USA Pioneer Express vol.12 -パイオニア!ここがオムナスの生きる道-

Kenta Hiroki

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はじめに

みなさんこんにちは。

早いもので、パイオニアが公式フォーマットとして発表されてから1年が経ちました。同フォーマットは年末に開催予定のThe Last Sun 2020のフォーマットの1つにもなっています。

さて、今回の連載ではPioneer Champs QualとPioneer Challengeの入賞デッキを見ていきたいと思います。

Pioneer Champs Qual #12216020
コンボ時代の再来か?

2020年10月11日

  • 1位 The Spy
  • 2位 Gruul Aggro
  • 3位 Azorious Spirits
  • 4位 Jeskai Lukka
  • 5位 Selesnya Aura
  • 6位 Jeskai Lukka
  • 7位 Orzhov Aura
  • 8位 Lotus Field Combo

トップ8のデッキリストはこちら

『ゼンディカーの夜明け』からの新カードは強力なものが多く、カードプールが広いパイオニアでも通用するレベルのものが多数あります。

今大会の上位にはコントロールや単色アグロは少数であり、Jeskai Lukkaなどのコンボが中心となっていました。

優勝は『ゼンディカーの夜明け』によって成立したThe Spyでした。

デッキ紹介

The Spy

優勝のThe Spyはメインボードが80枚となっています。

基本的な動きは前回の連載で解説しているので参考にしてください。

☆注目ポイント

Eldritch EvolutionNeoform

今回のデッキはサーチスペルの《異界の進化》《新生化》を採用しているので、デッキ総数は増えていますが、コンボ確率は以前よりも高くなっています。3種類のマナクリーチャーはコンボ始動を1ターン縮めてくれると同時に、《異界の進化》《新生化》の種になります

Abrupt DecayReclamation Sage

墓地に大きく依存しているデッキなので《安らかなる眠り》《虚空の力線》といった置物への対策は必須です。そのためサイドボードには《突然の衰微》《再利用の賢者》が用意されています。なかでも《再利用の賢者》は対処できる範囲が広く、さらに《異界の進化》《新生化》からサーチできるため、採用枚数は1枚ながら対策カードの水増しに貢献しています。

Jeskai Lukka

過去のスタンダードをプレイしていた方にはお馴染みのミッドレンジコンボ、Jeskai Lukka。コストを踏み倒せる《創案の火》を利用して、《銅纏いののけ者、ルーカ》《太陽の神のお告げ》の2枚を揃えます。《ルーカ》の[-2]能力をクリーチャー・トークンへ使うことで、ライブラリーから直接《裏切りの工作員》を出して相手のパーマネントを奪います。

「相棒」の《空を放浪するもの、ヨーリオン》はこのデッキのアドバンテージエンジンであり、《裏切りの工作員》を「明滅」させることでさらに相手のパーマネントを奪うことができます。

スイーパーやプレインズウォーカー、勝ち手段となる《サメ台風》など一通り揃っているので、コンボに頼らずミッドレンジとしてもプレイできるのがこのデッキの特徴です。

☆注目ポイント

Transmogrify

《異形化》は追加の《ルーカ》となります。このスペルを採用することで、最速で4ターン目に《裏切りの工作員》を出せるようになり、《時を解す者、テフェリー》の[+1]能力を使えばインスタントタイミングでコンボ可能です。《太陽の神のお告げ》《サメ台風》《メレティス誕生》とクリーチャー・トークンを生成するカードはいくつもあるため、《異形化》《ルーカ》の種には困りません。

Aether GustDovin's VetoMystical DisputeFry

《霊気の疾風》《ドビンの拒否権》《神秘の論争》《丸焼き》といったように、サイドボードに青白赤の優秀なスペルが使えるのもこのデッキの特徴です。これらのスペルを追加することで、サイド後はコンボからよりミッドレンジへとシフトしていきます。定番のMono Black Aggroとのマッチアップ用に《神々の憤怒》が4枚が採用されており、アグロ対策は特に徹底しています。

5C Niv

スタンダードではその強さ故に記録的な速さで禁止カードとなった《創造の座、オムナス》ですが、パイオニアの多色ミッドレンジでも使える逸材のようです。

5C Nivは5色のミッドレンジであり、構築の自由度が高いのが特徴です。《森の女人像》《自然の怒りのタイタン、ウーロ》のマナ加速を利用して、《白日の下に》《ニヴ=ミゼット再誕》などの強力スペルへと繋げていきます。《白日の下に》は状況に応じて脅威や対処カードをサーチするツールボックス的な側面があり、そのために1枚挿しのカードも多くなっています。

《ウーロ》が加わってから、アグロとのマッチアップで時間を稼ぎやすくなりました。単体除去やスイーパーと一緒に使うことでアグロに対して相性が良く、デッキパワーが高いのでコントロール相手にも互角以上に渡り合えます。

☆注目ポイント

Bring to Light

《白日の下に》は各マッチアップで有効なカードをサーチできるのでプレイの選択肢が広がります。このカードによってデッキがより複雑になるため、使いこなすには環境をしっかり理解していることが重要となります。

Omnath, Locus of Creation

『ゼンディカーの夜明け』からの新カード、《オムナス》はパイオニアやモダンでも多色デッキの主力クリーチャーとして活躍しています。ライフ回復によってアグロとのマッチアップでは時間稼ぎに貢献しつつ、キャントリップ持ちなので除去されてもアドバンテージが取れます。

Shadows' Verdict

スイーパーの《影の評決》は墓地をリソースとするRakdos Aggroや《夢の巣のルールス》《ウーロ》デッキなど、さまざまなマッチアップに対応可能な優秀なスペルです。

Pioneer Challenge #12218059
多種多様なデッキが活躍するフォーマット

2020年10月18日

  • 1位 Sultai Uro
  • 2位 4C Omnath
  • 3位 4C Uro
  • 4位 Azorius Spirits
  • 5位 Burn
  • 6位 Dimir Control
  • 7位 Dimir Control
  • 8位 Gruul Midrange

トップ8のデッキリストはこちら

優勝したSultai Uro、4C Omnathともに安定した成績を残し続けています。

それ以外のところではAzorius SpiritsやBurn、Dimir Control、Gruul Midrangeなどさまざまなタイプのデッキが結果を残しています。特にGruul は『ゼンディカーの夜明け』リリース以降コンスタントに結果を残しており、注目のアーキタイプです。

デッキ紹介

4C Omnath

スタンダードではすでに禁止カードとなった《創造の座、オムナス》《自然の怒りのタイタン、ウーロ》ですが、パイオニアでも第一線級で活躍できるほどの強さです。

準優勝という好成績を残した4C Omnathは禁止改定前のスタンダード版と近い構成を維持しつつ、ショックランドによりマナ基盤が安定し、さらに《成長のらせん》《時を解す者、テフェリー》といった過去の強力なカードまで加えられています。

☆注目ポイント

Omnath, Locus of Creation

対アグロ性能へと注目が集まってしまいますが、《オムナス》は同一ターンに3度「上陸」することで、プレイヤーとプレインズウォーカーへ直接ダメージが入ります。コントロールやミッドレンジとのマッチアップで有効であり、キャントリップも付いているため、どのデッキに対しても無駄にならないカードといえます。

Fabled Passage

《寓話の小道》は1枚の土地で2度の「上陸」が誘発するため《オムナス》と相性が良く、これによりマナ加速ができるので《僻境への脱出》《発生の根本原理》《精霊龍、ウギン》といったビッグスペルをプレイ可能になります。

Growth Spiral

《水蓮のコブラ》《耕作》に加えて、パイオニアでは《成長のらせん》を採用できるのが魅力です。これによりスタンダードのときよりも序盤のマナ加速の安定性と、《オムナス》が着地してからの爆発力が増しています。

Gruul Midrange

マナクリーチャーから脅威を素早く展開して、《アタルカの命令》《無謀な奇襲隊》で一気に押していくアグレッシブなデッキです。その一方で、《エンバレスの宝剣》《探索する獣》《栄光をもたらすもの》など優秀なミッドレンジスペルが搭載されているため、中盤以降も攻め手が途切れにくい構成となっています。

マナクリーチャーと《炎樹族の使者》によって序盤から爆発力があり、2色デッキなので動きも安定しています。

☆注目ポイント

Atarka's CommandGoblin RabblemasterBurning-Tree EmissaryReckless Bushwhacker

8枚採用されたマナクリーチャーによって、高確率で2ターン目に《ゴブリンの熟練扇動者》《軍勢の戦親分》をプレイすることができます。ターン経過とともにゴブリン・トークンが並んでいくので、《アタルカの命令》《無謀な奇襲隊》を使って全体を強化をしてライフを攻めていきます《炎樹族の使者》から《無謀な奇襲隊》に繋げる動きも奇襲性があり、このデッキの強力な動きの1つです。

Cragcrown Pathway

これまでパイオニアでは友好色の2色土地が不足していました。そのため『ゼンディカーの夜明け』から登場した《岩山被りの小道》は、このデッキにとっては最大の収穫です。アンタップで出せる2色土地はこのデッキに安定性をもたらしたのです。

足りない色マナとして換算できるため、1ターン目にはマナクリーチャー、2ターン目以降は《ゴブリンの熟練扇動者》などの脅威といった展開が安定して可能となりました。テンポを損なわず色事故も解消できる土地となっています。

Questing BeastEmbercleave

《探索する獣》は接死持ちなので、《エンバレスの宝剣》を装備させればブロッカーに対してわずか1点のダメージを割り振るだけで破壊でき、二段攻撃も相まって速やかにゲームを終わらせてくれます。

総括

パイオニアはアグロ、コントロール、コンボなど多種多様なデッキが結果を残しており、メタゲームが毎週のように変化する群雄割拠な環境となっています。

創造の座、オムナス銅纏いののけ者、ルーカ荒野の再生

カードパワーが高いものが多く、デッキの強さに関してもバランスが取れているため、4C OmnathやJeskai Lukka、Reclamation Controlなど過去のスタンダードで禁止となったカードを含むデッキも、環境を歪めることなく共存することができています。

以上USA Pioneer Express vol. 12でした。

それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいパイオニアライフを!

この記事内で掲載されたカード

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Kenta Hiroki アメリカ在住のプレイヤー。 フォーマットを問わず精力的に活動しており、SCGやグランプリの結果などからグローバルな最新情報を隔週で発信する「USA Modern Express」「USA Legacy Express」を連載中。 Kenta Hirokiの記事はこちら