はじめに
みなさんこんにちは。
3月9日に禁止制限告知がありました。Dimir InverterやLotus Breachなどコンボデッキのパーツが禁止になると考えられていましたが、環境が進むにつれてこれらのデッキが環境の健全性を損なうほどの結果を残していなかったこともありノーチェンジでした。
さて、今回の連載では2つのPioneer Super Qualifierの入賞デッキを見ていきたいと思います。
Pioneer Super Qualifier #12117239
Dimir Inverterが多数入賞、決勝戦はローグデッキ対決
2020年3月29日
- 1位 Esper Control
- 2位 Simic Devotion
- 3位 Dimir Inverter
- 4位 Gruul Aggro
- 5位 Dimir Inverter
- 6位 Dimir Inverter
- 7位 Dimir Inverter
- 8位 Mono White Devotion
トップ8のデッキリストはこちら
禁止を免れたDimir Inverterは今大会でもプレイオフの半数を占めるという強さを見せましたが、優勝を果たしたのはプレインズウォーカーを多数搭載したEsper Controlでした。
準優勝したのはSimic Devotionという珍しいデッキで、Dimir InverterやLotus Breachといったコンボのみが支配する環境ではなく、様々なアーキタイプが活躍できる多様性のある環境のようです。
Lotus Breachに関しては、多くのデッキが《減衰球》をサイドにとるなど対策が厳しいため勝率が下がっています。
Pioneer Super Qualifier #12117239 デッキ紹介
「Esper Control」「Dimir Inverter」
Esper Control
1 《島》
1 《沼》
4 《湿った墓》
3 《神無き祭殿》
2 《神聖なる泉》
1 《異臭の池》
1 《灌漑農地》
1 《寓話の小道》
3 《水没した地下墓地》
3 《氷河の城砦》
3 《秘密の中庭》
2 《乱脈な気孔》
-土地 (26)- 1 《機知の勇者》
-クリーチャー (1)-
4 《思考囲い》
3 《喪心》
1 《航路の作成》
1 《湖での水難》
1 《思考消去》
1 《英雄の破滅》
1 《意味の渇望》
2 《至高の評決》
1 《ヤヘンニの巧技》
1 《ヴラスカの侮辱》
1 《海の神のお告げ》
2 《アズカンタの探索》
2 《ケイヤの誓い》
1 《エルズペス、死に打ち勝つ》
3 《時を解す者、テフェリー》
1 《覆いを割く者、ナーセット》
2 《太陽の宿敵、エルズペス》
1 《ドミナリアの英雄、テフェリー》
1 《太陽の勇者、エルズペス》
-呪文 (34)-
2 《夢さらい》
2 《ドビンの拒否権》
1 《残忍な騎士》
1 《ゲトの裏切り者、カリタス》
1 《蔑み》
1 《肉儀場の叫び》
1 《神秘の論争》
1 《最古再誕》
1 《太陽の宿敵、エルズペス》
1 《悪夢の詩神、アショク》
-サイドボード (15)-
プレインズウォーカーを多数搭載したエスパーカラーのタップアウトコントロール。
トップメタではないものの、環境のトップ10以内にはほぼ確実と言っていいほどMono Red AggroやMono Black Aggroなどの単色アグロが入賞しています。そのため、3色以上のデッキはショックランドによるライフロスが響くので勝つのが難しいとされていましたが、《ケイヤの誓い》や《太陽の宿敵、エルズペス》、《ヴラスカの侮辱》といったライフゲインできるカードでそれを補っています。
Azorius Controlの方がマナ基盤は安定していますが、《思考囲い》や《致命的な一押し》などを使えることが黒を足す強みで、《英雄の破滅》などプレインズウォーカーも対策しやすくなります。
☆注目ポイント
《ケイヤの誓い》はアグロデッキとの相性の改善に一役買っているカードで、ショックランドや《思考囲い》などによって失ったライフの回復手段としても機能します。また、《時を解す者、テフェリー》の[-3]能力で使い回すことでアドバンテージを得ることができます。
追加の全体除去である《ヤヘンニの巧技》は、《至高の評決》と異なり破壊されないクリーチャーにも効果があるため、《無私の霊魂》対策になります。おまけとして3マナ以下のカードをマナコストを支払うことなくキャストできるので、テンポ面でもアドバンテージを取りやすくなります。更地にしたあとに《覆いを割く者、ナーセット》や《時を解す者、テフェリー》を出してさらにアドバンテージを稼ぐという一連のアクションが強力です。
サイドのカードも見ていきます。追加の《肉儀場の叫び》は3マナとほかの全体除去よりも軽く、追放できる効果はMono Black Aggroとのマッチアップで重要な要素となります。《呪文捕らえ》は、相手にソーサリースピードでのアクションを強いる《時を解す者、テフェリー》とのシナジーが強力です。サイド後は相手の除去が減っているため、追加のカウンター兼勝ち手段として様々なマッチアップで活躍します。
Dimir Inverter
2 《沼》
4 《湿った墓》
2 《異臭の池》
4 《寓話の小道》
4 《水没した地下墓地》
3 《詰まった河口》
1 《イプヌの細流》
-土地 (25)- 3 《ヴリンの神童、ジェイス》
3 《タッサの神託者》
4 《真実を覆すもの》
-クリーチャー (10)-
4 《選択》
4 《思考囲い》
1 《思考消去》
2 《英雄の破滅》
1 《神秘の論争》
4 《時を越えた探索》
4 《神秘を操る者、ジェイス》
1 《悪夢の詩神、アショク》
-呪文 (25)-
禁止を免れた現環境のトップメタであるDimir Inverterは、優勝こそ逃したものの今大会でもプレイオフの半数を占めるなど安定した成績を残し続けています。
パイオニアの双子とも形容されているこのミッドレンジコンボは、環境に合わせてリストも洗練されてきています。
☆注目ポイント
最近は、同型対策として《イプヌの細流》がマナ基盤に採用されているリストが見られます。サイド後に投入されることが多い《ヴリンの神童、ジェイス》ですが、最近はメインから採用するリストが多くなっているようです。相手の手札に腐っている除去を有効牌にしてしまうというリスクはありますが、このデッキに不足していた2ターン目の強力なアクションとなり、除去されずに生き残ればコンボパーツを探しつつ墓地が肥えるので《時を越えた探索》も使いやすくなります。
《悪夢の詩神、アショク》の[-3]能力は、Mono White Devotionとのマッチアップで重宝します。Mono White DevotionはDimir Inverter対策として《試練に臨むギデオン》や《ギデオンの介入》といったカードをメインから採用しているため、パーマネント対策は必須となります。追加の勝ち手段としても機能するので、《失われた遺産》などにも耐性ができます。
Mono White Devotionとのマッチアップを想定していたようで、サイドにはキーカードである《太陽冠のヘリオッド》と《歩行バリスタ》の両方をたったの1マナでカウンターできる《無効》と、《試練に臨むギデオン》など厄介な白いプレインズウォーカー対策である《害悪な掌握》が採られています。《害悪な掌握》は最近よく見られるようになってきたMono Green系のデッキにも効くのでお勧めの1枚です。対策が厳しくなってきているLotus Breachは少ないと踏んだのか、《減衰球》が不採用と思い切った判断がされています。
Pioneer Super Qualifier #12117241
単色デッキ多数
2020年3月29日
- 1位 Sultai Delirium
- 2位 Mono Black Aggro
- 3位 Mono Red Aggro
- 4位 Gruul Aggro
- 5位 Mono Red Aggro
- 6位 Mono Green Ramp
- 7位 Mono Green Ramp
- 8位 Mono White Devotion
トップ8のデッキリストはこちら
現環境のトップメタのDimir Inverterは今大会ではなんとプレイオフには1人も残らず、Mono Black AggroやMono Red Aggroといった単色のアグロデッキが多数結果を残していました。また、Mono White Devotionも安定した結果を残し続けています。
優勝したのはSultai Deliriumで、アグロデッキが上位に多かった今大会では妥当な結果といったところです。
Bant Spiritsは、Mono Red Aggroが復権し、Lotus Breachなど有利なマッチアップが減った結果上位から姿を消しました。
Pioneer Super Qualifier #12117241 デッキ紹介
「Sultai Delirium」「Mono Green Ramp」
Sultai Delirium
2 《森》
1 《沼》
4 《繁殖池》
4 《草むした墓》
1 《湿った墓》
3 《寓話の小道》
1 《華やかな宮殿》
4 《花盛りの湿地》
1 《イプヌの細流》
-土地 (23)- 3 《ヴリンの神童、ジェイス》
4 《サテュロスの道探し》
1 《漁る軟泥》
4 《自然の怒りのタイタン、ウーロ》
1 《クルフィックスの狩猟者》
1 《残忍な騎士》
1 《不屈の追跡者》
1 《人質取り》
1 《探索する獣》
1 《墓後家蜘蛛、イシュカナ》
1 《スカラベの神》
-クリーチャー (19)-
4 《思考囲い》
3 《ウルヴェンワルド横断》
2 《突然の衰微》
2 《忌まわしい回収》
1 《伝承の収集者、タミヨウ》
1 《悪夢の詩神、アショク》
1 《世界を揺るがす者、ニッサ》
-呪文 (18)-
《自然の怒りのタイタン、ウーロ》を始めとした優秀なクリーチャー、環境最高のハンデスである《思考囲い》、《突然の衰微》や《致命的な一押し》といった優秀な除去、プレインズウォーカーと一通り揃った現環境の代表的なフェアミッドレンジデッキです。
状況やマッチアップに応じて、《ウルヴェンワルド横断》でクリーチャーをサーチできるフレキシブルな動きもこのデッキの魅力です。
