USA Standard Express vol.165 -これが私のOne Turn Kill-

Kenta Hiroki

はじめに

みなさんこんにちは。

1月下旬は『テーロス還魂記』がリリースされ、アメリカでは新環境一発目の大規模イベントとしてSCGO Richmond(チーム構築戦)が開催されました。2月15日には日本国内でも第16期スタンダード神挑戦者決定戦開催されるなど、スタンダードイベントは充実しています。

さて、今回の連載ではSCGO Richmondの入賞デッキをみていきたいと思います。

SCGO Richmond
Temur Reclamationの隆盛

2020年2月1-2日

  • 1位 Azorius Control
  • 2位 Temur Reclamation
  • 3位 Jund Sacrifice
  • 4位 Temur Reclamation
Baumeister/Ingram/Kassis

Baumeister/Ingram/Kassis

StarCityGames.com

トップ8のデッキリストはこちら

『テーロス還魂記』リリース翌週に開催されたチーム構築戦のSCGO Richmondですが、優勝こそAzorius Controlに譲ったもののTemur Reclamationはトップ16中6名が選択と、その躍進には目を見張るものがありました。2日目に進出したチームの内、このアーキタイプを選択した全員が賞金獲得圏内まで勝ち残るという快挙を成し遂げました。

一方、アグロデッキの代表格であるMono Redは2日目最大勢力でしたが、上位に残ったのはわずかとなりました。ただ、チームメイトの戦績が振るわなかった可能性も十分に考えられ、一概に負け組とは限りません。

SCGO Richmond デッキ紹介

「Azorius Control」「Temur Reclamation」「Jund Sacrifice」「Mono Red」

Azorius Control

Azorius Controlは『テーロス還魂記』により大幅に強化されたため、チーム構築戦のOpenとStandard Classicsの両イベントで優勝を飾っていました。

打ち消しは少なめで、プレインズウォーカーやスイーパー、フィニッシャーの《夢さらい》が中心のタップアウトコントロールとなっているため扱いやすく、今後も人気が続きそうなデッキです。

☆注目ポイント

夢さらい

回避能力、ライフゲイン、カードアドバンテージ、除去耐性と、相手を選ばずフィニッシャーとしての要件を全て兼ね備えた《夢さらい》。このカードを得たことで、コントロール後にゲームを速やかに終わらせることができるようになりました。

海の神のお告げメレティス誕生空の粉砕

《海の神のお告げ》《メレティス誕生》によってデッキの安定性も各段に向上しており、《空の粉砕》を得たことでアグロデッキへも格段に強くなっています。また万能除去《払拭の光》よりも《ガラスの棺》が優先されているのも印象的です。置物対策は《時を解す者、テフェリー》があるため、コストの軽さを重視しての判断だと思われます。

エルズペス、死に打ち勝つ

《エルズペス、死に打ち勝つ》は5マナと重いスペルですが、《空の粉砕》後の単体パーマネント処理やプレインズウォーカーへの対処手段として重宝します。III章の能力では一度使いきった《覆いを割く者、ナーセット》《時を解す者、テフェリー》を再利用することで、さらにアドバンテージを稼ぐことができます。

Temur Reclamation

以前から存在していた《荒野の再生》によるマナアドバンテージを活かして《発展/発破》によって勝利するデッキですが、『テーロス還魂記』から《タッサの介入》を得たことによって大幅に強化されました。

ミッドレンジなど遅めのデッキ全般に相性が良く、特に前環境で幅を利かせていたSacrifice系のデッキに対しては無類の強さを誇ります

☆注目ポイント

荒野の再生タッサの介入

《荒野の再生》によって生み出される膨大なマナは《タッサの介入》と相性が良く、あの《時を越えた探索》を彷彿とさせます。打ち消しとしても使えるフレキシブルなカードで、現環境にある青いデッキ主力のドロースペルとして定着しています。

自然の怒りのタイタン、ウーロ

《自然の怒りのタイタン、ウーロ》は序盤は追加の《成長のらせん》として、墓地が肥える中盤以降はフィニッシャーとして機能します。ライフゲインもあるため、これによりアグロ相手にも時間を稼ぎやすくなりました。

嵐の怒り

《嵐の怒り》はクリーチャーだけではなく、プレインズウォーカーにも当たる全体火力、アグロデッキに対しては《荒野の再生》を設置するまでの時間稼ぎに貢献します。プレインズウォーカー対策にもなるのでコントロール相手に完全に腐らないのも嬉しい点です。

厚かましい借り手夜群れの伏兵

Harlan Firer選手のリストは《荒野の再生》が対策されるサイド後のゲームに備えて、追加の勝ち手段として《夜群れの伏兵》が4枚採用されています。すでにメインに4枚投入されている《厚かましい借り手》とあわせ、Temur Flashのように振舞うこともできます。

Jund Sacrifice

前環境ではトップメタの一角であった《魔女のかまど》《大釜の使い魔》のシナジーを活用したJund Sacrifice。これらのシナジーを主軸に据え、《パンくずの道標》《金のガチョウ》によって継続的にアドバンテージを得る構成は新環境でも健在です。

《フェイに呪われた王、コルヴォルド》《波乱の悪魔》で勝利する点も変わりないものの、今大会で活躍したTemur Reclamationに不利なため、今後の活躍はメタゲーム次第となります。

☆注目ポイント

打ち壊すブロントドン

不利なマッチアップであるTemur Reclamationとの相性を少しでも改善するために、《打ち壊すブロントドン》がメインから採用されています。ほかにも同型やJeskai Firesなど置物を使ったデッキは多いので、メイン採用も納得です。

苦悶の悔恨

『テーロス還魂記』からもわずかながら新戦力がみられます。《苦悶の悔恨》は追放型のハンデスでありながら墓地対策でもあるため、《自然の怒りのタイタン、ウーロ》に代表される「脱出」持ちのカードをメインボードから対策できます。

永遠神バントゥ戦慄衆の将軍、リリアナ

サクリファイスエンジンとシナジーがある《フェイに呪われた王、コルヴォルド》《波乱の悪魔》がこのデッキの主な勝ち手段ですが、エンジンが対策された時のために《永遠神バントゥ》《戦慄衆の将軍、リリアナ》が追加のフィニッシャーとして採用されています。どちらのカードも単体で十分強力でありながらサクリファイスエンジンとシナジーもあり、ミッドレンジ同型やコントロールとのマッチアップで特に強さを発揮します。

Mono Red

プレイオフには残らなかったものの、今大会の2日目に進出したスタンダードの中で最大勢力でした。『テーロス還魂記』から新戦力があったことと、環境序盤であるためアグロデッキが有利になりやすといった点が、人気の理由だと思われます。

今大会で上位に残ったバージョンは火力を多数採用したバーンタイプでなく、《エンバレスの宝剣》による一撃必殺を狙う構成でした。

☆注目ポイント

朱地洞の族長、トーブラン鍛冶で鍛えられしアナックスエンバレスの宝剣

『テーロス還魂記』からの新カード《鍛冶で鍛えられしアナックス》は赤単の強化に最も貢献しているクリーチャーで、《朱地洞の族長、トーブラン》のように色拘束が強いカードと相性がよく、《エンバレスの宝剣》を装備されれば勝利は目前です。

除去されてもトークンが残るため《空の粉砕》などスイーパーにも耐性があり、《エンバレスの宝剣》《エンバレス城》といった強化手段が豊富なこのデッキでは、継続してプレッシャーをかけられる優秀なクリーチャーです。伝説なクリーチャーであるため複数同時に展開することはできないものの、伝説ルールを利用することでトークンを大量生成することが可能です。《鍛冶で鍛えられしアナックス》2枚を揃えると片方が伝説ルールで墓地へ送られますが、2枚分の能力が誘発するため4体のサテュロス・トークンが生成されることになるのです。

灰のフェニックス

《灰のフェニックス》は飛行と速攻こそ付いているもののサイズは3マナ2/2と平凡に感じられますが、パンプアップ能力持ちなため中盤以降にも十分脅威となります。また、除去されても「脱出」によって復活できるため、息切れ防止にもなります

総括

夢さらい鍛冶で鍛えられしアナックス荒野の再生

『テーロス還魂記』加入後のスタンダードは強化されたAzorius ControlやMono Red、Temur Reclamationなどが中心です。前環境で活躍していたSacrifice系のデッキはTemur Reclamationとの相性の悪さから、今後は数を減らすことが予想されます。

今回ご紹介したデッキ以外でもMono White Devotion、Gruul Adventures、Simic Rampなどが見られ、これからも新しいデッキが生まれる可能性があります。

以上USA Standard Express vol.165でした。

それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいスタンダードライフを!

この記事内で掲載されたカード

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Kenta Hiroki アメリカ在住のプレイヤー。 フォーマットを問わず精力的に活動しており、SCGやグランプリの結果などからグローバルな最新情報を隔週で発信する「USA Modern Express」「USA Legacy Express」を連載中。 Kenta Hirokiの記事はこちら