はじめに
みなさんこんにちは。
新型コロナウイルスの影響で今年のEternal Weekendは開催中止となりましたが、我々レガシーファンには嬉しいこともありました。
先々週末にMO上で3つのEternal Weekend 2020が開催となったのです!優勝賞品は《カラカス》《リシャーダの港》《イス卿の迷路》からなる3種類の大判カードで、各イベントともが定員いっぱいのプレイヤーが参加し、大盛況のうちに幕を閉じました。
今回はEternal Weekendの入賞デッキを見ていきたいと思います。
Eternal Weekend 2020 《カラカス》
オーコデッキがワンツーフィニッシュ
2020年10月17日
- 1位 Snowko
- 2位 Temur Delver
- 3位 Hogaak
- 4位 Death and Taxes
- 5位 Snowko
- 6位 Snowko
- 7位 Eldrazi
- 8位 Death and Taxes
トップ8のデッキリストはこちら
初回のEternal Weekend 2020 《カラカス》は600人近いプレイヤーが参加し、スイスラウンド10回戦という長丁場のイベントとなりました。
Eternal Weekend 2020への参加者は特別にすべてのカードを使用できたため、カード資産によるデッキの選択がなく、ほかの大会よりも信憑性の大会データとなります。
《王冠泥棒、オーコ》を使った青いデッキがトップメタであり、優勝はSnowkoでした。
デッキ紹介
Temur Delver
3 《Volcanic Island》
2 《溢れかえる岸辺》
2 《霧深い雨林》
2 《汚染された三角州》
2 《沸騰する小湖》
4 《不毛の大地》
-土地 (19)- 4 《秘密を掘り下げる者》
4 《戦慄衆の秘儀術師》
2 《自然の怒りのタイタン、ウーロ》
-クリーチャー (10)-
グランプリ・ナイアガラフォールズ2019で優勝経験のある強豪プレイヤー、GUL_DUKATことDaniel Goetschelが今大会で使用していたのは《自然の怒りのタイタン、ウーロ》入りのTemur Delverでした。
《タルモゴイフ》や《わめき騒ぐマンドリル》といった緑のクリーチャーの枠に、《自然の怒りのタイタン、ウーロ》と《森の知恵》を採用しており、よりロングゲーム向けの構成に仕上がっています。
無色マナしか出ない《不毛の大地》を4枚採用しているTemur Delverでは、《自然の怒りのタイタン、ウーロ》の運用は難しいと考えられていましたが、それが可能であると証明したGUL_DUKATのデッキチューニング能力と環境の理解度には脱帽です。
☆注目ポイント
メインから《自然の怒りのタイタン、ウーロ》と《森の知恵》を採用することでロングゲームに対応しやすくなり、Snowkoとの相性改善に貢献しています。両カードは相性が良く、積極的にライフをドローへと変換していくことができます。また、《自然の怒りのタイタン、ウーロ》を安定して「脱出」するために、4枚目の《Tropical Island》が採用されています。
《運命の神、クローティス》は墓地対策カードながらダメージソースともなり、同型やSnowkoとのマッチアップでは重要なカードとなります。対処手段が限られており、さらに青いデッキを想定したサイドボードに多い《紅蓮破》や《赤霊破》に引っかからないところもこのカードの強みです。
《森の知恵》はサイドボードに1枚程度の採用が多いカードですが、《自然の怒りのタイタン、ウーロ》とセットでメインボードへと移したことで、2枚目が用意されています。
Eternal Weekend 2020 《リシャーダの港》
Death and Taxes復権
2020年10月17日
- 1位 Death and Taxes
- 2位 Snowko
- 3位 Temur Delver
- 4位 Mono Red Prison
- 5位 Snowko
- 6位 Hogaak
- 7位 Snowko
- 8位 Temur Delver
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2回目のEternal Weekend 2020 《リシャーダの港》の開始時間は、日本国内のプレイヤーにとって参加しやすい時間帯でした。
『ゼンディカーの夜明け』から新戦力《スカイクレイブの亡霊》を獲得したDeath and Taxes。Eternal Weekend 2020 《カラカス》ではプレイオフに2名送り込むことに成功していましたが、今大会ではなんと優勝となりました。《リシャーダの港》の大判カードが優勝賞品の大会で、《リシャーダの港》を採用したデッキが優勝するというこの上ない結果となったのです。
デッキ紹介
Death and Taxes
2 《地平線の梢》
3 《カラカス》
4 《リシャーダの港》
4 《不毛の大地》
-土地 (24)- 4 《ルーンの母》
4 《石鍛冶の神秘家》
4 《スレイベンの守護者、サリア》
2 《迷宮の霊魂》
1 《ファイレクシアの破棄者》
4 《ちらつき鬼火》
3 《スカイクレイブの亡霊》
2 《護衛募集員》
1 《聖域の僧院長》
-クリーチャー (25)-
『ゼンディカーの夜明け』リリース前の環境では、Death and Taxesは目立った新戦力に恵まれず、苦戦を強いられていました。特にTemur Delver戦は厳しく、1マナの除去を使い回す《戦慄衆の秘儀術師》や装備品や《霊気の薬瓶》を無力化してくる《王冠泥棒、オーコ》を苦手としていました。
しかし、《スカイクレイブの亡霊》を獲得したことで状況は一変します。《王冠泥棒、オーコ》などの厄介なパーマネントに対する明確な回答を得たことによって、Death and Taxesは復権を果たし、今大会では《王冠泥棒、オーコ》の海を渡り切り、見事優勝を果たしたのです。
☆注目ポイント
低マナ域のカードが主流のレガシーでは、《スカイクレイブの亡霊》はさまざまな脅威に対処することができます。特に《霊気の薬瓶》を採用したこのデッキではカウンターされることがなく、インスタントスピードで戦場に出すことができるのでより効果的に使えます。除去された場合は相手にイリュージョン・トークンを生成してしまいますが、装備品が多いこのデッキではあまり問題にならず、《ちらつき鬼火》使えば簡単に処理することができます。
《迷宮の霊魂》は最近のDeath and Taxesでメインから採用されていることが多く、《渦まく知識》や《思案》に加えて、《自然の怒りのタイタン、ウーロ》の追加のドローも対処できるクリーチャーです。《霊気の薬瓶》の上に蓄積カウンターが2個乗っている場合は注意が必要です。
《スカイクレイブの亡霊》のほかにも《剣を鍬に》や《流刑への道》、伝説のクリーチャーをバウンスする《カラカス》、墓地対策の《安らかなる眠り》など《自然の怒りのタイタン、ウーロ》への対策手段が豊富です。《戦慄衆の秘儀術師》のようなフェアデッキでも墓地をリソースとするデッキが存在しているため、《安らかなる眠り》は受けが広いサイドボードカードになります。
Mono Red Prison
4 《古えの墳墓》
4 《裏切り者の都》
-土地 (17)- 4 《ゴブリンの熟練扇動者》
4 《軍勢の戦親分》
4 《猿人の指導霊》
3 《月の大魔術師》
2 《エインジーの荒廃者》
4 《ピア・ナラーとキラン・ナラー》
-クリーチャー (21)-
2 《エインジーの荒廃者》
1 《大焼炉》
1 《歩行バリスタ》
1 《砕骨の巨人》
1 《トーモッドの墓所》
1 《仕組まれた爆薬》
1 《液鋼の塗膜》
1 《魔術遠眼鏡》
1 《罠の橋》
1 《マイコシンスの格子》
-サイドボード (15)-
Mono Red Prisonは古典的なアーキタイプであり、レガシーの大会では常に一定数の使用者がいるデッキです。
現環境の多色デッキは氷雪基本地形と《アーカムの天測儀》の組み合わせでマナベースを構築しているため、以前ほどの拘束力は《血染めの月》にないものの、Temur Delverとのマッチアップで着地させることができれば相手をロックすることができます。
☆注目ポイント
このデッキの強さを支えているのは《金属モックス》《古えの墳墓》《裏切り者の都》《猿人の指導霊》といった多数搭載されているマナ加速の存在です。それらのマナ加速を利用して1ターン目から《血染めの月》や《三なる宝球》、 《虚空の杯》をプレイして相手をロック状態にしていきます。
相手の行動を縛りつつ《ゴブリンの熟練扇動者》や《軍勢の戦親分》でダメージクロックをかけていくのがこのデッキの主な戦略ですが、プリズン戦略に頼らずともマナ加速からこれらのゴブリンを展開してプレッシャーをかける動きも十分に強力です。
呪文/土地の両面カード(以下、スペルランド)である《髑髏砕きの一撃》は土地としても使える除去であり、《血染めの月》着地前に出てきた脅威を処理する手段になります。プレインズウォーカーまで対象に取れる対象の広さ、状況に応じて土地としても使えるフレキシブルさがこのカードの魅力です。
Eternal Weekend 2020 《イス卿の迷路》
コンボ対決
2020年10月18日
- 1位 Elves
- 2位 The Spy
- 3位 Hogaak
- 4位 Death and Taxes
- 5位 Temur Delver
- 6位 Eldrazi Post
- 7位 Snowko
- 8位 Esper Vial
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日曜日に開催されたEternal Weekend 2020 《イス卿の迷路》は最後ということもあり、定員いっぱいの672名もの参加者が集まる大盛況となりました。
気になる上位入賞デッキですが、なんと現環境のトップメタであるTemur DelverやSnowkoといった《王冠泥棒、オーコ》を採用したデッキは少数となっていました。代わりに、Eternal Weekend 2020《リシャーダの港》を制したDeath and Taxesや最近活躍が目覚ましいElves、今大会のスイスラウンドを全勝という驚異的なパフォーマンスでプレイオフ進出を決めたThe Spyなど多種多様なデッキが見られました。
決勝戦はThe SpyとElvesによるコンボ対決となり、Elvesの勝利となりました。
デッキ紹介
The Spy
The Spyというアーキタイプ自体は『ギルド門侵犯』がリリースされて以来存在していましたが、『ゼンディカーの夜明け』から登場したスペルランドによって大幅に強化されました。
デッキの基本的な動きは《欄干のスパイ》によってライブラリーのカードすべてを墓地に落とします。これにより複数枚の《ナルコメーバ》が戦場に出るので、《戦慄の復活》を「フラッシュバック」して《タッサの神託者》をリアニメイトすることで勝利します。
環境屈指の速度に加えて安定性も手に入れたこのデッキの強さは本物であり、今大会のスイスラウンドを10-0という圧倒的な強さでプレイオフ進出を果たし、決勝戦でElvesに敗れるまで無敗でした。《欄干のスパイ》(《地底街の密告人》)を使ったコンボはすでにモダンやパイオニアで結果を残していましたが、レガシーでもトーナメントレベルであることが証明されたのです。
☆注目ポイント
今までは《猿人の指導霊》や《水蓮の花びら》といった1回限りの使い捨てのカードによってこのデッキのマナ基盤は構築されていましたが、《アガディームの覚醒》や《変わり樹の共生》といったスペルランドを獲得したことで安定性が格段に向上しています。
《陰謀団式療法》は相手のカウンターや妨害手段を落とす以外にも、手札に来てしまった《タッサの神託者》などを墓地に落とす手段としても使えます。相手の妨害手段の対策として《否定の契約》がフル採用されていますが、コンボが決まればそのターン中にゲームに勝つことができるため契約不履行の心配はありません。
サイド後は相手もさまざまな妨害手段を追加してくるので、こちらも《生命の力線》や《ザンティッドの大群》などのコンボを通すための手段を採用しています。このデッキを相手にする場合は《ザンティッドの大群》に備えて、サイド後もある程度除去を残しておく必要があります。
このデッキの勝ち手段は《タッサの神託者》をリアニメイトすることであるため、《虚空の力線》や《安らかなる眠り》の対策は必須となります。それゆえに《活性の力》や《自然の要求》が多めにとられています。
総括
今回のEternal Weekend 2020の結果から、レガシーは人気フォーマットであることが再確認できました。また、参加者はすべてのカードを使うことができたことからも、カードの資産の問題が解決することでより多くのプレイヤーがレガシーをプレイすることに興味を持つ可能性があることも証明しました。
Eternal Weekend 2020 《カラカス》の終了時点では《王冠泥棒、オーコ》デッキが上位を支配していましたが、Eternal Weekend 2020 《リシャーダの港》とEternal Weekend 2020 《イス卿の迷路》では復権を果たしたDeath and Taxesや大幅に強化されたThe Spyを筆頭に、さまざまなデッキが結果を残していました。以上の結果から、現在のレガシー環境は健全であると思われます。
以上、USA Legacy Express vol.173でした。
それでは次回の連載でもまた会いましょう。楽しいレガシーライフを!