Translated by Nobukazu Kato
(掲載日 2020/01/20)
期待が高まる新セット!
この季節がまたやってきました!新セットの発売日が迫ってきており、全カードリストも公式に発表されています。『テーロス還魂記』はスタンダードのカードパワーを一回り強化しそうです。一見したところでは、このセットは間違いなくスタンダード環境を揺るがすだろうと思います。
では早速、スタンダードで使われる可能性がありそうな10枚を見ていくことにしましょう。
スタンダード視点で見る期待のカード10選
10位~6位
「神殿」サイクル
1枚に絞らず5枚を選んでいるので、厳密に言えば卑怯な手かもしれません。ですが、全種類を入れないのも怠惰というものでしょう。どの構築フォーマットにおいてもマナ基盤を整えることは基本です。『テーロス還魂記』は《奔放の神殿》《欺瞞の神殿》《天啓の神殿》《悪意の神殿》《豊潤の神殿》を収録し、スタンダードにおけるマナ基盤の強化をもたらしてくれました。すでに対抗色の「神殿」はスタンダードに存在していましたが、これで全10種が揃うことになります。
この多色土地の恩恵を特に大きく受けるデッキが2つあります。エスパーとグルールです。昨年、これらのデッキのマナ基盤は決して望ましいものではありませんでしたから、新たな多色土地はありがたいものでしょう。
対して《悪意の神殿》と《豊潤の神殿》は比較的影響が小さいものになりそうです。というのも、これらの色の組み合わせは攻撃的なものになりやすく、タップイン土地を処理するタイミングが少ないからです。
《圧倒的洞察》
《圧倒的洞察》のように、マナコストが軽く継続的にカードアドバンテージをもたらすエンチャントは、これまでのスタンダードで何度も活躍してきました。《幽体の船乗り》などの軽量のクリーチャーと組み合わせれば、攻勢をかけながらカードアドバンテージでも相手を圧倒できる可能性があります。
もしかしたらモダンやパイオニアの呪禁オーラで採用されるほどかもしれません。これだけ軽いマナコストでありながら、1度攻撃が通ればカードアドバンテージを獲得できる、+1/+1修正を与えられる、そして絆魂も付与できる。このカードが使われる可能性は非常に高いでしょう。
《太陽の宿敵、エルズペス》
《太陽の宿敵、エルズペス》への期待の声はあまり耳にしませんが、少々過小評価されているように思います。突出したカードパワーと抜群の柔軟性を持つカードではないでしょうか。忠誠度をプラスする能力がないのは確かに気がかりです。とはいえ、その埋め合わせとして自身を守る能力を持っていますし、忠誠度が0になっても備え付けの「脱出」でさらなるアドバンテージを生むことができます。
8位にランクインさせた主な理由は、「脱出」能力があること、4マナで唱えられることです。墓地から唱えられるのは本当に強力ですし、特に忠誠度を使い果たして墓地に送れるとさらに良いでしょう。
すべての能力に一定の使い道がありそうなのは好印象ですが、ひとつだけ心配なことがあります。それは、どういったデッキに適しているのかということです。上手くフィットするデッキとしてすぐに思いつくのは、白ウィニーや墓地を利用しながら長期戦を目指すオルゾフミッドレンジですが、蓋を開けてみないとわからないですね。
《嵐の怒り》
ティムール再生やティムールファイアーズのメインデッキを見事に強化するカードではないでしょうか。イゼットフェニックスやイゼットフラッシュのようなデッキのサイドボードに入れるのもアリかもしれません。4ターン目の《創案の火》と抜群の相性で、盤面の遅れを取り戻すことができます。派手で目を引くカードではないかもしれませんが、期待通りの役割を果たしてくれる強力で息の長い全体除去となるでしょう。
《裏切る恵み》
6位に入れたのは、3マナで3ドローが非常に強力だからというのもありますが、《予言された壊滅》を用いるエスパースタックスに噛み合っているからです。このデッキは「神殿」でマナベースが改善されたため、数を増やすと予想しています。《予言された壊滅》は生け贄要員を必要としますが、相手に対処されづらく《屋敷の踊り》とも相性が良いアーティファクトやエンチャントこそが格好の”エサ”です。
5位~1位
《アスフォデルの灰色商人》
マジックのコミュニティでは“商人”の愛称で親しまれている《アスフォデルの灰色商人》は、青単信心と黒単信心が環境を席巻していた『テーロス』のころに存在していたカードです。当時は《群れネズミ》《思考囲い》《変わり谷》と併用され、長きに渡ってスタンダード最強デッキの座に君臨していました。ライフを吸収する能力は妨害されづらいため、5マナ2/4という見た目とは裏腹の強さを持っています。
《死より選ばれしティマレット》《ヤロクの沼潜み》《ロークスワインの元首、アヤーラ》といった相棒となるカードがいるため、“商人”が活躍する土壌はあるように思います。《残忍な騎士》などの除去に加え、黒マナシンボルを3つ含む《ボーラスの城塞》のようなカードアドバンテージ源を投入すれば、完成度の高い黒単に向けて良い滑り出しができそうです。
マティアス・レヴェラット/Matias Leverattoはアーリーアクセスイベントでまさにその可能性を示し、黒単で9-1という成績を出しました。唯一負けたのはミラーマッチだけです。
