モダンのTier1へ、赤緑ミッドレンジ

Cristian Ortiz Ros

Cristian Ortiz Ros

Translated by Nobukazu Kato

原文はこちら
(掲載日 2020/4/24)

はじめに

みなさんこんにちは!クリスティアン・オルティス・ロス/Cristian Ortiz Rosです。またみなさんにお会いできたことを嬉しく思います。

さて今回のテーマは、間違いなく私が一番愛しているフォーマット、モダンです。この記事で取り扱うデッキは、今とてもホットなデッキ……赤緑ミッドレンジ赤緑ポンザとしても知られているデッキですね。

デッキの戦略

月の大魔術師略奪東屋のエルフ楽園の拡散

まず焦点を当てるのは赤緑ミッドレンジのゲームプランです。このデッキのメインプランは、《月の大魔術師》《略奪》などによって相手のマナベースに最大限の干渉を行うこと、そして自らは《東屋のエルフ》《楽園の拡散》で一定のマナ加速を行うことです。

歴戦の紅蓮術士血編み髪のエルフ栄光をもたらすもの運命の神、クローティス

これらのカードを駆使して序盤を組み立てていくと、その先には各マナ域に高品質のカードたちが待ち構えています。《歴戦の紅蓮術士》《血編み髪のエルフ》《栄光をもたらすもの》、そして最新の戦力である《運命の神、クローティス》。確かにこれらは個々で見れば最強クラスのカードではないかもしれません。しかし、それぞれが異なる状況で力を貸してくれる存在であり、束になればあらゆるものを打ち負かす力があるのです。これらの脅威により、赤緑ミッドレンジはTier1に確固たる地位を築きました。

ウルザの塔溶鉄の尖峰、ヴァラクートシミックの成長室死者の原野

このゲームプランから容易に想像がつくと思いますが、最も得意とする相手はマナ加速に重きを置いたデッキです。たとえば、トロン・エルドラージトロン・スケープシフト系・アミュレットタイタン・タイタンフィールドが該当します。また、黒緑系ミッドレンジ・マルドゥ・各種《死の影》デッキなど、ミッドレンジにも十分に対抗できる実力があります。バント氷雪・アゾリウスコントロール・シミック再生などのコントロールデッキとも渡り合えることは言うまでもないでしょう。

ただ、攻撃的な戦略に対してはガードが甘くなってしまっています。バーン・赤単果敢・ナヤズーなどです。そしてもうひとつ苦手としているのがコンボデッキ。青赤ストーム・ネオブランド・アドグレイス・ドレッジやリビングエンドといった墓地戦略を特に苦手としています。

さて、従来から存在していた赤緑ポンザがどのように洗練され、進化していったのか。この過程に魅力があると思いますので、話題を移していきましょう。赤緑ポンザは、よりミッドレンジらしくなり、デッキパワーを増し、安定した盤面を作れるようになった赤緑ミッドレンジへと変貌していきます。

赤緑ポンザから赤緑ミッドレンジへ

赤緑ポンザ

略奪溶鉄の雨石の雨血染めの月

このデッキリストは、我々が赤緑ポンザと呼ぶアーキタイプの典型的な構成です。《略奪》《溶鉄の雨》《石の雨》といった土地破壊が7~8枚含まれ、《血染めの月》は当然のごとく4枚採用されます。また、《不屈の追跡者》がフィニッシャー兼カードアドバンテージ源として搭載されています。このように3マナ域が多い状態ですが、理想的な初動は《東屋のエルフ》《楽園の拡散》からマナ加速し、2ターン目に3マナ域をプレイすることなのです。

この戦略はTier1~2になるポテンシャルを秘めていますが、その境地にたどり着くのに苦労しているのが現実でした。しかし、ミッドレンジ型に進化することで状況が変わります。

では、私の現在のデッキリストをご紹介するとともに、Magic Onlineで先日開催されたModern Preliminaryで5-0を達成した最先端の戦略を解説することにしましょう。

赤緑ミッドレンジ

これが今現在使っているデッキリストです。先述の赤緑ポンザと比較すると、いくつかの変更点があることがわかります。

変更点

《歴戦の紅蓮術士》

歴戦の紅蓮術士

今まさに直面している相手に勝つために必要なカードを探し出してくれるカード。また、土地以外のカードのなかで不要なものや、しばらく唱えることができなさそうなものを捨てれば、1/1のトークンを2体並べられます。

《運命の神、クローティス》

運命の神、クローティス

《運命の神、クローティス》は莫大なアドバンテージをもたらします。墓地から土地を追放すれば毎ターン追加のマナを生み出すことができますし、土地以外のカードを追放すれば相手のライフを2点削りながら2点回復できるのです。また、墓地に存在する目障りなカードを追放できるのも大きな強みとなっています。

《月の大魔術師》

月の大魔術師

《血染めの月》の代わりに《月の大魔術師》をフル投入しています。クリーチャーであるため、いずれ相手のライフを削る役割を担えるからです。ただ、《血染めの月》を引き続き採用したり、両者を散らして採用する選択肢を否定するわけではありません。それぞれ持ち味が異なるカードですからね。

《レンと六番》

レンと六番

メインデッキに2枚搭載された《レンと六番》も特筆すべき存在です。ゲームの安定化に貢献するだけでなく、戦場に出れば即座にカードアドバンテージをもたらします。


以前よりも強そうな印象をお持ちいただけたでしょうか?ようやく赤緑ポンザ、改め赤緑ミッドレンジはTier1の境地に達することができたのです。

各マナ域のプレイ優先順位

1マナ域

優先順位 カード名
1番手 《東屋のエルフ》
2番手 《楽園の拡散》
3番手 《稲妻》

対アグロや、相手のマナクリーチャーを排除することに明確な利益がある状況では、《稲妻》の優先順位が一番上になります。

3マナ域(マナ加速したときに2ターン目に唱えるもの)

優先順位 カード名
1番手 《運命の神、クローティス》
2番手 《略奪》
3番手 《月の大魔術師》
4番手 《歴戦の紅蓮術士》

特定のカードを早急に探す必要があるときは《歴戦の紅蓮術士》を唱えたほうが良いでしょう。ただ、トロン戦では最初に《月の大魔術師》《略奪》を優先させます。

2マナ域

優先順位 カード名
1番手 《レンと六番》
2番手 《漁る軟泥》

墓地戦略と戦っているときや、ブロッカーを立てたほうが展開が良くなりそうなときは優先順位が入れ替わります。

4マナ域

優先順位 カード名
1番手 《血編み髪のエルフ》
2番手 《反逆の先導者、チャンドラ》

ここでの優先順位が変わる条件は、《反逆の先導者、チャンドラ》の[-3]能力でクリーチャーを対処しなれけばならないときです。


気を付けていただきたいのは、これらの優先順位は一般的に正しいものを示したに過ぎないということです。各マナ域に例外を記したように、ゲームの状況や対戦相手の戦略に応じて全く順位は変わってきます。

サイドボードガイド

赤単果敢

対 赤単果敢

Out

略奪 略奪 略奪 略奪
月の大魔術師 月の大魔術師 月の大魔術師

In

神々の憤怒 神々の憤怒 台所の嫌がらせ屋 漁る軟泥
強情なベイロス 強情なベイロス 強情なベイロス

アミュレットタイタン

対 アミュレットタイタン

Out

漁る軟泥 漁る軟泥
運命の神、クローティス

In

燃えがら蔦 燃えがら蔦
石の雨

ジャンド

対 ジャンド

Out

略奪 略奪 略奪 略奪
月の大魔術師

In

強情なベイロス 強情なベイロス 強情なベイロス
台所の嫌がらせ屋 漁る軟泥

ドレッジ

対 ドレッジ

Out

稲妻 稲妻 稲妻 稲妻
略奪 略奪 略奪 略奪

In

神々の憤怒 神々の憤怒 溜め込み屋のアウフ 溜め込み屋のアウフ
強情なベイロス 強情なベイロス 強情なベイロス 漁る軟泥

バント氷雪

対 バント氷雪

Out

稲妻 稲妻 稲妻 稲妻

In

窒息 窒息
沸騰 石の雨

トロン

対 トロン

Out

稲妻 稲妻 稲妻 稲妻
栄光をもたらすもの

In

燃えがら蔦 燃えがら蔦 溜め込み屋のアウフ 溜め込み屋のアウフ
石の雨

5色人間

対 5色人間

Out

略奪 略奪 略奪 略奪

In

神々の憤怒 神々の憤怒
台所の嫌がらせ屋 漁る軟泥

バーン

対 バーン

Out

略奪 略奪 略奪 略奪
月の大魔術師

In

強情なベイロス 強情なベイロス 強情なベイロス
台所の嫌がらせ屋 漁る軟泥

ネオブランド

対 ネオブランド

Out

栄光をもたらすもの

In

石の雨

ミラーマッチ

対 ミラーマッチ

Out

月の大魔術師 月の大魔術師 月の大魔術師 月の大魔術師

In

強情なベイロス 強情なベイロス 強情なベイロス
漁る軟泥

覚えておきたいテクニック集

モダンに警報!

続いては、モダンの観点から『イコリア:巨獣の棲処』のリリースに注目してみましょう。このセットには、みなさんとシェアしたい新たな能力があります。

それが 「相棒」です。「相棒」は各ゲームに1体までしか公開できません。みなさんが選んだ「相棒」はメインデッキには含まれず、サイドボードに陣取ります。「相棒」をゲームの外部から公開すると、それがそこにあり続けている限り、適正に唱えることができるタイミングなら好きなときに唱えることが可能です。唱えた後の「相棒」はゲーム内に入り、その他のカードと同じように振る舞います。たとえば、打ち消されたり破壊されたりした場合、墓地に置かれてゲーム内にとどまるということです。

新セットには、この能力を持ったクリーチャーが10体収録されています。ですが、モダンに影響を与えている/これから与えていくのは5体のみだと考えています。その5体をご紹介しますが、このリストが変更される可能性は常にあるでしょう。

夢の巣のルールス深海の破滅、ジャイルーダ空を放浪するもの、ヨーリオン
孤児護り、カヒーラ黎明起こし、ザーダ

残念ながら、赤緑ミッドレンジに入りそうな「相棒」はいません。ただ、『イコリア:巨獣の棲処』にはスペシャルなカードが他にもありました。赤緑ミッドレンジと色が噛み合っていて、素晴らしいカード。そう、《怪獣王、ゴジラ》です。このカードを使う可能性を検討してみましたが、あいにく現状では75枚のなかに居場所を見つけられていません。

怪獣王、ゴジラ

謝辞

お別れのときがやってきました。このゲームにはさまざまな戦略が存在しますが、それに対する私の考えや経験をみなさんにお伝えすることは本当に楽しいことであり、別れを告げるのは実に辛いことです。

まず、晴れる屋に感謝しています。私がこの場に居られるように執筆の機会をいつも与えてくれています。

そして、私のガールフレンド。あなたにはいつも支えられてばかりですね。ありがとう、Di。

最後に、世界中の全ての医療従事者へ。今われわれが直面している状況において、日々偉大な仕事をなさっているみなさんに感謝するとともに、この記事を捧げたいと思います。

何か疑問点がありましたら、SNSを通して喜んでお答えいたします。

どうかみなさんもお気をつけて。

クリスティアン・オルティス・ロス (Twitter / Twitch)

この記事内で掲載されたカード

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Cristian Ortiz Ros

Cristian Ortiz Ros クリスティアンはスペイン出身のベテラン選手。モダンに精通しているプレイヤーで、特にエクステンデッド時代から研究を続けている《死せる生》デッキへの造詣が深い。グランプリ・コペンハーゲン2017で同アーキタイプを使用して準優勝に輝くと、その年末に開催されたグランプリ・マドリード2017では青赤ストームを使いこなし見事に優勝を収めている。マジック・オンライン上でもその実力を遺憾なく発揮しているプレイヤーで、1サイクルの間に38個ものトロフィーを稼ぎだし世界にその名を轟かせた。 Cristian Ortiz Rosの記事はこちら