はじめに
みなさんこんにちは。
アメリカでも新型コロナウイルスの影響により、イベントが次々と中止になりマジック好きにとっては寂しい日々が続いています。
そんな状況ではありますが、The Super QualifiersやMagic Fest Onlineなどオンラインでのイベントが追加されました。リアルのイベントとは気分が違いますが、家にいながら競技マジックができるのはありがたいことです。今回の連載でも、マジックオンライン(以下:MO)のイベントの入賞デッキを中心にスタンダードの情報をお届けしていきたいと思います 。
Standard Challenge #12106060
Temur Reclamationの復権
2020年3月15日
- 1位 Temur Reclamation
- 2位 Sultai Ramp
- 3位 Sultai Ramp
- 4位 Jeskai Fires
- 5位 Temur Reclamation
- 6位 Azorius Control
- 7位 Bant Control
- 8位 Azorius Blink
トップ8のデッキリストはこちら
Mono RedやJund Sacrifice、Temur Cloverなどの隆盛により、Temur Reclamationの立ち位置が良くなり結果復権を果たしました。
今大会の上位にはアグロデッキが1人も勝ち残らず、Sultai RampやAzorius Controlなど遅いデッキが多数入賞していました。アグロに強いJeskai Firesも勝ち残っており、アグロデッキにとっては厳しいメタだったようです。
Standard Challenge #12106060 デッキ紹介
「Sultai Ramp」「Azorius Blink」
Sultai Ramp
3 《森》
1 《沼》
4 《繁殖池》
4 《草むした墓》
4 《湿った墓》
4 《寓話の小道》
2 《欺瞞の神殿》
2 《疾病の神殿》
-土地 (27)- 4 《ハイドロイド混成体》
4 《自然の怒りのタイタン、ウーロ》
1 《半真実の神託者、アトリス》
1 《鎖を解かれしもの、ポルクラノス》
2 《虐殺少女》
-クリーチャー (12)-
4 《暴君の嘲笑》
2 《霊気の疾風》
2 《成長のらせん》
3 《戦争の犠牲》
1 《伝承の収集者、タミヨウ》
1 《ゴルガリの女王、ヴラスカ》
3 《世界を揺るがす者、ニッサ》
1 《戦慄衆の将軍、リリアナ》
-呪文 (21)-
Bant Rampと違ってSultai Rampは、《苦悶の悔恨》や《思考消去》といったハンデスが使えるので、Temur ReclamationやJeskai Fires、Azorius Controlなど遅いデッキに対して強い構成となっています。ハンデスはアグロデッキに対しては少し遅いため、アグロが多いメタではハンデスをメインから減らして除去を増やすなど調整をしていきたいところです。
☆注目ポイント
《霊気の疾風》は同型、Jeskai Fires、Temur Reclamation、Mono Redなど多くのマッチアップで活躍し、腐るのはこのデッキにとって有利なマッチであるAzorius Controlぐらいなので、現環境ではメインから無理なく入ります。《成長のらせん》の枚数を減らして採用されているところから、ランプというよりはコントロール寄りの構成となっています。
《鎖を解かれしもの、ポルクラノス》は4マナ6/6と十分なサイズがあり、「脱出」時は12/12として場に出るので強力なフィニッシャーとして機能します。ダメージを受ける代わりにカウンターが取り除かれる能力のおかげで、ダメージ系の除去や接死にも耐性があります。
サイドの《永遠神の投入》は、このデッキが苦手とするMono Redとのマッチアップで投入されます。クリーチャーを除去しつつライフゲインできるのでかなりの時間を稼ぐことができ、ライブラリーを削る効果も《自然の怒りのタイタン、ウーロ》や《鎖を解かれしもの、ポルクラノス》といった「脱出」カードとシナジーがあります。
Azorius Blink
《魅力的な王子》や《迷い子、フブルスプ》など場に出たときに誘発する能力を持つクリーチャーを、《深海住まいのタッサ》の誘発型能力によって使い回してアドバンテージを稼ぐミッドレンジデッキです。
ライフゲインとドローによって7マナが出るまで時間を稼ぎ、最終的に《裏切りの工作員》+《深海住まいのタッサ》によって相手のパーマネントを毎ターン奪ってロック状態に持ち込みます。
☆注目ポイント
《時を解す者、テフェリー》はこのデッキと相性が良く、自軍のクリーチャーバウンスして能力を使い回すことでアドバンテージを稼げます。相手の妨害を気にすることなく明滅させることが可能になり、このデッキがコントロールに強い理由のひとつです。《エンバレスの宝剣》で突然死することも防げるので、Mono Redに対しても活躍してくれます。
《深海住まいのタッサ》はデッキの核となるカードで、毎ターン自軍のクリーチャーを明滅させる誘発型能力でアドバンテージを稼ぐことができ、《裏切りの工作員》にまで辿り着けば、相手の脅威となるパーマネントを毎ターン奪うことが可能です。
サイド後は《ドビンの拒否権》や《神秘の論争》といった軽いカウンターが投入され、《時を解す者、テフェリー》や《深海住まいのタッサ》といったキーカードが通りやすくなり、相手の《時を解す者、テフェリー》を対策しやすくなります。
Standard Challenge #12110949
勝ち続けるTemur Reclamation
2020年3月22日
- 1位 Temur Reclamation
- 2位 Rakdos Sacrifice
- 3位 Jeskai Fires
- 4位 Rakdos Sacrifice
- 5位 Bant Ramp