Going 8-0 with this MonoBlackhttps://t.co/tea4NvfTWf
— Levunga (@levunga) January 15, 2020
黒単を使っている最中ですが、かなり強そうです。
この黒単で8-0を達成中です。
4 《ロークスワイン城》
-土地 (24)- 4 《大釜の使い魔》
4 《漆黒軍の騎士》
4 《ヤロクの沼潜み》
2 《死より選ばれしティマレット》
4 《残忍な騎士》
4 《ロークスワインの元首、アヤーラ》
4 《悪夢の番人》
4 《アスフォデルの灰色商人》
-クリーチャー (30)-
《悪夢の番人》
“商人”と相性が良く、先ほどのレヴェラットのデッキでも採用されていたカードです。この4マナ4/4の飛行クリーチャーはビートダウンで勝つこともできれば、《アスフォデルの灰色商人》と《魔女のかまど》のようなコンボで勝つこともできます(このコンボは“商人”の能力を2度誘発させます)。
《悪夢の番人》と《魔女のかまど》の相性は特に素晴らしく、相手のドローステップなどで《ヤロクの沼潜み》を生け贄に捧げればインスタントタイミングで手札破壊することも可能です。4/4飛行というクロックの速さに加え、《魔女のかまど》や《ロークスワインの元首、アヤーラ》といったサクリ台とのシナジーがありますから、新スタンダードに大きな影響を与えると言ってほぼ間違いないでしょう。
《セテッサの勇者》
《セテッサの勇者》はポテンシャルが高いと思います。急速にカードアドバンテージを積み重ねていくことから、《エッジウォールの亭主》を彷彿とさせます。盤面に残れば、あっという間に勝利をもたらしてくれるのでしょう。
直観的に最も合うと思うカラーはゴルガリかアブザンです。構築する際には軽量のエンチャントやエンチャント・クリーチャーを入れましょう。サイズが大きくなる点も見逃せません。2/4や3/5になれば、攻撃的なデッキに対して頼もしい存在となるはずです。
《自然の怒りのタイタン、ウーロ》
このクリーチャーの能力は強すぎますね!適切なデッキに入れたときの強さが比類なきものでしょうから、上位にランクインさせました。自然とフィットするデッキは言うまでもなくランプ戦略ですが、おそらくほかのデッキでも姿を見せることでしょう。
その一例として、Twitterでは話題になっていたことですが、《静寂をもたらすもの》と合わせれば3ターン目に《自然の怒りのタイタン、ウーロ》を展開しても生け贄に捧げる必要がなくなり、しかも攻撃時の誘発能力は通常通り使えます。少々やりすぎなコンボかもしれませんが、《自然の怒りのタイタン、ウーロ》と組み合わせられるカードの選択肢は広いですし、そのサイズ・能力は疑いようのない強さです。ただ適切なデッキに投入してやれば良いでしょう。
《深海住まいのタッサ》
個人的には不動の1位です。これが期待のカードでないなら何が期待のカードになるのでしょう?「明滅」能力と相性の良いものは本当に幅広く、6/5破壊不能というサイズやタップ能力も軽視できるものではありません。相性の良いものとしては《発現する浅瀬》や《乱動の座、オムナス》、《茨の騎兵》などが挙げられるでしょう。
人気配信者で人柄が良いCrokeyzは《深海住まいのタッサ》を使ったデッキを紹介していましたが、なんと《初子さらい》と《反逆の行動》のために赤をタッチして「明滅」能力をさらに効果的に使えるようにしていました!ほかのプレイヤーが《深海住まいのタッサ》をどんなカードと組み合わせていくのかも気になるところですが、Crokeyzのデッキに注目してみることにしましょう。
Feels like if I can tune this a little against straight Control that I will never lose another game of Magic.
— crokeyz (@crokeyz) January 16, 2020
Cast a creature against me and it's just over. What a deck.
List: https://t.co/DORnShvnTZ pic.twitter.com/nDtwknAg2c
純粋なコントロールをもう少し意識した調整ができれば、もはや1ゲームも負けないかもしれません。
このデッキに対してクリーチャーを唱えたらゲームオーバーです。なんてデッキなのでしょう。
1 《島》
1 《山》
4 《繁殖池》
4 《蒸気孔》
4 《踏み鳴らされる地》
1 《寓話の小道》
2 《ヴァントレス城》
3 《神秘の神殿》
2 《奔放の神殿》
1 《天啓の神殿》
-土地 (25)- 4 《枝葉族のドルイド》
3 《楽園のドルイド》
2 《ハイドロイド混成体》
4 《発現する浅瀬》
3 《乱動の座、オムナス》
3 《深海住まいのタッサ》
3 《茨の騎兵》
-クリーチャー (22)-
さいごに
今回は期待のカード10選をご紹介してきました。これらは私の目を引いた10枚のカードですが、使われるカードはほかにもまだまだたくさんあることでしょう。新カードを試したくてウズウズしています。みなさんもきっと同じような気持ちでしょうね🙂