Translated by Nobukazu Kato
(掲載日 2020/01/07)
はじめに
やぁみんな!『テーロス還魂記』の発売が間近に迫り、再びスタンダードに激震が走ろうとしているね。今回はこの新セットから僕が注目しているカードをいくつか取り上げ、既存のデッキにフィットするものかどうかを考えていこうと思う。「星座」や「信心」といったメカニズムがまったく新たな戦略を生み出す可能性は十分にあるだろうけど、今の段階では新アーキタイプがどんなものになるかは未知だ。
今現在のスタンダードを主に席巻しているのは、ジャンドサクリファイス・ジェスカイファイアーズ・シミックフラッシュ/ランプ・《エンバレスの宝剣》デッキだ。「出来事」やコントロールがその少し後ろに位置している。立て続けに行われた2度の禁止告知からスタンダードはとても健全な環境になっているという印象だ。『テーロス還魂記』が二の舞にならず、環境の多様性が維持されることを期待しよう。
さぁ、ここからは新しいカードたちを見ていこう!
ラクドスサクリファイス
《アクロス戦争》
このカードは単体でとんでもないことができるんじゃないかな。《魔女のかまど》やそのほかのサクリ台(生け贄に捧げる効果を持ったカード)を入れればさらに魅力的なカードとなり、現実味のあるデッキになるかもしれない。相手の場に2体のクリーチャーがいる状況を考えてみて欲しい。サイズの大きい方のクリーチャーを奪取すれば、返しのターンは奪ったクリーチャーがブロックするので相手は攻撃してこないものの、さらに次の相手のターンには小型の方のクリーチャーによる攻撃を強制することができるんだ。
相手が後続のクリーチャーを展開してきた場合には、奪ったクリーチャーと相撃ちさせ、場に残ったクリーチャーは3章で対処する展開も望める。ここで挙げた筋書きは非常に限定的なものかもしれない。だからこそ、このカードはサクリ台をパートナーにし、気軽に相手にクリーチャーをプレイさせないというメリットを持った除去にしたいところだね。
ちょうどいいサクリ台も収録されている。
《悲哀の徘徊者》
十分なマナレシオでありながら、終盤戦を戦うリソースを供給してくれる。ラクドスサクリファイスはマナフラッドに少し弱かったけど、繰り返し占術ができるようになっただけでなく、5/4の怪物を墓地から戻すことができるようになった。マナフラッドへの耐性がある程度ついたと言えるだろうね。
しかも、サクリ台がないがために《初子さらい》を手札に抱えたままになるという大きなリスクを緩和することができる。それに、《忘れられた神々の僧侶》は生成されたヤギトークンを有効活用できるだろう。
たとえばこんな素敵な動きがある。
6 《山》
4 《血の墓所》
4 《寓話の小道》
2 《ロークスワイン城》
-土地 (24)- 4 《大釜の使い魔》
4 《どぶ骨》
4 《忘れられた神々の僧侶》
2 《リックス・マーディの歓楽者》
4 《波乱の悪魔》
3 《真夜中の死神》
3 《悲哀の徘徊者》
2 《悪ふざけの名人、ランクル》
-クリーチャー (26)-
《アクロス戦争》をメインデッキで試してみるなら、まずはこんな構成でどうだろう。特にグルールやラクドス騎士などの大型クリーチャーを使うデッキに対して心強いカードだから、サイドボードからの対策カードになるかもしれない。『テーロス還魂記』がラクドスサクリファイスを環境のトップ層に引き戻してくれることを期待している。僕はこのデッキの戦略が大好きなんだ。
エスパーヒーロー
次はかわいい小型犬のお出ましだ。
《エイスリオスの番犬、クノロス》
もし猫派じゃないなら(特に毎ターン戦場に出たり入ったりする猫が好きじゃないなら)、この犬が最高のペットになるだろう。見てのとおり《大釜の使い魔》を封じられるけど、その能力は優秀なスタッツを持ったクリーチャーのおまけだ。
どんなデッキに合うのかを考えてみると、今はやや忘れ去られている《第1管区の勇士》デッキが理想的じゃないかと思う。《エイスリオスの番犬、クノロス》は典型的なミッドレンジのクリーチャーだ。3マナのパワー3で速攻もないため、アグロ向きのカードではないだろう。コントロールにおいても、相手の除去と1対1交換してしまうクリーチャーはあまり好ましくない。
しかし、多色であり、《ボーラスの城塞》のライフ損失を補填しうる絆魂を持っているため、エスパーヒーローに見事に噛み合う可能性がある。インスタントタイミングの除去が多いデッキなら威迫を持ったクリーチャーは一層ブロックしづらくなるし、しかも警戒までついているんだ!
エスパーヒーローの戦術に合うカードはほかにもある。
《半真実の神託者、アトリス》《悪夢の詩神、アショク》
《半真実の神託者、アトリス》はカードアドバンテージをもたらし、実質2ドローが確約される。相手は裏をかく余地があるけど、それには大きなリスクが伴う。それに相手から見れば土地にどれだけの価値があるのかがわからないはずだ。威迫を持ったクリーチャーが増えれば、攻めに回るときにとても有用になるだろう。本当に使うのが楽しみな1枚だし、使ったらすごく楽しいカードでもあると思うよ。
クリーチャーではない脅威を展開して対応を迫りたいのなら《悪夢の詩神、アショク》は優れた選択肢になるだろう。しかも自身を守る手段がふたつも用意されている。《ドミナリアの英雄、テフェリー》の枠をできるだけ埋めてくれることを期待したい。
《ドミナリアの英雄、テフェリー》と比べたときの強みは、[+1]能力でトークンを作りながら自身を守れること、それから奥義が2ターン早く使えることにある。確実に勝てる奥義ではないけど、強力な呪文を追放して勝利に結びつけられる可能性は十分にあるだろう。
[-3]能力は状況を選ばない便利なものだ。この能力を使う状況は理想的とは言えないが、厄介なパーマネントをバウンスしてくれるのは多くの場合はありがたいことだろう(相手の手札がないなら追放できる)。一応言っておくと、自分自身の《ケイヤの誓い》などのパーマネントをバウンスすることも可能だ。ただし、手札を1枚追放しなくちゃいけないから、あまり頻繁に使うようなプレイではないだろうね。
それから忘れてはならないのが《欺瞞の神殿》と《啓蒙の神殿》の存在だ。マナベースを改善してくれている。
今回の強化を受けてエスパーヒーローは復活できるだろうか?このデッキはかつてのスタンダードを席巻していたけど、《ドミナリアの英雄、テフェリー》と《氷河の城砦》などのチェックランドがローテーション落ちし、『エルドレインの王権』で大した収穫がなかったことから、競技シーンから追い出されてしまった。エスパーヒーローが息を吹き返す時が来たのかは時間が経てばわかるだろう。
みんなは次期スタンダードで試してみたいカードが見つかったかな?
期待しているカードがあったらぜひ教えて欲しい!戦場で会えることを楽しみにしているよ!
セバスティアン・ポッツォ (Twitter)