モダンで相棒を使おう

Jacob Nagro

Translated by Nobukazu Kato

原文はこちら
(掲載日 2020/4/16)

(編集者注:この記事は『イコリア:巨獣の棲処』の発売前に執筆されたものです)

はじめに

夢の巣のルールス黎明起こし、ザーダ湧き出る源、ジェガンサ獲物貫き、オボシュ

「相棒」のカードが初公開されてから、デッキ構築に関しては「相棒」で頭がいっぱいになりました。そして早い段階からあることに気が付きます。このキーワード能力はスタンダードやパイオニアよりも、それ以下のフォーマットの方が適しているのではないかと。

上手くバランスがとれているもので、「相棒」を使うリターンは(基本的に)下の環境の方が小さくなるものの、「相棒」の条件はカードプールが広いフォーマットの方が満たしやすいのです。

これまで私はモダンの記事を書いてきましたから、今回もモダンに焦点を当てることとし、「相棒」が自然にフィットすると感じられたオリジナルのデッキをいくつかご紹介しようと思います。

なかにはこれほど簡単に「相棒」デッキが組めてしまって良いものかと今から心配になるものもありました。「相棒」をあまり上手く使えないデッキもありますが、それでも初手が1枚増えており、従来のモダンのデッキが持ちえなかった利便性を授かっています。しかし、いくつかの「相棒」はデッキの軸となるほどのカードパワーを備えており、条件さえ満たしていれば好きなときにアクセスできる強力な見返りとなるのです。

モダンで活躍が難しいであろう「相棒」

巨智、ケルーガ集めるもの、ウモーリ孤児護り、カヒーラ深海の破滅、ジャイルーダ

この4種の「相棒」に関しては、デッキを組み上げるモチベーションが湧きませんでした。

モダンにおいてはほかの6種に比べて明らかに弱いだろうという印象を受けましたし、デッキ構築の制約が厳しすぎるために、軸とするとモダンでは通用しない弱いデッキができあがってしまうだろうと思ったのです。とはいえ、それぞれに私なりの考えを持っていますから、ここでシェアすることにしましょう。

《巨智、ケルーガ》

巨智、ケルーガ

モダンでもっとも扱いが難しいのは《巨智、ケルーガ》ではないでしょうか。高速フォーマットであるがゆえに序盤のプレイをスキップする猶予はなく、構築の制約を”すり抜ける”強力な呪文も多くありません。

《厚かましい借り手》《砕骨の巨人》でも1ターン目の動きを埋めることはできず、「サイクリング」は盤面の構築に役立ちません。ですが、スタンダードのジェスカイファイアーズであれば難なく採用できるでしょう。構築への制約は《霊気の疾風》をすべてサイドボードに移す程度で済みます。

《集めるもの、ウモーリ》

集めるもの、ウモーリ

《集めるもの、ウモーリ》は考えがいのあるカードであり、最初に見たときはアーティファクトデッキと非常に相性が良さそうだと感じました。しかし問題なのは、モダンでアーティファクトデッキを使う理由が《最高工匠卿、ウルザ》《湖に潜む者、エムリー》といったアーティファクト以外のカードにあることです。

仮に《オパールのモックス》が禁止されていなかったら、《集めるもの、ウモーリ》を使う代償として《感電破》などを不採用にした、昔ながらの「親和」デッキができあがっていたことでしょう。しかし実際には、アーティファクトや土地だけで固めたデッキが十分なデッキパワーを持つとは思えません。

《うねりの結節》《地核搾り》を使ったデッキでさえ、サイドボードに《集めるもの、ウモーリ》を入れるよりもメインデッキに《大いなる創造者、カーン》を入れたいと思うでしょう。

Mishra's Workshopヨーグモスの墳墓、アーボーグBlack Lotus

《集めるもの、ウモーリ》が最も使われる可能性が高いのは、ヴィンテージの《Mishra’s Workshop》デッキだと考えています。今現在、デッキ構築の制約に反するカードが、たまに採用されている制限カードの《大いなる創造者、カーン》のみだからです。

《集めるもの、ウモーリ》《Mishra’s Workshop》のマナで唱えることはできませんが、《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》《Black Lotus》を採用して脅威を1体増やすことは、デッキのゲームプランと噛み合っているでしょう。

《孤児護り、カヒーラ》

孤児護り、カヒーラ

《孤児護り、カヒーラ》のデッキ構築上の制約は緩やかである印象を受けます。《野生のナカティル》《壌土のライオン》《ステップのオオヤマネコ》《稲妻の骨精霊》《朽ちゆくレギサウルス》といった攻撃的なクリーチャーが存在するので、これらを混ぜ合わせたトライバル・ズーが組めるかもしれません。しかし問題なのは、これらのカードが昨今のモダンではあまり強くないということです。デッキパワーの低いものを使ってまで《孤児護り、カヒーラ》を使う価値があるとは思えません。

モダンにはエレメンタルデッキが存在しますが、《幻影の像》を諦めて《孤児護り、カヒーラ》を採用しようとする動きが見られることでしょう。ですが、現在のエレメンタルデッキのゲームプランは《発現する浅瀬》をコピー/明滅させることでアドバンテージを獲得したり、《雷族の呼び覚まし》《稲妻の骨精霊》を使いまわしたりすることに重きを置いているようです。

これらの部族に寄せたデッキのいずれかが良い仕上がりになる可能性はあると思いますし、仮にそのほかの「相棒」がそこまで強くないという評価だったら私としても《孤児護り、カヒーラ》にもっと興味を持っていたことでしょう。ですがデッキ構築上、「相棒」はお互いに競合してしまう宿命なのです。

《深海の破滅、ジャイルーダ》

深海の破滅、ジャイルーダ

《深海の破滅、ジャイルーダ》《巨智、ケルーガ》と同様の問題を抱えています。偶数のマナコストの呪文でデッキを固めた場合でも、1ターン目の動きを埋め合わせてくれる優れたカードはほとんどないのです。また、「相棒」のなかでもリターンが最も小さいカードだと思います。

ヴリンの神童、ジェイス御霊の復讐グリセルブランド

私は《深海の破滅、ジャイルーダ》を異なる2つの方法で試しました。まずは、《ヴリンの神童、ジェイス》《御霊の復讐》《グリセルブランド》と組み合わせる方法です。

この方法では、《深海の破滅、ジャイルーダ》を「相棒」としてではなく、メインデッキに4枚入れることを真剣に検討していました。《思考囲い》《ヴェールのリリアナ》といった奇数の強力なカードを使うためです。しかしそのような構成にした場合に問題となるのは、《深海の破滅、ジャイルーダ》の誘発型能力で墓地からクリーチャーを復活させることが困難になることです。

アレン・ウー/Allen Wuフランス・カーステン/Frank Karstenのような人たちが記事で用いる複雑な計算をする方法を私は知りませんが、超幾何分布の計算機を使い、自分のライブラリーの上から4枚にクリーチャーが1体含まれる確率を90%にするには60枚のなかにどれほどクリーチャーを採用すれば良いのかを調べました。すると、26体という答えが得られました。モダンのデッキにおいて、偶数のマナコストのクリーチャーを26体も用意するのは途方もないことです。仮に私の計算方法が間違っていたとしても、その答えが20未満になることはないでしょう。20体だとしてもそのようなデッキを作る気にはなれません。

魔女の小屋

こうして《深海の破滅、ジャイルーダ》の2つ目の使い方にたどり着きます。つまり、《沼》をマナベースの基盤にして《魔女の小屋》でライブラリーのトップにクリーチャーを仕込む黒緑ランプのようなデッキです。しかし、それでも必要となるパーツは多く、偶数のマナコストのカードを多彩に詰め合わせる必要があります。今のところ自分で気に入ったデッキリストは完成していません。

ライオンの瞳のダイアモンド古えの墳墓魂剥ぎ原初の夜明け、ゼタルパ

《深海の破滅、ジャイルーダ》の活躍の場をほかのフォーマットに求めてみると、レガシーに可能性を見出せるかもしれません。レガシーには《ライオンの瞳のダイアモンド》《古えの墳墓》といったカードがあるため、一定のマナ加速ができます。また、パイオニアの《魂剥ぎ》デッキでも非常に強いのではないでしょうか。もともとデッキの核となるカードに偶数のマナコストが多く、運よく《原初の夜明け、ゼタルパ》を蘇らせる魅力もあります。

《湧き出る源、ジェガンサ》

湧き出る源、ジェガンサ

この「相棒」は使われると予想していますが、革新的なデッキリストは手元にありません。現在の5色人間ならばまったく問題なく採用でき、《ニヴ=ミゼット再誕》デッキも1枚だけ採用されている《至高の評決》を除いてデッキ構築の制約に反しません。私の予想では、どちらのデッキも《湧き出る源、ジェガンサ》を使い始め、メインデッキもそれに従って調整していくことでしょう。

“無料のカード”にしてはやや弱いですが、無料であることには変わりありません。唱える呪文が不足しているときに役立つだけでなく、《血染めの月》《月の大魔術師》に対面してもデッキが機能しやすくなります。今まではこれらのカードにロックされてしまっていたマッチアップの結果が変わる可能性は十分にあるでしょう。

ただ、ひとつ覚えておいて欲しいことがあります。《湧き出る源、ジェガンサ》はほかの「相棒」に比べると少々使い道の幅が狭く、このカードのためにデッキを大幅に調整しているわけでもありません。ですから、このカードのためにサイドボードを大きく歪めるほどの価値はおそらくないでしょう。

四肢切断夢を引き裂く者、アショク

この「相棒」を採用するにしても、5色人間で《四肢切断》を採用したり、《ニヴ=ミゼット再誕》デッキで《夢を引き裂く者、アショク》にアクセスできるようにした方が良いはずです。

《黎明起こし、ザーダ》

黎明起こし、ザーダ

私がモダンで愛用しているカードたちの多くが《黎明起こし、ザーダ》の構築条件を満たしているのは驚きでした。これからご紹介するデッキは《黎明起こし、ザーダ》《訓練場》の効果を存分に引き出しているわけではありませんが、それでも強力なデッキだと思います。

セレズニアカンパニー with 《黎明起こし、ザーダ》

ガヴォニーの居住区石鍛冶の神秘家

たいていの場合、起動コストを軽くする対象は装備品と《ガヴォニーの居住区》だけですが、このデッキにおいては《黎明起こし、ザーダ》にアクセスできることに非常に価値があります。

モダンにおける《黎明起こし、ザーダ》《石鍛冶の神秘家》と併用されることが多いと予想しています。というのも、装備コストを軽しつつ装備先となるクリーチャーがゲームの開始時に必ずいるのであれば、装備品の強さが一層増すからです。

変位エルドラージ希望を溺れさせるもの

《黎明起こし、ザーダ》デッキにおいて《変位エルドラージ》《希望を溺れさせるもの》が採用できる点も見逃せません。これらはエルドラージ末裔トークンを無限に生成できるコンボとなります。残念ながらそのほかのパワフルなエルドラージは起動型能力を持たずに採用できないものが多いため、《エルドラージの寺院》による戦法とは異なる角度からアプローチする必要があるでしょう。

ありがたいことに、《黎明起こし、ザーダ》自身も起動型能力を持っていますので、このコンボ軸にしたデッキを構築するならば《黎明起こし、ザーダ》をメインデッキに入れて、コンボの成功率を高めてみるのも良いかもしれません。

《獲物貫き、オボシュ》

獲物貫き、オボシュ

マジックにおいては、偶数よりも奇数の方が制約としてははるかに優しいです。1マナの呪文を詰め込めば、各ターンでマナを無駄にすることなく、テンポよく動いていくことは難しくありません。

《獲物貫き、オボシュ》とぜひとも組み合わせてみたいカードは、《死の影》《思考囲い》《通りの悪霊》《グルマグのアンコウ》です。《瞬唱の魔道士》《ティムールの激闘》などは使えなくなりますが、グリクシスシャドウにおいては《獲物貫き、オボシュ》にそれだけの犠牲を払うメリットがあると考えています。

グリクシスシャドウ with 《獲物貫き、オボシュ》

死の影通りの悪霊グルマグのアンコウ思考囲い

一般的にグリクシスシャドウは、長期戦においては《瞬唱の魔道士》に頼り、短期戦においては《ティムールの激闘》に頼ってきましたが、《獲物貫き、オボシュ》が必ずゲーム開始時にあるという安定感はこれらのカードを上回る価値があると私は睨んでいます。

着地すれば、その常在型能力によって即座に致死量の戦闘ダメージを与えられるポテンシャルがありますし、リソースを削りあうロングゲームにおいては単体でパワー6の立派な脅威となります。

集団的蛮行

サイドボードに《集団的蛮行》(やそのほかの2マナの呪文)を搭載していないことがミスである可能性は大いにあるでしょう。バーンとのマッチアップにおいては、《集団的蛮行》が頼みの綱であるとさえ言えるからです。この記事でご紹介するサイドボードの多くは、「相棒」の構築条件に反しないカードのなかで、私が有用だと思ったものを寄せ集めたものだということをご理解いただけばと思います。

《呪文追い、ルーツリー》《空を放浪するもの、ヨーリオン》

呪文追い、ルーツリー空を放浪するもの、ヨーリオン

この2枚を一挙にご紹介したのは、同じような理由からどちらもモダンで強力なカードだと考えたからです。まず1つ目の理由ですが、モダンには優れたカードが揃っているカードプールがあり、特定のカードを引き込む確率を上げることよりも、毎試合で《呪文追い、ルーツリー》《空を放浪するもの、ヨーリオン》にアクセスできることの方が価値があります。そして2つ目の理由は、《神秘の聖域》の存在です。

神秘の聖域

《神秘の聖域》はすでに引き込んだ呪文を使いまわすことができるため、これらの「相棒」が抱える弱点を自然と解消してくれます。青のフェッチランドは4種類あるため、「相棒」の条件をすり抜けながら《神秘の聖域》の枚数を実質的に20枚まで引き上げることができるのです。

4色コントロール with 《呪文追い、ルーツリー》

呪文追い、ルーツリー

この2種で比べると《呪文追い、ルーツリー》は見劣りすると感じています。つまり、「相棒」が存在する世界ではまったく姿を見ない可能性があるということです。しかしそれでも、《呪文追い、ルーツリー》を用いたデッキは強力で競技的なものになると思います。実質的に毎回初手にいる3/2の《二重詠唱の魔道士》は一般的に思われているよりもはるかに強力なものです。

  • テストデッキ
  • (モダン)
稲妻コジレックの審問選択魔力変

言うまでもなく、土地を除いたハイランダーデッキをモダンで構築しようと思えば、やり方はいくらでもあります。ここでこの4色コントロールを提示したのは、優秀なインスタントやソーサリーが多くあるのだということを理解していただきたいと思ったからです。

打ち消し呪文は《呪文追い、ルーツリー》と相性が良くありませんが、軽量の妨害呪文やドロー呪文はみなさんの期待に沿うコピー対象の呪文となるでしょう。

ケトリアのトライオームゼイゴスのトライオーム

このデッキを通してもうひとつお伝えしたかったのは、フェッチランドからサーチできる3色土地が登場したことで、この4色デッキのような構成も多少は実現しやすくなったということです。もちろん《アーカムの天測儀》を4枚採用できればさらに強固なマナベースが完成するでしょうが、今回の3色土地はモダンのデッキ、とくに《神秘の聖域》を搭載したデッキでマナベースを多少なりとも改善する目的で1枚採用されることがあると思います。

ティムールウーロザ with 《空を放浪するもの、ヨーリオン》

空を放浪するもの、ヨーリオン

《空を放浪するもの、ヨーリオン》の構築制約は、ほとんどのプレイヤーがマジックを遊ぶうえで挑戦したことがないであろうものですが、20枚のカードをデッキに追加することは驚くほど簡単です。

ここではティムール《最高工匠卿、ウルザ》デッキを取り上げますが、これは先日のモダンSuper Qualifierを優勝したtangramsのデッキに手を施して《空を放浪するもの、ヨーリオン》をもう少し上手く使えるようにしたものです。土地やアーティファクトの割合は維持するように努めました。

魔法の井戸氷牙のコアトル

《魔法の井戸》《氷牙のコアトル》を除き、採用されている呪文は80枚に増やす前のデッキリストにすでに入っていたものです。《魔法の井戸》《氷牙のコアトル》を投入したことで《空を放浪するもの、ヨーリオン》の明滅対象を増やしましたが、どんなデッキであれ構築段階から《空を放浪するもの、ヨーリオン》を強く意識する必要性はないと思っています。

《修復の天使》や昨今のモダンでは通用しないようなそのほかの呪文を入れることでアドバンテージを連鎖させることができますが、《空を放浪するもの、ヨーリオン》がいなくとも採用するようなカードでデッキを組み上げることは容易だと感じています。

冠雪の山ケトリアのトライオーム

マナベースについてですが、追加する8枚の土地のなかに《冠雪の山》《ケトリアのトライオーム》を含めて問題ないと判断しました。どちらも状況次第では弱い土地になるため、通常は60枚のなかに含められません。しかし、60枚を超えるデッキにしたことで、特定の状況下でサーチしたい1枚挿しのカードを引く確率を下げることができています。

このようなデッキが今後のモダンの最前線に出てこなかったら実に驚きです。もしかしたら《最高工匠卿、ウルザ》デッキではなく、《空を放浪するもの、ヨーリオン》をもう少しうまく使える単なるコントロールやミッドレンジになるかもしれませんが、《空を放浪するもの、ヨーリオン》はこのデッキを80枚にしても良いほどの大きなメリットがあると信じています。

