スタンダード情報局 vol.20 -止まらぬ上陸の連鎖-

晴れる屋メディアチーム

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先週末の勝ち組は?

みなさんこんにちは。

《自然の怒りのタイタン、ウーロ》が去り、弱体化したはずの《創造の座、オムナス》ですが、新たに《幸運のクローバー》とともに4色アドベンチャーとしてさらなる活躍をみせています。ディミーアローグをはじめ、アグロデッキやコントロールなど対抗馬となるデッキは出現するのでしょうか?

さて、今回は2020年シーズン・グランドファイナルCFB Clash Qualifier 2の大会結果を振り返っていきます。

2020年シーズン・グランドファイナル

順位 プレイヤー名 デッキタイプ
優勝 オースティン・バーサヴィッチ 4色アドベンチャー
準優勝 アーロン・ガートラー 4色アドベンチャー
トップ4 ガブリエル・ナシフ 4色アドベンチャー
トップ4 ラファエル・レヴィ 4色アドベンチャー
トップ8 オータム・バーチェット グルールアドベンチャー
トップ8 パトリック・フェルナンデス 4色アドベンチャー
トップ8 セス・マンフィールド ディミーアローグ
トップ8 エマ・ハンディ グルールアドベンチャー

(※デッキタイプをクリックするとリストが閲覧できます。)

今シーズンの総決算であるシーズン・グランドファイナルが開催され、オースティン・バーサヴィッチ/Austin Bursavich選手がミラーマッチに特化した4色アドベンチャーを使用し、優勝となりました。

参加者32名中、6割近くに当たる19名が4色アドベンチャーを使用し、内5名が決勝ラウンドへ進出しました。4色アドベンチャーは固定パーツが多く差別化が難しいデッキですが、オースティン・バーサヴィッチ選手とアーロン・ガートラー/Aaron Gertler選手はミラーマッチを、ラファエル・レヴィ/Raphaël Lévy選手とガブリエル・ナシフ/Gabriel Nassif選手はディミーアローグを意識した調整を行っています。

水蓮のコブラ

アーロン・ガートラー選手のメインボードで目を引くのは《恋煩いの野獣》の解雇と《水蓮のコブラ》の採用でしょう。ミラーマッチはマナ加速とカードアドバンテージを絡めた消耗戦となりやすく、戦闘に特化した《恋煩いの野獣》が活躍する機会はあまりありません。メタゲームブレイクダウンからもわかる通り、4色アドベンチャーの数はアグロデッキをはるかに上回っています。

《水蓮のコブラ》は単に2マナ域を埋めてくれるだけではなく、戦場に残ったままターンが返ってくれば3ターン目に《創造の座、オムナス》を着地させることも可能となります。マナを焦点とした戦いで一歩先んじられるだけではなく、中盤以降も《寓話の小道》《僻境への脱出》と相性の良いカードも多く、4色アドベンチャーにピッタリなカードといえるでしょう。

切り裂かれた帆過去と未来

サイドボードでは《幸運のクローバー》とディミーアローグの両方に効果的な《切り裂かれた帆》が2枚採用されています(オースティン・バーサヴィッチ選手は《自然への回帰》《神秘の論争》)。ミラーマッチではどちらかの戦場に《幸運のクローバー》が残ってしまうと、「出来事」を絡めて一方的なゲーム展開となってしまうため、2枚と対策カードを厚くとっているようです。実際にアーロン・ガートラー選手は、サイドボード後に1枚をメインボードに移すことで《願いのフェイ》と合わせて対処手段を5枚に増やし、引く確率を高めていました。

定番の《過去と未来》は消耗戦において威力を発揮するカードです。4マナと多少重いものの、自分が有利なら打ち消し除去2枚、盤面が不利なら《砕骨の巨人》などの干渉手段といったように状況に応じて必要なカードを手札へと戻せるため、戦況を左右する1枚といえますね。

島厚かましい借り手

ラファエル・レヴィ選手らは《恋煩いの野獣》の枠を土地と《厚かましい借り手》に変え、安定性を確保しています。デッキパワーは高く使用者も一流であるため、土地さえ伸びればどんな相手にも負けないという自信のほどが伺えます。

鎖巣網のアラクニル

ディミーアローグを睨み、新たな「脱出」クリーチャーとして《鎖巣網のアラクニル》が採用されています。タフネス2がポイントであり、ローグ側の序盤のクリーチャーをすべて止め、墓地の肥える中盤以降は飛行クリーチャーを一方的に除去していきます。このクリーチャーの存在により、「切削」は相手のとって諸刃の剣となってしまったのです。

轟く叱責払拭の光

アドベンチャーデッキの定番と思われていた《過去と未来》が不採用となっており、代わりに除去呪文が採用されています。ミラーマッチでカードアドバンテージを稼ぐ手段は十分にあり、ミラーマッチもゲームを決めるのはクリーチャーであるためクリーチャー対策に主眼を当てているようです。

メタゲーム

デッキタイプ 使用者数 トップ8
4色アドベンチャー 19 5
4色オムナス 4 0
ラクドスエスケープ 4 0
グルールアドベンチャー 3 2
ディミーアローグ 1 1
ティムールアドベンチャー 1 0
合計 32 8

参加者の6割近くが選択したのは、環境の大本命4色アドベンチャーでした。偏ったメタゲームを予想してメインボードからアグロ用のカードは抜け、ミラーマッチやディミーアローグに特化した構築となっています。また、サイドボードでは《幸運のクローバー》を巡る攻防に焦点が置かれ、《切り裂かれた帆》は大会を象徴とする1枚となったのではないでしょうか。

トップ8デッキリストはこちら

大会放送リンク:1日目/2日目/3日目

グルールアドベンチャー

オータム・バーチェット/Autumn Burchett選手とエマ・ハンディ/Emma Handy選手、そしてHareruya Prosのルイス・サルヴァット/Luis Salvatto選手が持ち込み、大きな戦果をあげたのがグルールアドベンチャーです。赤単/緑単アグロと比べデッキパワーは高いものの、気になるのはアンタップインできる2色土地の少なさによるテンポロスと色事故。どのように構築したのでしょうか。

エッジウォールの亭主

アグロデッキながら《エッジウォールの亭主》と「出来事」クリーチャーを採用することで、速攻だけではなく、中盤以降カードアドバンテージをとれるのがグルールアドベンチャーの強みです。ですがアドバンテージを重視するあまり、これまでは《リムロックの騎士》も採用されてきました。

オータム・バーチェット選手らは「出来事」クリーチャーを《恋煩いの野獣》《砕骨の巨人》のみに絞っており、《エッジウォールの亭主》はマナカーブを埋めるのことを第一に、ドローできたらラッキー程度のカードとしています。では、カードアドバンテージを切ってまで採用したカードは何でしょうか?

山火事の精霊カザンドゥのマンモス

新しい2マナ域として選ばれたのは《山火事の精霊》となります。クリーチャー性能は向上し、《カザンドゥのマンモス》と合わせて「上陸」に寄せたことで、攻撃に特化しています。これらのクリーチャーを採用し多重「上陸」することで、タップインとなる《進化する未開地》のデメリットを打ち消しつつ、マナベースを強化することに成功したのです。

水晶壊し原初の力

《水晶壊し》が4枚採用され、メインボードから4色アドベンチャーを意識していることがわかります。《石とぐろの海蛇》はもちろん、「上陸」クリーチャーとも相性が良く、フェッチランドと組み合わせることで予想外のダメージを生むことになります。

《エンバレスの宝剣》に加えて《原初の力》も4枚採用し、相手に対処を迫り続けて強引に押し切れるように構築されているのです。インスタントによる干渉手段には弱いものの、クリーチャーによるブロックでダメージを軽減しようと考えていた場合、思わぬダメージをくらうことになるでしょう。

エンバレスの盾割り

サイドボードにはさらなる《幸運のクローバー》対策として《エンバレスの盾割り》が採用されています。4色アドベンチャーと中期戦になった場合、《エッジウォールの亭主》によるアドバンテージも見込めるため、デッキにかみ合った1枚となります。

ディミーアローグ

セス・マンフィールド/Seth Manfield選手が持ち込んだディミーアローグは、これまでの構築とは一線を画すデザインとなっていました。序盤から「切削」し、《トリックスター、ザレス・サン》と打ち消し除去で押し切るクロックパーミッションスタイルから大幅にクリーチャーを減らし、干渉手段とドロー呪文を増やしたコントロールスタイルに変化しているのです。

夢の巣のルールス

まず、目を引くのは「相棒」の《夢の巣のルールス》でしょう。元々軽いクリーチャーで構成されていたディミーアローグとは相性がいいものの、《夜鷲のあさり屋》《トリックスター、ザレス・サン》といった中盤以降で活躍するパワーカードを採用できなくなってしまうため、長引いたゲームではクリーチャーの質により不利となる可能性がありました。

ヴァントレスのガーゴイル

セス・マンフィールド選手が目を付けたのは破格のスタッツを誇る《ヴァントレスのガーゴイル》です。ブロッカーとして睨みを利かせながら墓地にカードを溜め、打ち消しや除去を使って攻撃がアクティブになれば、たった4ターンでゲームを決めてくれます。《空飛ぶ思考盗み》《トリックスター、ザレス・サン》の存在が、否が応でもローグに寄せることを意識させますが、クリーチャー構成の見直し、《夢の巣のルールス》の採用こそがプロの技といえるでしょう。

大慌ての棚卸し物語への没入

序盤をしのぎゲームを長引かせることに成功したら、カードを引き増して有利な状況へと持っていきましょう。《大慌ての棚卸し》は2マナで最大4枚ものカードを引くことができます。《ヴァントレスのガーゴイル》が同名カードを墓地に落とすことができれば、いきなり複数枚ドローすることもできますね。

《物語への没入》は通常のディミーアローグでもお馴染みの1枚ですが、このデッキでは打ち消し呪文と除去呪文でゲームを長期化させ、4枚採用したこのカードのアドバンテージ差で勝負を決められるようになっています。《幸運のクローバー》+《願いのフェイ》のエンジンが決まらない限り、4色オムナスではカードアドバンテージ勝負に持ち込むことは難しいでしょう。

アグロデッキをほとんど無視し、《創造の座、オムナス》をかなり意識した構築からも、シーズン・グランドファイナルのメタゲームを的確に予想していることがわかりますね。しかし、有象無象のラダーや大規模イベントではクリーチャー重視の構築となるのか、それともコントロールスタイルを継続するのか、今後はその点に注目です。

CFB Clash Qualifier 2

順位 プレイヤー名 デッキタイプ
優勝 石橋 広太郎 4色アドベンチャー
準優勝 Christoph Kremer ディミーアローグ
トップ4 Noah Ma 4色オムナス
トップ4 Daniel Toledo ラクドスエスケープ
トップ8 浦瀬 亮佑 4色オムナス
トップ8 outback _ 4色オムナス
トップ8 Josh Schulteis ラクドスエスケープ
トップ8 Rashid Davis ラクドスエスケープ

(※デッキタイプをクリックするとリストが閲覧できます。)

参加者221名で開催されたCFB Clash Qualifier 2は4色アドベンチャーを使用した石橋 広太郎選手が優勝を果たしました。石橋選手はRed Bull Untapped Japan Qualifierに続いて、オンライン大会を制しています。

アゴナスの雄牛

トップ8に3名が入賞したラクドスエスケープですが、《アゴナスの雄牛》がメインボードへと昇格しています。《幸運のクローバー》+《願いのフェイ》《エッジウォールの亭主》《僻境への脱出》と4色アドベンチャーのリソース獲得手段は多岐にわたり、《死の飢えのタイタン、クロクサ》だけで相手の戦力を削りきることはできません。自分に追加戦力を届けてくれる「脱出」クリーチャー、赤き《自然の怒りのタイタン、ウーロ》へと白羽の矢が立ったようです。

メタゲーム

デッキタイプ 使用者数
4色アドベンチャー 53
ディミーアローグ 37
4色オムナス 28
グルールアドベンチャー 26
ラクドスエスケープ 18
その他 59
合計 221

シーズン・グランドファイナルの影響のためか、グルールアドベンチャーがかなり数を伸ばしましたが、上位陣ではトップ16に1名のみとなりました。ミッドレンジ寄りの骨太アグロデッキであり、3マナのクリーチャーが多数採用されており、若干重めです。2マナの干渉手段が多いデッキに対してはテンポをとられ後手に回ってしまうため、ディミーアローグは相性が悪く、上手くさばかれてしまったようです。

大会情報はこちら

直近の大会結果

直近の大会結果

クリックして拡大

10月5日から10月11日までの大会結果(最低参加人数16人以上)になります。4色アドベンチャーを中心に、《創造の座、オムナス》を軸としたデッキが安定して入賞していますが、アグロデッキも増えつつあります。

水晶壊しエンバレスの盾割り切り裂かれた帆

クリーチャーの質や《エンバレスの宝剣》などのバックアップカードも問題となりますが、キーとなるのは《幸運のクローバー》対策です。その点で、戦略に一貫した《水晶壊し》をメインボードから採用できる緑単アグロは一歩抜きん出ています。オーラのようなクリーチャー強化としても使えて効果も絶大ながら、弱点は3マナという重さと「変容」による隙の多さです。相手がタップアウトしている間に「変容」していきましょう。

《エンバレスの盾割り》《切り裂かれた帆》は軽さが何よりも魅力のカードであり、テンポロスもありません。前者は《エッジウォールの亭主》とも相性がよく、単体でもクリーチャーを提供してくれる1枚で2役を兼ねるカードであり、後者はインスタントとディミーアローグに対する除去がポイントとなります。メタゲームに適した1枚を選択していきたいところですね。

おや、スタンダードの様子が!?

シーズン・グランドファイナルが終わって間もなく、ウィザーズ・オブ・ザ・コーストから禁止制限告知に関する声明がありました。

禁止改定告知かルール変更か、はたまた禁止制限を解かれるのか?すべての答えは、もうそこまで迫っています。

来週には新スタンダード環境をご紹介していきたいと思います。それでは、また次回。

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