- 6位 Rakdos Sacrifice
- 7位 Sultai Ramp
- 8位 Rakdos Sacrifice
トップ8のデッキリストはこちら
環境初期に上位で多く見られたMono RedやAzorius Controlの姿は見られず、Rakdos SacrificeやBant/Sultai Ramp、Jeskai Firesなどが中心となっています。
サクリファイス系やアグロデッキに強いということで、復権の兆しを見せていたTemur Reclamationが前回から引き続いて優勝を果たしています。
Standard Challenge #12110949 デッキ紹介
「Rakdos Sacrifice」「Temur Reclamation」
Rakdos Sacrifice
5 《山》
4 《血の墓所》
4 《寓話の小道》
2 《悪意の神殿》
1 《ロークスワイン城》
-土地 (24)- 4 《大釜の使い魔》
4 《死の飢えのタイタン、クロクサ》
4 《ぬかるみのトリトン》
3 《忘れられた神々の僧侶》
4 《波乱の悪魔》
4 《悲哀の徘徊者》
2 《真夜中の死神》
-クリーチャー (25)-
一時期最大勢力であったMono Redを抑えて現環境のトップメタに位置するRakdos Sacrifice。
サクリファイスするカードと《波乱の悪魔》を揃えることで小型クリーチャーを一掃することができるので、Mono RedやTemur Cloverに強く、これらのデッキが人気があったこともありこのデッキは良いポジションにありました。
現在は《ぬかるみのトリトン》や《ティマレット、死者を呼び出す》といった墓地を肥やせる能力を持つカードと、《悲哀の徘徊者》や《死の飢えのタイタン、クロクサ》といった「脱出」持ちのクリーチャーとのシナジーにフォーカスしたミッドレンジ寄りのバージョンが主流となっています。
☆注目ポイント
このデッキと相性が良いスペルである《初子さらい》は、現環境の主力のクリーチャーが《エッジウォールの亭主》や《自然の怒りのタイタン、ウーロ》など3マナ以下なので、効率的な除去スペルとして機能するためメインからフル搭載されています。
サイドに忍ばせてある《レッドキャップの乱闘》は、インスタントなのもありMono Redとのマッチアップで重宝します。ソーサリースピードになりますが、「出来事」によって《エンバレスの宝剣》を対策できる《エンバレスの盾割り》も4枚採用されているなど、Mono Redとのマッチアップをより確実なものにするように調整されています。
《ティマレット、死者を呼び出す》はI、IIの誘発能力によって墓地を肥やすことができるので《悲哀の徘徊者》や《死の飢えのタイタン、クロクサ》の「脱出」の手助けをしてくれます。エンチャント対策にもなる《ファリカの献杯》は、相性の悪いJeskai FiresやTemur Reclamationとのマッチアップでサイドインされます。どちらのデッキもクリーチャーが少ないため有効な対策カードとして機能します。
Temur Reclamation
2 《森》
1 《山》
4 《寓話の小道》
4 《繁殖池》
4 《蒸気孔》
4 《踏み鳴らされる地》
2 《天啓の神殿》
2 《神秘の神殿》
1 《奔放の神殿》
3 《ヴァントレス城》
-土地 (29)- 3 《自然の怒りのタイタン、ウーロ》
1 《厚かましい借り手》
-クリーチャー (4)-
一時期は《時を解す者、テフェリー》を採用したデッキに苦戦を強いられていまいたが、Mono RedやTemur Clover、Rakdos Sacrificeといったアグロデッキが中心の環境になったため復権の兆しを見せており、前回から引き続いてStandard Challengeで優勝を収めているなど好調です。
《自然の怒りのタイタン、ウーロ》と《嵐の怒り》が登場して以来このデッキはよりコントロールデッキ寄りにシフトしていき、特にMono RedやTemur Cloverといったアグロデッキとのマッチアップではそれが顕著に表れます。
☆注目ポイント
《タッサの介入》はキーカードを探し出すだけでなく、このデッキにとって厄介な《時を解す者、テフェリー》や《覆いを割く者、ナーセット》などに対するカウンターとしても機能する使いやすいスペルです。これらのカードはこちらの戦略を無力化してくるのでメインは不利が付きますが、サイド後は回答となる《丸焼き》 や《神秘の論争》がサイドインされ、追加のアドバンテージ源として《ハイドロイド混成体》も投入されるので相性が改善されます。
『テーロス還魂記』リリース前の環境では《荒野の再生》+《発展/発破》のコンボが主な勝ち手段でしたが、《嵐の怒り》と《自然の怒りのタイタン、ウーロ》が登場して以来コントロール寄りにシフトしていきました。特にアグロデッキとの相性が改善され、Mono RedやTemur Clover、サクリファイス系のデッキが多いメタではベストな選択肢のひとつとなります。
総括
《時を解す者、テフェリー》という下の環境でも活躍しているプレインズウォーカーと、強力な装備品である《エンバレスの宝剣》が牽引している現環境のスタンダードですが、Simic Foodが1強だった昨年と比べるとアグロ、コントロール、ミッドレンジ、コンボと様々なタイプのデッキが見られる健全な環境になっています。
いよいよ来月にリリースされる予定の『イコリア:巨獣の棲処』のプレビューがスタートします。カードプールが広がり環境がどのように変化していくのか楽しみです。このような状況ですが、健康に気を付けてマジックを楽しんでいきましょう。
USA Standard Express vol.168は以上です。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいスタンダードライフを!