優勝者インタビュー:中村 公哉
晴れる屋メディアチーム
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「第9期リミテッド東海王決定戦」は2月15日に行われた。『テーロス還魂記』リリースから早くも3週間が経ち、リミテッド環境についても一通り戦略が固まった頃合いと言える。果たして『テーロス還魂記』環境のブースタードラフトはどのようなものか。
「第5期スタンダード東海王」であり、いくつもの「東海王決定戦」で実績を積み、2つのフォーマットで「東海王」を獲得した中村 公哉にインタビューをお願いした。
――「第9期リミテッド東海王決定戦」優勝おめでとうございます。今回の大会にあたり、どのような準備をして臨まれましたか?
中村「ありがとうございます。リアルのリミテッド大会はなかなかないので、MTGアリーナをたくさんやりました。『テーロス還魂記』の環境は10回ぐらい、昨日も3回やりましたね。コンバットトリックや除去を体で覚えていきました」
――スイスラウンド(シールド戦)ではどのようなデッキを構築しましたか?
中村「アブザン(白黒緑)のオーラデッキが構築できました。レア6枚が全て入ったのはよかったですね」
――本環境のドラフトについてはどのように感じていますか?例えばアーキタイプについては?
中村「環境についてはまだちょっと把握できてなくて、アーキタイプドラフトはできてないですね。例えば信心はアンコモンに多く、狙って寄せるのは難しいです。黒緑は『脱出』デッキができそうですが、特にアーキタイプというのは考えていないですね」
――決勝ドラフトはどのようなピックでしたか?
中村「明確にやりたい色はありませんでしたが、緑はできるだけやりたくないという前提がありました。あえて言うなら飛行中心の青白がやりたかったですね」
中村「1-1は《深海住まいのタッサ》から入って、1-2は《ぬかるみの捕縛》、3手目に《大食のテュポーン》が流れてきたのですが、これはスルーしました。ですが5手目か6手目だったかな?さらに《大食のテュポーン》が流れてきたため、空いているかと思いやむなく緑濃い目で行くことを決めました」
――緑の評価は低いのですか?
中村「《大食のテュポーン》は緑のトップコモンでアンコモンを含めても一番強いぐらいですが、他のカードが弱いです。緑は一般的にクリーチャーのサイズに秀でているのですが、例えば《ハイラックス塔の斥候》と同じくらいのマナレシオのクリーチャーは他の色にもいるので、アドバンテージはないです。《活力の贈り物》のようなインスタントトリックよりもオーラが優秀な環境なので、優先度が落ちてしまいますね」
――では以降のドラフトはどのような狙いでピックされたのでしょうか?
中村「卓内で緑が少なかったので、2パック目が終わった時点でほぼデッキは完成していました。3パック目は調整のためのピックに終始しましたね」
中村「《深海住まいのタッサ》がいたので《枯れ息吹のカトブレパス》をブリンクさせることを狙っていたのですが、流れてこなかったのが惜しかったです。代わりに《大食のテュポーン》はたくさん回ってきましたけど」
――上家は青白、下家は赤黒と協調もうまくいっていましたね。また、《大食のテュポーン》3枚は強烈ですね。他に意識してピックしたカードはありますか?
中村「スイスラウンドが8位だったので、常に後手になることを考えて《苔のバイパー》を優先してピックしました。メインで2枚、サイドに1枚入ってます。サイドインして3枚になることもありましたね」
中村「あとは《大食のテュポーン》とシナジーを形成する《ネシアンの角甲虫》も2枚取れたのと、《ナイレアの介入》で伸ばした土地を《深海住まいのタッサ》の複数起動へつなげられたのもよかったです」
――マナフラッドを受けるカードが多い、というよりもビッグマナ戦略に噛み合うカードがたくさん入っていてとても強力なデッキですね。途中の試合も拝見しましたが、豊富なマナから《深海住まいのタッサ》で完封しているシーンが印象的でした。
中村「《深海住まいのタッサ》だけで勝った試合もありましたし、勝利貢献度は高かったですね」
――では構築されたデッキ以外で、環境について教えてください。過小評価されているようなカード、意外と使い勝手のよいカードがあれば教えてください。
中村「思ったより強いのは《死の国の憤怒犬》ですね。3/1なのでなかなか止まらないですし、『脱出』コストも軽く4/2になってすぐに戻ってくる。全体的に『脱出』カードは強いですが」
中村「あとは1マナバウンス、《厳格な放逐》です。テンポを大きく取ることができますし、オーラが強い環境なのも追い風です。相手がプレイした《イロアスの恩寵》に対してプレイすると、ほぼ勝ちになる場面が多いです」
中村「それと《最期の噴炎》は使い終わった『英雄譚』をコストにすることもできるので思ったよりいいですね」
――「第9期リミテッド東海王」になられたお気持ちを聞かせてください。
中村「『リミテッド東海王決定戦』はめちゃくちゃ勝ちたかったので、優勝できて本当によかったです。なぜか『東海王決定戦』はスタンダードでばかり入賞していましたが、フォーマットではリミテッドが一番好きなので(笑)」
中村「シールドの大会は出られる範囲でコツコツ出ることが必要ですね。私の持論としてシールドの大会は3回で1セットだと思っていて、強いプール・普通のプール・弱いプールの3つを均等に引くイメージです。継続して出場していればいつか必ず強いプールを引いてくるので、そこでしっかり勝つことが重要です」
――では、最後に一言お願いします。
中村「会社の可愛い後輩に鰻を奢る約束をしていたので、その分を補填することができたのが良かったです(笑)」
中村「また、いつも練習相手をしてくれる『トレカライフ鈴鹿』の仲間たちのおかげで勝つことができました。感謝しています。それと、毎回エキサイティングな大会を開催してくれる『晴れる屋名古屋店』へも、感謝を」
【大会情報】『第九期リミテッド東海王決定戦』優勝は、『第五期スタンダード東海王』でもあるナカムラマサヤさんでした!おめでとうございます! pic.twitter.com/qVO0KU3yvB
— 晴れる屋 名古屋店 (@hareruya_nagoya) February 15, 2020
念願の「リミテッド東海王」に輝いた中村だが、実にリミテッドのプレイ歴は18年を数えるという。
『リミテッドにはマジックの基礎が全て詰まっている』
その言葉の通り、基礎から着実に積み上げ、ついに努力は結実した。その実力はまさに「リミテッド東海王」にふさわしい。
おめでとう!「第9期リミテッド東海王」中村 公哉!