USA Pioneer Express vol.7 -真実は覆るのか-

Kenta Hiroki

Kenta Hiroki

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はじめに

みなさんこんにちは。

『基本セット2021』がリリースされ、MOの大会では早くも新カードを採用したデッキが結果を残しています。

さて、今回の連載では『基本セット2021』リリース後に開催されたPioneer Challengeの入賞デッキを見ていきたいと思います。

Pioneer Challenge #12174835
勝ち続ける相棒デッキ

2020年6月27日

  • 1位 Boros Burn
  • 2位 Dimir Inverter
  • 3位 5C Niv
  • 4位 Dimir Inverter
  • 5位 Dimir Inverter
  • 6位 Mono White Devotion
  • 7位 Azorius Spirits
  • 8位 Sultai Delirium

トップ8のデッキリストはこちら

ルールが変更されたことで各「相棒」デッキは弱体化を強いられましたが、それでも優勝してしまうあたりポテンシャルの高さが伺える《夢の巣のルールス》入りのBoros Burn。

優勝こそ逃したもののDimir Inverterは今大会では準優勝し、プレイオフに3名という好成績を残していました。

『テーロス還魂記』、『イコリア:巨獣の棲処』と立て続けに強力なセットが登場したため地味な印象の『基本セット2021』でしたが、今大会では新カードを採用したデッキが多数結果を残しています。

Pioneer Challenge #12174835

Dimir Inverter

効率的な除去、妨害スペル、コンボと一通り揃っているDimir Inverterはパイオニアのメタゲームを支配しています。

『基本セット2021』からは《取り除き》を得たことで、さらに強化されました。

☆注目ポイント

取り除き

『基本セット2021』の《取り除き》は環境にある多くの脅威を対処できるフレキシブルなスペルです。クリーチャーだけではなくプレインズウォーカーも除去できる点がこのスペルの特徴で、《ヴリンの神童、ジェイス》《覆いを割く者、ナーセット》《時を解す者、テフェリー》《試練に臨むギデオン》といった、このデッキにとって厄介なプレインズウォーカーをわずか2マナで処理できる優秀なスペルです。

ヴリンの神童、ジェイス

前回の連載で予想した通り同型が増えたので、《ヴリンの神童、ジェイス》をメインから採用したバージョンが主流となっています。

ゲトの裏切り者、カリタス悪夢の詩神、アショク

3/4絆魂というスペックを持つ《ゲトの裏切り者、カリタス》は、特にBoros Burnの対策として有能です。墓地対策としても機能するため、《夢の巣のルールス》でクリーチャーを再利用されることを防げます。

《タッサの神託者》+《真実を覆すもの》のコンボ対策としてサイドボード後に《漂流自我》《殺戮遊戯》を投入してくる相手もいるので、《ゲトの裏切り者、カリタス》《悪夢の詩神、アショク》といったコンボ以外の勝ち手段を用意しておくことは重要です。

Azorius Spirits

『基本セット2021』から新戦力に恵まれたSpiritsは復権の兆しを見せています。軽い回避能力持ちのクリーチャーをロードで強化しつつカウンターでバックアップしていくため、コンボやコントロールに強い戦略です。

これまで《集合した中隊》が使えるBant Spiritsが主流でしたが、今大会で入賞したバージョンはAzoriusの2色でした。デッキパワーは落ちるもののショックランドから受けるダメージが少なくなるため、アグロデッキとの相性がいくらか改善されています。

☆注目ポイント

鎖霊

新加入の《鎖霊》は戦闘を有利にするスピリットクリーチャー。《ネベルガストの伝令》との違いは、戦場にアンタップ状態のスピリットを用意しておくことです。アタッカーを封じるだけではなく、ブロッカーをタップできるので攻守にわたって活躍します。

高尚な否定

メインから無理なく入る優秀なカウンターが登場しました。デッキ内のクリーチャーすべてが飛行持ちなので、《高尚な否定》ほぼ確定カウンターとして機能します。テンポ寄りのSpiritsの戦略にかみ合ったカードです。

翼の結集

《翼の結集》はクリーチャーに疑似的な警戒を与えるほか、《肉儀場の叫び》や火力からクリーチャーを保護したりと、最後の一押し以外にも使えるスペルです。

Sultai Delirium

《思考囲い》《致命的な一押し》《ヴリンの神童、ジェイス》など環境屈指の強力カードを採用できるため、高いデッキパワーは健在です。『イコリア:巨獣の棲処』からの新戦力にも恵まれていますが、墓地を肥やして「昂揚」の条件を満たし、《ウルヴェンワルド横断》で状況に応じたクリーチャーをサーチするといった基本的な動きは変わりありません。

このデッキの弱点はクロックが遅いことであり、コンボデッキとの相性の悪さからサイドボードに多くのスロットを割く必要があります。

☆注目ポイント

Zagoth Triome

《ゼイゴスのトライオーム》はマナ基盤の安定性を支えつつ、土地が十分にある場合は有効牌を探しながら《自然の怒りのタイタン、ウーロ》の「脱出」コストにもなり、デッキと相性のいいカードです。

無情な行動

《喪心》《破滅の刃》のように2マナの黒除去は何かしらの制限があるため、メタゲームによって使い分ける必要がありました。《無情な行動》対象にできる範囲が広く、黒いデッキの主要な除去として定着しています。

サメ台風

《サメ台風》は序盤はキャントリップとしてドローを進め、終盤は隙の少ないフィニッシャーとして使える柔軟なスペルであり、特にコントロールとのマッチアップで強さを発揮します。カードタイプがエンチャントカードのため「昂揚」の条件を満たすことにも貢献します。

Mono White Devotion

常に上位入賞し続けている白単信心。Dimir Inverterと同じく2枚コンボ(《太陽冠のヘリオッド》で+1/+1カウンターが2個以上乗っている《歩行バリスタ》に絆魂を付与する)が搭載されていますが、これらのコンボパーツは単体でも十分な性能です。

Dimir Inverterがこのまま勝ち続ければ何かしらのテコ入れがあることが予想されます。このデッキもまだ確定ではありませんが、新環境の有力なデッキの1つとして要注目です。

☆注目ポイント

ニクスの祭殿、ニクソス秘儀術師のフクロウ

色拘束の強いパーマネントと《ニクスの祭殿、ニクソス》を利用した大量のマナからの爆発力もこのデッキの特徴です。色拘束の強い《秘儀術師のフクロウ》「信心」を集めつつコンボパーツの調達に貢献します。

スレイベンの検査官白蘭の騎士

《歩行バリスタ》+《太陽冠のヘリオッド》のコンボに注目が集まりがちですが、多くの場合、このデッキは《スレイベンの検査官》《白蘭の騎士》《秘儀術師のフクロウ》カードアドバンテージを稼ぎつつビートダウンしていくアグロコントロールプランをとります。コンボの存在をちらつかせることで、相手もうかつに動きにくくなります。

不可解な終焉エルズペス、死に打ち勝つ減衰球

白単色ですが《不可解な終焉》《エルズペス、死に打ち勝つ》をはじめサイドボードの《減衰球》など、相手に干渉する手段が豊富です。その多くが白のダブルシンボルのパーマネントであるため、《ニクスの祭殿、ニクソス》の「信心」集めにも貢献します。

総括

「相棒」のルールが変更されて以来、いまだにDimir Inverterの支配が続いています。プレイヤーズツアー直後の禁止改定ではセーフとされましたが、Dimir Inverterはコンボ以外にも《時を越えた探索》《思考囲い》《致命的な一押し》など強力なスペルに恵まれています。

《神秘を操る者、ジェイス》《タッサの神託者》《真実を覆すもの》を探しだすだけではなく、除去や妨害手段を準備できます。コンボでありながらコントロールとしても振る舞えるその姿は、過去にモダン環境を支配していた双子コンボを彷彿とさせます。

7月13日には何かしらのテコ入れが入る可能性もあり、今後の動向からも目が離せません。

USA Pioneer Express vol.7は以上となります。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいパイオニアライフを!

この記事内で掲載されたカード

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Kenta Hiroki

Kenta Hiroki アメリカ在住のプレイヤー。 フォーマットを問わず精力的に活動しており、SCGやグランプリの結果などからグローバルな最新情報を隔週で発信する「USA Standard Express」「USA Modern Express」「USA Legacy Express」を連載中。 Kenta Hirokiの記事はこちら