はじめに
みなさんこんにちは。
『ゼンディカーの夜明け』がリリースされましたが、みなさんの好きなカードは見つかりましたか?強力なカードが多数収録されているセットで、レガシーレベルのカードも数枚見られるためデッキを考えるのが楽しい時期ですね。
さて、今回の連載ではLegacy CheallengeとLegacy Showcase Challengeの入賞デッキを見ていきたいと思います。
Legacy Challenge #12211166
Maverickが優勝を果たす
2020年9月27日
- 1位 Maverick
- 2位 Lands
- 3位 Snowko
- 4位 Infect
- 5位 4C Control
- 6位 Doomsday
- 7位 Snowko
- 8位 Maverick
トップ8のデッキリストはこちら
今大会の結果でもっとも印象的だったのは、プレイオフにトップメタであるTemur Delverが不在だったことです。《王冠泥棒、オーコ》デッキの中で勝ち残っていたのはSnowkoのみでした。
最近の大きな大会では、Delver系は必ずと言って良いほどプレイオフに入賞していましたが、これだけ勝ち続けていると対策も厳しくなってきます。
今大会で優勝を果たしたMaverickや準優勝したLands、数名の入賞者を出したSnowko、多色コントロールなど、全体的にDelver系に強いデッキが多数結果を残していました。
デッキ紹介
Maverick
1 《平地》
2 《Bayou》
2 《Savannah》
1 《Scrubland》
1 《ドライアドの東屋》
4 《吹きさらしの荒野》
3 《新緑の地下墓地》
1 《地平線の梢》
1 《ガイアの揺籃の地》
1 《カラカス》
4 《不毛の大地》
-土地 (23)- 3 《貴族の教主》
1 《極楽鳥》
1 《エルフの開墾者》
1 《呪詛呑み》
4 《スレイベンの守護者、サリア》
1 《溜め込み屋のアウフ》
1 《漁る軟泥》
4 《聖遺の騎士》
2 《疫病を仕組むもの》
1 《秋の騎士》
1 《ラムナプの採掘者》
1 《探索する獣》
-クリーチャー (21)-
2 《流刑への道》
2 《思考囲い》
2 《耳の痛い静寂》
1 《ガドック・ティーグ》
1 《疫病を仕組むもの》
1 《剣を鍬に》
1 《窒息》
1 《ゴルガリの女王、ヴラスカ》
-サイドボード (15)-
Maverickは《緑の太陽の頂点》が『ミラディン包囲戦』から登場して以来、レガシーの代表的なフェアデッキのひとつとして長い間環境に存在し続けているツールボックス系のミッドレンジです。Death & Taxesのように《スレイベンの守護者、サリア》などのヘイトベアーを採用しているので、青を使わないデッキの中ではコンボデッキにも耐性があるのがこのデッキの特徴です。
最近は《突然の衰微》や《疫病を仕組むもの》、ハンデスなどにアクセスできる黒を足したAbzanバージョンが主流となっており、相手のプランを妨害しつつ緑の優秀なクリーチャーでビートダウンしていきます。
マナクリーチャーの恩恵でマナ否定戦略にも耐性があり、展開を遅らせることなく《不毛の大地》で相手のマナ基盤を攻めることができます。高タフネスの《聖遺の騎士》や軽い除去である《剣を鍬に》、キャントリップスペルのコストを増加させる《スレイベンの守護者、サリア》など、Delver系に強い要素が多く現環境では良い立ち位置にあるデッキです。
☆注目ポイント
《緑の太陽の頂点》を活用するために、デッキ内には様々な緑のクリーチャーが1枚ずつ採用されています。《水蓮の花びら》や《ライオンの瞳のダイアモンド》をシャットアウトする《溜め込み屋のアウフ》は、《スレイベンの守護者、サリア》とは別の対コンボ用のクリーチャーで、主にTESやUrza Echoとのマッチアップで強さを発揮します。
《エルフの開墾者》は、土地が墓地に溜まりやすいこのデッキでは1マナ3/4のクリーチャーとして機能するので、《聖遺の騎士》と同様にDelver系とのマッチアップで活躍します。《ガイアの揺籃の地》によってマナが大量に出るので《呪詛呑み》はレベルを上げやすく、単体除去が中心のデッキやクリーチャーデッキとのマッチアップで活躍します。
《探索する獣》は比較的最近のカードですがプレインズウォーカー対策として有力で、回避能力持ちなのでクロックとしても信頼性があるため、このデッキの有力なフィニッシャーとなります。
《漁る軟泥》はメインから無理なく採用できる墓地対策です。Reanimator、Dredge、Hogaakなど墓地を使ったコンボデッキだけでなく、最近は《神秘の聖域》《自然の怒りのタイタン、ウーロ》《戦慄衆の秘儀術師》などフェアデッキでも墓地をリソースとしたデッキが多いため、非常に受けが広いクリーチャーとなります。
《疫病を仕組むもの》はElvesやGoblinsなどの部族デッキだけでなく、Snowkoの《氷牙のコアトル》、Delver系の《戦慄衆の秘儀術師》も無力化できるなど多くのマッチアップで活躍するクリーチャーです。
《オルゾフの簒奪者、ケイヤ》は《疫病を仕組むもの》と並んで現環境で黒を足す理由のひとつとなります。[+1]能力は多くのデッキが墓地を利用している現環境では非常に強力な能力となり、[-1]能力も環境の問題となる様々なパーマネントに対する解答となります。
Legacy Showcase Challenge
やはり最後はDelver
2020年10月4日
- 1位 Temur Delver
- 2位 Elves
- 3位 Doomsday
- 4位 Elves
- 5位 ANT
- 6位 Hogaak
- 7位 Mono White Eldrazi
- 8位 Death & Taxes
トップ8のデッキリストはこちら
今月も開催された40QPを獲得したプレイヤーが参戦できる大規模なイベント、Show Case Challenge。参戦するのにLeagueやChallengeなどで結果を残すことで得られるQPが必要なこともあって、強豪プレイヤーが多く参加するイベントなので、今大会のデータは普段のLegacy Challengeよりも環境を解析するうえで参考になります。
環境を支配している《王冠泥棒、オーコ》デッキは、今大会ではトップ32まで見渡してもわずか8名と少数で、Hogaak、Eldrazi、Elvesを含めた各種コンボなど《王冠泥棒、オーコ》の影響を受けにくいデッキが多数上位で見られました。Hogaakや各種コンボデッキが多数勝ち残っていたメタだったため、コントロールデッキであるSnowkoは苦戦を強いられたようです。
しかし、最後の最後に勝ち残ったのはトップメタであるTemur Delverでデッキの地力の高さを証明する結果となりました。
デッキ紹介
Elves
2 《Bayou》
2 《ドライアドの東屋》
2 《霧深い雨林》
2 《新緑の地下墓地》
2 《吹きさらしの荒野》
2 《樹木茂る山麓》
4 《ガイアの揺籃の地》
-土地 (19)- 4 《アロサウルス飼い》
4 《遺産のドルイド》
4 《イラクサの歩哨》
4 《クウィリーオン・レインジャー》
4 《ワイアウッドの共生虫》
2 《樺の知識のレインジャー》
4 《エルフの幻想家》
1 《溜め込み屋のアウフ》
1 《漁る軟泥》
2 《孔蹄のビヒモス》
-クリーチャー (30)-
『Jumpstart』から《アロサウルス飼い》という新戦力を獲得して以来、青ベースのフェアデッキに有利になりコンスタントに結果を残し続けているElves。
Elvesは長い間レガシーの定番デッキのひとつとしてファンも多いデッキです。《遺産のドルイド》などエルフ・クリーチャーによる部族シナジーや、《ガイアの揺籃の地》利用することによって生成できる大量のマナを活かし、3ターン目には《孔蹄のビヒモス》によって瞬殺できることも多いコンボデッキです。
大量のカードを引ける《垣間見る自然》、サーチスペルの《緑の太陽の頂点》と《自然の秩序》があり、エンドカードの《孔蹄のビヒモス》を引き当てる手段が豊富なのもこのデッキの特徴です。《エルフの幻想家》+《ワイアウッドの共生虫》によってアドバンテージを稼ぐこともできるので、単体除去が中心のフェアデッキに対して有利が付きます。
☆注目ポイント
最近では《エルフの開墾者》を採用したバージョンも見られましたが、今大会で入賞していた2つのリストは《イラクサの歩哨》を採用した伝統的なバージョンでした。《緑の太陽の頂点》を採用しているため、《溜め込み屋のアウフ》や《漁る軟泥》といった特定のアーキタイプに刺さるクリーチャーがメインから採用されています。
カウンターを無力化する《アロサウルス飼い》は、Delver系をはじめとしたすべての《意志の力》を採用したデッキとのマッチアップに貢献してくれます。また、青ベースのデッキだけでなく《虚空の杯》を使ったデッキに対しても有効です。
《疫病を仕組むもの》はこのデッキの天敵です。Snowkoなどはメインから採用したリストも見られるので、《突然の衰微》など除去にアクセスできる黒をタッチしたバージョンが最近は主流となっています。コンボやコントロールとのマッチアップ用に《思考囲い》を使えるのもこのバージョンを選択する理由となります。
Mono White Eldrazi
4 《魂の洞窟》
3 《シェフェトの砂丘》
2 《カラカス》
4 《古えの墳墓》
4 《エルドラージの寺院》
2 《不毛の大地》
4 《ウギンの目》
1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》
-土地 (27)- 4 《果てしなきもの》
4 《エルドラージのミミック》
4 《変位エルドラージ》
4 《作り変えるもの》
4 《難題の予見者》
4 《現実を砕くもの》
-クリーチャー (24)-
12Postとのハイブリットなどいくつか異なるバリエーションが見られるEldrazi系のデッキですが、今大会で入賞したバージョンはMono Whiteバージョンでした。普通のEldraziとの違いは、《変位エルドラージ》という強力なエルドラージクリーチャーと《剣を鍬に》にアクセスできることです。
☆注目ポイント
このリストの最大の特徴は、Eldraziの定番である《虚空の杯》がメインに不採用なところです。1マナの《剣を鍬に》との相性を考慮した結果だと思われます。青いコンボデッキやDelver系のように軽いキャントリップを連打するデッキに対しては、《アメジストのとげ》でも十分に減速させることができます。
《変位エルドラージ》は起動型能力によって自軍のクリーチャーを除去から守ったり、相手のクリーチャーの攻撃を止めたり、ブロッカーをどかしたりと攻守に渡って使い道があります。ほかにも《難題の予見者》を使いまわすことで相手のプランを崩壊させたり、《秘密を掘り下げる者》の変身を解除、マリッドレイジトークンを追放したりと「明滅」させる能力は様々な状況で使えます。
《シェフェトの砂丘》は無色マナを供給できる白マナソースとして採用されています。そしてサイドには、Hogaakなど墓地を使ったデッキが最近上位に勝ち残っているため《虚空の力線》が4枚と対策が徹底されています。
Death & Taxes
2 《地平線の梢》
3 《カラカス》
4 《リシャーダの港》
4 《不毛の大地》
-土地 (24)- 4 《ルーンの母》
4 《石鍛冶の神秘家》
4 《スレイベンの守護者、サリア》
2 《迷宮の霊魂》
1 《ファイレクシアの破棄者》
4 《ちらつき鬼火》
3 《スカイクレイブの亡霊》
2 《護衛募集員》
1 《聖域の僧院長》
-クリーチャー (25)-
『ゼンディカーの夜明け』で登場した《スカイクレイブの亡霊》はレガシーレベルの強さで、白いデッキの強化に貢献しています。
Death & Taxesはウィニーとカテゴライズされることもありますが、実際のデッキの動きは《リシャーダの港》や《不毛の大地》で相手のマナを縛りつつ、《スレイベンの守護者、サリア》など妨害能力を内蔵した白い優秀なクリーチャーを装備品や効率的な除去でサポートしていくアグロコントロールデッキです。
高い環境理解度や繊細なプレイングが求められるデッキで、デッキ構築やプレイングによって環境の多くのデッキと互角以上に渡り合えるデッキですが、白単色なため《意志の力》など0マナのカウンターが使えないので高速コンボは苦手なマッチアップとなります。
基本的に単体のカードパワーよりもシナジーを形成していく戦略なので、アドバンテージを稼ぎつつ除去やスイーパーを多用するコントロールもまた苦戦するマッチアップのひとつです。
☆注目ポイント
《スカイクレイブの亡霊》はマナコストの軽いパーマネントが主力とされているレガシーでは万能除去として機能します。特に、《王冠泥棒、オーコ》をメインから除去できる手段が増えたことは、このデッキにとって大収穫と言えます。《忘却の輪》などと異なり《スカイクレイブの亡霊》自身が戦場から離れても相手の戦場に追放したカードは戻らず、代わりに能力を持たないイリュージョン・トークンを残すので除去としての信頼性は高くなります。
《精神壊しの罠》は《意志の力》が使えないデッキのコンボ対策として定着しています。カウンターのように機能しますが、カウンターではなく追放するので《夏の帳》に引っかからないのも重要なポイントです。
総括
強力なカードが多数収録されている『ゼンディカーの夜明け』はレガシーでも使えるカードが数種類見られ、特に万能除去として機能する《スカイクレイブの亡霊》は白いデッキの新たな主力クリーチャーとして今後もよく見かけるクリーチャーになりそうです。
『ゼンディカーの夜明け』リリース前の環境では《王冠泥棒、オーコ》や《アーカムの天測儀》といったカードを採用したデッキの勝率の高さが懸念されていましたが、新カードによってほかのデッキの底上げがなされ、Show Case Challengeの結果を見ても以前よりバランスが取れている印象です。
今回紹介したデッキ以外でも、《創造の座、オムナス》 を採用した多色コントロールやスペルランドを搭載した瞬殺コンボなども見られるので、いろいろ試してみることをおすすめします。
USA Legacy Express vol.172は以上となります。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいレガシーライフを!