はじめに
みなさんこんにちは。
『基本セット2021』がリリースされ、早くも新カードを採用したデッキが大会で結果を残しています。
さて、今回の連載では『基本セット2021』リリース後に開催されたLegacy Challengeの入賞デッキを見ていきたいと思います。
Legacy Challenge #12174831
『基本セット2021』から登場したあのカードが優勝デッキに
2020年6月28日
- 1位 4C Snow Control
- 2位 4C Loam
- 3位 Hogaak
- 4位 Temur Delver
- 5位 Elves
- 6位 Rector
- 7位 Infect
- 8位 Death&Taxes
トップ8のデッキリストはこちら
『基本セット2021』リリース直後に開催されたLegacy Challengeで優勝したのは、《世界喰らいのドラゴン》コンボをハイブリットしたSnow Controlでした。
デッキ紹介
4C Snow Control
1 《冠雪の沼》
1 《冠雪の森》
2 《Underground Sea》
1 《Bayou》
1 《Tropical Island》
1 《神秘の聖域》
4 《霧深い雨林》
4 《汚染された三角州》
1 《溢れかえる岸辺》
-土地 (19)- 4 《氷牙のコアトル》
1 《ダスクマントルのギルド魔道士》
2 《自然の怒りのタイタン、ウーロ》
1 《世界喰らいのドラゴン》
-クリーチャー (8)-
4 《納墓》
4 《思案》
3 《思考囲い》
2 《突然の衰微》
2 《湖での水難》
4 《意志の力》
4 《動く死体》
4 《アーカムの天測儀》
2 《時の支配者、テフェリー》
-呪文 (33)-
3 《暗殺者の戦利品》
3 《王冠泥棒、オーコ》
1 《疫病を仕組むもの》
1 《塵へのしがみつき》
1 《致命的な一押し》
1 《外科的摘出》
1 《花の絨毯》
1 《森の知恵》
-サイドボード (15)-
《世界喰らいのドラゴン》コンボを搭載したSnow Control。デッキの種類が多いレガシーでもかなり個性的なデッキに仕上がっています。
コンボの動きは《納墓》で《世界喰らいのドラゴン》を墓地に送り、《動く死体》で墓地の《世界喰らいのドラゴン》を対象に取ります。《世界喰らいのドラゴン》が場に出たときの能力が誘発し、《動く死体》を含めたすべてのパーマネントが追放されます。これにより《動く死体》が場から離れるので《世界喰らいのドラゴン》が墓地に落ちます。
場に離れたときの誘発型能力の発動によって《動く死体》が場に戻るので、再度《世界喰らいのドラゴン》を対象にすることでこの手順を無限に繰り返すことが可能となります。土地もアンタップ状態で戻ってくるため好きなだけマナを供給することができ、最終的に《ダスクマントルのギルド魔道士》で相手のライブラリーを削りきって勝利します。
禁止解除後、《世界喰らいのドラゴン》は特に目立った活躍はしていませんでした。しかし、《アーカムの天測儀》《自然の怒りのタイタン、ウーロ》《氷牙のコアトル》に代表されるSnow Controlとハイブリットする革新的なアイディアによって、Legacy Challengeを優勝するまでになりました。
☆注目ポイント
《世界喰らいのドラゴン》を墓地に送る手段である《納墓》は、《自然の怒りのタイタン、ウーロ》を墓地に送る手段としても使えます。また、サイド後は墓地対策の《塵へのしがみつき》をサーチする手段としても機能します。《動く死体》は墓地に落ちた相手のクリーチャーをリアニメイトして利用することもできるので、コンボ以外でもフレキシブルに使えるのが魅力です。
デッキの安定性を支えている《アーカムの天測儀》は、《世界喰らいのドラゴン》コンボによってデッキのすべてのカードを引くこともでき、勝ち手段である《ダスクマントルのギルド魔道士》を確実に入手することができます。
『基本セット2021』から登場した《時の支配者、テフェリー》が早速採用されています。[+1]能力はコンボパーツを探しつつ《世界喰らいのドラゴン》を墓地に落とす手段となり、相手のターンにも起動できるので《自然の怒りのタイタン、ウーロ》のために墓地を肥やす手段にもなります。相手のクリーチャーをフェイズ・アウトさせる[-3]能力もコンボまでの時間稼ぎに使えます。
対策が厳しくなりそうなサイド後は、《王冠泥棒、オーコ》や《森の知恵》などが投入され、より本来のSnow Controlに近い構成にシフトしていきます。
Legacy Challenge #12176990
安定のDelver
2020年7月4日
- 1位 Temur Delver
- 2位 Dimir Ninja
- 3位 Temur Delver
- 4位 TES
- 5位 Death&Taxes
- 6位 Jeskai Still
- 7位 Rector
- 8位 Infect
トップ8のデッキリストはこちら
Jeskai Still、Dimir Ninja、Reactorなど個性的なデッキがトップ8に残る中、優勝は安定感抜群のTemur Delverとなりました。
デッキ紹介
Jeskai Still
今大会で結果を残したJeskai Stillは、《行き詰まり》を張り相手の動きを制限している間にサイクリングやミシュラランドなど、スペルをキャストを必要としない勝ち手段を利用してゆっくり勝ちにいくクラシックなドローゴースタイルのLand Stillが元となったデッキです。
勝ち手段が薄かったため勝つのに時間がかかるという問題を抱えていましたが、『イコリア:巨獣の棲処』から《サメ台風》という新戦力を得たことによって復権してきました。
赤をタッチすることによって同型対策の《紅蓮破》、特殊地形を多用するデッキ対策に《血染めの月》、ElvesやDeath&Taxesなど小型クリーチャーを並べてくるデッキとのマッチアップ用に《紅蓮地獄》と、様々な対策カードにアクセスができるようになっています。
最近は、コントロールといえば《アーカムの天測儀》を採用した多色のグッドスタッフタイプのミッドレンジタイプが主流でしたが、今回入賞したJeskai Stillはクラシックな青白系のコントロールデッキなのでMiraclesなどが好きだったプレイヤーにもオススメできるデッキです。
☆注目ポイント
《行き詰まり》はこのデッキのキーカードであり主要なアドバンテージ源で、《サメ台風》と相性がいいエンチャントです。《サメ台風》は《行き詰まり》が場にある状態でもクリーチャーを展開すると同時にドローを進めることができ、ゲームが長引くことでより脅威さが増します。様々なフォーマットで活躍するこのカードは、レガシーでも通用する逸材のようです。また、信頼性のあるフィニッシャーを手に入れたことにより、ミシュラランドがカットされています。無色マナ土地が抜けたことでマナ基盤が安定するようになりました。
過去のLandstillと比べると、最近は《覆いを割く者、ナーセット》《時を解す者、テフェリー》《否定の力》など強力な青いカードが登場したことによって大幅に強化されています。特にこのデッキが苦手としていたコンボデッキとのマッチアップでは、追加の《意志の力》として機能する《否定の力》は大きな収穫です。
コンボデッキに対しては追加のクロックが必要になるため、サイドに《僧院の導師》が忍ばせてあります。ほかには、Reanimatorなど高速コンボ対策になる《外科的摘出》や《封じ込める僧侶》といったカードが多めに積まれています。
Dimir Ninja
2 《沼》
4 《虹色の眺望》
3 《Underground Sea》
4 《汚染された三角州》
2 《溢れかえる岸辺》
-土地 (19)- 4 《羽ばたき飛行機械》
4 《変わり身ののけ者》
2 《悪意の大梟》
4 《虎の影、百合子》
1 《厚かましい借り手》
4 《巧妙な潜入者》
-クリーチャー (19)-
《虎の影、百合子》を軸にしたアグロコントロールデッキ。「忍術」を使ったトリッキーな動きが特徴で、忍者という種族が人気なこともあり常に一定数の使用者がいます。
『モダンホライゾン』から複数の忍者クリーチャーが追加され、『エルドレインの王権』からも《厚かましい借り手》や《湖での水難》といった新戦力を獲得したことによってトーナメントレベルのデッキになりました。
《羽ばたき飛行機械》など「忍術」の種になる低マナの回避能力持ちのクリーチャーから、忍者クリーチャーを展開してカードアドバンテージを稼ぎつつクロックをかけるのがこのデッキの基本的な動きで、それらをハンデスやカウンターでバックアップしていきます。
☆注目ポイント
《虎の影、百合子》はこのデッキの主力の忍者クリーチャーです。《意志の力》など高コストのカードも多く入っているのでクロック、アドバンテージとともに優秀で、「上忍術」の種も《悪意の大梟》や《羽ばたき飛行機械》などがいます。能力を駆使して《悪意の大梟》を使いまわせば、追加でアドバンテージを得ることが可能です。
《変わり身ののけ者》はコストが軽く回避能力もあり、多層クリーチャーなので《虎の影、百合子》と相性がよく《改良式鋳造所》で4/4を生成するコストとしても使えます。
《改良式鋳造所》は余ったマナを有効活用する手段となりロングゲームで活躍します。また、《羽ばたき飛行機械》と組み合わせることによって1ターン目から4/4クリーチャーを展開できるのでクロックを強化することができます。
Legacy Challenge #12179937
Temur Delverがワンツーフィニッシュ
2020年7月12日
- 1位 Temur Delver
- 2位 Temur Delver
- 3位 Temur Delver
- 4位 Doomsday Combo
- 5位 Omni-tell
- 6位 Stiflenought
- 7位 Snow Control
- 8位 Temur Delver
トップ8のデッキリストはこちら
Showcase ChallengeはMOで開催されている大規模な構築イベントで、参加するためには40 QPが必要になるため普段のChallengeよりも強豪プレイヤーの参加率が高くなります。
「相棒」ルール変更以来高い勝率を維持し続けているTemur Delverは今大会でもトップ8に半数、決勝戦でもTemur Delverの同型対決という圧倒的な強さを見せました。
デッキ紹介
Temur Delver
3 《Volcanic Island》
3 《霧深い雨林》
3 《沸騰する小湖》
2 《汚染された三角州》
1 《溢れかえる岸辺》
4 《不毛の大地》
-土地 (19)- 4 《秘密を掘り下げる者》
3 《戦慄衆の秘儀術師》
2 《タルモゴイフ》
3 《わめき騒ぐマンドリル》
-クリーチャー (12)-
Temur Delverのリストの中でも、特に安定した成績を残し続けていたsilviawataruのリストがポピュラーでしたが、Temur Delverがトップメタになったことによって同型を意識したリストも上位で多く見られるようになってきました。
同型、各種《自然の怒りのタイタン、ウーロ》デッキ、《虚空の杯》デッキなど仮想的によって微調整していく必要があるデッキですが、同型が多かった今大会では《戦慄衆の秘儀術師》や《定業》の枚数を減らして《タルモゴイフ》をメインから採用したバージョンが正解だったようです。
☆注目ポイント
《王冠泥棒、オーコ》はTemurカラーのDelver系を選択する理由であり、クロックを増量したり、《タルモゴイフ》やマリット・レイジトークン、《虚空の杯》、《引き裂かれし永劫、エムラクール》など厄介なカードに対応できます。
同型の増加にともない《戦慄衆の秘儀術師》や《定業》の枚数を減らして、《タルモゴイフ》をメインから採用しています。除去体制が皆無で《悪意の大梟》や《氷牙のコアトル》で止められてしまうことから採用が見送られるようになっていましたが、サイズで勝るため火力系の除去が中心の同型では最高のクリーチャーとなります。
《わめき騒ぐマンドリル》は最近のTemur Delverではメインから1~2枚採用されているクリーチャーです。トランプル持ちなので《真の名の宿敵》や《氷牙のコアトル》でブロックされても相手にダメージが通り、現環境の定番の除去である《突然の衰微》に耐性があります。今後、《タルモゴイフ》や《わめき騒ぐマンドリル》をメインから採用したリストが流行るのであれば、サイドの《水没》を増量することも考えられます。
総括
禁止になると噂されていた《アーカムの天測儀》が残ったことで一時期はSnow Controlが環境を支配すると考えられていましたが、「相棒」ルール変更後の環境は青ベースのフェアデッキではTemur Delverがトップで、そのほかのデッキではビッグマナ系のSultai Titan、Hogaakなど墓地を使ったコンボデッキも結果を残しています。
Temur Delverが結果を残し続けている理由としては、《王冠泥棒、オーコ》を使うフェアデッキの中でも多くのコンボデッキを始めとした環境の雑多なデッキに強く、Snow ControlやLoam以外のデッキで極端に苦手なマッチアップが少ないというのが勝因です。
USA Legacy Express vol.168は以上となります。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいレガシーライフを!