Translated by Kohei Kido
(掲載日 2020/09/10)
はじめに
みなさん、こんにちは!
直近7週間で私は幸運にもMagic Online(以下MO)のLegacy Challengeで9回もトップ8にランクインできました。内訳はバントオムニテル、青赤デルバーが1回ずつ、スニーク・ショーが2回、ティムールデルバーで5回です。
ティムールデルバーのデッキガイドが欲しいと複数人からリクエストをもらったので、今日はそれについて話します。デッキの歴史や製作過程については深入りせず、現在のレガシーのメタゲームにおける様々なマッチアップでの戦い方について話します。
私はデルバー戦略よりもスニーク・ショーを使っていた時間の方が長いですが、この記事が有益な情報と楽しい時間を提供できることを祈っています。さっそくマッチアップガイドに入りましょう!
3 《Volcanic Island》
2 《溢れかえる岸辺》
2 《霧深い雨林》
2 《汚染された三角州》
2 《沸騰する小湖》
1 《樹木茂る山麓》
4 《不毛の大地》
-土地 (19)- 4 《秘密を掘り下げる者》
3 《戦慄衆の秘儀術師》
3 《タルモゴイフ》
2 《わめき騒ぐマンドリル》
-クリーチャー (12)-
各マッチアップの戦い方
ミラーマッチ(ティムールデルバー)
まずはティムールデルバーから始めたいと思います。今もっとも多いマッチアップですからね。
メインゲームでは様々な展開が考えられます。お互いに《不毛の大地》を4枚使っていて基本土地は0枚であることが多いので、片側がマナスクリューに陥って相手が独走した結果、試合にならないことも時折あります。
こういった展開になった場合、数年前よりもゲームがさらに早く終わるようになっているかもしれません。というのも、《戦慄衆の秘儀術師》は対処されなければ、対戦相手にとって挽回するのは難しい状況にするためです。
それでも土地0枚でターンを渡したゲームで逆転した経験はあります。そういうときは次のターンに《わめき騒ぐマンドリル》を着地させられていることが多いですね。
この事実は私たちにメインゲームで重要なもうひとつの構造について教えてくれます。緑のクリーチャーです。
対戦相手の《タルモゴイフ》(通例2~3枚入っている)と《わめき騒ぐマンドリル》(通例2枚ほど入っている)に対処するには複数の《稲妻》か《王冠泥棒、オーコ》が必要で、より多くの緑のクリーチャーを引いて着地させたプレイヤーはミラーマッチでかなり有利になります。
一方で《戦慄衆の秘儀術師》は対処されなければ強力ですが、デッキに5枚入っている《稲妻》《稲妻の連鎖》によってきれいに対処されてしまいます。
緑のクリーチャーの強さを考えれば、序盤は隙を見せないように心がけ、相手が《タルモゴイフ》を着地させるタイミングを見つけにくくしたほうがいいでしょう。
たとえば2ターン目に《戦慄衆の秘儀術師》のためにフルタップでターンを渡してしまうと、手札に《目くらまし》を持っていたとしても、対戦相手が《目くらまし》を握りながら《タルモゴイフ》を唱えてきたら、窮地に立たされます。
他に可能な行動があって、それによって大きくテンポロスしないならば、《戦慄衆の秘儀術師》の優先度を下げ、対戦相手の緑のクリーチャーを着地しにくくするのは、メインゲームで使い得る戦略です。
とはいえ、メインゲームであっても、相手の側に緑のクリーチャーが着地してしまったら即敗北を意味するわけでもありません。自分も緑のクリーチャーを出してにらみ合いにすればいいのです。
あるいは、緑のクリーチャーを巡ってカウンター合戦を繰り広げた結果として発生した隙を突いて《オーコ》を着地させてもいいでしょう。メインゲームではまだ《紅蓮破》系のカードが使えませんから、《オーコ》で《タルモゴイフ》や《わめき騒ぐマンドリル》に対処できることも少なくありません。
ミラーマッチでのゲームのパターンと複雑さについては他にも議論の余地がある事柄は多いです。たとえば相手が《秘密を掘り下げる者》から入ったときに、後手の自分は《不毛の大地》を使うべきなのかどうか、相手がフェッチランドを使用したかどうかという情報はその判断の中でどれほど考慮すべきか、といったケースもそうですね。
正解か間違いかという話ではなく、個人的なプレイスタイルの好みになるとは思います。ただ、後手の時点で不利ですし、相手が2枚目の土地を持っていた場合にテンポロスすることよりも、相手が土地を1枚しか握っていなかったときに《不毛の大地》で破壊して勝利を拾える可能性を重視すべきだと私は思います。
もうひとつTwitter等で話題になっていた例は、(お互いにミラーマッチをプレイしていると1ゲーム目から知っていたとして)土地を1枚しか持っていない状況で《思案》か《定業》も選択肢にある場合に、1ターン目は《秘密を掘り下げる者》から入るべきなのかという問題です。
こういった問いに客観的な正解を導き出すことはやはり難しく、判断にはより詳細な背景も必要なのですが、些細に見える判断がデルバー同士のミラーマッチに与える影響の大きさを垣間見ることができるでしょう。
サイドボーディング
対 ティムールデルバー (先手)
対 ティムールデルバー (後手)
後手でも《運命の神、クローティス》をサイドインすることが多いです。ただ、機能し始めるまでに1ターンかかりますし、《目くらまし》は後手でサイドアウトされることはあっても先手ではほぼサイドアウトされることはありませんから、《クローティス》は後手では遅すぎることもあります。
デルバーミラーでは、《目くらまし》を絶対にサイドアウトしないほうがいいでしょう。攻めるときに使っても守るときに使っても一番大きくテンポを取れるカードであり、ミラーマッチのベストカードだと考えています。
サイドボード後のゲームでは、《紅蓮破》《赤霊破》が投入されるため、緑のクリーチャーを中心にゲームが回るとともに、《オーコ》の影響力は落ちます。《オーコ》に《紅蓮破》系で対処する場合、できることなら《目くらまし》に引っかからないようにしましょう。「食物トークン」を生成されるのは受け入れ、自分のターンに土地をアンタップしてから《オーコ》に《紅蓮破》系を放つのです。
《オーコ》がスタックに乗っていて《目くらまし》を回避できる状況だとしても、《夏の帳》に引っかからないように、解決させてから相手の終了ステップに《紅蓮破》系を使うことを選択肢に入れておきましょう。
今まで書いたことは全て状況次第ではあって、あえて《目くらまし》に引っかかりに行くこともあります。たとえば自分のターンに《クローティス》を着地させることを容易にしたいときです。
ティムールデルバーを使い始めたときはミラーマッチで《クローティス》を使うことに自信を持てなかったものの、今ではサイドボードの選択肢でもっとも強い部類のカードだと考えています。対戦相手が圧倒的なボードアドバンテージを持っていない限り、ライフレースをすることは困難になり、《戦慄衆の秘儀術師》を弱体化させ、《タルモゴイフ》を小さくし、特に《水没》させた場合は効果的ですが《わめき騒ぐマンドリル》の展開を遅らせることもできます。
《水没》は影響力のある緑のクリーチャーに対してマナを払わずに対処する手段です。とはいえ、困難な状況に立たされ、ライフが0にならないようにクリーチャーをデッキトップに置くためだけに《水没》を使わざるを得ないこともあります。
理想をいえば、相手がフェッチランドを起動した瞬間に唱えてライフレースに勝利するテンポをとるプレイングにしたり、《秘密を掘り下げる者》が裏面になるのを防ぐために他のクリーチャーを《水没》させたり、《戦慄衆の秘儀術師》が墓地から唱えられる呪文をデッキトップから引いてこられないようにして使いたいものです。
さらにいえば、自分のゲームプランを立てるときは相手が《水没》を持っている可能性を考慮したいですが、勝つためには緑のクリーチャーに依存しているので、緑マナが出る土地をフェッチしないようにして回避するのは困難です。それでも、他に選択肢がないのでなければ自分の《タルモゴイフ》がデッキにシャッフルされてしまわないようなタイミングにフェッチランドを起動するように努めるべきです。
氷雪オーコ
《アーカムの天測儀》《オーコ》《自然の怒りのタイタン、ウーロ》の3つを用いた戦略には多様なパターンがあるものの、古典的でもっとも頻繁に対戦する4色か5色の氷雪オーココントロールデッキと《オーコ》入り「奇跡」デッキに焦点を絞って話します。
《アーカムの天測儀》で色マナを出すことで《不毛の大地》に対して隙を見せず、《オーコ》と《ウーロ》(と時々《氷牙のコアトル》)を勝利手段とし、《剣を鍬に》や《突然の衰微》から《真冬》のような全体除去まで除去を取り揃えているので、氷雪オーコはティムールデルバーにとってもっとも難しいマッチアップのひとつです。
メインデッキの除去一式に4枚の《氷牙のコアトル》、4枚の《突然の衰微》、4枚の《剣を鍬に》に加えて2枚の《真冬》が入っているデッキ構成であれば、メインゲームで勝利するのは難しいです。
大量に積まれた除去以外でも、《ウーロ》は序盤のダメージやテンポロスを挽回するために多大なる働きをします。《真冬》(「奇跡」型であれば《終末》)を持っている可能性があっても、序盤からダメージを最大化して相手が《ウーロ》のライフゲインでゲームを立て直すことを回避しなければならないので、全体除去をケアして立ち回れることは稀です。
もし盤面が互角か、相手が除去1枚で互角にできる状況でゲームが遅くまで続いてしまったら、ゲームの勝利を相手から奪還することは困難です。序盤に出せるクロックを守るように立ち回るか、3ターン目の《オーコ》までに複数のクロックを出せるようにできれば、火力呪文の手を少し借りてゲームを終わらせられるかもしれません。
相手のマナ基盤が挑戦的なものであるということは、相手が土地事故を起こしてしまうこともあるということを意味しています。《アーカムの天測儀》が出せなければなおさらそうです。相手が基本ではない土地を多く使っていないとはいえ、1枚くらいフェッチしなければならない状況は発生することがあって、《不毛の大地》によって重要なテンポアドバンテージを取るチャンスが生まれます。
ティムールデルバーにとって《氷牙のコアトル》は強いカードですが、出てくる気配を察することは容易なことが多く、4枚の《稲妻》と1枚の《呪文嵌め》で対処できます。
サイドボーディング
対 氷雪オーコ (先手)
対 氷雪オーコ (後手)
このサイドボードプランは仮のもので、対戦相手がどういうタイプの氷雪オーココントロールを使っているかで調節するべきです。(赤なしの)4色もしくは「奇跡」のデッキを相手にしたときには《意志の力》がより使いやすくなります。相手が《終末》や《天使への願い》のようなより影響力のある打ち消し必須の呪文を使ってくるからです。相手に応じて《意志の力》や《目くらまし》、《不毛の大地》、《稲妻》の枚数は気軽に調節していいでしょう。
特に《目くらまし》は氷雪オーコを相手にしたときに面白いカードです。《目くらまし》(とある程度は《不毛の大地》)を減らせば減らすほど、相手と同じ「フェア」なゲームをしようとすることになるので、全てデッキに残したいと思っていたこともありました。
《目くらまし》と《不毛の大地》を残しておけば、序盤のテンポを取りに行くプレイングによって相手から勝利を掠め取ることができます。ですが、ある程度減らすのが正しいことが多いと今は感じています。たとえ《目くらまし》がデッキに入っていてもゲームは長引き、《目くらまし》はいずれ不要な手札になりますからね。
相手のデッキについては、除去が元々メインデッキにたくさん入っているので内容がサイドボード後もあまり変わりません。《疫病を仕組むもの》は《氷牙のコアトル》と違って《紅蓮破》系のカードが効かないため嫌なカードなので、《稲妻》を4枚デッキに残すことがあります。
《紅蓮破》《赤霊破》はサイドボード後に多様な使い道があるカードです。相手が1ターン目に唱えた《思案》を打ち消したいこともあります。特に2ターン目に《戦慄衆の秘儀術師》のようなフルタップになる動きをしたいときです。とはいえ、相手の重要な呪文を打ち消すことに使うことがほとんどではありますね。
《クローティス》と《森の知恵》《冬の宝珠》はどれもゲームに与える影響力が強く、それぞれ異なる意図を持つパーマネントです。《クローティス》に至っては《突然の衰微》耐性があります。《クローティス》は勝利につながるカードで、《ウーロ》や《瞬唱の魔道士》《神秘の聖域》の対象となる呪文を墓地から追放できます。
もし「奇跡」を使う相手に対してダメージを確実に与えたいなら、《瞬唱の魔道士》を使って対象不適正にされないように、ソーサリー(かクリーチャー/プレインズウォーカー/エンチャント)を対象にとるようにしましょう。また、《ウーロ》を《紅蓮破》して《クローティス》で追放したいなら《ウーロ》をアップキープに破壊する必要があることも覚えておきましょう(相手のターンにフルタップだった場合)。
《森の知恵》は効率よくカード・アドバンテージが得られて、2ターン目に置ければ強烈です。《突然の衰微》で鮮やかに対処されることもありますが、相手があなたのクリーチャーと《オーコ》に使える除去が減ります。
でもライフを気軽に使いすぎるのには少し気を付けてください。もし《森の知恵》でライフが10を下回っており、相手の《オーコ》が着地してしまうと、《アーカムの天測儀》か《氷牙のコアトル》が突如として無視できないクロックになります。そこまで頻繁に問題になるようなことではないですけどね。
《冬の宝珠》もゲームを決定づけられるパーマネントで、手札で使い道のなくなってしまった《目くらまし》を使えるようにしてくれます。自分がマナで遅れをとる展開になりうるので、《森の知恵》と違っていつでも2ターン目に出せばいいものではありません。相手が土地の多くをタップしてしまった隙に出すことで《冬の宝珠》の効果を最大限に活用できるので、できればそうしましょう。
《森の知恵》と同様に《突然の衰微》は《冬の宝珠》に対して相手ができる最高の対処法です。相手が《オーコ》を使って対処すると私たちが3/3の「大鹿」を得ながら先に土地を全部アンタップできるので、《オーコ》は《突然の衰微》には劣る対処法です。
ライフを削り切るために自らの《オーコ》で《冬の宝珠》を3/3の「大鹿」にするのも選択肢ではありますが、《剣を鍬に》のような除去で破綻しない自信がある状況でだけ行うべきです。
相手にとって《冬の宝珠》に対処する《突然の衰微》以外の良い方法は《花の絨毯》です。私のデッキリストには着地した《花の絨毯》に対処する手段はなく、氷雪オーコのデッキリストで採用例が増えていることを考えると、サイドボードに《自然への回帰》や《燃えがら蔦》を多少入れるべきかもしれません。
黒緑デプス
ティムールデルバーはどの型の黒緑デプスに対してもサイドボード前は不利で、特に《真髄の針》で《不毛の大地》を使えないようにしてくるターボデプスに対しては不利です。
こちらも素早く攻められるような引きができることを祈るしかなく、たとえば2ターン目に《戦慄衆の秘儀術師》を出すことでメインデッキに入っている相手に干渉できるカード、つまりは《不毛の大地》と《オーコ》を探しに行ける、といった状況が理想的です。
《オーコ》は《真髄の針》を「大鹿」に変えることで《不毛の大地》を再び使えるようにするだけではありません。相手が《不毛の大地》を回避するために相手のターンや自分のアップキープにコンボを起動した場合、あるいはとどめを刺されるのを防ぐために戦闘中に起動しなければならなくなった場合、相手の「マリット・レイジ」を変身後の《秘密を掘り下げる者》でブロックして時間を稼いだ場合等に「マリット・レイジ」自体を「大鹿」化してしまうことも可能です。
0マナで使える打ち消し呪文があなたを助けてくれることもありますが、前方確認のためのハンデス呪文の存在や《暗黒の深部》と《演劇の舞台》のコンボを自然に引く状況がありうることで、相手は《意志の力》に打ち勝つ用意がそれなりにできています。
序盤の《目くらまし》は特に使いにくく、《戦慄衆の秘儀術師》や《オーコ》を唱えられるターンが遅れるだけでなく、中速の黒緑デプスすら2枚ほど採用し始めている《Elvish Spirit Guide》で無効化される可能性もあります。でもサイドボード後は状況が良くなります。
サイドボーディング
対 黒緑デプス (先手)
対 黒緑デプス (後手)
すでに説明した理由から先手でも後手でも《目くらまし》は全てデッキから抜きます。相手のデッキリストを知っていて、そのため《Elvish Spirit Guide》を恐れなくていいとわかっている状況ならそれに合わせてサイドボードしてください。
《稲妻の連鎖》と《稲妻》は相手が《闇の腹心》を使っていないなら抜く余地のあるカードですが、火力呪文が生み出す追加のクロックはとても貴重なものでもあります。
緑のクリーチャーを減らすことも選択肢ではありますが、相手に序盤からクロックをかけられるクリーチャーは入れられるだけ入れたいところです。「マリット・レイジ」の存在を無視して全クリーチャーでアタックすることで勝利するゲームは多く、打撃力のあるクリーチャーを次々と場に出すゲームプランはそれを可能にします。
《水没》と《巻き添え》は「マリット・レイジ」を実際に除去できる方法ですが、《水没》は「森」をプレイもしくはフェッチしてくるのを避けることで回避できる上に、《輪作》から《セジーリのステップ》を出す動きや《この世界にあらず》《夏の帳》《森を護る者》によって対処することも可能です。《巻き添え》はこれらの対抗策が全て効かないのでとても手際よく「マリット・レイジ」を処理できます。
《外科的摘出》はゲーム展開次第では不要なカードですが、相手が2回目のコンボに挑戦する権利を奪える便利さがあります。理想としては《暗黒の深部》を《不毛の大地》で破壊したあとに使用したいのですが、《吸血鬼の呪詛術士》や《演劇の舞台》のような他のコンボパーツも対象として意味があります。
《古えの遺恨》は《真髄の針》に対する追加の除去カードになります。2ターン目に《モックス・ダイアモンド》に使うことをためらわなくていいです。「フラッシュバック」が将来出てくるかもしれない《真髄の針》に対して使えます。
黒緑デプスを使っている相手はサイドボード後に《突然の衰微》と《暗殺者の戦利品》の枚数が増えて、私たちのクロックを遅くしたり《オーコ》を処分するカードを増やせます。《オーコ》といえば、サイドボード後は「マリット・レイジ」や《真髄の針》に対する解答としての性能は低下します。相手が何枚か《夏の帳》をサイドインしますからね。
エスパーバイアル
白いクリーチャーを用いた《霊気の薬瓶》戦略の中でレガシー最高のデッキとしての地位をデス&タックスから奪ったデッキです。《不毛の大地》(エスパーバイアルでは2枚入っていることが多いです)や《リシャーダの港》、《スレイベンの守護者、サリア》といったマナ基盤を否定していくカードがデス&タックスよりも減っているので、私にとっては多少やりやすくなっています。
どの《霊気の薬瓶》デッキでもそうですが、早々に《霊気の薬瓶》を出されたメインゲームはかなり相手しづらくなります。《オーコ》は《霊気の薬瓶》に対する解答になりますが、1ターン目に出されていれば既に手遅れになっているかもしれません。どちらにしろ、合計6枚の《意志の力》と《否定の力》、《呪文貫き》と《目くらまし》(もちろんこの2つは先手の場合だけです)によって早い《霊気の薬瓶》の着地を許さない用意はできています。
《悪意の大梟》や《護衛募集員》、《時を解す者、テフェリー》のようなバリューのあるカード以外だと《翻弄する魔道士》ですら面倒なことになることがあります。たいてい《稲妻》を指定されるからです。それでも土地を順調に伸ばしていって、早めに攻撃しにいけるクリーチャーや《戦慄衆の秘儀術師》を出せれば相手にとっても楽な試合ではなくなります。特に早期に《霊気の薬瓶》を出せなかったことによってテンポで出遅れている相手にとってはそうでしょう。
相手もティムールデルバーに対抗するためにはテンポよく展開できることに依存しているので、《目くらまし》を回避するために1ターン遅らせることはできないことが多いです。もしも試合が長引いて《目くらまし》が手札で不要なカードになったり、相手の《剣を鍬に》や《悪意の大梟》のせいで盤面が劣勢になったりしたとしても、タイミングよく《オーコ》がデッキから駆けつけてくれれば逆転できる傾向にあります。
しかしながら、相手が一度《魂寄せ》《ちらつき鬼火》《悪意の大梟》《護衛募集員》のバリューを生むシステムを完成させて、《宮殿の看守》すら一団に加わってしまうと、ティムールデルバー側が追いつけないような優位を相手は築いてしまいます。
サイドボーディング
対 エスパーバイアル (先手)
対 エスパーバイアル (後手)
サイドボード後に《猛火の斉射》を入れる余地が本当にあるのかは疑問を持っています。入れるとすれば《定業》の代わりかもしれません。《森の知恵》は後手でも入れる可能性はあるかもしれませんが、後手ならばカード・アドバンテージよりもテンポの心配をした方がいいでしょう。
サイドボード後も相手のデッキの内容は大きく変わるわけではなく、4枚目の《剣を鍬に》に加えて《流刑への道》や《取り除き》が追加の除去呪文として加わるくらいです。
《無のロッド》と《古えの遺恨》がサイドインできるので、着地してしまった《霊気の薬瓶》もメインゲームほどは恐ろしくないです。《紅蓮破》《赤霊破》は効果てきめんで、脅威となる相手のカードの多くと安いマナ・コストできれいにトレードすることができます。それぞれ2枚ずつに散らした4枚体制なので《翻弄する魔道士》を対処しやすくなっており、《稲妻》を指定することによる脅威も低下しています。
エルドラージストンピィ(白黒/白緑)
歴史的にはデルバーにとってもっとも厳しい対戦相手でしたが、《オーコ》の加入によってより互角に近い戦いができるようになりました。1ターン目に《虚空の杯》を置かれて圧倒される試合はまだ存在しますが、《オーコ》と《タルモゴイフ》《わめき騒ぐマンドリル》のおかげで《難題の予見者》と《現実を砕くもの》がいるような盤面から逆転できることも以前よりは多くなり、1ゲーム目の《虚空の杯》も絶対に打ち消さなくてはならない存在ではなくなりました。
エルドラージデッキに対する《戦慄衆の秘儀術師》の強さはかなり幅があって、場に《虚空の杯》もしくは複数の《作り変えるもの》があって栄光ある《従者》にしかならないこともあれば、手札から唱えた《稲妻》を墓地からも唱えて《難題の予見者》を処理し、独走態勢に入れる可能性もあります。
《変位エルドラージ》と場合によっては《疫病を仕組むもの》が最近はエルドラージデッキに足されていて、除去呪文かテンポ/ボードのアドバンテージをこちらが持っていないと突破できません。
古典的なデルバーの序盤に引きたいカードと《不毛の大地》の組み合わせ、それにいいタイミングで引いた打ち消し呪文が典型的な勝利パターンになりますが、先ほども言ったように緑のクリーチャーと《オーコ》の組み合わせもロングゲームを制する手段になります。
サイドボーディング
対 エルドラージストンピィ(白黒/白緑)
《クローティス》と《森の知恵》も議論の余地があるとは思いますが、エルドラージとの試合はライフレースになりやすい、もっと言えば相手のクロックが大きいことを考えると、どちらも間に合わないことが多いと思っています。
《古えの遺恨》に「フラッシュバック」が付いていることがこのマッチアップでは2枚目の《虚空の杯》も処理することを可能にするので最高です。
全ての打ち消し呪文がデッキに残ったままなのは、積極的にそうしているというよりはデッキリストの関係でそうせざるを得ないのですが、全て使えることは便利であることが多いです。でも相手のデッキの構造上、《魂の洞窟》と高速で伸びるマナ基盤のせいで《意志の力》と《目くらまし》は容易に対応されてしまいがちです。
《否定の力》は《虚空の杯》に対する追加の解答になり、サイド後は《剣を鍬に》と《取り除き》も対処したいカードです。もし手札がすでに《虚空の杯》に対処できそうな手札なら、《むかしむかし》を1ターン目に《否定の力》で打ち消すのもありうるプレイングではありますが、私はやるのには若干抵抗があります。
さらに言えば、もし可能なら《目くらまし》の使い方について慎重に考えてみるべきです。相手の土地基盤の伸びと《魂の洞窟》の存在を考えると、序盤に相手が出そうとしたクリーチャーに対して《目くらまし》を使うのは一見当然に見えるかもしれません。しかし、一方では《オーコ》や《タルモゴイフ》《わめき騒ぐマンドリル》を最速で出したい場合がほとんどであることを考えると、「島」を手札に戻したことによるテンポロスが試合を決定づけてしまうことがあります。
《Elvish Spirit Guide》をマナ加速として導入しているデッキリストもあり、黒緑デプスでお話ししたような問題と同じことが発生します。《目くらまし》は《Elvish Spirit Guide》で痛い目を見るかゲームに大きく影響するようなテンポロスを受け入れるかの二択を迫られるカードなので、理想を言えば特に後手ではサイドボード後に《目くらまし》を全てデッキから抜きたいです。
しかしながらこのデッキリストは《目くらまし》を抜けるようにできていません。ですから《Elvish Spirit Guide》による裏目や相手に立ち遅れるリスクについて心配するくらいなら《目くらまし》の力を喜んで受け入れるつもりでいましょう(でもリスクについては頭に入れておいてください。)
エルフ
《アロサウルス飼い》が追加されたことにより、エルフの部族デッキはレガシーのメタ上位に返り咲きました。とても爆発力のあるターンを生むことができるデッキですから、エルフを相手にしたときにとれる一番いいゲームプランは、相手にターンを渡したときにアンタップするクリーチャーとマナを最小化することです。相手の盤面のクリーチャーを極力減らしたとしても、デッキトップから《垣間見る自然》が引かれれば相手の軍団はあっとういう間に再建されるおそれはあります。
《戦慄衆の秘儀術師》が相手に対して一番効くカードで、キャントリップを介して《稲妻》や《不毛の大地》をより多く探し、火力呪文を墓地から唱えることで相手の盤面を更地にし続けられます。《戦慄衆の秘儀術師》が引けなくても、序盤に《秘密を掘り下げる者》か《わめき騒ぐマンドリル》を出して相手のフィニッシャーとなる呪文に対して打ち消し呪文を構え続けられればゲームに勝利できます。
《タルモゴイフ》は《わめき騒ぐマンドリル》よりも少し使い勝手が悪いです。《ワイアウッドの共生虫》とエルフが一体いれば《タルモゴイフ》はブロックされ続けてしまいます。《ワイアウッドの共生虫》はほとんどの場合で必ず除去しなければならないクリーチャーではありますが、《わめき騒ぐマンドリル》なら《ワイアウッドの共生虫》がいても追加のドローをもたらす《エルフの幻想家》が相手の側に加わらない限りは突破することができます。
《オーコ》は他のクリーチャー中心デッキを相手にしたときほどはエルフデッキには有効ではありませんが、それでも一番厄介なクリーチャーに対しての追加の除去方法としては使用できて、相手が展開で立ち遅れれば致命的な3ターン目の行動として使えます。さらに、相手が《自然の秩序》や《孔蹄のビヒモス》からの勝利を達成できない試合では、3/3の「大鹿」自体が相手の1/1と2/2の軍団に対して有効です。
サイドボーディング
対 エルフ (先手)
対 エルフ (後手)
《水没》は相手にとって回避困難な0マナの除去として使えます。相手はマナ基盤を伸ばすために、主に《ドライアドの東屋》を探すことになるフェッチランドを使うので、相手のクリーチャーをシャッフルさせてしまえる隙が生まれます。1ターン目に普通にプレイされた《ドライアドの東屋》に対して《水没》を使うことさえ致命傷になることがあります。
ゲーム後半になれば《水没》でゲームに影響を持たなくなったクリーチャーをデッキトップに戻すことで「疑似的な《Time Walk》」として使用することもできます。相手がデッキトップから《自然の秩序》や《緑の太陽の頂点》、《垣間見る自然》を引いてくることを防ぐことやライフレースで優位に立つことを可能にします。
《猛火の斉射》は全体除去として使えて、《戦慄衆の秘儀術師》で再び使用することもできて、サイドボードに入っているカードの中ではエルフを相手にしたときに最強のものです。
ティムールデルバーを使い始めた頃は遅すぎるカードだと思っていたので《オーコ》を全て抜いてしまうことが多かったのですが、(《オーコ》がいなければ試合が終わってしまうような《武勇の場の執政官》に対してさえも)汎用性のある除去の手段を用意するという役割を持っていることに気付き、また(自分が当初思っていたよりも頻繁に発生する)長く一進一退になるゲームでは活躍します。
エルフ側は何枚か《突然の衰微》をサイドインしてくるので、《戦慄衆の秘儀術師》はメインゲームほどにはゲームを主導しづらくなり、《秘密を掘り下げる者》で早期に相手のライフを削り切るゲームプランも上手く行きづらくなります。《窒息》で盤面を崩壊させられる危険性について覚えておく必要がありますが、打ち消し呪文一式がそれに対する備えになっています。
ゴブリン
もうひとつ部族デッキで強化を受けたものがあり、《上流階級のゴブリン、マクサス》が追加されたゴブリンデッキです。《上流階級のゴブリン、マクサス》が出る前はミッドレンジのアドバンテージによるゲームを展開することが多いデッキでしたが、《ゴブリンの従僕》によって出せるゲームエンド級のカードを得ました。
ありがたいことに、相手が勝ち手段を整えるのに有効なカードのほとんどに対処できるカードはたくさん入っていますが、相手が先手の1ターン目から《ゴブリンの従僕》を出してきたときには無防備なまま圧倒されてしまうことがあります。相手のデッキもわからないのに《稲妻》か《秘密を掘り下げる者》を探してマリガンすることなんてできませんからね。
このマッチアップでも着地してしまった《霊気の薬瓶》は試合のかじ取りを難しくするので、優先的に打ち消すべきです。《上流階級のゴブリン、マクサス》が相手の勝利手段になることは多いものの、《ゴブリンの従僕》や《霊気の薬瓶》、《魂の洞窟》から打ち消せない状態で出てくることも多い《ゴブリンの首謀者》を活用して強力なミッドレンジのゲームを展開してくることも相手にはできます。
《ゴブリンの従僕》か《霊気の薬瓶》を相手がコントロールしている状況ではなければ、相手が大きな動きを見せる3ターン目(《ゴブリンの酋長》、《ゴブリンの女看守》)と4ターン目(《ゴブリンの首謀者》、《投石攻撃の副官》)になる前に《不毛の大地》を使うことで試合が決着することも多いです。
エルフと同様に《戦慄衆の秘儀術師》がもっとも頼れる勝利への道筋となります。とはいえ相手は《飛び道具の達人》や《宝石の手の焼却者》、《紅蓮操作》がメインデッキから入っていて対処できる可能性があります。今回も《タルモゴイフ》より《わめき騒ぐマンドリル》の方が頼れます。チャンプブロックがあまり効きませんからね。《オーコ》もライフレースに勝利する手段になりますが、《投石攻撃の副官》を絡めた全クリーチャーによる攻撃に対して間に合っていない状況も発生します。
サイドボーディング
対 ゴブリン
ゴブリンがエルフと違ってソーサリーではなくクリーチャー呪文によってゲームに勝利するとはいえ、後手なら《否定の力》の代わりに《目くらまし》を2枚抜くことを考えてもいいです。4ターン目に《ゴブリンの首謀者》か《投石攻撃の副官》に《目くらまし》を浴びせるのが相手に対してできる一番強力なプレイングのひとつで、相手はいつでも《魂の洞窟》を引けているわけではありません。だから私はゴブリン相手に《目くらまし》を使える状態にしておくほうが好みです。
《古えの遺恨》と《無のロッド》は《霊気の薬瓶》への解答になって(《古えの遺恨》は《大祖始の遺産》と《墓掘りの檻》に対する解答にもなります)、《猛火の斉射》は全体除去でありながら1ターン目から相手が《ゴブリンの従僕》を出してきたときの自衛手段にもなります。
相手はサイドから追加の除去、主に《秘密を掘り下げる者》と《オーコ》を標的にした《紅蓮破》系のカード、《戦慄衆の秘儀術師》《わめき騒ぐマンドリル》《タルモゴイフ》を止めるための墓地対策カードをサイドインしてきます。
ホガーク
ホガークデッキはティムールデルバーにとってもっとも難しいマッチアップのひとつです。相手の序盤の準備に対する打ち消し呪文と組み合わせて《秘密を掘り下げる者》で速いスタートを切れなければ、とても厳しい試合になります。もしそれができたとしても相手の序盤の動きは妨害に強く、《甦る死滅都市、ホガーク》の準備をする黒の軽量クリーチャーだらけなのでライフレースは非常に厳しくなります。
相手にとって必要ないことも多いですが、《狂気の祭壇》は手軽に勝利条件を満たすカードで、《甦る死滅都市、ホガーク》と組み合わさるとそのまま致命的になります。ティムールデルバー側の緑のクリーチャーは相手の小型クリーチャーに対して強力ですが、一度《甦る死滅都市、ホガーク》が出てしまえばもはや役立たずになります。《オーコ》は《甦る死滅都市、ホガーク》に対する解答になりますが、手遅れであることも多いです。
このマッチアップでは、相手が序盤に唱える《縫い師への供給者》や《面晶体のカニ》、《入念な研究》を止められない限り、《戦慄衆の秘儀術師》が試合を支配することは稀です。それでも《戦慄衆の秘儀術師》はある程度便利ではあります。相手の2/1のクリーチャーに対して出したターンには壁になって、火力呪文を探したり墓地から唱えたりすることで、序盤に《秘密を掘り下げる者》を出せた試合でクロックを増やす補助的な役割を果たせます。
残念ながらホガークデッキに対する切り札は(メインデッキにもサイドボードにも)持っていないので、いくつかある不利なマッチアップだと受け入れるしかありません。それでもティムールデルバー側が上振れした引きをすれば、勝つ余地はあります。(たとえば1ターン目《秘密を掘り下げる者》、相手の《縫い師への供給者》に《目くらまし》、2ターン目も《秘密を掘り下げる者》など)
《黄泉からの橋》を使うデッキを相手にしたときは、自分のクリーチャーを死亡させることによって相手の《黄泉からの橋》を処理できることを忘れないでください。
サイドボーディング
対 ホガーク (先手)
対 ホガーク (後手)
《クローティス》は間に合わないことが多いですが、間に合ったときには試合を勝利に導いてくれます。《水没》は使用できないことも多いものの、《クローティス》が動き出すまで時間を稼ぐゲームプランの助けになって、《甦る死滅都市、ホガーク》を《水没》することに成功して相手が手札から唱え直せなくなる状況もときにはあるでしょう。
《外科的摘出》は《虚空の力線》のような他の墓地対策カードほどの影響力はありませんが、それでも相手のゲームプランを覆すために堅実に仕事を果たします。相手の《甦る死滅都市、ホガーク》を対象にとることに成功すれば、あなたの緑のクリーチャーたちは相手が《甦る死滅都市、ホガーク》よりも小さいクリーチャーを使って勝利しようとすることを止めるのに素晴らしい働きをします。
ホガークデッキを使っている対戦相手は追加の除去(《突然の衰微》《暗殺者の戦利品》)をクリーチャーと《オーコ》に対して使えるようになります。相手は《戦慄衆の秘儀術師》対策に《虚空の力線》をサイドインすることもできますが、相手のデッキに入れ替えられる枠があって、その価値があるのかは疑問です。
青緑オムニテル
レガシーの《実物提示教育》を用いた他の強力なデッキであるショー・テルとは違い、オムニテルは序盤に円滑に《実物提示教育》等を唱えるための下準備となるカードを出すことをそこまで重視していません。マナ加速と下準備の代わりにティムールデルバーに対しても強い《氷牙のコアトル》や《ウーロ》のようなバリューのあるカードを入れています。
しかしショー・テルよりも相手の速度が落ちているので、序盤に優位になることは相対的に簡単になっていて、相手にとって最大の脅威となる《戦慄衆の秘儀術師》で独走態勢に入ることも可能です。
相手は《実物提示教育》を《目くらまし》に引っかからない状況まで温存するのに対し、《氷牙のコアトル》を2ターン目に唱えてくることが多々あります。ですから、すでに《実物提示教育》に使える《意志の力》《否定の力》を持っていて《稲妻》は持っていないなら、相手の序盤の《氷牙のコアトル》に《目くらまし》を使ってしまってもいいです。相手は《意志の力》《否定の力》に対して《実物提示教育》を押し通すのに《夏の帳》に依存していることが多いので、《目くらまし》は相手がコンボを決めようとするターンまで使用を遅らせることもあります。
相手が《実物提示教育》で《全知》(デッキに4枚)を経由せずに《引き裂かれし永劫、エムラクール》(デッキに1~2枚)を出すことは稀なので、《オーコ》が強力な場面は少ないです。しかし相手が《ウーロ》によるミッドレンジの試合での勝利に頼っているなら《オーコ》はそれを止められます。
最悪でも6枚の《意志の力》《否定の力》のためにピッチできる青いカードです。相手が無事に通すための《夏の帳》か《意志の力》を持っていないのに《実物提示教育》を叩きつけてくることは稀であり、相手がコンボを決めようとするターンには2枚かそれ以上の《意志の力》《否定の力》が必要になることも多いです。
サイドボーディング
対 青緑オムニテル
上記のサイドボードプランでは《不毛の大地》を1枚削っていますが、相手が《すべてを護るもの、母聖樹》を使っていると認識している場合は《タルモゴイフ》か《稲妻》を追加でもう1枚サイドアウトすることを検討しましょう。
このマッチアップでは明らかに優れている《紅蓮破》《赤霊破》以外について説明すると、《外科的摘出》もサイドボード後は重要なカードです。オムニテルは《騙し討ち》を使わず、《実物提示教育》しか使いませんからね。でも《外科的摘出》を《実物提示教育》を対象に唱えたときに相手に《神秘の聖域》を出されないように気を付けてください。さらに《外科的摘出》は《ウーロ》への解答にもなります。
《巻き添え》は対象が限られ過ぎているかもしれませんが、《氷牙のコアトル》を除去できて、《引き裂かれし永劫、エムラクール》か《グリセルブランド》を処理して試合の勝利を奪い取ることもできることがあります。
《冬の宝珠》は試合に大きな影響をおよぼす可能性のあるカードでサイドインしたこともあります。近頃、《花の絨毯》が使われるようになったのでオムニテルを相手にしているときに《冬の宝珠》を使わなくなりました。
《花の絨毯》はマナ基盤を否定するための全てのカードの対策になっていますし、《花の絨毯》に《意志の力》《否定の力》はあまり使いたくありません。理想を言えば、《花の絨毯》は着地させてしまい、《実物提示教育》などの本命への打ち消し呪文を《目くらまし》や《呪文貫き》ではなく《意志の力》《否定の力》《紅蓮破》《赤霊破》にすることで、《花の絨毯》を”無視”してしまうことです。
《花の絨毯》を除けば、サイドボード後も相手のデッキの内容はあまり変わりませんが、《すべてを護るもの、母聖樹》を入れているデッキリストも存在します。見かけたら《不毛の大地》ですぐに破壊しなければならないカードであることが多いですが、《実物提示教育》が解決した後に《全知》から唱えられた呪文を対象に打ち消しを使ったり、キャントリップか何かを使ったタイミングで《全知》に《紅蓮破》《赤霊破》を使うことも可能です。
多くのコンボデッキ、特に遅いデッキについて言えることですが、打ち消しとクロックが混在した手札をゲーム開始時に持てるようにするべきです。
青黒忍者
レガシーのメタ上位に最近浮上したタイプのデッキです。忍者は強力なテンポ戦略で、8枚の「忍術」カードに対して解答を用意できないと圧倒されてしまいます。
(場に1体しか出ていなければ)《羽ばたき飛行機械》と《変わり身ののけ者》に除去を使うのが有効な状況もありますが、相手が「忍術」にマナを使ってから《虎の影、百合子》か《巧妙な潜入者》本人に《稲妻》を使った方がいいことが多いです。
しかし、相手が4マナまで到達してしまえば2回「忍術」を起動されて敗北につながる可能性があることを覚えておいてください。そういう場合は先ほど言った最初に出てくる小型クリーチャーに除去を使いましょう。
《改良式鋳造所》は「忍術」に使うクリーチャーを増量させますが、多くの場合はこのアーティファクト単体で、あるいは《羽ばたき飛行機械》と《変わり身ののけ者》を4/4の「構築物」に変えることで勝利手段になります。
《稲妻》を持っていないせいで1ターン目に出てくる小型クリーチャーに《意志の力》や《目くらまし》を使わなければならなくなることもありますし、《変わり身ののけ者》を打ち消したあとに《羽ばたき飛行機械》も唱えられると最悪の気分になりますが、打ち消し呪文の多くを《改良式鋳造所》のために温存しておく方が好きです。
相手の除去呪文は何枚か入った《致命的な一押し》と1枚ほどの《残忍な切断》で構成されていることが多く、《残忍な切断》は《悪意の大梟》のようなブロック要員や《改良式鋳造所》で作られた4/4「構築物」を除けば唯一の《わめき騒ぐマンドリル》への解答になっています。《オーコ》への解答として《突然の衰微》が使えるように緑を足したデッキリストもありますが、多くのデッキリストはまだ青黒です。
デルバー系デッキとは違い、《不毛の大地》は使わないことが多く、そのため互角か空白の盤面に《オーコ》を出してゲームを支配できるターンまでマナを伸ばすことは容易です。
それでも《改良式鋳造所》は序盤中盤終盤どの段階でも相手にとって同じ働きをすることを可能にしていて、《オーコ》が間に合わないこともあります。相手が先に《改良式鋳造所》を起動して得た4/4の構築物トークンを3/3の「大鹿」に変えざるを得なくなると、相手がもう1回《改良式鋳造所》の起動型能力を使って3/3の「大鹿」に加えてトークンクリーチャーを得る状況になり、特に厳しい状況になります。
《戦慄衆の秘儀術師》はここでもまた素晴らしい脅威となり、相手が「忍術」を使わずに直接唱えなければならないことがあれば、「忍者」たちをブロックする役割を果たしてくれます。
サイドボーディング
対 青黒忍者 (先手)
対 青黒忍者 (後手)
《霊気の薬瓶》デッキの場合と同様に、厄介な1マナのアーティファクト(《改良式鋳造所》)に対する解答として《無のロッド》と《古えの遺恨》が使えるようになります。《紅蓮破》《赤霊破》は相手の「忍術」カードと《悪意の大梟》に対して抜群の働きをします。
相手は除去や《疫病を仕組むもの》に加えてロックするためのエンチャントである《基本に帰れ》を入れることが多く、それに対しては4枚の《紅蓮破》系カードが解答となります。サイドボード後もゲームの基本的な仕組みはあまり変わらないので、多くの除去のある手札をキープして始めるのが好ましく、できれば《改良式鋳造所》への解答も持っておきたいですね。
おわりに
今日のところはこれで終わりです。最近はティムールデルバーを使うのがすごく楽しくて、レガシーで「一番の」デッキである可能性もありますが、氷雪オーコやホガーク、黒緑デプス/土地単そして《虚空の杯》系の戦略はどれもティムールデルバーが支配的になりすぎないように抑制できています。
スニーク・ショーについてはそれなりに良い立ち位置にあるデッキだとは思います。ティムールデルバーと当たったときに使える強力なゲームプランを用意できれば役立つでしょう。いつも感じていますが、レガシーのメタゲームが次にどこに向かうのかが楽しみです。
また次回お会いしましょう!読んでくれてありがとう!
ヨナタン・アンゲレスク (Twitter)