決勝戦:徳山 皓太(Zoo) vs. 奥田 正輝(エルドラージポスト)
晴れる屋メディアチーム
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2020年最初の帝王戦レガシー決勝戦はとても賑やかだった。徳山も奥田も関西レガシー界隈では古豪プレイヤーで人望も厚い。そんな2人での決勝戦だからこそギャラリーの期待も自然と高まるのだろう。
だが2人の間に流れる空気は厳粛で、緊張感が漂っていた。実はこの2人、本大会のスイスラウンドでも対戦している。そのときは徳山の勝利で終わったが、奥田にとっては早くもリベンジの機会が最高の形で巡ってきたのである。
奥田 正輝が使用するのは『エルドラージポスト』。驚異的なマナ基盤から繰り出される超大型のエルドラージ達が戦場を蹂躙する様は圧巻の一言で、ひとたび動き出してしまえば誰にも止めることはできない。また、大振りなデッキ故に《虚空の杯》による押さえつけや《精霊龍、ウギン》、《全ては塵》による一方的なリセットも得意とするとにかく攻めるデッキである。
徳山 皓太が使用するのは『4c Zoo』。Zoo自体は古くから存在する由緒あるビートダウンデッキではあるが、徳山が駆るのは専用のチューンを施された『徳山専用Zoo』である。マーベリックのような挙動を見せつつもかなり前のめりなクリーチャー構成になっており、それらを《ボーラスの壊乱者、ドムリ》と《王冠泥棒、オーコ》でサポートし一気呵成に攻めることができる。
そして一際目を引くのが《ニッサの誓い》である。このデッキにおいてはまさに《思案》のような挙動を見せ、さらにプレインズウォーカーの色マナを緩和することで、シビアなマナ基盤を支えている。
舞台は整った。方向性は違えど攻めを得意とする両者、果たしてどちらが2020年最初の帝王として君臨するのか。
スイスラウンドの順位により徳山の先手。両者1マリガンするも徳山はすぐに、奥田は少し悩むもキープを選択。
序盤は徳山が大きく動く。《貴族の教主》、《呪詛呑み》、《緑の太陽の頂点》X=1から《エルフの開墾者》と立て続けに展開し、奥田への圧力をかける。
対する奥田は落ち着いた様子で《エルドラージの寺院》、《古えの墳墓》だけセットして返す。抵抗の無い奥田に対し、速攻をかける徳山は《森の知恵》で追加の戦力を補充していく。
だが、ここで奥田の手から放たれたのは《爆発域》!
これを悠々と起動する奥田。盤面を壊滅せしめる一手に一矢報わんとする徳山は《エルフの開墾者》で《不毛の大地》をサーチ。《爆発域》の起動が解決され、戦場は《森の知恵》を残して更地になってしまう。
クリーチャーをすべて失った徳山だが、このままでは終われない。《森の知恵》へとライフを支払い引き込んだのは、2枚目の《不毛の大地》!
1枚目の《不毛の大地》と合わせて奥田の土地をすべて破壊し、戦場を本当の意味で更地にしたところで《タルモゴイフ》を展開。 この時点でのサイズは2/3だが、土地をすべて失った奥田にとっては十分な脅威だ。
これを野放しにはできない奥田だが、徳山が次々と引き込んでくる《不毛の大地》を前に身動きがとれない。奥田が《虚空の杯》をX=1で設置するころには、すでに徳山の盤面には十分なクリーチャーが並んでいた。
返ってきたターンのドローを確認したところで奥田の投了となった。
徳山 1-0 奥田
奥田は少し悩んでキープを宣言、徳山は熟考し1マリガン。1ターン目、奥田は《雲上の座》をタップインと静かな立ち上がり。対する徳山は《Taiga》から《貴族の教主》と安定したスタートを切る。
ここで奥田は《歩行バリスタ》で《貴族の教主》を処理、次なる脅威を未然に防ぐ。これが徳山にとっては痛かった。徳山は土地が止まってしまい、再度《貴族の教主》をキャストするのみ。
そしてついに奥田が動く!《厳かなモノリス》、《スランの発電機》と立てつづけにマナファクトを展開、マナ基盤を確保した上で《難題の予見者》で徳山の戦力を削ぎにいく!
提示された徳山の手札は《エルフの開墾者》2枚、《タルモゴイフ》、《剣を鍬に》、《森の知恵》。ここから奥田は《森の知恵》を追放し、徳山のアドバンテージ源を断つ。
長期的なアドバンテージ源を失った徳山はここで2枚目の《Taiga》を引き込むことに成功。《貴族の教主》で白マナを構えつつ《エルフの開墾者》を2体とも展開して短期決戦にシフトしていく。
だが、奥田がそれを許すはずもない。無情にも放たれる《全ては塵》が徳山の戦力を薙ぎ払う。
一方的になるかと思われた試合だが、徳山は《剣を鍬に》で《難題の予見者》を打ち取り、痛み分けへと持ち込む。これにより奥田の手札は枯渇し、攻め手が止まってしまう。
またしても無人の荒野へと駆けつける《タルモゴイフ》!部族ソーサリーまでもが墓地に落ちているため、そのサイズは5/6と十分な脅威だ。それでもGame1と違い奥田には10マナを超える潤沢なマナと26点の豊富なライフがある。そしてライブラリーには十分な数のクリーチャーが眠っているのだ。
祈りながら引いたカードは、クリーチャーではなく《魔術遠眼鏡》。これを唱えて前方確認をするが、見えたのはさらなる脅威である2枚目の《タルモゴイフ》。窮地に立っていることが発覚した奥田は、この状況で一番引かれては不味いであろう《王冠泥棒、オーコ》を宣言しターンを返す。
徳山は落ち着いて奥田のライフを詰めつつ、《タルモゴイフ》、《エルフの開墾者》を展開し圧力を強めていく。なんとかしてこの状況を打開したい奥田だが、ドローが応えてくれない。
徳山が王手をかけると、奥田は引いたカードを確認して少し考えたのち、さわやかに右手を差し出した。
徳山 2-0 奥田
『第8期関西帝王戦レガシー』優勝は徳山 皓太!おめでとう!