Translated by Nobukazu Kato
(掲載日 2020/7/7)
『基本セット2021』のイチオシ
みなさん、こんにちは!マティアス・レヴェラット/Matias Leverattoです。
『基本セット2021』が発売されましたね。魅力的なカードが多く導入され、スタンダード環境に新たな風が吹き込んできました。しかし今日お話したいのはある1枚のカードです。それは青で、アンフェアで、楽しくて、用途が広いもの。そう、《不連続性》です。
私はこのカードに一目惚れでしたが、実際に素晴らしいカードだったのです。使えば使うほど、新しいシナジーや構築を見つけたり、事前の想像をはるかに超えて活躍する展開に巡りあったりしました。
「ターンを終了する。」
ターンを終了させたい理由はどこにあるのでしょう?ターンが終了したとして、何が起こるというのでしょうか?変なカードだとは思いませんか?ですが、ご安心ください。この短いテキストは見た目以上の強さを秘めています。頻繁に見かけるテキストではありませんから、直観的にわかりづらい効果でしょう。しかし、この効果は実にユニークかつ強力なものなのです。
この類の効果を持つカードは、マジック史のなかにたったの5枚しかありません。
《不連続性》にもっとも近しいのは《時間停止》です。そのほかの3枚は何らかの制約や別の用途がありますからね。「近しい」と言いましたが、これは「同じではない」という意味でもあります。《不連続性》をよく見てみると、《時間停止》にはないテキストがありますよね?それがこのカードの肝なのです。この点については後ほど解説しましょう。
それにしても、ターンを終了させるためになぜマナを支払うのでしょうか?何もせずともいずれ発生する出来事ですよね?実は、このカードのポイントは唱えるタイミングなのです。そのタイミングを巧みに操れれば、莫大なアドバンテージを手にすることができます。《不連続性》は非常に器用なカードであり、多種多様な場面で使えます。想像力を働かせれば、その使い道がどんどん思いつくのです。
いくつか例をあげてみましょう。
追加ターンを得る
私のことを多少ご存知の方ならば、私が追加のターンを得ることを好むプレイヤーだと知っていることでしょう。このカードを見て真っ先に思いついたのは、相手のアップキープに《不連続性》を唱えてターンを返してもらうことでした。厳密には「追加ターンを得る」効果ではないのですが、限りなく近しい効果です。弱点をあげるとすれば、相手に土地をアンタップする隙を与えるため、対応してインスタントや能力を使われかねない点でしょう。
《濃霧》
マナコストの重い《濃霧》であることは確かですが、《不連続性》を相手のアップキープに唱えないほうがいいことは少なくありません。相手が攻撃を宣言し、クリーチャーをタップさせたところで唱えれば、返しのターンにブロッカーに悩むことなく攻撃をしかけられます。効果に比してマナコストが重い代わりに、それ以降の相手の行動を封じることが可能です。
打ち消し
ターンが終了するということは、もはや何も起き得ないということです。相手が何らかの呪文を唱え、それに対応して《不連続性》を唱えた場合、相手の呪文は追放され、相手のターンは終わりを迎えます。
誘発をもみ消す
先ほどの打ち消しと同様に、相手が何らかの能力を起動/誘発させたい瞬間を狙って《もみ消し》できる状況は頻繁に訪れます。
《忘れられた神々の僧侶》の能力を起動するためにクリーチャーを2体生け贄に捧げた場面を考えてみましょう。能力が解決する前にターンを終わらせれば、相手は何の見返りもないまま2体を差し出す結果になります。しかし、もっと夢は大きく見ないといけませんよね。
では《ボーラスの城塞》の起動型能力に合わせてターンを終了させたら?最高でしょうね。このような派手な展開はほかにもあり、《空を放浪するもの、ヨーリオン》がそのターン追放したカードを戻す効果に対応してターンを終わらせることもできます。
「あなたのターンであるかぎり、この呪文を唱えるためのコストは(2)(青)(青)少なくなる。」
ここまでご紹介した展開は相手のターンに《不連続性》を唱えるものであり、ひとつの効果/呪文にしか干渉しないものばかりでした。ですが、こういった状況を複数噛み合わせることができれば、さらなる価値を引き出すことができます。
このカードにはさらに魅力的なテキストが記載されています。
「あなたのターンであるかぎり、この呪文を唱えるためのコストは(2)(青)(青)少なくなる。」
つまり、自分のターンならたったの(1)(青)で唱えられるということです。しかし、2マナで唱えられるとして何ができるというのでしょう?繰り返すようですが、このカードは想像力と唱えるタイミングがすべてです。この2つこそ、《不連続性》の多彩な用途を見つける術なのです。
デッキリスト
ここでひとつデッキリストをご紹介しましょう。アルゼンチンの友人であるフアン・パブロ・ケトグラス/Juan Pablo Quetglasが作成したものであり、自分のターンにおける《不連続性》の強さを示すデッキです。
3 《島》
3 《寓話の小道》
4 《繁殖池》
4 《睡蓮の原野》
4 《神秘の神殿》
1 《ヴァントレス城》
1 《爆発域》
1 《総動員地区》
-土地 (27)- 4 《樹上の草食獣》
3 《エルフの開墾者》
3 《願いのフェイ》
2 《ハイドロイド混成体》
3 《自然の怒りのタイタン、ウーロ》
1 《厚かましい借り手》
-クリーチャー (16)-
1 《否認》
1 《肉儀場の叫び》
1 《空の粉砕》
1 《集団強制》
1 《涙の氾濫》
1 《次元の浄化》
1 《思考のひずみ》
1 《次元を挙げた祝賀》
1 《ビヒモスを招く者、キオーラ》
1 《伝承の収集者、タミヨウ》
1 《目覚めた猛火、チャンドラ》
1 《精霊龍、ウギン》
-サイドボード (15)-
このリストには強力なシナジーが複数含まれていて、それぞれのカードから最大限の価値を引き出せるようになっています。
《不連続性》 + 《睡蓮の原野》
《睡蓮の原野》は戦場に出ると、ほかの土地を2枚生け贄に捧げる効果がスタックに積まれますが、《不連続性》を唱えればそのコストを踏み倒せます。
《不連続性》 + 《自然の怒りのタイタン、ウーロ》
このエルダー・巨人を手札から唱えると、異なる2つの誘発型能力がスタックに積まれます。強いほうの効果(3点のライフを得てカードを引き、手札から土地をセットできる効果)を先に解決するようにスタックを積み、弱いほうの効果(生け贄に捧げる効果)を《不連続性》によるターン終了効果でスキップさせると、《自然の怒りのタイタン、ウーロ》は死亡せずに戦場にとどまります。
当然、先ほどのシナジーと組み合わせることも可能です。《自然の怒りのタイタン、ウーロ》の効果で《睡蓮の原野》をセットすることはしばしばあり、そのセットした最高の瞬間にターンを終了させれば両方の誘発を無視できます(MTGアリーナで遊ぶ際は、適切なタイミングで唱えられるように「フル操作モード」に設定しておきましょう)。
《不連続性》 + ターン終了時の呪文
こちらのターン終了時であれば相手の呪文や能力をたったの(1)(青)で打ち消すことができます。たとえば、厄介な《夜群れの伏兵》や、「サイクリング」された《サメ台風》ですね(後者の場合はドロー効果もトークン生成効果も打ち消せます)。《エルフの開墾者》がいると、《不連続性》がさらに効果的になります。《睡蓮の原野》をサーチすれば、相手の行動を打ち消しつつ、その土地の誘発を踏み倒せるのです。
その例として、配信中に実際に起きた場面をご覧いただきましょう。
《不連続性》と相性のいいカード
このデッキの真価が問われるのはこれからでしょうが、ランク戦で使っている現状では好成績を収めつつ大いに楽しめています。上記の構成では高速のマナ加速ができるうえに《睡蓮の原野》によって5色を供給できるため、《願いのフェイ》を採用することでサイドボードから状況に応じて最適なカードをもってこられるようになっています。
《不連続性》は登場してまだ間もないカードです。新たな使い方は今後もまだまだ見つかることでしょう。現時点では、強力なシナジーとして以下の2つをご紹介しておきましょう。
《創造の歌》
ターンを終了させれば、手札を捨てる必要なしです!
《栄光の好機》
たった3マナで追加ターンを得つつ、とどめを刺せなくとも敗北効果を追放できます!
おわりに
というわけで、今回は《不連続性》について解説してきました。お楽しみいただけたでしょうか。毎度お伝えしていますが、何かご意見やコメントなどがありましたら、お気軽にTwitterでご連絡くださいね。
健康にお気をつけて。ではまた次回。