アゾリウスコントロールで挑んだパイオニア連戦

Gregory Orange

Translated by Kouhei Kido

原文はこちら
(掲載日 2020/2/19)

変わらぬ愛でプレイヤーズツアー、グランプリへ

多くのフォーマット、多くの時代でありがちなことですが、アゾリウスコントロールは今のパイオニアにおいても最強のデッキではないと思います。でも強さは十分にあり、トップクラスのデッキに近いところにはいると思いますし、最強のデッキにも遠くないところにいると考えています。だからフェニックス開催のプレイヤーズツアーグランプリではもちろんアゾリウスを使いました。

至高の評決時を越えた探索ドミナリアの英雄、テフェリー

プレイヤーズツアーはすごく上手くいったというほどではありませんでした。リミテッドではそれなりに強い赤黒デッキをドラフトで組みました。ちょっとした運があれば2-1やそれ以上も望めるようなデッキだったものの、残念ながらそうはなりませんでした。《海神によって打ち倒された》あとはアゾリウスで4-1かそれ以上をやらないと2日目に行けませんでしたが、これもまた残念ながらそうはなりませんでした。その時点で2日目進出はなかったので最終戦の相手が現れなかったものの、アゾリウスで結果的には3-2でした。

グランプリで全く同じアゾリウスをつかうことを決断しました。デッキ入力の手間が省けましたね。グランプリではアゾリウスはけっこうよかったです。23位になる11-3-1の成績でした。引き分けたのは3回戦の青緑ランプとのマッチでした。あまり有利なマッチアップではないので、負けることもありえました。3つの負けはロータスブリーチとディミーア《真実を覆すもの》(以下ディミーアインバーター)、赤単に対してのものでした。

デッキリストとカード選択

《意味の渇望》

意味の渇望

4

3マナインスタントでアドバンテージが得られるカードは悪くないです。《吸収》のために3マナ残しておいて相手がカウンターするのに値するものを唱えなかったとき、《意味の渇望》は最高のカードに思えます。

メインゲームでは特定のゲームでしか強くないカードがアゾリウスのデッキに多く入っているので、どうせ必要にならないカードをほぼいつでも捨てることができます。サイド後はマナフラッドを起こしていない限り、捨てても損をしないカードはありません。だからメインほど強くはないことが多いです。《意味の渇望》をうまく使うには多くのエンチャントカードを入れる必要がありますが、幸運にもエンチャントカードには良いものが多く揃っています

《封じ込め》

封じ込め

4

《封じ込め》は除去呪文がほしいマッチアップでは《アゾリウスの魔除け》より少しだけ強いと言えます。いい標的のいないマッチアップではサイクリングさせることができないのが主な裏目です。そういうマッチアップでは手札の強くないカードをほかのカードに入れかえる手段として《意味の渇望》にたよる必要があります

《海の神のお告げ》

海の神のお告げ

2

はじめて見たときはこのカードに対して懐疑的でした。占術でカードを選ぶにしては必要なマナが多すぎる印象だったのです。以前のカードで言うならば《予期》といったところでしょうか。使い始めた当初は良さそうに見えたのですが、結局は平凡なカードでしたね。

《予期》と似ていると思いますが《海の神のお告げ》の方がいくつかの理由で良いと思います。まず、あとで必要な時に占術2できるのはいいところです。そして《時を解す者、テフェリー》でバウンスできるのはすごくいいところです。対象がいないままテフェリーでマイナス能力を起動することは多いですからね。《意味の渇望》をつかっていなくても1枚はアゾリウスのデッキの中に入れておきたいと思っているカードです

サイドボーディングと注目のカード

ディミーアインバーター

タッサの神託者真実を覆すもの神秘を操る者、ジェイス

このマッチアップは接戦です。コンボに殺されないようにしながらカードアドバンテージを維持するようにしてください。

対 ディミーアインバーター

Out

至高の評決 至高の評決 至高の評決 至高の評決
封じ込め 封じ込め 封じ込め アゾリウスの魔除け

In

ドビンの拒否権 ドビンの拒否権 僧院の導師 僧院の導師
神秘の論争 神秘の論争 神秘の論争 拘留の宝球

《夢さらい》

夢さらい

このマッチアップでは結果的に理屈にかなうカードになり得ます。ソーサリータイミングで6マナのカードを唱えるとコンボを決められる可能性があるので問題ですが、ターンが返ってくればかなりリターンは大きいです《真実を覆すもの》にブロックされるのもかみ合わないですが、そこまで問題ではありません。

《封じ込め》

封じ込め

相手のサイドボードに《ヴリンの神童、ジェイス》《正気泥棒》がいる事があるので、そこまで悪くもないです。

ロータスブリーチ

睡蓮の原野演劇の舞台死の国からの脱出

このマッチアップは不利です。このマッチアップの主な問題は、《睡蓮の原野》《演劇の舞台》で相手が十分なマナアドバンテージを得やすいことです。そうするとなんでもカウンターすることはできない状況になります。だからカウンターできるものをカウンターできる時にカウンターしてください。また、ゲームが長引いても必ずしも勝利につながるわけではないので、脅威を展開することを極度に恐れないようにしましょう。

対 ロータスブリーチ

Out

至高の評決 至高の評決 至高の評決 至高の評決
封じ込め 封じ込め 封じ込め 封じ込め
アゾリウスの魔除け

In

ドビンの拒否権 ドビンの拒否権 僧院の導師 僧院の導師
神秘の論争 神秘の論争 神秘の論争
安らかなる眠り 安らかなる眠り

《減衰球》

減衰球

おそらくこのマッチアップではもっとも価値あるサイドボードカードです。残念ながらほかのどのマッチアップでも使いにくいです。だからこのマッチアップの勝率を高めるためにほかのマッチアップをどれくらい犠牲にしていいと思うのか考える必要があります

スゥルタイ昂揚

サテュロスの道探し自然の怒りのタイタン、ウーロウルヴェンワルド横断

このマッチアップはけっこう有利で一番有利なものかもしれません。このデッキはすごく早いわけでも《ドミナリアの英雄、テフェリー》に対するいい解答を持っているわけでもありません。墓地利用シナジーを中心に組まれたミッドレンジデッキです。ですから《サテュロスの道探し》といった墓地を肥やすカードは比較的無視しやすく、墓地を利用する《自然の怒りのタイタン、ウーロ》などにだけ焦点を絞って対処すればいいです。

対 スゥルタイ昂揚

Out

封じ込め 封じ込め
アゾリウスの魔除け
ドビンの拒否権

In

霊気の疾風 霊気の疾風
安らかなる眠り 安らかなる眠り

《安らかなる眠り》

安らかなる眠り

スゥルタイ昂揚にかなり有効で、《時を越えた探索》とかみ合いが悪いだけです。仮に《時を越えた探索》を3枚採用しているなら、1枚削るくらいでいいでしょう。それで多くの場合は問題ないはずです。「探査」コストなしに8マナで唱えられることもありますし、それもそんなに悪い動きではないですからね。

《霊気の疾風》

霊気の疾風

《不屈の追跡者》《クルフィックスの狩猟者》《世界を揺るがす者、ニッサ》など、気がかりな脅威を幅広く対応してくれます《ドミナリアの英雄、テフェリー》を唱えて2マナ起こして潜在的な《世界を揺るがす者、ニッサ》に対する解答を持てるのはいいことです。

《中略》

中略

《自然の怒りのタイタン、ウーロ》を追放するのはいいところです。

《約束された終末、エムラクール》

約束された終末、エムラクール

ゲームに決着がつくまでの間《約束された終末、エムラクール》の影に怯えることになります。ですがエムラクールで逆転できないような状況にゲームを持っていくことは可能であることが多いです。たとえば、《廃墟の地》を事前に使えば、自分の《ドミナリアの英雄、テフェリー》をシャッフルされることもなければ、相手が基本土地の在庫を切らせる可能性があります。あるいは《意味の渇望》も事前に使っておけば、手札のベストカードを捨てずに済みます。また不幸なことにマッチアップ自体では強い《夢さらい》もエムラクールにはすごく弱いです。

バントスピリット

至高の幻影呪文捕らえ集合した中隊

このマッチアップはそこまで悪くないです《呪文捕らえ》《無私の霊魂》《至高の評決》をカウンターできるのは目障りですが、各スピリットは単独では大きな脅威とはなりません。脅威が出るたびに解答を出すのは難しくないことが多いです。また《時を解す者、テフェリー》は定着すればすごく強いです。

対 バントスピリット

Out

意味の渇望 ドビンの拒否権 悪意ある妨害
ドミナリアの英雄、テフェリー 海の神のお告げ

In

神秘の論争 神秘の論争 神秘の論争
夢さらい 夢さらい

《夢さらい》

夢さらい

ブロックするのにとてもいいです。攻撃させても強いです。もし場に出れば多くの場合勝ちます

《神秘の論争》

神秘の論争

1:1交換をするゲームプランに合致していて、相手がテンポで押し切ることを難しくします。

《ドビンの拒否権》

ドビンの拒否権

メインデッキにバントスピリットを相手にして役に立たないカードは何も入っていません。《ドビンの拒否権》でさえも《集合した中隊》をカウンターできるので悪くないです。私の考えはそれでもただちょっと動きの悪いカードを少しずつ削るというものです

おわりに

私はおそらくパイオニアでアゾリウスを使いつづけるでしょう。私がアゾリウスコントロールに求めているもの全てがそこにあります。正直なところMTGに求めているものの多くも詰まっていると言っていいでしょう。

グレゴリー・オレンジ (Twitter)

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Gregory Orange アメリカ出身のプロプレイヤー。HotSauceGames.comの一員であり、ゴールド・レベル・プロとしてプロシーンの第一線で長年戦っているアメリカの強豪。グランプリ・サントニオ2017優勝のほか、プロツアーでも安定した成績を残し続けている。2018年8月に開催されたマジック25周年記念プロツアーでアレン・ウー、ベン・ハルと共に優勝。さらなる研鑽を積むべく、チームメイトたちと共にHareruya Prosに加入した。 Gregory Orangeの記事はこちら