はじめに
初めまして。てんさいチンパンジーです。
本記事は「ティムール再生」のデッキガイドになります。先日、Red Bull主催で開催されたRed Bull Untapped International Qualifier IにてTOP4という望外の結果を残せました。
今回は、そのときの使用デッキであるティムール再生の解説を書かせていただきました。長くはなりますが、最後までお付き合いいただけると幸いです。
また、記事の最後にオマケとして準決勝の試合を振り返るトピックを掲載しています。試合を振り返りながら、どのような視点でどういったプレイを選択し、結果的に起きたことから得られる反省点や教訓を書いています。もし興味があれば読んでみてください。
ティムール再生とは?
「ティムール再生」とは《荒野の再生》を中心としたコントロール・コンボデッキです。除去と打ち消しでゲームを掌握し、最終的には《荒野の再生》から生み出される莫大なマナを注ぎ込んだ《発展/発破》での勝利を目的とします。
性質上、中〜長期のゲームレンジを得意とし、短期決戦を苦手としますが、《成長のらせん》→《荒野の再生》→《発展/発破》という動きは短期決戦を望むようなアグロ相手にも有効で、不利マッチでも捲る力があります。反面、基本的にはコントロール・コンボに寄った戦略なので、《時を解す者、テフェリー》《覆いを割く者、ナーセット》のようなこちらの動きを阻害する常在型能力を苦手とします。
デッキリスト:ティムール再生
2 《森》
1 《山》
4 《ケトリアのトライオーム》
4 《繁殖池》
4 《蒸気孔》
4 《踏み鳴らされる地》
3 《寓話の小道》
3 《ヴァントレス城》
2 《爆発域》
-土地 (29)- 2 《自然の怒りのタイタン、ウーロ》
-クリーチャー (2)-
カード紹介:メインボード
《成長のらせん》《荒野の再生》《発展/発破》
ティムール再生の必須カードです。メインから減らそうと思ったことはありません。4枚固定です。逆にこれらを減らしたほうがいいのでは?と思えるようなメタゲームであれば、このデッキを使うことを避けたほうがいいサインです。
《爆発域》
《魔女のかまど》《時を解す者、テフェリー》《覆いを割く者、ナーセット》のような触りづらいパーマネントへの対処が主な役割です。また、赤単オボシュやラクドスサクリファイスのような《獲物貫き、オボシュ》を使ったデッキは基本的に1マナ域から動き出すため、《嵐の怒り》では間に合わない展開がほとんどです。そのため、《荒野の再生》の設置ターンに即起動が可能かつアグロに有効な《爆発域》を優先しています。
《選択》
ティムール再生は地続きのデッキで、序盤は土地や《荒野の再生》、《荒野の再生》設置後は《サメ台風》《発展/発破》と欲しいカードが常に変化します。なので、その時点から少し先の展開を見据えて適切なカードを探す意味でも、この手の潤滑油があったほうがデッキが引き締まります。また、サイド後も対コントロールは《否認》や《サメ台風》、対アグロは《炎の一掃》や《爆発域》といったように、相手に合わせて必要なカードを探す“接着剤”として活躍します。
《焦熱の竜火》《霊気の疾風》
ティムール再生は序盤が脆いため、この手の軽い・相手のカードに触れるリアクションカードはある程度必要になります。この枠は選択肢が多く、《砕骨の巨人》や《火の予言》など、比較対象にも優秀なものが揃っています。特定のカードや配分に固執せず、流行のデッキの性質に合わせて細かく調整しましょう。
《物語の終わり》
珍しい打ち消しと思われるかもしれませんが、非常に強力な1枚です。現在はアグロ/コントロールを問わず「相棒」を使ったデッキが猛威を奮っていますが、「相棒」はすべて伝説のカードであるため対象には困りません。また、《時を解す者、テフェリー》《覆いを割く者、ナーセット》と《空を放浪するもの、ヨーリオン》の両方を対象に取れる珍しい打ち消しでもあります。
ティムール再生においては《時を解す者、テフェリー》《覆いを割く者、ナーセット》を後手で弾けない打ち消しの価値が低く、そのため《中和》《悪意ある妨害》《タッサの介入》といった3マナ以上の打ち消しはサイドを含め一切採用していません。
《自然の怒りのタイタン、ウーロ》
ティムール再生は大量の土地とリソースを使うデッキなので、「追加で土地を置く」「リソースを稼ぐ」「ライフを得る」効果を持ったこのカードはティムール再生と非常に相性がいいのです。特にライフを得る能力が大きく、アグロ相手によくある「捌き切ったけど、トップの火力/速攻で負け」という負け筋を潰してくれます。《荒野の再生》と並ぶ、ティムール再生の主役です。
《神秘の論争》
最序盤の《時を解す者、テフェリー》《覆いを割く者、ナーセット》を弾くのが主な役割ですが、仕掛けのバックアップにも最適です。腐っても《マナ漏出》なので、先手であればどんな相手にもある程度は当たりやすいですが、後手では目も当てられません。幸い、「相棒」によってある程度は相手のデッキを判別しやすくなったので、不要な相手の場合はマリガンして戻せるため、以前よりは扱いやすくなりました。
最近ではメインからの採用が当たり前になってケアされやすいカードではありますが、相手の《神秘の論争》と付き合うにはこちらも《神秘の論争》が必要なため、メインから4枚採用することを強く推します。
《サメ台風》
『イコリア:巨獣の棲処』からの新戦力です。「サイクリング」時に巨大なサメトークンを産む能力のおかげで、今まで打ち消す以外に有効な対処方法のなかった《時を解す者、テフェリー》に対して強く出られるようになりました。アグロ相手にも最低限の役割があり、サイド後に打ち消しが増えるような相手にも強く、それでいてリソース損もないこのカードはティムール再生には欠かせない1枚です。
カード紹介:サイドボード
《否認》《軽蔑的な一撃》《薬術師の眼識》《終局の始まり》
《否認》《軽蔑的な一撃》は、対ジェスカイヨーリオン、ティムール再生のような長引きやすいマッチアップでのサイドインを想定しています。《銅纏いののけ者、ルーカ》《エルズペス、死に打ち勝つ》《荒野の再生》《創案の火》など、ゲームを動かすようなインパクトのあるカードは重い・非クリーチャー呪文に寄っているため、《否認》《軽蔑的な一撃》がベストだと判断しました。
《薬術師の眼識》《終局の始まり》は構え合う展開では最強クラスのドローソースです。前述の打ち消しとともにサイドイン頻度も高いですが、対アグロでは無力ということもあってメインは《サメ台風》にその枠を譲っています。
《焦熱の竜火》《霊気の疾風》《自然の怒りのタイタン、ウーロ》《炎の一掃》
対赤単オボシュ、ラクドスサクリファイス、ボロスサイクリングのような高速アグロへのサイドインを想定しています。《炎の一掃》は《獲物貫き、オボシュ》《夢の巣のルールス》を使ったデッキに強い全体除去です。すでに述べたとおり、現環境は《嵐の怒り》よりも《炎の一掃》のほうが効果的なマッチアップが多いため、《炎の一掃》を優先して採用しています。効く相手にはとことん効く上に複数引いたときのバリューも大きいので、多めに採用するのがいいです。
プレイガイド:マリガン判断
本項ではマリガン判断について解説します。例を挙げての解説になりますが、すべてメイン戦でのマリガン判断を想定しています。
Case 1
この手札はアグロには強力なものの、コントロールには無力です。そのため、相手の「相棒」次第で判断します。《獲物貫き、オボシュ》《夢の巣のルールス》の場合はキープ、《空を放浪するもの、ヨーリオン》の場合はマリガンします。現代MTGでは、相手の「相棒」からアーキタイプをある程度は特定できるため、より正確にマリガン有無を判断できるようになりました。
Case 2
この手札は「case1」とは反対に、アグロには無力なものの、コントロールには強力な手札です。これもまた相手の「相棒」次第で判断します。《獲物貫き、オボシュ》《夢の巣のルールス》の場合はマリガン、《空を放浪するもの、ヨーリオン》の場合はキープします。
Case 3
この手札は相手によらずキープします。《成長のらせん》《荒野の再生》《発展/発破》の組み合わせは相手がどんなデッキでも勝ちうる可能性が高いです。
Case 4
この手札は相手によらずマリガンします。呪文は文句なしのラインナップですが、手札に土地がなければ話になりません。「《ケトリアのトライオーム》で色が出る」「《選択》で追加の土地を探せる」というのは幻想です。仮に山札の上から3枚がすべて土地であればラグなく理想的な動きを取れますが、それ以外の場合はほぼアウトです。しかも《選択》《成長のらせん》で自分の動きを優先する関係上、《焦熱の竜火》《神秘の論争》のようなリソースを交換するカードも受かりません。
総じてリターンよりリスクのほうが上回っており、このレベルであればマリガンしたほうが良い手札に変わる可能性が高いです。仮に《ケトリアのトライオーム》が《繁殖池》や《蒸気孔》のようなアンタップイン可能な青い土地だったとしても、同じ理由からマリガンを推奨します。
Case 5
相手によらずキープします。《荒野の再生》《発展/発破》のいずれもなく、《焦熱の竜火》《神秘の論争》のように方向性を定めるようなカードもないため、どこかボンヤリとした手札に見えますが、実はかなり理想的な手札です。
土地が伸びれば《荒野の再生》の力を借りずとも《発展/発破》は単体で強力な呪文としてカウントできますし、《寓話の小道》《成長のらせん》《選択》で肥やした墓地を利用して《自然の怒りのタイタン、ウーロ》も素早く「脱出」できます。このように土地+潤滑油+《成長のらせん》のような手札は見た目に何もないように見えて、ほぼすべての呪文を受け入れられるので、かなり理想的と言えます。
プレイガイド:マッチアップガイド&サイドボーディング
本項では、メジャーなアーキタイプごとの戦い方とサイドボーディングについて解説します。これはあくまで一例であり、実際に目の前にいる相手の構成に合わせて修正して下さい。
ジェスカイヨーリオン
vs. ジェスカイヨーリオン
メイン戦:五分
メイン戦はどちらが自分の動きを強く通せるかの勝負になります。ジェスカイヨーリオンはメインに打ち消しを採用していないことが多いため、《荒野の再生》を設置した返しの《エルズペス、死に打ち勝つ》《銅纏いののけ者、ルーカ》を打ち消せる、もしくは無視できるほどにリソース差を広げる威力で《発展/発破》が撃てればおおむね勝ちです。
しかし、早い段階で《覆いを割く者、ナーセット》《時を解す者、テフェリー》《創案の火》が通れば敗色濃厚です。そして、脅威の枚数に比べてこちらの打ち消しは《神秘の論争》《物語の終わり》のみと、圧倒的に足りていません。とはいえ、相手がそれらを毎回持っているわけでもなく、《メレティス誕生》《太陽の神のお告げ》《空の粉砕》のようなほとんど影響がないカードも多く採用されています。「相手が全部持っていたら負け」と割り切り、早々に《荒野の再生》+《発展/発破》のコンボによる決着を目指します。
サイド後:微有利
お互いに仕掛けよりも打ち消しのほうが軽いため、メインで動くことにリスクが生じます。結果、お互いが構え合う展開が続き、先に動かざる得なくなったほうが負け、といった勝負になりがちです。そのため、《荒野の再生》や《自然の怒りのタイタン、ウーロ》といったメインでしか唱えられない呪文は減らします。
《サメ台風》《終局の始まり》でプレッシャーを掛け、相手に先に動かざる得ない状況に追い込み、そこを起点に仕掛け返す展開が理想です。幸い、《成長のらせん》の存在からこちらのほうが大きいなサイズで《サメ台風》をプレイする機会が多く、前述のような展開に持ち込みやすい点でティムール再生が若干有利です。
バントヨーリオン
vs. バントヨ―リオン
メイン戦:微不利
ジェスカイヨーリオンと異なり、《成長のらせん》《自然の怒りのタイタン、ウーロ》によるマナジャンプ手段と、メインから《神秘の論争》《中和》などの打ち消しが採用されています。《時を解す者、テフェリー》《覆いを割く者、ナーセット》《エルズペス、死に打ち勝つ》のような“通れば勝ち”のパーマネントの存在も健在で、どうやっても有利にはなりません。対ジェスカイヨーリオンと同様、メイン戦は「相手が全部持っていたら負け」と割り切った上で早期決着を狙うのがベストです。
サイド後:微不利
メイン戦から引き続き《時を解す者、テフェリー》《覆いを割く者、ナーセット》《エルズペス、死に打ち勝つ》などのパーマネントは脅威のままです。そこにバックアップの《ドビンの拒否権》《神秘の論争》《霊気の疾風》が加わるため、単純にやりづらくなります。
ゲーム展開はジェスカイヨーリオン同様に構え合いになりますが、相手にも《成長のらせん》が存在する関係上、《サメ台風》合戦になった際にもサメトークンのサイズで競り負けることがあるため、その点でもジェスカイヨーリオンよりも厳しい戦いになります。こちらが先に動かざる得ない状況に追い込まれれば敗北は必至です。
スゥルタイヨーリオン
vs. スゥルタイヨーリオン
メイン戦:有利
《時を解す者、テフェリー》の存在しない重いデッキは基本的に有利です。《茨の騎兵》《発現する浅瀬》のようなインパクトのないカードが多く、また《戦争の犠牲》のような重くて打ち消しにも当たりやすいカードをゴールに据えているので、適宜脅威となるカードだけ打ち消せれば問題ありません。《荒野の再生》+《発展/発破》の通りも良く、ほとんど苦戦することはないです。
サイド後:微有利
相性はほとんど変わりませんが、《思考のひずみ》にだけは要注意です。いくつか気を付けておくべきポイントを挙げておきます。
ティムールヨーリオン
vs. ティムールヨーリオン
メイン戦:有利
ティムールヨーリオンはほかのヨーリオン系デッキと比べても圧倒的に重く、その分打ち消しにも弱くなっています。《発現する浅瀬》《茨の騎兵》《乱動の座、オムナス》のようなクリーチャーは大してプレッシャーがかからず対処を後回しにできるため、打ち消しを《裏切りの工作員》《発生の根本原理》に合わせやすいです。結果としてゲームを動かすような脅威が通らないため、ティムール再生の望む展開になりやすいです。
サイド後:有利
サイド後はティムールヨーリオンにも打ち消しが追加されますが、構え合った際にはインスタントで動ける手段の多いティムール再生が有利です。そのため、ティムールヨーリオンは必ずどこかで仕掛けてくるので、その返しに《荒野の再生》を通すイメージでゲームを組み立てます。
アゾリウスヨーリオン
vs. アゾリウスヨーリオン
メイン戦:不利
メインから大量に採用された《ドビンの拒否権》《時を解す者、テフェリー》《覆いを割く者、ナーセット》はそれだけ脅威ですし、それらを対処できる《サメ台風》も《厚かましい借り手》の前には無力です。相手が理想的な手札でスタートした場合はどうやっても無理なので、《太陽の神のお告げ》《空の粉砕》などの不要なカードを多く引いていることを祈るしかありません。
サイド後:微不利
除去や隙の大きいカードが打ち消しやインスタントの仕掛けに差し替わるので多少は改善されますが、それでも相性を覆すほどではありません。やはり対コントロールのサイド後の要になる《サメ台風》《終局の始まり》が《厚かましい借り手》で簡単に対処されてしまうのが問題です。
ボロスサイクリング
vs. ボロスサイクリング
メイン戦:不利
《繁栄の狐》を対処するのが難しく、特にサイズが3/3を越えると《爆発域》以外では対処できません。なので、相手の「相棒」が《夢の巣のルールス》の場合は《焦熱の竜火》がない手札は積極的にマリガンしたほうがいいです。
サイド後:微不利
《繁栄の狐》《ドラニスの刺突者》《雄々しい救出者》《夢の巣のルールス》が定着しないように《焦熱の竜火》《炎の一掃》《爆発域》を連打し、《天頂の閃光》でしか勝てない状況を作った上で《自然の怒りのタイタン、ウーロ》や《否認》で蓋をする展開を目指します。当然、要求の高い動きなので常にすべてが上手くいくとは限りませんが、明確なゴールが存在するだけメイン戦よりもはるかにいいです。
赤単オボシュ
vs. 赤単オボシュ
メイン戦:不利
《荒野の再生》+《発展/発破》のダメージだけで勝つことは稀で、除去や潤滑油で墓地を肥やしながらの《自然の怒りのタイタン、ウーロ》をゴールに据えた戦い方になります。先手/後手で決まりがちですが、ティムール再生側が先手でも《自然の怒りのタイタン、ウーロ》が絡まなければ負けうるのに対して、赤単オボシュ側が先手の場合はほぼ勝利するため、総合すると不利という印象です。
サイド後:微有利
長期戦を見据えた《サメ台風》《神秘の論争》が《炎の一掃》《焦熱の竜火》《霊気の疾風》《自然の怒りのタイタン、ウーロ》に差し替わるので、メイン戦とは比べ物にならないくらい戦いやすくなります。《物語の終わり》は《獲物貫き、オボシュ》を狙い撃ちしやすく、それ以外にも対処の難しい《鍛冶で鍛えられしアナックス》《無頼な扇動者、ティボルト》《炎の侍祭、チャンドラ》を打ち消せるためサイドアウトはしません。
ラクドスサクリファイス
vs. ラクドスサクリファイス
メイン戦:微有利
ラクドスサクリファイスは《大釜の使い魔》+《魔女のかまど》による地上の無力化によって対クリーチャーデッキに無類の強さを発揮しますが、ティムール再生はそれを一切苦にしません。《荒野の再生》は一切妨害されず、ほかのアグロデッキに比べるとクロックも低く、コンボ成立までの時間も十分に稼げます。
サイド後:有利
《炎の一掃》によって軽量クリーチャーに殴りきられるパターンも減り、メイン戦よりもさらに戦いやすくなります。ラクドスサクリファイスのクリーチャーは大半が黒いので、《霊気の疾風》はあまり有効ではなさそうに見えますが、捌き切ったあとに《自然の怒りのタイタン、ウーロ》が《初子さらい》で奪われるパターンが最も負けうるため、それに対処するために追加します。
ジェスカイファイアーズ
vs. ジェスカイファイアーズ
メイン戦:五分
いかに《時を解す者、テフェリー》を定着させないかがゲームの焦点になります。《時を解す者、テフェリー》への対処が遅れると、《創案の火》が絡まずともただただクリーチャーに殴られるだけで負けます。なので、相手の「相棒」が《巨智、ケルーガ》の場合は《神秘の論争》を求めてマリガンしたほうがいいです。
サイド後:微有利
お互いにやることは大きく変わりませんが、こちらは《時を解す者、テフェリー》への対処方法が増えるので、メイン戦に比べると若干楽になります。ジェスカイファイアーズ側は、《轟音のクラリオン》の当たらない相手に対する差し替え先として必ずクリーチャープランを用意しています。《軍勢の戦親分》であれば《霊気の疾風》《サメ台風》で対処可能なので、役割の限られている《焦熱の竜火》はサイドアウトします。
ジェスカイウィノータ
vs. ジェスカイウィノータ
メイン戦:微有利
《軍勢の戦親分》と《時を解す者、テフェリー》が入ったデッキに有利というのは違和感を覚えるかもしれませんが、逆にそれ以外にインパクトのあるカードがありません。《魅力的な王子》《急報》《迷い子、フブルスプ》は《軍団のまとめ役、ウィノータ》が絡まなければ、お世辞にも構築級とは言えません。そして、ティムール再生はメインからそれらを妨害する手段が豊富に採用されています。典型的な有利なマッチアップです。
サイド後:有利
《軍団のまとめ役、ウィノータ》への対処方法が増えるので、さらに戦いやすくなります。構え合いはティムール再生のほうが有利、メインで動いた際のリターンの大きさもティムール再生のほうが上ということで、やはりこちらが有利なままです。
グルールウモーリ
vs. グルールウモーリ
メイン戦:無理
不利を通り越して無理です。メインには《変容するケラトプス》を対処する方法がほとんどないため、早い段階で戦場に着地した場合はおおむね負けます。そうでなくとも《水晶壊し》で《荒野の再生》が定着せず、《無効皮のフェロックス》は単純に処理が難しい上にクロックが高いということで、一切勝てる未来が見えません。《成長のらせん》の絡んだロケットスタートか、相手のマリガンからの渋回りに期待するしかありません。
サイド後:無理
不利を通り越して無理です。唯一捲れるとすれば《炎の一掃》+《発展/発破》のクリーンヒットのみです。《変容するケラトプス》《水晶壊し》《探索する獣》を同時に流せれば多少は勝機が見えてきます。
《神秘の論争》《終局の始まり》を青くない相手に使うことには違和感を覚えるかもしれませんが、《焦熱の竜火》が当たるクリーチャーもほとんど存在しないので、仕方なく交換が可能なカードとして使います。それくらいこのマッチアップは絶望的です。
ジャンド城塞
vs. ジャンド城塞
メイン戦:微有利
ジャンド城塞のベースとなる部分は《大釜の使い魔》+《魔女のかまど》+《パンくずの道標》による無限ブロッカー&無限リソースですが、ティムール再生はそれを苦にしません。《ボーラスの城塞》による一撃必殺だけが懸念になるので、設置ターンに合わせて《神秘の論争》を構えられるように調整できるとベストです。
サイド後:微有利
《燃えがら蔦》《強迫》などの妨害が追加されてコンボの完遂は難しくなります。しかし、それらの妨害に対しては《自然の怒りのタイタン、ウーロ》が強く出られます。これらで劇的に改善ということもなく、総合して微有利という印象です。
マルドゥナイツ
vs. マルドゥナイツ
メイン戦:不利
《焦熱の竜火》《爆発域》が絡んで初めて五分です。それ以外は悲惨な負け方をします。赤単オボシュもそうですが、ティムール再生はメイン戦の対アグロをほとんど捨てているので、ある程度は割り切って考えたほうがいいです。
サイド後:微有利
メイン戦は捨てていますが、その分サイドを厚く取っています。《炎の一掃》《爆発域》で軽量クリーチャーを一掃し、《自然の怒りのタイタン、ウーロ》で蓋をするお決まりの展開を狙います。
ディミーアフラッシュ
vs. ディミーアフラッシュ
メイン戦:微有利
ディミーアフラッシュのクリーチャーは、クロックが細い上に除去にも打ち消しにも当たるので、ティムール再生の望むペースに持ち込みやすいです。ゲームが長引けば長引くほど《サメ台風》や《発展/発破》は単体で脅威になっていくので、これらが有効に使えるレベルまでゲームを引き延ばせればおおむね勝ちです。
サイド後:有利
ディミーアフラッシュはタフネスの低いクリーチャーが軸になっているので、《炎の一掃》が有効です。除去でクロックを潰したあとは《ヴァントレス城》で不要なカードをボトムに送りながら手札の質を高めていけば、最終的にリソース勝負で優位に立てます。
ティムール再生
vs. ティムール再生
メイン戦:五分
残念ながらメイン戦は茶番です。一方的な展開になりがちで、深く考えても仕方ないです。打ち消しも少なく、《荒野の再生》のポン出しが肯定されやすいこともあり、あまり差が出ません。
サイド後:五分
お互いに打ち消しが追加され、相手のターン終了時以外に動けない構え合いになります。先に仕掛けた側が不利になる、または相手のターン終了時に仕掛ける手段を持っているほうが有利になるのは対コントロールの鉄則です。《薬術師の眼識》《ヴァントレス城》で土地を集めつつ《サメ台風》《終局の始まり》でプレッシャーを掛けてていき、相手が先に動かざる得ない状況を作ればゴールは間近です。
TIPS
《焦熱の竜火》関連
「脱出」していない状態で場に出た《自然の怒りのタイタン、ウーロ》《死の飢えのタイタン、クロクサ》の能力の誘発に対応して撃つことで、墓地へ送られずに追放させることができます。
《発展/発破》関連
基本的に《発破》をフィニッシャーとして運用しますが、《発展》は道中にも使えます。《発展》がどのアーキタイプのどのカードに当たるかをある程度は覚えておくといいです。例えば、対ボロスサイクリングでは《天頂の閃光》をコピーする可能性を考慮する→《自然の怒りのタイタン、ウーロ》の「脱出」コストで「サイクリング」を持つ《ケトリアのトライオーム》《サメ台風》を取り除かない、などが挙げられます。
頻出するのは、《荒野の再生》に対して相手が唱えてきた《吸収》《中和》《神秘の論争》などの打ち消しをコピーして《荒野の再生》を通すケースです。《願いのフェイ》をコピーすると、サイドの《神秘の論争》を持って来る→《願いのフェイ》を打ち消しと、実質3マナカウンターのように使えます。《豆の木の巨人》《成長のらせん》といった土地を伸ばす呪文もコピーしたい呪文の中ではベストな部類です。
当然、自分の呪文をコピーすることも可能です。特に《炎の一掃》をコピーして4点オールにする動きは頻出です。ただし、コピー対象が打ち消されると《発展》が立ち消えてしまうので、相手が青マナを浮かせているときには注意が必要です。
また、稀なケースではありますが、ダメージではなくドローによるライブラリーアウトで勝利する可能性もあります。ライフより山札のほうが少なければ、ドローの対象を相手にしたほうが少ないX値で倒せますし、食物トークンや《大釜の使い魔》のようなライフゲインに邪魔される心配もありません。
《物語の終わり》関連
いわゆる“もみ消し”は思ったよりも色々なカードに当たります。《発展/発破》同様、どのアーキタイプのどのカードに当たるかをある程度は覚えておくといいです。すべてを列挙することはできませんが、特に影響力の大きい例を2つ挙げておきます。
自分の《自然の怒りのタイタン、ウーロ》が場に出たときの誘発型能力をもみ消すと、想定よりも早いターンに戦場に出せます。ボロスサイクリング、赤単オボシュなどの高速アグロに対しては有効な戦略です。
《荒野の再生》の土地をアンタップする能力ももみ消せます。基本的に《荒野の再生》の誘発に対応してすべての土地を寝かせるため、アンタップする能力をもみ消すと実質《枯渇》のように使えます。ティムール再生ミラーのメイン戦ではゲームを決めうる威力を持つ”必殺技”です。
《荒野の再生》関連
設置後も常に《厚かましい借り手》《霊気の疾風》などの妨害を考慮して動きます。「ターン終了時に土地が起きるから」といってメインに《薬術師の眼識》から動いて、終了ステップを迎える前にバウンスされて再設置ができない…という状況は非常に寒いです。
《荒野の再生》を重ねて設置している場合、基本的にマナを常に浮かせながら解決していったほうがいいです。《荒野の再生》の解決を待たずに都度カードをプレイしてると、《荒野の再生》を解決する間にマナが浮いてないタイミングが出てしまい、そこで動かれてしまう可能性があります。ただし、《成長のらせん》は《荒野の再生》の解決前に撃つと使えるマナが増えるので、ケースバイケースであることを意識して動きましょう。
おわりに
最後に、本記事を執筆するにあたって、「なぜティムール再生を回し続けるのか」「そうさせる魅力は何か」という質問を受けましたので、それについて回答して終了したいと思います。
ギネス記録への挑戦……ではなく、はじめは単なる興味でした。もともとシミックネクサスが好きで使い込んでいたため、ローテーションで《運命のきずな》が失われたあとにその後釜として《荒野の再生》を使えるデッキを「試しに回してみるか」と触れたのがきっかけです。
しかし、回し込むうちにティムール再生の魅力に取りつかれ、気付けば1000マッチ以上をこなしていました。
ティムール再生には大量に“失敗”するポイントがあります。構築面ではマナベースの調整や除去と打ち消しのバランス、《選択》《海の神のお告げ》のような潤滑油の有無・選定、プレイ面では《選択》《ヴァントレス城》による占術、《焦熱の竜火》《神秘の論争》の掃く順番、《荒野の再生》の設置タイミングや設置後のアフターケア、《発展/発破》《サメ台風》のX値決定…などなど。
「《神秘の論争》を占術で上にしていれば……」「《発展/発破》のX値を1つ下げていれば……」とにかく数えきれないくらい失敗し続けました。途方もない量の失敗を繰り返しましたが、これらの失敗を一つひとつ振り返り、「何が悪かったのか」と課題を見つけ、「どうすればよかったのか」と解決していく過程を楽しんでいました。
そして、それは今もまだ続いています。このペースではすべての課題を洗い出し、解決し、真の意味で満足する…という日は永遠に来ないかもしれません。しかし、それはそれでいいのかなと思います。「まだまだ無限に遊べる!」と考えると、逆にわくわくしてきます。
ほかのアーキタイプにはほかのアーキタイプなりの面白さが詰まっていますが、私はティムール再生を越える”問題”を抱えたアーキタイプは今のスタンダードには存在しないと思っています。結局、現状に満足することは一切なく、そしてローテーションまで飽きることもなく、このアーキタイプを回し続けている未来は簡単に予想できます。
これは競技的には褒められた調整方法ではないかもしれません。しかし、どんな形であってもやり込みは絶対に裏切りません。それが今回のRed Bull Untapped International Qualifier I TOP4という結果に繋がったのだと確信しています。
以上でティムール再生のガイドは終了になります。ここまで読んでいただいた方にティムール再生の魅力が少しでも伝わったのなら幸いです。
ボーナストピック:大会レポート編
ここからオマケです。動画として残っている準決勝を振り返ります。
準決勝を振り返って
準決勝は優勝者でもあるGobetti Enrico選手のアゾリウスヨーリオンとの対決でした。待ち時間に相手のリストを確認し、最初に出た感想は「これは勝たないな……」でした。
6 《平地》
4 《神聖なる泉》
4 《寓話の小道》
4 《啓蒙の神殿》
3 《アーデンベイル城》
2 《ヴァントレス城》
1 《廃墟の地》
-土地 (33)- 4 《厚かましい借り手》
2 《夢さらい》
-クリーチャー (6)-
4 《吸収》
4 《神秘の論争》
4 《空の粉砕》
3 《薬術師の眼識》
4 《海の神のお告げ》
3 《メレティス誕生》
1 《払拭の光》
3 《エルズペス、死に打ち勝つ》
4 《サメ台風》
2 《ガラスの棺》
4 《時を解す者、テフェリー》
3 《覆いを割く者、ナーセット》
-呪文 (41)-
3 《霊気の疾風》
3 《太陽の神のお告げ》
2 《ドビンの拒否権》
2 《物語の終わり》
1 《ガラスの棺》
1 《空を放浪するもの、ヨーリオン》
-サイドボード (15)-
大量に搭載された《時を解す者、テフェリー》《覆いを割く者、ナーセット》《エルズペス、死に打ち勝つ》に加えて、メインからの《ドビンの拒否権》。これだけでも十分厳しいですが、大量の《厚かましい借り手》《ガラスの棺》が《サメ台風》連打による数少ない勝ち筋も咎めてきます。当然、《自然の怒りのタイタン、ウーロ》による完走も見込めず、「相手の事故を祈る」くらいしか勝ち目はないと思ってました。
試合は1本目の序盤までは相手視点ですが、それ以降はすべて私視点で(相手の手札は公開された状態で)放送されていました。時系列順に追って振り返ります。
準決勝:Game 1
私の先手でスタート。《発展/発破》《荒野の再生》《焦熱の竜火》と土地4枚という手札をマリガンしました。ラクドスオボシュのようなアグロ相手にはベストな手札ですが、アゾリウスヨーリオン相手ではイマイチです。《覆いを割く者、ナーセット》《時を解す者、テフェリー》は当然として、《吸収》《ドビンの拒否権》のような打ち消し1枚でも詰みます。 マリガン後は《サメ台風》《自然の怒りのタイタン、ウーロ》と土地4枚の手札でスタート。
試合は序盤から圧倒的に敗色ムード。3ターン目の《自然の怒りのタイタン、ウーロ》が《神秘の論争》され、返しに《覆いを割く者、ナーセット》が着地。《サメ台風》を2枚持っていましたが、《厚かましい借り手》で対処されて《覆いを割く者、ナーセット》は落とせず。その攻防で相手がタップアウトしたので《荒野の再生》は通ったものの、この時点では特に戦場に影響しない置き物です。
《エルズペス、死に打ち勝つ》《時を解す者、テフェリー》《夢さらい》辺りのゲームが進むパーマネントが追加されたら早々に投了しようと決めていました。しかし、予想に反して相手の手札は芳しくない模様で、大したパーマネントが追加されずターンが返ってきます。実際、追加の《覆いを割く者、ナーセット》と《吸収》程度しかカードがなく、ゲームはまだまだ続く気配を見せていました。
《時を解す者、テフェリー》《覆いを割く者、ナーセット》が戦場に並び、いよいよ投了か?と思った返しに《爆発域》!このドローがなければ恐らくその場で投了していたので、これ以上ない最高のドローでした。ただ、これはアップキープに《ヴァントレス城》を起動し、不要なカードを弾いた結果でもあります。このように、欲しいカードが明確になっている場合(今回は《爆発域》一点狙い)、ドロー前に必ず起動するようにします。
戦場には2枚の《荒野の再生》+9枚の土地が並んでいたため、《発展/発破》は《神秘の論争》をケアした上で20点出せました。しかし、私は相手のターン終了時に兵士トークンに対してX=2で《発展/発破》をプレイしました。これは一見微妙なプレイに見えますが、以下の理由から判断しました。
結果的に相手の手札には《ドビンの拒否権》はなく、《吸収》《神秘の論争》しか持っていなかったのでこのプレイはミスでした。実際、デッキに2枚しかない《ドビンの拒否権》の内、すでに1枚は使っていましたし、《荒野の再生》+《ヴァントレス城》が揃っていたので、最終的にデッキすべての《神秘の論争》を引ききれる = いずれ《吸収》はケアできる点を考慮していれば、こんな消極的なプレイにはならなかったのかなと思います。反省。
この辺りから、相手の手札には大振りなアクションor打ち消ししかないのだろうと当たりを付けてプレイしていました。《荒野の再生》《自然の怒りのタイタン、ウーロ》に触られない以上、こちらのドローは《ヴァントレス城》で自由に操作できます。なので、ターン終了時の《荒野の再生》の誘発時はもちろんのこと、アップキープ時や《自然の怒りのタイタン、ウーロ》の攻撃クリーチャー指定時の誘発時など、あらゆるタイミングで《ヴァントレス城》を起動しています。ここで隙を見せずに常に有効なカードだけを引き続けるように占術を繰り返すのが、有利なときのリードの保ち方・戦い方です。
残り少ない《サメ台風》を引き当てました。《サメ台風》は相手のターン終了時に合わせてサイクリング→巨大なサメトークンを生み出すのが基本で、このときもそれしか頭にありませんでした。しかし、相手が《サメ台風》の設置に対して《吸収》で打ち消してきた場合は大量の《神秘の論争》で追えるので、実質《ドビンの拒否権》以外では打ち消せず、《ドビンの拒否権》を掃いてしまうと《発展/発破》を止められなくなるため、ここは冷静に設置一択でした。リスト公開の強みを活かせず、見えない《ドビンの拒否権》に怯える後ろ向きなプレイでした。これがGame 1で一番良くないプレイだった思います。猛省。
以降は横綱相撲で、ひたすら《自然の怒りのタイタン、ウーロ》と巨大なサメトークンによる蹂躙です。相手の引きが最後まで芳しくなく、それに助けられた面は大きいです。しかし、この時点で残り時間は13分ほど。相手は残り15分ほどと残り時間で負けており、かなり焦っていました。
Game 2
初手は《神秘の論争》《神秘の論争》《サメ台風》《サメ台風》と土地3枚。最高クラスの初手で、文句なしのキープ。
4ターン目の《薬術師の眼識》をノータイムでスルーしますが、これは《神秘の論争》で打ち消したほうがいいです。構え合いになったときに先手の《薬術師の眼識》は一気にゲームが傾くレベルの強力な一手です。これを隙なく打ち消せる《神秘の論争》は《薬術師の眼識》の返し手としてはベストで、しかも2枚も持っている上にほかにも《否認》《物語の終わり》と別の打ち消しも抱えていたので、本命のために温存という理由もありません。《神秘の論争》は構え合いが続くと最も価値が落ちるカードなため、早めに掃けると嬉しいはずが、どういうことか見逃し……当然、このプレイは後に響いてきます。
7枚目の土地をタップインで置きました。Game 2の最大のミスです。結果、こちらのターン終了時に相手が《サメ台風》をサイクリング→こちらのサメトークンでは受けられないサイズなので、《物語の終わり》で打ち消し。その返しにこちらのマナが4マナしか浮いていないため、《神秘の論争》《ドビンの拒否権》との打ち消し合戦に負けて《時を解す者、テフェリー》が着地。残りの時間も少なかったので、ここで投了しました。
落ち着いて考えていれば、ターン終了時の《サメ台風》に《物語の終わり》を合わせなければならないことはすぐに気付きますし、であれば返しの仕掛けに備えて土地はアンタップインすべきことくらいは容易に想像できます。
実際は相手が追加でもう1枚の《神秘の論争》を持っていたため、土地がタップインでもアンタップインでも《物語の終わり》を使った時点で《時を解す者、テフェリー》が着地してしまうことは確定していました。しかし、4マナ浮きと5マナ浮きでは仕掛けのハードルが段違いです。もしかしたら、仕掛けてこなかったのかもしれません。時間のなさから生まれた焦りで手なりにプレイした結果の敗北…当然の結末です。
Game 3
《否認》《薬術師の眼識》《サメ台風》《発展/発破》《荒野の再生》、そして土地が2枚。土地が少ないことを除けば理想的な初手で、「これで土地が止まって負けるなら本望だ」と言い聞かせキープしました。
結果、土地3枚で2ターン停止。コントロール同士の対決において、この差は致命的です。
そこからはかなり一方的な展開でしたが、心は折れてませんでした。あの初手をキープすると決めた時点でこの展開は受け入れていたので、事故の割りには冷静にプレイできたと自負しています。とはいえ、広がったリードはなかなか縮まらず、ここからは苦しい展開が続きます。
相手の《時を解す者、テフェリー》を巡る攻防で、相手の《吸収》を打ち消さずに《時を解す者、テフェリー》を打ち消したため、結果として3点損しています。スタック上が複雑で、どれを打ち消せば良いかを瞬時に判断できなかったため、残り時間が少ないことも考慮して《時を解す者、テフェリー》を対象にしました。もちろん、ミスではあるので到底許されるものではないですが、この状況においても「最悪の結果を回避しようとする冷静さ」を失わなっかったことは、今だからこそ評価できるポイントだと思っています。
Game 3で一番の分岐点がこのタイミングでした。相手の《厚かましい借り手》の攻撃に対して《サメ台風》を「サイクリング」してサメトークンで受けようと画策しますが、このときのX値に悩みました。
相手の戦場には《海の神のお告げ》《ガラスの棺》(トークンを対象にしていたので下には何もない)が、相棒には《空を放浪するもの、ヨーリオン》が控えていたため、あまり大きなX値で受けると《空を放浪するもの、ヨーリオン》のプレイに対応できない点を懸念していました。
なので、隙を見せないためにもこの場は最低値のX=1で受け、残りのマナは手札の《成長のらせん》の消化に当てることに。結果、第2メインフェイズに《時を解す者、テフェリー》が着地→[-3]能力で《海の神のお告げ》を戻す→《海の神のお告げ》設置(占術は上下)で《ドビンの拒否権》を引かれ、返しの《発展/発破》を打ち消されてゲームに敗北しました。
ここでX=5以上でプレイし、相手の《空を放浪するもの、ヨーリオン》を誘った場合、《時を解す者、テフェリー》の着地こそないものの、《ガラスの棺》でサメトークンは対処され、《海の神のお告げ》の「明滅」(《時を解す者、テフェリー》の[-3]能力のドローがないので、占術は下下)で結局《ドビンの拒否権》を加えられて同じようにゲームに敗北します。
結果的にどちらも敗北している点は変わりないですが、前者のほうが《時を解す者、テフェリー》の[-3]能力のドロー1枚分だけ掘り進んでいるので、より《ドビンの拒否権》に辿り着きやすいことを考えると、後者(X=5以上で出す)のほうが良かったと思います。
教訓
残り時間に気を付けよう
時間を使い過ぎた私だからこそ言えます。残り時間に気を付けましょう。集中しすぎて時間を使いすぎ、途中で焦ってミスして負け。まさにお手本のような失敗をしました。
どうすれば時間を使い過ぎないか?は一概には言えず、難しい課題だと思いますが、少なくとも早い段階から意識していれば多少は違ったはずです。意識ひとつで変わる話なので、普段のMTGアリーナでの練習段階から時間を意識してプレイするようにしましょう。私は今後そうします。。。
メンタルリセット方法を確立する
先の解説の通り、Game 2はミスから取り乱したものの、Game 3は大分冷静さを取り戻しました。
オンラインのイベントはリアルのイベントと異なり、(時間さえ守れば)基本的に何をやっても文句は言われません。月並みの対処方法ですが、私は2本目が終わった段階でお手洗い+顔を洗って来ました。たったこれだけで十分落ち着けました。
サイドチェンジ中にお手洗いに行くのは自由ですし、飲み物を取りに行っても問題ありません。部屋を歩き回っても大丈夫です。とにかく自分なりに気を落ち着ける方法を確立しておくと、いざというときに役に立つなと実感しました。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
増田 勝仁 (Twitter)
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