Translated by Kohei Kido
(掲載日 2020/09/04)
はじめに
俺がパウパーについて知っていることを共有したいと思う。正直に白状すれば、始めてからの日は浅いんだけどね。Magic Online(以下MO)でパウパーを始めたのはほんの数か月前のできごとだった…。
パウパーでもっとも嫌われている(愛されている)デッキについて語ろう。トロンだ。最速で3ターン目に7マナ出るトロンは相手にすると煩わしいが、自分がそのマナを使える側となると気分は最高だ!
パウパーというフォーマットもトロンというデッキも大好きだ。(超アグロデッキを相手にしていない限りは)試合が終わるまでにたくさんの判断と多くのターンを積み重ねなければならないからね。たくさんの正しい判断を積み重ねた末に試合が決着することになって、勝ったときの満足感は確かなものだ。もっとカードパワーの高いフォーマットだと1ターンの攻防や1枚の脅威の有無でゲームの結果が決まってしまうことがあるけど、パウパーではそれがあまり起きないんだ。
デッキリスト
4 《興隆する島嶼》
3 《茨森の滝》
1 《ボジューカの沼》
4 《ウルザの鉱山》
4 《ウルザの魔力炉》
4 《ウルザの塔》
-土地 (22)- 2 《石角の高官》
4 《熟考漂い》
3 《記憶の壁》
1 《ディンローヴァの恐怖》
-クリーチャー (10)-
1 《儚い存在》
4 《衝動》
2 《一瞬の平和》
1 《削剥》
1 《禁制》
1 《とどろく雷鳴》
2 《幽霊のゆらめき》
1 《強迫的な研究》
1 《除外》
1 《ムラーサの胎動》
2 《神秘の指導》
4 《予言のプリズム》
4 《眷者の装飾品》
-呪文 (28)-
3 《赤霊破》
2 《一瞬の平和》
1 《ゴリラのシャーマン》
1 《ファングレンの匪賊》
1 《紅蓮破》
1 《古えの遺恨》
1 《喪心》
1 《嵐の乗り切り》
-サイドボード (15)-
カード選択
知見も交えながらデッキについて少し説明しようと思う。
土地
ウルザランド 12枚
まず最優先なのはウルザランドを揃えることだ。デッキを動かすのに必要なマナが相手よりも多いからね。3種類揃えられたら《輪作》を使って《ウルザの塔》を増やせば状況はより有利になるよ。
《興隆する島嶼》 4枚
デッキと完璧にかみ合うカードだから変更しない方がいい。最初は緑を指定するけど、数少ない白/赤/緑の呪文を使いたいときにはそれらの色も指定できるのは最高だ。青いデッキを相手にしたときに、自分の呪文を打ち消しから守るための青マナも赤マナも1枚の土地から選んで出せるのはなんてすばらしいことなんだろう。
《茨森の滝》 3枚
残念ながら4枚目を入れる枠がない…。ライフゲインもいくつかのマッチアップではとても重要で、《輪作》を使って《茨森の滝》を出せるのはとても良い。ゲームをコントロールできているときは往々にして勝つけど、勝利のためのコンボを持っているから耐えられれば勝てるのに、ライフを詰め切られそうでライフを回復できる《ムラーサの胎動》は追放されているときなんかには代わりのライフ回復手段として活用できるね。
《島》 2枚
3枚入れていたけど、《ボジューカの沼》を入れるために一枚減らしたよ。
《ボジューカの沼》 1枚
《ボジューカの沼》はミラーマッチと新カードの《大慌ての棚卸し》を使ったデッキとの試合を制する上でとても重要だ。《輪作》や《幽霊のゆらめき》を使ってインスタントタイミングで墓地を追放できるのは最高だね。
コンボ
コンボについて説明してから各カードについても語っていこう。
コンボを構成するパーツは《記憶の壁》と《幽霊のゆらめき》、それらに加えてどれでもいいから他のアーティファクトかクリーチャーか土地だ。
壁が場に出ている状態で、ゆらめきを使って壁と他のパーマネントをブリンクすれば壁が戻ってきたときにゆらめきを墓地から回収しながら1個自由に使えるブリンク効果が発生する。壁が2枚出ていればゆらめきともう1枚インスタントかソーサリーが回収できて、たくさんマナが出せる状態になっていることが多いから打ち消し呪文を回収すれば試合は決着がつくことが多い。
クリーチャー
《熟考漂い》 4枚
俺に言わせればパウパーで最高のクリーチャーだね。単独ならブリンクできる対象として最高だし、「想起」コストで唱えてから誘発能力がスタックに乗った状態でブリンクさせれば4枚カードを引きながらクリーチャーも場に残せる。(《儚い存在》なら4マナ、《幽霊のゆらめき》なら6マナ必要だ。)
《記憶の壁》 3枚
雪だるま式にアドバンテージを稼ぎ始めるのには壁は一枚しか要らないし、ゲームの初めから複数枚手札にある状態は許容できない。
《石角の高官》 2枚
《石角の高官》はブリンクすることで対戦相手の攻撃をロックする手段だ。(付記:もし1ターンに複数回ブリンクさせれば、ブリンクさせた回数だけ飛ばされる戦闘フェイズが蓄積する。)2枚以上要らないことも多いけど追放されたときに備えて2枚デッキに入っていると安心だ。メタゲームの動き方次第だけど、アグロデッキが増えれば1枚、場合によっては2枚増やしてもいい。
《ディンローヴァの恐怖》 1枚
完全なロックが成立するカードだ。《ディンローヴァの恐怖》をコンボでブリンクさせるようになったら、ゲームは後戻りせずにすぐに決着する。カードとしては超強力だけど、マナ・コストが重いし2色のマナを必要とするので、デッキに1枚入れるのも大変だ。俺はこのカードが好きだけど、パウパーの玄人たちはもうあまり使っていない。勝っている状況をさらに有利にするタイプのカードだからね。(俺はパウパーの全てのデッキを完璧に理解しているわけではないから、どのデッキにでも効くカードを入れることで物事をシンプルにしたいんだ。)
クリーチャーでない呪文
《幽霊のゆらめき》 2枚
1枚あればよくて序盤には要らないけどコンボの最中に《記憶の壁》の誘発にスタックして墓地から追放されたときに、デッキを探してもそれ以上見つからなくなるのは危険だ。《予言のプリズム》や他のブリンクしたときにメリットを生むカードを対象に使えば序盤に手札のこのカードを他のカードに変えてしまうこともできる。
《衝動》 4枚
何か必要なときにデッキを探す最良の手段で、デッキの7%もの範囲から探してこられる!ゲーム序盤なら土地やアーティファクトを探すのに使えて、それ以降はゲームの鍵を握る呪文を探すのに使える。悲しいことだけど、対戦相手に的確に効くカードをサイドインするときには、デッキに枠が足りないから《衝動》を1、2枚減らさなければならないことがある。
《輪作》 3枚
《記憶の壁》と同じ理屈で、デッキを動かし始めるのには1枚しか要らないので複数枚引くのは良くないけどそれでも3枚必要だ。
《ムラーサの胎動》 1枚
墓地からクリーチャーを戻す手段がひとつは必要で、《茨森の滝》以外にもライフを得る手段が必要だ。コンボが動き出したらまとまった量のライフを得られる手段もあった方がいい。このカードは必須だけど、2枚以上欲しくなることはない。
打ち消し呪文 2枚
普通は《禁制》2枚だけど、「統治者」クリーチャーに対抗するために試しに1枚を《除外》にしている。「統治者」を奪うのは大変だし、相手が毎ターン2枚引く状況で試合に勝つのはもっと大変だからだ。
《一瞬の平和》 2枚
アグロが多くなればもっとメインデッキに入れてもいい。戦闘ダメージを与えることでしか勝利できないデッキがあまりに多いので、サイドと合わせた75枚に4枚入っていることは本当に重要だ。これ1枚で2枚分の働きをする強力なカードだ!
《削剥》 1枚
ミラーマッチでカギとなるカードでそれ以外のマッチでも強いカードだ。多くのクリーチャーに対処できる上に、厳しい戦いになりやすい親和デッキに対する切り札となる。
《儚い存在》 1枚
すべてのクリーチャーとシナジーがあってとても軽いマナ・コストだ。(《神秘の指導》を使ったとしてもね。)《記憶の壁》と組み合わせて2回効果を得れば毎回1枚のインスタント・ソーサリーを墓地から回収できるということだから相手にとって脅威にもなる。昔はパウパーでもっと《ディンローヴァの恐怖》と《儚い存在》が使われていたと聞いているよ。
《神秘の指導》 2枚
マナがたくさんある時にバリューを生む手段として完璧なカードだ。1回目はウルザランドを探してこれるカードを探すか、その時必要なカードを調達するために使って、試合が進めば6マナでもう1回サーチできる。そこまで早く引く必要があるわけではないから2枚で十分だ。3枚か4枚欲しくなる試合もあるけどね。
《強迫的な研究》 1枚
《強迫的な研究》は5枚目の《熟考漂い》のように使えて、たまに相手をライブラリーアウトさせることで勝利につながることもある。サイドボード後は抜くことが多いカードだけど、1ゲーム目にこのカードが使えるのが好きだ。
《とどろく雷鳴》 1枚
MOでは時間制限があるから素早く勝てる方法も必要だ。《とどろく雷鳴》は小型クリーチャーを多く出すデッキにもとても有効だから、デッキに1枚入っているといいね。
《予言のプリズム》 4枚
デッキに8枚入れていいなら8枚使うだろうね。手札を減らさずに使えて、マナ基盤を整えられて、《記憶の壁》と一緒にブリンクすることで3マナ使って1枚ドローできる。(《ウルザの塔/Urza’s Tower》が生む3マナの使い道として一番頻度が高いやつだ。)
《眷者の装飾品》 4枚
カードアドバンテージを生むカードだ。マナ基盤を整えるだけでなく、マナを出す代わりにタップすれば、そうでなければ出せた1マナと合わせて5マナかかった計算でカードアドバンテージを生む。(このカードが存在しているのでトロンに禁止カードの鉄槌を下すべきだと考えている人々がいるくらいだ。)
サイドボードガイド
パウパーのトロンを長い間使ってきたわけではないけど俺の経験に基づいたサイドボードに関するメモもMOでよく見るデッキについては少し書いておくよ。
青赤フェアリー
対 青赤フェアリー
ミラー
対 ミラー
緑単ストンピィ
対 緑単ストンピィ(先手)
対 緑単ストンピィ(後手)
マルドゥ統治者
対 マルドゥ統治者
スリヴァー
対 スリヴァー
バーン
対 バーン
青黒デルバー
対 青黒デルバー
呪禁オーラ
相手が《払拭》を入れることを想定し、《赤霊破》を1枚サイドインする。
対 呪禁オーラ(先手)
対 呪禁オーラ(後手)
MOでパウパーをやる上でのちょっとしたアドバイス
時間制限は対戦相手ではないけど敵だ。デッキの正しい使い方やよくあるパターンを習得するのには時間と労力が必要なものだから、3ゲーム目に時間切れで負けても気にすることないよ。
MOで能力に対するAuto Yield機能を使うことを覚えよう。そして全てのゲームで8のショートカットキーを使おう。(マナが立っていないときに使っても一秒も消費しないよ。)
1ゲーム目を勝つのに時間がかかりすぎることもあるから、そういうときに2ゲーム目が微妙な展開だったら、早めに投了して3ゲーム目で先手のゲームを早く始めよう。
この記事を楽しんでくれていると嬉しいね。パウパーの世界に導いてくれたSarlangaと、パウパーの環境やトロンについて考えを共有してくれたRaptor56にはここで感謝を伝えたい。