殻の後継者を探して ~無限コンボ~

Dmitriy Butakov

Dmitriy Butakov

(編注: この記事は『ゼンディカーの夜明け』全カードリストが公開される前に執筆されたものです)

Translated by Kohei Kido

原文はこちら
(掲載日 2020/09/28)

殻の遺伝子

みなさんごきげんよう。

出産の殻

私がマジック史上最も好きなカードの一つが《出産の殻》だ。とんでもない強さのカードで、今でも弱体化させて似たような効果のカードを刷る努力が続けられている。今日は《出産の殻》に敬意を表してモダンのクリーチャーコンボデッキについて語っていこう。

環境にあるサーチ効果

まずはサーチ効果のあるカードについて考えてみよう。

《新生化》

新生化

現在のモダンにおいて青と赤はクリーチャー中心のコンボデッキに足したい色ではない。青か赤を足して可能になることは、デッキにとって核心的ではないか、他の色でもできることだ。

今日はこのカードを使ったコンボの話をしたいわけではないから、ネオブランドについては書かないよ。

《異界の進化》

異界の進化

《異界の進化》は「不死」/「頑強」持ちのクリーチャーや《根の壁》を利用するデッキに完璧に合う。マナ・コストが軽くて、探せる範囲が広く、生け贄に捧げたクリーチャーが帰ってくることすらある。ソーサリーだから《否定の力》に弱いけど、それを想定して動き、ゲームに影響を与えられるカードをおとりにして相手に《否定の力》を使わせよう。

《召喚の調べ》

召喚の調べ

《根の壁》の友達2号。デッキから出すクリーチャーに色の制限がなく、インスタントで「召集」がある素晴らしいサーチカードだ。

《破滅の終焉》

破滅の終焉

《献身のドルイド》コンボデッキで輝きを見せるカードだ。足りないコンボパーツを探すこともできれば、X=10以上で唱えた場合の効果を利用して試合を終わらせることもできる。無限マナの可能性を前提とすれば効果は派手だけど、他のデッキではそこまで強くないね。

《エラダムリーの呼び声》

エラダムリーの呼び声

出したいカードに2~3マナのクリーチャーが多ければ使いやすいカードだ《破滅の終焉》と同様にクリーチャーのマナ・コストに加えて2マナ支払う必要があるわけだけど、分割払いすることができるので準備が整うまでコンボパーツを手札に持っておける。

《集合した中隊》

集合した中隊

マジックプレイヤーにとってこのカードは好きか嫌いかのどちらかに分かれるだろう。愛憎入り混じっている人もいれば、好きか嫌いだけの人もいるだろうね。個人的にはサーチ呪文というよりはバリューをもたらす呪文だから好きではない。パイオニアのスピリットデッキにはバリューカードがたくさん入っていて、デッキからどの組み合わせで2体出しても強いから最高だ。ただコンボデッキでは少し違っていて、ランダムなクリーチャーを2体出すよりかは特定の1体のほうが欲しい。

デッキその1: ヘリオッドカンパニー

3種類のデッキについて語っていこう。

今日解説する3種類のデッキはどれも今すごく流行っているデッキというわけではないけど、その中では一番使われているのがこのデッキだ。

コンボのルート

このデッキは古き良きメリーラ・ポッドを思い出させるね。そしてこのデッキには、ゲームに勝利できる2つのコンボが搭載されている。

《ヘリオッド》 + 《歩行バリスタ》

太陽冠のヘリオッド歩行バリスタ

《歩行バリスタ》に+1/+1カウンター2つ以上乗せて出して、絆魂をつける。+1/+1カウンターを使って何かにダメージを飛ばせば、《ヘリオッド》の誘発型能力でカウンターが戻ってくるから、これを好きなだけ繰り返せばいい。

《ヘリオッド》 + 《スパイクの飼育係》

太陽冠のヘリオッドスパイクの飼育係

+1/+1カウンターを取り除いて2点のライフを得れば、誘発でカウンターを返してもらえる。つまり、好きなだけライフを得られる。

議事会の導師

《議事会の導師》がいれば毎回追加の+1/+1カウンターがもらえるから、自分のクリーチャーたちが望む限り大きくなる《スパイクの飼育係》 + 《議事会の導師》についてもうひとつテクニックを紹介すると、《スパイクの飼育係》はカウンターを移動させる能力で自らを対象にとることができるから、2マナでカウンターを増やせる。

私が使いたくないカード

盾になる1マナのクリーチャー

ルーンの与え手無私の救助犬

コンボを守るためにしか役立たないけど、どちらのコンボもインスタントタイミングで揃えることができるし、クリーチャー化していない《ヘリオッド》を除去するのは非常に難しく、コンボ開始前に《イーオスのレインジャー長》で相手を《沈黙》させることもできる。それをふまえると、このデッキにボディーガードは要らないと思う。

《硬化した鱗》

硬化した鱗

ゲームがうまく行っているときにしか強くなくて、デッキトップから引くと最悪な上にこのデッキに《電結の荒廃者》は入っていない。私の使い方がよくなかったのかもしれないけど、このデッキに《硬化した鱗》は要らないよ。

《スレイベンの守護者、サリア》

スレイベンの守護者、サリア

果敢デッキに強いけど、《溶岩の投げ矢》まみれの世界でタフネス1のクリーチャーはこれ以上入れたくないね。

《ガヴォニーの居住区》

ガヴォニーの居住区

色マナがきついデッキだから無色土地は許容できない。

私が使っているカード

《オーリオックのチャンピオン》

オーリオックのチャンピオン

赤を使ったデッキが増えている今、メタに合致したこのカードは日増しに強くなっている。《オーリオックのチャンピオン》《議事会の導師》を両方入れるのはおかしい気もしたが、今は4枚ずつ入れることに問題を感じていない。《オーリオックのチャンピオン》《イーオスのレインジャー長》がいれば《ヘリオッド》がクリーチャー化する。

《エラダムリーの呼び声》

エラダムリーの呼び声

コンボパーツを探せるし、マナ・コストが軽くてインスタントだ。《夢の巣のルールス》のような特定の試合で抜きんでて強いカードをデッキに入れることで、シルバーバレット戦略を取ることができる。このデッキにおける《ルールス》はそこまで真価を発揮するわけではないが、ターン終了時に《集合した中隊》から出てくるアタリとしては良いものだし、ときには不利な状況を打開してくれるゲームブレイカーとして活躍してくれるだろう。

土地が21枚で足りているのか自信がないから、《ルールス》の代わりにもう1枚入れてもいいと思う。


簡潔に言えば、ヘリオッド信心デッキは理論上で3ターン目に無限ライフを得られて、4ターン目にコンボを達成できる。そのコンボを守り抜く手段もあって、クリーチャー中心のコンボデッキの中では一番継戦能力もあるだろう。ただ「無限」は紙でしかやることができなくてMagic Onlineでは100ライフを得るのにさえ持ち時間を消耗してしまうことを覚えておこう。

原始のタイタン

最近のプレイヤーズツアー予選では、アミュレットタイタン相手に《ヘリオッド》《スパイクの飼育係》を揃えたが、すでに相手の場にタイタンが出ているという状況があった。普通なら「無限」ライフを決めて私が勝つところだが投了せざるを得なかったんだ。生存できるだけのライフを稼いでから相手のライブラリーアウトまで待てるだけの持ち時間がないからね。

1週間ほどかかっても習得できないような難解な動きはそこまでないデッキだから、コンボを確実に達成することだけを考えよう《スパイクの飼育係》《ヘリオッド》の組み合わせか2/2以上の《歩行バリスタ》《ヘリオッド》が揃えられる、相手がなにか持っていると思ったら焦らなくていい。相手は次のターンになると2つ以上の除去を構えている必要が出てくるから、時間の経過は君の味方になる。

イーオスのレインジャー長

もうひとつテクニックを教えておくと、クリーチャー化した《ヘリオッド》が相手の《流刑への道》の対象になったら《イーオスのレインジャー長》を生け贄に捧げて「信心」を下げることで回避することができる。

デッキその2: ドルイドコンボ

次のデッキは緑白《献身のドルイド》コンボデッキだ。2つの型がある。

両方の型に共通していることから話していこう。《破滅の終焉》を活用した《献身のドルイド》デッキはランプデッキや他のコンボデッキが多い環境で力を発揮できる。1種類のコンボしか入れずに、そのコンボを成立させて妨害から守ることに焦点を当てているデッキだ。

療治の侍臣献身のドルイド

《療治の侍臣》が場に出ていれば、《献身のドルイド》からマナを出してからタダでアンタップすることができる。そして、その無限マナを使って試合を終わらせるカードが3種類入っている。《歩行バリスタ》《薄暮見の徴募兵》《歩行バリスタ》を含めてすべてのクリーチャーを手札に加えられる)、それに《破滅の終焉》だ。

歩行バリスタ薄暮見の徴募兵破滅の終焉

デッキの最大の強みは、2ターン目に《献身のドルイド》を出しておくだけで3ターン目にコンボを始動させる方法が複数あって(《療治の侍臣》《エラダムリーの呼び声》《療治の侍臣》《破滅の終焉》《療治の侍臣》)、そこから9枚入っているカードのどれかで勝利できることだ。

コンボは一度始まれば無限マナまで一直線であり、両方のクリーチャーが盤面に揃う前に妨害する必要がある。《献身のドルイド》のマナ能力はスタックに乗らないし、アンタップもタダだから何か妨害を放たれても対応してもう1回起動できるからね。マナが増え続けるのを途中で止めることはできない

死後の一突き

多くのプレイヤーは《死後の一突き》を見て最初は疑問に思うことだろう。私もそうだった。でも「モダンにこんなカードあったっけ?」から「このカードは化け物だ」へと印象が変化するのはあっという間だった。速攻付きの《献身のドルイド》が2マナで墓地から帰ってくるのは素晴らしい(もし《流刑への道》で除去されそうになったら、-1/-1カウンターを置く能力で墓地に送ったほうがいいことさえある。)

《ルーンの与え手》はあまり好きではないけど、それでも強く使えるデッキがあるとすればこのデッキだ。除去されることを怖がらずに場に出すことが大事で、除去を消費してもらえればもう役目は果たしている。

夢の巣のルールスミシュラのガラクタ

ルールス型のデッキは素直な構築で、コンボパーツを最速で揃えようとするデッキだ。《ルールス》の条件を満たすためにデッキに入れられなくなったカードで言及するに値するカードは《イーオスのレインジャー長》くらいだけど、繰り返し使える《ミシュラのガラクタ》があることを考えればサーチ効果を持つカードはこれ以上必要ないだろう。

ミッドレンジ型のデッキでも大きく変わることはなくて、《イーオスのレインジャー長》が使えることが大きいのはすぐわかるだろうけど、《異界の進化》との組み合わせで注目に値するカードがあと2枚ある

豊潤の声、シャライ

《豊潤の声、シャライ》は自分のクリーチャー全体と自分自身を守ってくれる。こちらがコンボパーツを持っており、除去の多い相手がこのクリーチャーをうまく対処できない場合、《豊潤の声、シャライ》は状況を打破するカードになる

在りし日にはバーンとアドグレイス相手に即勝利できるカードだったが、バーンは今流行っていないしアドグレイスは《タッサの神託者》を得た。(でもなにか重要な新カードが公開されたら《豊潤の声、シャライ》の力が必要かもしれない)間違いなく以前よりは使いにくくなったから、《秋の騎士》や他の対策カードを代わりに入れてもいいはずだ。

月の大魔術師

《月の大魔術師》は簡単に勝利できるカードで、相手にデッキリストを知られていなければ、緑白のデッキから出てくることを想定する相手は少ないだろう。相手が(デッキリストか自らの経験から)入っていると知っていても、今度は《月の大魔術師》を想定して立ち回らなければいけなくなる(こっちはサイドから抜くことすらできる)。相手にとって無視することができない脅威なのだ。

デッキその3: ゴルガリヨーグモス

デッキリストを見てすぐわかることとして、ヨーグモスコンボは遅い(4ターン目より早くコンボ勝利できることはない)。そして多くの場合は無限コンボでもない。ヘリオッドコンボと比べると多くのコンボパーツが必要で、単体ではすごく弱いカードも入っている。

スランの医師、ヨーグモス根の壁若き狼

でもそれらの弱点を上回る強みがあるんだ。コンボデッキの多くない環境ならメタ上の立ち位置がとても良いことがある。「不死」のクリーチャーと《根の壁》は攻撃してくるクリーチャーを相手に時間稼ぎできる。除去とハンデスもあまり効果がない。多くのクリーチャーは似たような効果を持っていて、《スランの医師、ヨーグモス》を一撃で葬れるカードは多くないからだ。全体除去を持っていたら?2枚引いて初めて対処できたと呼べるね。

どんな盤面になると勝利できるか説明しよう。

《ヨーグモス》 + 《ゲラルフの伝書使》 + 他の「不死」クリーチャー

スランの医師、ヨーグモスゲラルフの伝書使絡み根の霊

「不死」のクリーチャーを生け贄に捧げて他の「不死」クリーチャーに-1/-1カウンターを置くことを繰り返すと、2回に1回は《ゲラルフの伝書使》の2ライフ失わせる効果が発動する。カウンターが乗っていない《ゲラルフの伝書使》がコンボ始動時に出ていれば、最低限相手とライフが同じでさえあれば勝利する。

《ヨーグモス》 + 《ゲラルフの伝書使》2体

スランの医師、ヨーグモスゲラルフの伝書使ゲラルフの伝書使

似たような計算にはなるが、今度は「相手のライフの半分(小数点以下繰り上げ)+1」のライフを自分が持っていればいい。たとえば相手のライフが9だったら4.5回誘発する必要がある。小数点以下は繰り上げて5回必要で、自分が先にライフを失うから1多く必要になる。相手のライフが9なら自分のライフが6あれば大丈夫だ。

《ヨーグモス》 + 「不死」のクリーチャー2体 + 《ズーラポートの殺し屋》/《血の芸術家》

スランの医師、ヨーグモス絡み根の霊絡み根の霊ズーラポートの殺し屋

話はもっと簡単だ。《ヨーグモス》で支払ったライフは《ズーラポートの殺し屋》《血の芸術家》に返してもらえるからただ無限ダメージを決めるだけだ。


ここまで読んでくれてありがとう。役立ててくれるとうれしいね!

ドミトリー・ブタコフ(Twitter)

この記事内で掲載されたカード

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Dmitriy Butakov

Dmitriy Butakov ロシアのプレイヤー。Magic Onlineを主戦場としており、オンラインプレイヤーの中で最強を決める大会である2012 Magic Online Championshipで優勝、翌年の2013 Magic Online Championshipでもトップ4に入賞して注目を浴びる。 2018年には2017 Magic Online Championshipで2度目の優勝を果たし、名実ともにMagic Online上で最強のプレイヤーとして堂々たる実績を残すと同時に、優勝の特典でプラチナレベル・プロとなる。こうした実績が認められ、2018年3月にHareruya Prosへと加入した。 Dmitriy Butakovの記事はこちら