《夢の巣のルールス》

夢の巣のルールス

《夢の巣のルールス》は明らかに最強の「相棒」です。下の環境において、その構築条件は極めて容易に達成できるものでありながら、その見返りは甚大です。

おかしなことに、《夢の巣のルールス》はあらゆるフォーマットに存在する呪文ベースのコンボデッキにおいて無理なく採用できます。そもそもそういったデッキはマナコストの重いパーマネントを使っていませんからね。コンボデッキのなかには《夢の巣のルールス》を「相棒」に選び、それを上手く利用するためにデッキを少し修正するだけのものもあるでしょうが、ここでは《夢の巣のルールス》を極めて強力にすることを強く意識したモダンのデッキを見ることにしましょう。

ジャンド with 《夢の巣のルールス》

ミシュラのガラクタ

《ミシュラのガラクタ》《夢の巣のルールス》と特に相性が良いカードのひとつでしょう。《夢の巣のルールス》を唱える際に4マナ以上を用意せずともアドバンテージを獲得できますからね。

《夢の巣のルールス》の安全を確認するための手札破壊呪文は非常に有用で、《レンと六番》はモダンで最強と呼べるほどの2マナのパーマネントですから、《夢の巣のルールス》を使ったジャンドの構築はとても簡単だと思われます。

思考囲いレンと六番炎の印章ウルヴェンワルド横断

もともと《ミシュラのガラクタ》《炎の印章》を採用することで《夢の巣のルールス》を悪用したいと考えていたので、そこに《ウルヴェンワルド横断》の柔軟性を加えるのは正しい方向性だと感じています。

このデッキを《死の影》デッキとして組み替えることもできますが、《通りの悪霊》を採用できないのは痛手だと思いますし、《夢の巣のルールス》が絆魂を持つクリーチャーである点を考えると《死の影》と少々相性が悪いでしょう。

《夢の巣のルールス》は「相棒」のなかでもっとも研究されるクリーチャーとなり、『イコリア:巨獣の棲処』の発売から間もなくして全フォーマットで偉大なイノベーションが多く発見されることになるでしょう。

おわりに

「相棒」がこれからのマジックを変えることは想像に難くありません。私自身もほかのプレイヤーたちも”最弱のサイドカード”の価値を大きく過大評価してしまっている可能性はあるものの、初手が1枚増えるのは本当に強力なことです。そのカードを軸に構成したデッキが、全ゲームでそれにアクセスできるとなればなおさらでしょう。

また、この記事を通して再三お伝えしてきましたが、ほかにも「相棒」がカードプールにいるにもかかわらず、一部の強力な「相棒」が頻繁に採用されることでそれらの存在は際立たものになっていくでしょう。これはつまり、将来的により強力な「相棒」だけが禁止になったとしても、その次に強力な「相棒」がその座を手にする結果になる可能性を示唆しています。

できることなら私の「相棒」の評価が誤っていて欲しいところです。「相棒」を使ったデッキを組んで遊ぶことを楽しみにしている反面、いつも彼らの姿を見ることにすぐに疲れてしまう未来も見えます。とはいえ、「相棒」がスタンダードを支配するような結果にはならないでしょう。というのも、これら「相棒」カードはおそらくスタンダードフォーマットのみを意識して作成されており、スタンダードですら問題を引き起こすようならそもそも印刷されていなかったはずだからです。

今現在、スタンダードのデッキの多くはカードを途絶えることなく確保できるように構築されており、リソースが1枚増えるインパクトは比較的小さなものとなるでしょう。そのほかのフォーマットでは、「相棒」を用いずにデッキ構築の制約が持つ弱点を突くような発展をしていく可能性はあるはずです。

ここまで読んでいただきありがとうございました。「相棒」に関連してなにか聞きたいことがあればツイッターでお気軽にコンタクトを取ってください。

ジェイコブ・ナグロ(Twitter / Twitch)

この記事内で掲載されたカード

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Jacob Nagro アメリカ出身のプロプレイヤー。 彼の最初の活躍はグランプリ・デンバー2016でのことで、「青白フラッシュ」を用いてトップ8に入賞した。その後も惜しまぬ努力を続けた結果、彼の労力は2016-2017シーズンのシルバーレベルという形で報われることになる。 《大いなるガルガドン》と《恐血鬼》が印象的な「赤黒ブリッジヴァイン」を駆使してマジック25周年記念プロツアーで7位入賞を果たす。そしてこの素晴らしい成績は彼をゴールドレベルへと押し上げたのだ。 Jacob Nagroの記事はこちら