカード呪文を打消すことでアンドレアスの減速を期待しましたが、彼の引きは僕を始末するのに十分なものでした。1ゲーム目にドレッジに勝つのはほぼ不可能です。
2ゲーム目のマリガン後の手札は土地とキャントリップ、《否定の力》、《瞬唱の魔道士》だけで墓地対策カードは引けず。やむなくキープしたところ、、さらに悪いことに《渦まく知識》で自分にロックをかけてしまう結果となりました。アンドレアスは僕を速攻で倒し、その後グランプリトップ8まで進みました。彼にとっては連続でのグランプリトップ8となり、達人としか言いようがありません。
7回戦 (5-1): vs. 黒赤リアニメイト
空港からのタクシーで同乗したベルリンのプレイヤーとここで当たりました。リアニメイトデッキを使っていることは知っていた上に、初手に打消しが2枚とデッキが応えてくれました。《別館の大長》がないことは彼に勝ち目がないことを意味していたのです。
2ゲーム目の引きは1ゲーム目ほど強くはなく、この対戦では弱い部類のカードである《剣を鍬に》を2枚引いてしまいました。《思考囲い》を打たれ、《渦まく知識》を抜かれるとともに打消しがないことが明らかになると、対戦相手は《エメリアの盾、イオナ》を《納墓》で埋め、リアニメイトで白を宣言。
僕は《王冠泥棒、オーコ》と《精神を刻む者、ジェイス》のためにデッキを掘り始め、《エメリアの盾、イオナ》に2回殴られたあとに無事《王冠泥棒、オーコ》を発見し、天使を大鹿に変え、試合に勝利しました。
8回戦 (6-1): vs. 《食物連鎖》
対戦相手は氷雪土地と2ターン目の《氷牙のコアトル》で試合を発進させ、3ターン目に《渦まく知識》をプレイ。僕は何らかのコントロールミラーだと思い、マナを支払って《否定の力》で《渦まく知識》を打ち消しました。無用なカードを処分する機会を相手に与えず、さらに相手のデッキに入っているであろう《瞬唱の魔道士》の弱体化も考えてのことでした。
相手はうなずき、《否定の力》を解決させてから《Tundra》をフェッチして《運命の操作》を唱えたのです!そう、僕はまさかの《食物連鎖》デッキと当たっていたのです。このデッキは、展開の遅いゲームの王者でもあります。
手札の《僧院の導師》でテンポの優位を取れると判断し《意志の力》を使いませんでしたが、それが間違いだったのかもしれません。《霧虚ろのグリフィン》 2枚と 《永遠の災い魔》 が追放され、僕は《僧院の導師》を出してターンを渡します。
お互いに脅威を打ち消しあうと、続く相手のターンには《食物連鎖》を唱えられ、《氷牙のコアトル》を生け贄に、追放されていたクリーチャーたちが場に出ました。幸運にも、試合を終わらせる《歩行バリスタ》も《引き裂かれし永劫、エムラクール》もいなかったため、《僧院の導師》で死なない3/3クリーチャーたちを乗り越えて接戦を制することができました。《僧院の導師》が本当に活躍した試合でしたよ。
2ゲーム目は1ゲーム目よりもはるかに簡単な試合でした。デッキのカードがいい順番で上から並んでおり、《摩耗/損耗》を2枚とも引いて《花の絨毯》と《食物連鎖》 に対処しました。さらに、がら空きの盤面に《精神を刻む者、ジェイス》を着地させて、その後に《瞬唱の魔道士》で「融合」した《摩耗/損耗》を2枚目の《食物連鎖》と《歩行バリスタ》を対処して試合終了です。
9回戦 (7-1): vs. マナレス・ドレッジ
また1重スリーブのデッキを使う相手なので、再び墓地利用をするデッキだと予想しました。サイコロに勝って先行を選ぶと相手は1ターン目に《変幻影魔》を捨ててきました。マナレス・ドレッジです!僕に勝ち目はありません!
2ゲーム目は《外科的摘出》に続いて《封じ込める僧侶》も引き、今度は相手がすぐに投了しました。《外科的摘出》に加えて《瞬唱の魔道士》か《封じ込める僧侶》がなければ勝機はないとわかっていましたので、そうなるようにマリガンしました。
3ゲーム目は最初の4回の手札では《外科的摘出》も《封じ込める僧侶》もなく、手札が3枚になるようにマリガンすることとなりました。結果的に《思案》と《溢れかえる岸辺》、《外科的摘出》をキープしました。
相手が最初に捨てた《ゴルガリの墓トロール》に《外科的摘出》を使いました。もし相手が《通りの悪霊》を手に持っていれば僕は吹き飛ばされてしまいますが、3枚までマリガンした後で勝率が高いのは相手の「発掘」カードを抜き、相手の手札に「発掘」カードが1枚しかないことを祈るしかないと判断しました。
そして本当に相手はそれ以上「発掘」カードを持っておらず、《変幻影魔》に続いて《イチョリッド》、《秘蔵の縫合体》の順でカードを捨てるのみでした。対して僕は《思案》では役に立つものが見つからずシャッフルするも土地、ドローステップでも土地、さらに土地と引きました。
4ターン目に手札も場も土地だらけという状態で《精神を刻む者、ジェイス》を引きました。なんという引きでしょう!もう一度言いますが、3枚になるまでマリガンしていますからね。相手は墓地に《イチョリッド》と《秘蔵の縫合体》、《変幻影魔》があるため、《精神を刻む者、ジェイス》の能力はプラスで起動せざるを得ません。自分を対象にして回答を探しに行くと、デッキトップは《渦まく知識》だったので、これは置いたままに。
次のターンに相手が《イチョリッド》で《精神を刻む者、ジェイス》を殴って忠誠度が2になり、《秘蔵の縫合体》を盤面に戻してもう1枚《変幻影魔》を捨てました。ターンが返ってくると《渦まく知識》を唱えて《封じ込める僧侶》と《外科的摘出》を見つけ、《封じ込める僧侶》をプレイし《秘蔵の縫合体》をバウンスすると相手は信じられないとばかりに首を振りました。
1ターン目の《外科的摘出》で確認していたため、相手のデッキには《Contagion》2枚しか解決策がないことはわかっています。次のターンに《精神を刻む者、ジェイス》で《意志の力》を得て試合は完全に終わりました。初日は8-1!この試合に勝ったあとは最高の気分でした!
また昨日と同じレストランに行ってからアイリッシュパブへ飲みに行き、まもなく疲れから全員ホテルへ帰りすぐ就寝となったので、翌朝には元気に満ちあふれて準備万端でした。すでに1日だけでも相当楽しんでいました。相手は全員礼儀正しくいい人でしたし、ヨーロッパのレガシーコミュニティは最高です。レガシーの大きな大会で集まり、プレイし、一緒に食事をとることは、自分たちの好きなフォーマットを祝福する巨大な家族のようなものです。
特にイタリアではレガシーは存在感があり、アンドレア・メングッチ/Andrea Mengucciによる継続的なレガシーコンテンツの供給が人気を支えていることは確かでしょう。
2日目
10回戦 (8-1): vs. 黒緑デプス
1ゲーム目は一方的で相手がマリット・レイジを作ると、それに《剣を鍬に》で対処して終わりです。
2ゲーム目は接戦でした。ディスカードから《闇の腹心》が着地、こちらの土地が2枚で止まっている間に、相手は毎ターンクリーチャーカードを唱えてビートダウンを仕掛けてきます。まず、《闇の腹心》を《削剥》で対処すると、4ターン目に《血染めの月》を唱えました。
しかし相手は《エルフの開墾者》で《森》をフェッチしながら《吸血鬼の呪詛術士》でさらに圧力をかけ続けてきます。《瞬唱の魔道士》で《削剥》を《エルフの開墾者》に当てましたが、対戦相手は追加の《森》を1枚持っていて、さらに《エルフの開墾者》。
ですが、《思案》で《剣を鍬に》と2枚目の《瞬唱の魔道士》を見つけると状況は好転しました。《吸血鬼の呪詛術士》を始末したあとに《王冠泥棒、オーコ》を出して試合終了です。正直言うとこの試合についてあんまりよく思い出せなくて、最後のほうはちょっと違ったかもしれないけど自信がないです。
11回戦 (9-1): vs. ホガーク・デプス
1ゲーム目は長引いて、僕の《精神を刻む者、ジェイス》はずっと盤面にいましたが、相手も何度も20/20でおびやかしてきました。幸運にも、僕は毎回対処手段を持っていました。
2ゲーム目は早く終わり、相手はすばらしいスタートを切った一方で僕はマナに問題を抱えていました。《Tropical Island》、《冠雪の山》、《冠雪の平地》、《冠雪の島》と引いてしまい、《議会の採決》を《甦る死滅都市、ホガーク》へ打てず負けました。相手の場には《森を護る者》があり、対象を取る除去から《甦る死滅都市、ホガーク》を守れる状況だったのです。
3ゲーム目は相手の行動すべてに回答を持っていて、4ターン目に《精神を刻む者、ジェイス》を着地させいい展開に見えましたが、時間があまり残っておらず、マリット・レイジに《剣を鍬に》を打ったことで、状況はさらに悪化していきました。
相手のライフを削りきるために《瞬唱の魔道士》と《封じ込める僧侶》、そして大鹿たちの軍団を作り上げる必要があったのです。もう一度マリット・レイジに《剣を鍬に》を当てる必要があったため、追加の5ターン目でなんとか勝つことができました。追加で得た3ターンで50ダメージくらい与えました。多くの《アーカムの天測儀》が見事な大鹿になっていましたね。
12回戦 (10-1): vs. 5色チェコパイル
フィーチャーマッチでレガシーの達人、そしてチェコパイルの創造者であるトマス・マー/Tomas Marと当たりました。トーマスのデッキは1ゲーム目で青いコントロール同士のミラーマッチで勝つように作られており、脅威に次ぐ脅威と《トーラックへの賛歌》で僕はすぐに追い詰められ、彼が強いる2-1交換の連続に僕は耐えきれず、試合はすぐに決着しました。
2ゲーム目に進みます。《夏の帳》と《紅蓮破》がダントツで重要なカードたちであり、リソースを交換し合ってお互いのプレインズウォーカーを《紅蓮破》で対処していくうちに、手札が少なくなりました。トーマスが終盤で使ったカードのひとつが《森の知恵》で試合を支配する可能性がありましたが、幸運にも僕は《思案》から《仕組まれた爆薬》を引いて対処できました。そこから先は僕が呪文ばかり引いてスムーズに勝つことができましたね。
3ゲーム目は序盤に多くのリソースをお互いに使い、そこからはトップデッキ合戦でしたが、トーマスが3つの《アーカムの天測儀》をコントロールしている状態で《王冠泥棒、オーコ》の着地に成功してしまいます。ライフは3まで詰められて、《イゼットの静電術師》でチャンプブロックして生きながらえざるを得ませんでした。手札に土地しかなく、盤面にも《アーカムの天測儀》のみでライフは3、相手は《王冠泥棒、オーコ》と2体の大鹿とさらなる《アーカムの天測儀》がありました。
僕は《精神を刻む者、ジェイス》を引き、 《渦まく知識》の能力で《剣を鍬に》と《僧院の導師》を得ました。《僧院の導師》を出し、アップキープに《剣を鍬に》を相手の大鹿に使いましたが、残念ながらメンターは大鹿とトレードとなってしまいました。それでも《精神を刻む者、ジェイス》がいる状態で生きていたのです。
お互いに《瞬唱の魔道士》で《紅蓮破》を再利用しプレインズウォーカーを消滅させましたが、トーマスは潤沢なライフがある状態で《森の知恵》を出し、そこからほどなくしてこのエンチャントがもたらすハンドアドバンテージで負けました。でもいい試合でしたよ。
13回戦 (10-2): vs. 黒青緑デルバー
2ゲームとも完璧な試合運びで相手はあまり脅威らしい脅威を突き付けてきませんでした。僕はこの試合で多くの《剣を鍬に》を引き、速攻で2-0しました。
14回戦 (11-2): vs. エルドラージ・ストンピィ
1ゲーム目は相手の2ターン目の《虚空の杯》を《削剥》で対処しましたが、《魂の洞窟》と組み合わせた《難題の予見者》が僕の《意志の力》を無用の長物にしていました。トップデッキした《渦まく知識》は《剣を鍬に》を見つけてはくれませんでしたが、その代わりにたくさんのプレインズウォーカーを見つけることに成功。
何ターンかあとに自分の盤面に《精神を刻む者、ジェイス》と《王冠泥棒、オーコ》、《時を解す者、テフェリー》を揃えると、対戦相手は僕のライフをつめきれず、1枚の《難題の予見者》と《作り変えるもの》何枚か、あとは《エルドラージのミミック》を対処するだけでゲームに勝ちました。
2ゲーム目も2ターン目《虚空の杯》に対して《削剥》を当てることができました。3ターン目に着地した《血染めの月》が試合を終わらせて、《僧院の導師》が素早くゲームを終わらせてくれました。
この時点で12-2です。グランプリには1600人の出場者がいましたから、引き分けではトップ8に残れず、次の試合も戦わなければならないと考えていました。15回戦に入るまで僕はリラックスしながら対戦に集中し、ゲームを楽しんでいて、大会での順位について考えていませんでした。しかし、残念ながらそれは15回戦で崩れてしまいました。
自分の経歴にトップ8をもう1個足すことの意味を考えて、祝っている自分を想像していました。この試合は負けたくなかった!自分に期待して試合の重要性を考えれば考えるほど、緊張してきました。
もちろんこの試合は大事でしょう。名誉と賞金という意味で大きな違いが生まれますが、すでにトップ16と600ドルの賞金は確保していることを考えて冷静さを保つべきだったのでしょう。でも僕は試合に負けるのが怖くなっていて、そのせいでプレイングも悪くなっていました。
15回戦 (12-2): vs. スニーク・ショー
対戦相手がどんなデッキを使っているのかは知りませんでした。サイコロに負けて5枚までマリガンして《否定の力》と土地をデッキの底にもどし、土地2枚と《剣を鍬に》、《僧院の導師》、《思案》の手札をキープしました。何故か相手がグリクシスデルバーを使っているような気がしていたのですが、予測は外れ、彼はスニーク・ショー。《思案》で《意志の力》と《時を解す者、テフェリー》、土地1枚を確認すると、最初の2枚を引いて土地はシャッフルしてしまう予定でした。
相手が3ターン目に《実物提示教育》を打つと、手札にある唯一の青いカードである《時を解す者、テフェリー》を追放して《意志の力》を打つか、解決させて次のターンに《時を解す者、テフェリー》でバウンスできる《引き裂かれし永劫、エムラクール》しかないことを期待するかの決断を迫られました。2分間も考えたあと、絶対に倒せない《グリセルブランド》が怖くて打ち消すことを決め、続くターンに2枚目の《実物提示教育》から《引き裂かれし永劫、エムラクール》を出されました。いてて、僕は次のターンに負けました。
僕はリスクをとるべきでした。あとから言うのは簡単かもしれませんが、すでに手札が5枚に減っていて(《剣を鍬に》をカードとして数えないなら4枚)、都合のいい展開を想定しなければならなかったのです。勝つためにではなく負けないためにプレイしていたのです。《実物提示教育》を解決させていれば、相手が《引き裂かれし永劫、エムラクール》しか持っていなかった場合に勝機がありました。
2ゲーム目はめちゃくちゃでした。《時を解す者、テフェリー》を通したときには勝ちに近かったはずでしたが、次のターンには《実物提示教育》を打ち消すために打消し呪文をコストに追放して打消し呪文を打たねばなりませんでした。このゲームでいくつもの間違いを犯しました。集中できておらず、負けるのは怖かったのです。悲しいことに、そうでもなければ絶対にしないような間違いを何度もしました。
僕は唯一の「打消し呪文」だった《瞬唱の魔道士》を追加の打消し呪文か《封じ込める僧侶》を見つけてくるだろうと期待して出し、どちらも引けませんでした。ある場面では僕の手札は2枚目のテフェリーと《紅蓮破》、《夏の帳》、《議会の採決》、 《呪文貫き》、《摩耗/損耗》、 《渦まく知識》となっていました。
《騙し討ち》に対して何も持っていません!土地が5枚ある状況で、もう1枚引けると期待して《アーカムの天測儀》2枚とも出しましたが引けず。対戦相手は《騙し討ち》を唱えて、打消しを期待してすぐに墓地におくそぶりを見せましたが、《渦まく知識》を使っても何もありませんでした。
《呪文貫き》を打ったあとに《騙し討ち》が解決し、《グリセルブランド》が出され、《時を解す者、テフェリー》は倒されました。7枚カードを引かれ、《実物提示教育》から《全知》を出されると、《引き裂かれし永劫、エムラクール》で終わりです。
大会は終了しました。僕は自分を許せず、外に出て新鮮な空気を吸う必要がありました。負けを受け入れることはただでさえ難しいのに、もっと上手くやれたはずの時はなおさらです。誰も完璧じゃないし、誰でもミスをする、ただ失敗から学んで先に進むしかない。言うは易しです。ただ今回は、友人たちがなだめてくれてすぐに平静に戻りました。レガシーのグランプリでトップ16に入ってこのデッキで一発ぶちかませたのです!
いろいろありましたがいい週末でした。もう2回ミステリードラフトに参加して一日を楽しく終わりました。アンドレア・メングッチが初めてのグランプリトップ8に入っていて、アンドレアスは連続でグランプリトップ8に入り、マルク・ヴォグト/Marc Vogtが奇跡デッキを使ってドイツに優勝杯を持ち帰りました。全員おめでとう!
いろいろあったけど最高の週末であり、友人との記憶に残る旅でした。参加者が多かったことに着目して、2020年もヨーロッパでレガシーのグランプリが開かれて欲しいですね。
おまけ記事:「バント《自然の秩序》」とおわりに
末筆にはなりますが重要な「バント《自然の秩序》」のデッキリストになります。
1 《冠雪の島》
1 《冠雪の平地》
2 《Tropical Island》
1 《Savannah》
1 《Tundra》
1 《ドライアドの東屋》
4 《霧深い雨林》
4 《吹きさらしの荒野》
2 《溢れかえる岸辺》
-土地 (19)- 4 《貴族の教主》
1 《金のガチョウ》
3 《氷牙のコアトル》
3 《復活の声》
1 《大祖始》
-クリーチャー (12)-
4 《剣を鍬に》
3 《緑の太陽の頂点》
2 《思案》
3 《目くらまし》
3 《自然の秩序》
4 《意志の力》
4 《王冠泥棒、オーコ》
2 《時を解す者、テフェリー》
-呪文 (29)-
奇跡以外のゆっくとりゲームを進める青いデッキにとても強いと感じています。《終末》はこのデッキに対して効果的ですが、4枚の《王冠泥棒、オーコ》は奇跡デッキに対抗できるチャンスを与えてくれるでしょう。デス&タックスにもデルバーにも優位なデッキです。コンボデッキには弱いですが、そのためにサイドボードがあります。誰もこのデッキを使っていませんが、確かに存在しています。そして、レガシーでの《復活の声》の強さに驚くことでしょう。
最後まで読んでくれてありがとう!この手のコンテンツが好きだったらぜひコメント欄かTwitterで伝えてください。ではまた次回。