新フォーマットのカードランキング ~ヒストリックのトップ10~

John Rolf

John Rolf

Translated by Kohei Kido

原文はこちら
(掲載日 2020/09/01)

はじめに

もうすぐミシックインビテーショナルが開催される9月10日ですね。ヒストリックで開催される初めてのプレミアイベントです!私自身この大会をとても楽しみにしていますし、新しいフォーマットですから、現時点のヒストリックで影響力とカードパワーを備えたカードを上から10枚並べたら面白い記事になるのではないかと思い立ちました。

このランキングは私のヒストリック初期からの体験と観察に基づいていて、もちろんそこまで厳密ではありません。ランキングに入るポテンシャルのあるカードが他にもたくさんありますからね。ランキング内のカードは全てMTGアリーナのランク戦で広く使われているカードで、ミシックインビテーショナルでも見ることになるでしょう。ランキングは10位から順番にお見せして、なぜそのカードが使われているのかについても軽い説明を付けておきます

さて、前置きはここまでにして、10位から見ていきましょう!

10位 《コーの精霊の踊り手》

コーの精霊の踊り手

《コーの精霊の踊り手》を使えるデッキは少ないものの、とても強力なカードでアゾリウスオーラの中心的パーツなのでランキングに入りました。このデッキはアリーナ・オープンで成功しただけでなく、オンドレイ・ストラスキー/Ondrej Straskyの手によってミシック#1にも到達しました。

積極的にマリガンすることがアゾリウスオーラで勝利するための鍵となっていて、ゲーム開始時の手札に一番存在していてほしいカードは《コーの精霊の踊り手》です。オーラを身にまとうと素早く巨大になり、早い試合決着を実現します。アグロ相手には絆魂のオーラを付けて勝利するまで攻撃し続けるだけです。

思考囲い

ヒストリックに『アモンケットリマスター』経由で《思考囲い》が追加されたことで呪禁オーラと《コーの精霊の踊り手》は痛手を負いました。だからミシックインビテーショナルではそこまで多く見かけないでしょう。《コーの精霊の踊り手》がヒストリックに与えた影響は意義深いものでしたが、束の間のものでもあって、ランキングにはかろうじて載る形となりました。

9位 《墓掘りの檻》

墓掘りの檻

サイドボードのカードをランキングに入れるのは不思議に思われるかもしれませんが、《墓掘りの檻》は特別な存在です。ヒストリックで強力なカードの多くを止められる上に、1マナで出すことができるのは効果的です。《墓掘りの檻》はヒストリックを見渡しても、もっとも使われているサイドボードのカードの1つでそれにはもっともな理由があります。

死の飢えのタイタン、クロクサ自然の怒りのタイタン、ウーロ悲哀の徘徊者夢の巣のルールス
上流階級のゴブリン、マクサス集合した中隊実験の狂乱ボーラスの城塞

《墓掘りの檻》が妨害できるカードの一部を軽く挙げてみましょう。《死の飢えのタイタン、クロクサ》《自然の怒りのタイタン、ウーロ》《悲哀の徘徊者》《夢の巣のルールス》《上流階級のゴブリン、マクサス》《集合した中隊》《実験の狂乱》そして《ボーラスの城塞》

無色のカードですから、多くのデッキが使い続けるでしょう。コントロールデッキやミッドレンジデッキ、赤単アグロにすら入れることができます。多くの戦略を無効化するので、《ウーロ》《夢の巣のルールス》を使っているデッキであってもサイドボードに入れることを一度は考えてみたほうが良いです。

虚空の力線トーモッドの墓所

ヒストリックには他にも墓地対策カードは存在していますが、多くのカードは1マナではなく、墓地利用デッキを相手にしたときは早く対策カードを使えるかどうかが生死をわけます。

秋の騎士再利用の賢者

アーティファクトはヒストリックで除去されやすいということもありません。《墓掘りの檻》があるからこそ、《集合した中隊》を使うデッキは《秋の騎士》《再利用の賢者》をデッキリストに含めるようになってきています。

大いなる創造者、カーン

《大いなる創造者、カーン》が様々なデッキに入っているのも見かけてきましたが、《墓掘りの檻》をサイドから持ってこられるのが使われている理由のひとつでしょう。

8位 《悲哀の徘徊者》

悲哀の徘徊者

《ウーロ》さえいなければ、ヒストリックで最強の3マナクリーチャーだと言うことも可能だったかもしれません《悲哀の徘徊者》は多くのサクリファイス系シナジーのキーパーツとなり、《集合した中隊》《忘れられた神々の僧侶》《波乱の悪魔》との相性も抜群です。

「脱出」能力とトークン生成、占術機能がこのクリーチャーを価値あるものとしています。(2)(黒)は3色のデッキで使えるようなマナ・コストで、ありがたいことに《金のガチョウ》《ラノワールのエルフ》がいるので3/2の肉体も2ターン目に出して攻めにも守りにも序盤から使えて、「脱出」能力のおかげで試合後半にも役割があります。

《悲哀の徘徊者》はラクドスサクリファイスとジャンドサクリファイスで使われてきましたが、Crokeyzという素晴らしい配信者が作り上げた新鋭のゴルガリサクリファイスでも使われています。

7位 《覆いを割く者、ナーセット》

覆いを割く者、ナーセット

まあここまで単純な話ではないかもしれないですが、これらは事実です。ヒストリックでコントロールデッキが増えれば《覆いを割く者、ナーセット》の影響力は増します。この強力なアンコモンはほとんどあらゆるマジックの構築フォーマットで実力を証明してきましたし、ヒストリックでもそうなるでしょう

アズカンタの探索

《覆いを割く者、ナーセット》と同じく、《アズカンタの探索》も将来のヒストリックでは多く見るようになるだろうと予想します。スゥルタイやバント、アゾリウスのデッキは燃料を補給する手段をいつだって必要としていますし、《覆いを割く者、ナーセット》はその要求を満たしながら追加で価値のある常在型能力を持っています

思考囲い

《思考囲い》がヒストリックに追加されたことは《覆いを割く者、ナーセット》にとって痛手ではありません。手札がボロボロになったあとに再建するための理想的な手段ですからね。

6位 《集合した中隊》

集合した中隊

《集合した中隊》はサクリファイスシナジーのデッキや、緑単のビートダウンデッキ、バントスピリットですら採用実績があります。緑をタッチすれば使えるのもメリットで、ヒストリックにクリーチャーが追加されればされるほど強くなるカードでしょう。

ランキングで下位に位置しているのは、上手く使うにはデッキに相当な枚数のクリーチャーが必要で、デッキ構築に制約を加えるカードだからです。ヒストリックで使える強力なインスタント・ソーサリーやプレインズウォーカーのことを考えるとこれは大きな代償です。数学の専門家のフランク・カーステン/Frank Karstenによると《集合した中隊》を機能させるには緑が出る土地が10枚以上、点数で見たマナ・コストが3以下のクリーチャーが22枚以上必要です。

朽ちゆくレギサウルス不屈の神ロナス

《集合した中隊》をコンボのために使うべきなのか、バリューを出すために使うべきなのか、それともビートダウンデッキ(たとえば《朽ちゆくレギサウルス》《不屈の神ロナス》の組み合わせ)で使うべきなのかはまだはっきりしていません。

5位 《ドミナリアの英雄、テフェリー》

ドミナリアの英雄、テフェリー

今書いているまさにこのとき、アゾリウスコントロールはヒストリックで数を増やしていて、《ドミナリアの英雄、テフェリー》がそのデッキの最高の勝利条件になっています。

水没遺跡、アズカンタドビンの拒否権

カードが引けて、致命的なパーマネントをどかすことができて、ゲームに勝利できる奥義を持っています。起動後の《水没遺跡、アズカンタ》をアンタップすることで追加の手札補充すら生みだせます。土地を2枚アンタップする能力は環境で強いカードになっている《ドビンの拒否権》と見事にかみ合っています。

このカードはバントでも使用されています。《ドミナリアの英雄、テフェリー》の柔軟性はデッキの弱点の多くを埋め、防御に強いデッキを組むのを可能にしてくれるため、デッキ制作者にとって素晴らしいものです。アゾリウスコントロールが結果を出し続けるようなら、《ドミナリアの英雄、テフェリー》と何度も戦うことになることを覚悟しておきましょう。特にグレゴリー・オレンジ/Gregory Orangeと戦うときはね。

4位 《縫い師への供給者》

縫い師への供給者

どうして1/1のクリーチャーがここまでランキング上位に入るのだろうかと疑問に思っているかもしれませんが、疑いようもないくらいこれまで《縫い師への供給者》は影響力を発揮してきました《縫い師への供給者》の能力は効果的で、ヒストリックのデッキの多くを形にまとめる接着剤の役割を果たしています。たとえばMTGアリーナのランク戦をあっという間に駆け上がったデッキ、ラクドスパイロマンサーがそういうデッキに当てはまります。

死の飢えのタイタン、クロクサ戦慄衆の秘儀術師夢の巣のルールス立身+出世

《縫い師への供給者》は、生け贄に捧げて墓地に送ることを可能にするカードと組み合わせると、ラクドスパイロマンサーのデッキに入っている《死の飢えのタイタン、クロクサ》《戦慄衆の秘儀術師》《夢の巣のルールス》、「余波」カードのために墓地を肥やします。ヒストリックで一番シナジーが濃いデッキかもしれず、よく見ることになるでしょう

王神の贈り物

でも墓地を肥やすことに関心があるデッキはこれだけではありません。多くの人が今まで見落としていたと思われる、強そうな《王神の贈り物》デッキがヒストリックに登場して、このデッキも《縫い師への供給者》を使っています。

3位 《ボーラスの城塞》

ボーラスの城塞

3位には、先日の禁止告知で《死者の原野》とともに禁止されるだろうと多くのプロが考えていた超強力なアーティファクトがランクインしています。禁止されませんでしたから、まだ今のところはヒストリックの環境に《ボーラスの城塞》は存在しています。

ファイレクシアの塔忘れられた神々の僧侶金のガチョウ楽園のドルイド

《ボーラスの城塞》《ファイレクシアの塔》《忘れられた神々の僧侶》からマナ加速して出すことができます。(黒)(黒)(黒)は色拘束が厳しいですが、上記の2枚と《金のガチョウ》《楽園のドルイド》がそれに関しては手助けしてくれます。

血の芸術家波乱の悪魔

ゴルガリサクリファイスとジャンドサクリファイスでは、《ボーラスの城塞》が着地したターンに《血の芸術家》《波乱の悪魔》がいれば10点ダメージの能力を使うことで即座に勝利できます。

《ボーラスの城塞》がなければ負けるような試合でも戦線復帰することを可能にするカードで、それだけでも大きなメリットです。《思考囲い》によって手札がボロボロにされたり、手札にカードが少なくなってきても、デッキトップからこれを引くだけで試合を立て直せるため、相手にとって脅威の存在となります。試合で互角の状況ならこれが着地すれば相手を突き放すことができるでしょう。

2位 《思考囲い》

思考囲い

2位にはまた黒いカードです。《思考囲い》は効果的な1対1交換の典型で、当然のことながら多くの場面で使用されてきています。《思考囲い》はいつでも相当な柔軟性を持ち合わせているカードでしたし、ヒストリックでも使われなくなることはないでしょう。

ミッドレンジでも、コントロールでも素晴らしいカードで、アグロでさえも相手の守りを突き崩せるので素晴らしいカードです。相手の手札を見ることができるのは追加のバリューを生みだします。ヒストリックで黒いデッキを使うならメインとサイドを合わせて75枚の中に4枚入っているべきです。

1位 《自然の怒りのタイタン、ウーロ》

自然の怒りのタイタン、ウーロ

どうしてこのカードが禁止の罠から「脱出」し続けているのかわかりません(ダジャレじゃないですよ)。禁止されない限りミシックインビテーショナルやヒストリックというフォーマットで傑出した存在であり続けることは保障されています

《ウーロ》はなんでもできます。カードを引いて、ランプして、ライフゲインして、ゲームを決着させられます。すぐに解答を用意することを強要して、《ボーラスの城塞》のように相手が解答を用意できなければ数ターンのうちに試合を制覇します。

《ドミナリアの英雄、テフェリー》のようにデッキを守備的に作ることを可能にするカードです。対戦相手と1対1交換を繰り返す行為が《ウーロ》を出すための燃料を貯えることにつながっていて、ひとたび出せればそこから試合に勝利することにつながるので、1対1交換がやりやすい行為となります。

ミシックインビテーショナルではスゥルタイとバントのデッキリストで見かけることになるでしょう。見かける枚数はアゾリウスコントロールを使っているプレイヤーのうち、このカードのために緑を入れようと思っているプレイヤーの数次第でしょう。

まとめ

今日はここまで!ランキングを楽しんでくれていると嬉しいですね。ヒストリックは進化を続けます。頂点に上り詰めるカードと、環境から転げ落ちるカードがどれになるのか見られるのが楽しみです。

それは、ミシックインビテーショナルのための調整に戻ります。Hareruya Prosをぜひ応援してくださいね!

ジョン・ロルフ (Twitter)

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John Rolf

John Rolf アメリカ出身のプロプレイヤー。2017-2018シーズン、《熱烈の神ハゾレト》を相棒にプロツアー『イクサラン』トップ8入賞。それだけには留まらず、グランプリ・プロツアーともに安定した成績を残し続け、ブロンズ・レベルからプラチナレベルまで登り詰めるとともに、自身初の世界選手権出場を成し遂げた。同郷の親友であり、チームメイトでもあるブランドン・エアーズと共に、2018年10月Hareruya Prosに加入。 John Rolfの記事はこちら