決勝戦:本田 敦郎(5色ニヴ=ミゼット) vs. 黒田 正城(5色ニヴ=ミゼット)
晴れる屋メディアチーム
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By Kenichiro Omori
「新フォーマット『パイオニア』制定」。
2019年MTG界で最も話題をさらったニュースの一つだ。
このパイオニアはフォーマット自体の魅力に加え、新フォーマットという目新しさや、直近のプレイヤーズツアー・マジックフェストフォーマットであることも重なり爆発的な人気を獲得した。その人気は年をまたいだ現在も継続しており、今回の「第1期関西帝王戦パイオニア」も満員の77名で開催されることとなった。
そして、その大勢の参加者の中から決勝の舞台に勝ち上がったのはこの2人の強豪だ。
“第4期スタンダード帝王”である本田 敦郎。今回優勝すれば、現在タカハマ ノリマサしか成し遂げていない2フォーマットでの“帝王”襲名となる。“初代パイオニア帝王”、そして“2冠”という2つの栄誉に向けて勝利を狙う。
対するは黒田 正城。もはや知らない人はほとんどいないだろう。“日本人初のプロツアー王者”を始め、これまで数え切れないほどの戦績を収めてきた。この関西帝王戦でも様々なフォーマットで何度もTOP8入賞を果たしてきたが、あと一歩のところでこれまで戴冠には至らなかった。自らの輝かしい戦績に、いよいよ“関西帝王”を加えることになるのだろうか。
2人のデッキは共に「5色ニヴ=ミゼット」。今大会でも使用率が10%を超えたこの時点でのパイオニア環境トップメタデッキ。《ニヴ=ミゼット再誕》をアドバンテージ源且つフィニッシャーに据え、強力なカードを連打するミッドレンジの王道を行くデッキだ。いくつかのカード選択に違いはあれど、ミラーマッチと言っていいだろう。果たしてどちらの伝説のドラゴンが栄えある“初代パイオニア帝王”へとプレイヤーを導くのだろうか。
先手黒田の7枚キープに対し、後手の本田はダブルマリガンでのスタートとなってしまう。だが黒田が《森の女人像》と《楽園のドルイド》でマナを伸ばすと、本田も《楽園のドルイド》、《自然の怒りのタイタン、ウーロ》でそのスピードに着いてゆく。
4ターン目を迎えた黒田は先手の利を活かし、本田に先んじて《白日の下に》をプレイ。《ニヴ=ミゼット再誕》を呼び出すと《先駆ける者、ナヒリ》《戦慄掘り》《白日の下に》の3枚が黒田の手札へ加わる。
返すターン、本田も負けじと《白日の下に》から《ニヴ=ミゼット再誕》を呼び出す。
ここでダブルマリガンにより減ってしまったアドバンテージを取り返したい本田。だが、無情にも手に加わるのは《時を解す者、テフェリー》1枚のみ。 黒田との手札差がさらに広がる格好となってしまう。
黒田は本田の《ニヴ=ミゼット再誕》を《戦慄掘り》すると、自身の《ニヴ=ミゼット再誕》で攻撃を開始する。 さらに《楽園のドルイド》も《先駆ける者、ナヒリ》の[-2]能力で追放。本田の盤面は土地のみとなってしまう。
続く本田の一手は《包囲サイ》と現状の盤面では少しインパクト不足。潤沢な手札を持つ黒田はこれも《完全なる終わり》で排除すると、《楽園のドルイド》も攻撃に加えて本田を攻め立てる。
圧倒的な盤面を作られ、《ニヴ=ミゼット再誕》を止める術を持たない本田は次のドローを確認して投了となった。
本田 0-1 黒田
今度は黒田が一度マリガンを選択しスタートとなる。
本田は2ターン目《楽園のドルイド》からスタートすると、動きのない黒田へ対し《漂流自我》を放つ!
黒田はこれを《神秘の論争》で打ち消そうとするが、本田の手からも《神秘の論争》が飛ぶ!
《漂流自我》は解決され、黒田のデッキから全ての《ニヴ=ミゼット再誕》が抜き去られる。さらに残りの手札が《白日の下に》と土地のみであることが明らかにされてしまった黒田に対し、本田は《自然の怒りのタイタン、ウーロ》でマナを伸ばすと《時を解す者、テフェリー》。黒田の行動へさらに制限をかける。
このまま一方的な展開にはさせじと、黒田は引いていた《ラクドスの復活》をX=2でプレイ。《時を解す者、テフェリー》の忠誠値を減少させつつ本田の手札を0へと落とし込む。
こうなると勝負の行方はトップデッキに委ねられる。
黒田は《時を解す者、テフェリー》さえ倒してしまえば《白日の下に》からの逆転も見える。本田も手札がなくなったとはいえ、すでに潤沢なマナと《時を解す者、テフェリー》をコントロールしている分盤面の有利は変わらない。さらに、本田のライブラリーにのみ《ニヴ=ミゼット再誕》が眠っているという潜在的なアドバンテージも有している。有効牌を先にドローした方へ一気に天秤が傾く状況。だが両者ともドローが芳しくなく、お互い土地を置くのみのターンがしばらく続く。
そして数ターン後、先にたどり着いたのは本田だった。
《時を解す者、テフェリー》の加護により、黒田のドロー後に唱えられる《ラクドスの復活》X=7。これで黒田の手札も0に。
さらに、《自然の怒りのタイタン、ウーロ》の「脱出」に必要な5枚の墓地が溜まったことを悟った黒田は、次のゲームへと向かう意思を見せた。
本田 1-1 黒田
いよいよ迎えた最終ゲーム。今度は両者マリガンでのスタートとなる。お互いが《自然の怒りのタイタン、ウーロ》でマナを伸ばした第4ターン。
先手の黒田が先に《ニヴ=ミゼット再誕》を降臨させる。黒田の手札に《時を解す者、テフェリー》と《白日の下に》が加わる。
返すターン、本田も《ニヴ=ミゼット再誕》で応えたいところだが、無念にも5枚目の土地が引けない。
《時を解す者、テフェリー》で《ニヴ=ミゼット再誕》を戻しドローを進めるが、なおも引けない。黒田は《ニヴ=ミゼット再誕》を再召喚。今度は《ラクドスの復活》と《自然の怒りのタイタン、ウーロ》が黒田の手札へ加わる。
本田はまだ土地を引けない。《ニヴ=ミゼット再誕》は《完全なる終わり》で対処するが、《時を解す者、テフェリー》は《突然の衰微》され、今度は黒田の戦場に《時を解す者、テフェリー》が現れてしまう。
ここで待望の土地を引き込んだ本田。しかし唱えたかった《白日の下に》は一手間に合わず、《時を解す者、テフェリー》に封じられており《ニヴ=ミゼット再誕》を呼び出すことができない。ならばこちらも《時を解す者、テフェリー》を……といきたいところだったが黒田はこれも《神秘の論争》で許さない。
そして黒田は5枚の手札を持つ本田へ向けて《ラクドスの復活》をX=5で放つ!
全ての手札を失い、引いた土地を置くことしかできなかった本田に対して黒田はさらなる追撃《漂流自我》!指定は《ニヴ=ミゼット再誕》。
手札を失い、逆転への最善手を抜き去られたうえ黒田は《ニヴ=ミゼット再誕》がもたらしたカードをまだ使い切っていない。もはやこの差は埋められない、悟った本田はここで投了を選択することとなった。
本田 1-2 黒田
『第1期関西帝王戦パイオニア』優勝は黒田 正城!おめでとう!!