除去が多く、《自然の怒りのタイタン、ウーロ》や《クルフィックスの狩猟者》といったライフゲインするカードのおかげでアグロデッキに有利が付き、今大会のように単色アグロが多いメタでは良チョイスとなります。
☆注目ポイント
《サテュロスの道探し》や《忌まわしい回収》で墓地を肥やしていくことで、《ウルヴェンワルド横断》や《墓後家蜘蛛、イシュカナ》の「昂揚」の条件を満たしやすくなります。《自然の怒りのタイタン、ウーロ》は序盤はマナ加速兼ライフゲインによって時間を稼ぎ、このデッキでは「脱出」もしやすく信頼できるフィニッシャーとして機能します。
《ヴリンの神童、ジェイス》も先ほどの《サテュロスの道探し》や《忌まわしい回収》とシナジーがあります。2ターン目に《ヴリンの神童、ジェイス》を出して、3ターン目にこれらのカードで墓地を肥やして変身させ、墓地に落ちた《思考囲い》などを再利用してアドバンテージを取るアクションが強力です。
フィニッシャーの選択に特徴があり、一般的なリストでよく見られる《約束された終末、エムラクール》と《歩行バリスタ》が不採用で、代わりに《探索する獣》《スカラベの神》《悪夢の詩神、アショク》といったカードが採用されています。《スカラベの神》は墓地対策兼フィニッシャーとして、特にMono Black Aggroや同型戦で強さを発揮します。《探索する獣》は追加のプレインズウォーカー対策としてDimir Inverter、Azorius Control、同型戦で活躍します。《悪夢の詩神、アショク》は追加のパーマネント対策兼フィニッシャーで、Mono White Devotionとのマッチアップで重宝します。
Mono Green Ramp
2 《ギャレンブリグ城》
4 《ニクスの祭殿、ニクソス》
-土地 (22)- 4 《エルフの神秘家》
4 《ラノワールのエルフ》
4 《炎樹族の使者》
4 《大食のハイドラ》
1 《起源のハイドラ》
1 《旅するサテュロス》
4 《翡翠光のレインジャー》
-クリーチャー (22)-
1 《歩行バリスタ》
1 《漁る軟泥》
1 《新緑の機械巨人》
1 《隕石ゴーレム》
1 《絶え間ない飢餓、ウラモグ》
1 《ダークスティールの城塞》
1 《トーモッドの墓所》
1 《真髄の針》
1 《影槍》
1 《減衰球》
1 《連結面晶体構造》
1 《領事の旗艦、スカイソブリン》
1 《王神の立像》
-サイドボード (15)-
ここ数週間コンスタントに結果を残し続けているMono Green Ramp。
《炎樹族の使者》や《アーク弓のレインジャー、ビビアン》といった色拘束の強いパーマネントから「信心」を集めて、《ニクスの祭殿、ニクソス》や《世界を揺るがす者、ニッサ》によって大量のマナを生み出し、《起源のハイドラ》《絶え間ない飢餓、ウラモグ》《歩行バリスタ》などに繋げて勝負を決める現環境のビッグマナデッキです。
《大いなる創造者、カーン》によってサイドボードから各種アーティファクトをサーチするシルバーバレット戦略も採っており、各マッチアップでメインからフレキシブルに対応できるのがこの戦略の強みです。しかし、サイドボードの枠を取られるので選択肢が狭まってしまうのが難点です。
☆注目ポイント
サイドボードの枠は取られるものの、《大いなる創造者、カーン》は大量に出るマナの活用手段となります。
主に相手の行動を著しく制限させ、勝ち手段としても機能する《王神の立像》をサーチしてくるのが基本です。そのほかには、Lotus Breach対策の《減衰球》、プレインズウォーカーなどを対策できる《真髄の針》、墓地対策の《トーモッドの墓所》、大型クリーチャーを主力とするデッキに刺さる《連結面晶体構造》、追加のフィニッシャーの《領事の旗艦、スカイソブリン》や《歩行バリスタ》なども状況に応じてサーチできます。また、相手のアーティファクトの起動を封じる《大いなる創造者、カーン》は、Heliod Combo対策にもなるのでMono White Devotionに対して有利にゲームを展開することができます。
サイドの《驚天/動地》はBant Spirits対策用です。マナが大量に出るこのデッキではXの値を調整しやすいので、《呪文捕らえ》や《霊廟の放浪者》に引っかかりにくく、《無私の霊魂》以外では対処されにくいので有効な全体除去として機能します。
総括
Pioneer Super Qualifireの結果から、環境の代表的なコンボデッキであるDimir Inverter、Heliod Combo、Lotus Breachは以前ほどの支配力はなく、単色アグロやBant Spirits、Sultai Delirium、Izzet Ensoul、Azorius Control、5C Nivなど多種多様なデッキが存在することがわかります。
とはいえ、現在パイオニアの大会に参加するなら、環境のコンボデッキであるDimir Inverter、Mono White Devotion、Lotus Comboは引き続き対策をしておきたいところです。
USA Pioneer Express vol.3は以上です。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいパイオニアライフを!