Translated by Kohei Kido
(掲載日 2020/11/02)
はじめに
みなさん、こんにちは!ライバルズ・リーグ所属のベルナルド・サントス/Bernardo Santosです。今日は、先日行われた初の『ゼンディカーの夜明け』リーグ・ウィークエンドで、9勝3敗の成績を収めたディミーアローグについて話そうと思います。いつも通りかなり大規模な調整チームでこのデッキを調整しました。
デッキは十二分に応えてくれて、MPLのマルシオ・カルヴァリョ/Marcio Carvalhoとカルロス・ロマオ/Carlos Romaoは8勝4敗で大会を終えました。ライバルズ側のリーグ・ウィークエンドでもフレデリコ・バストス/Frederico Bastosとトラルフ・セヴラン/Thoralf Severinが7勝5敗で、この記事を書いている時点でミゲル・スィモーイシュ/Miguel Simoesも7勝4敗で最後の試合を待っている状態です。これらの成績は素晴らしいものに見えないかもしれませんが、大会のレベルを考えるとこれは本当に良い成績だと言えます!
このデッキは非常に強力なデッキですが、さまざまなゲーム展開が可能で状況に応じた判断が必要なので、使いこなすにはデッキ自体の理解も深くなければなりません。ローグというデッキはテンポデッキであり、相手の動きを十分に遅らせてライブラリーアウトさせたり、ライフを狙って勝つことができます。これは特にラクドスミッドレンジやゴルガリアドベンチャー、ミラーマッチなどに対して当てはまります。これらのアーキタイプは相手を減速させるために除去を多く採用しているので、こちらに対してロングゲームでも戦うことができます。
そのほかのほとんどのデッキに対しては、カード・アドバンテージで差をつけたり相手の脅威を打ち消せるため、コントロールデッキとして試合を運びます。またコントロールデッキに対しても、「切削」のおかげで試合が長引けばこちらがいずれ勝利できるのです。ディミーアローグは使っていて本当に楽しいデッキで、プレイングによって勝てる面白い試合が多く生まれます。
デッキリストとカード選択
これが、私たちがリーグ・ウィークエンドで使ったデッキリストです。
3 《沼》
4 《寓話の小道》
2 《ゼイゴスのトライオーム》
4 《清水の小道》
4 《欺瞞の神殿》
-土地 (21)- 4 《マーフォークの風泥棒》
4 《遺跡ガニ》
4 《盗賊ギルドの処罰者》
4 《空飛ぶ思考盗み》
-クリーチャー (16)-
1 《塵へのしがみつき》
4 《湖での水難》
3 《無情な行動》
3 《アガディームの覚醒》
2 《神秘の論争》
1 《死住まいの呼び声》
1 《凪魔道士の威圧》
4 《物語への没入》
1 《海門修復》
-呪文 (23)-
2 《否認》
2 《タッサの介入》
2 《死住まいの呼び声》
2 《凪魔道士の威圧》
2 《絶滅の契機》
1 《塵へのしがみつき》
1 《神秘の論争》
1 《夢の巣のルールス》
-サイドボード (15)-
このデッキリストは、ミラーとアゾリウスヨーリオンが多くなると想定したメタゲームに合わせて調整しました。実際にもっとも使用者の多かったデッキがこれら2つだったので、予想は的中しました。
デッキについては今後いろいろと変更できる余地があります。先ほど言及した2つのデッキがそこまで多くなければ、《神秘の論争》をメインデッキに入れる必要性は下がるかもしれませんし、ラクドスミッドレンジに対抗するために《塵へのしがみつき》を増やしたほうがいいかもしれません。メインデッキに関しては変更できないカードも多く、除去呪文も現状を維持するのであれば変更可能なカードの枠は5枚だけになります。
メインデッキ
《死住まいの呼び声》
ミラーマッチでもっとも強力なカードのひとつであり、除去を使う黒いデッキに対しても非常に有効です。《アガディームの覚醒》も同様の機能を担うカードではありますが、効率よく動くことが重要なミラーマッチではマナ・コストの軽さがとても重要なのです。
《凪魔道士の威圧》
ラクドスミッドレンジに対して重要なカードで、緑のデッキに対しても《ガラクの先触れ》への解答になります。このカードは大逆転をもたらすカードで、対戦相手のクリーチャーが強ければ強いほど良いカードです。
《死の飢えのタイタン、クロクサ》や《鎖巣網のアラクニル》のようなカードを軽いマナ・コストで奪えるのは本当に強力で、《死住まいの呼び声》のようにこのカードが輝くマッチアップのためにサイドボードにもう2枚入れています。
《神秘の論争》
このカードはアゾリウスヨーリオンとミラーが多いという想定でメインデッキに入れました。青いデッキに対して絶大な効果を発揮するカードでありながら、ティムールランプのようなデッキに対する打ち消し呪文の枚数も増やすことができます。今後これらのデッキが数を減らせば、サイドボードに移してメタゲームで重要そうなカードに入れ替えることも可能です。
《塵へのしがみつき》
言うまでもありませんが、《塵へのしがみつき》は対戦相手に「脱出」を簡単に許してしまうというデッキの弱点をカバーするためのカードです。このカードが必要になる試合では75枚に2枚という枚数は足りていないと考えていて、ラクドスミッドレンジが人気を博すようであれば最低でも3枚は必要だと確信しています。
サイドボード
サイドボードに確実に入れておきたいカードもありますが、私たちは使わなかったものゲームプラン次第で採用してもいいカードはほかにも存在しています。
《夢の巣のルールス》
デッキの構成的にタダで「相棒」に設定できますし、試合でも頻繁に使うカードです。サイドボードに入れるのは自明なカードだと言えます。
《絶滅の契機》
緑のアドベンチャーデッキには奇数のクリーチャーが多いので、かなり有効なカードとして採用しましたが、必要だと断言できるカードではなく、正直あまり印象に残っていません。
《塵へのしがみつき》
繰り返しにはなりますが、メインとサイドを合わせて合計3枚は欲しいカードです。この大会ではラクドスミッドレンジが多くないと想定し、半ば無視してデッキ構築した部分もありましたが、今後は必要になると思います。
《否認》
このカードは何年もスタンダードに存在しており、常にまともなサイドボードカードとして使われています。コントロールデッキやランプデッキとの対戦では、このカードが輝きます。
《凪魔道士の威圧》
効くデッキには絶大な効果を誇るので、メインとサイドで合計4枚というのがこのカードにとって妥当な枚数になるのではないでしょうか。サイドボードに2枚は間違いなく入ると思います。
《死住まいの呼び声》
《死住まいの呼び声》の枚数は正しいと思っています。ミラーマッチでは最高のカードですが、あまり引きたくないカードでもあります。これもサイドに入れておきたいカードです。
《取り除き》
アグロデッキに対する優良な除去ではありますが、今のメタゲームで本当に必要なのかは自信が持てません。より多くの除去が必要な場合は、これは堅実な選択肢ですし、グルールが数を増やせば必要となるでしょう。
《タッサの介入》
このカードの汎用性の高さは、コントロールとのマッチアップに対して優秀で良い発見をしたと思っています。コントロールデッキとの試合では、カード・アドバンテージと相手の脅威を止める方法が必要になりますが、このカードはその両方を実現してくれます。
《神秘の論争》
メインデッキに2枚は多すぎると思いますが、それでもとても重要なカードで、メインとサイド合わせて3枚は正しい枚数だと思っています。
今後のデッキリスト
私が今後使おうと思うデッキリストです。
3 《沼》
4 《寓話の小道》
2 《ゼイゴスのトライオーム》
4 《清水の小道》
4 《欺瞞の神殿》
-土地 (21)- 4 《マーフォークの風泥棒》
4 《遺跡ガニ》
4 《盗賊ギルドの処罰者》
4 《空飛ぶ思考盗み》
-クリーチャー (16)-
2 《塵へのしがみつき》
4 《湖での水難》
3 《無情な行動》
3 《アガディームの覚醒》
2 《凪魔道士の威圧》
1 《死住まいの呼び声》
4 《物語への没入》
1 《海門修復》
-呪文 (23)-
2 《取り除き》
2 《否認》
2 《タッサの介入》
2 《死住まいの呼び声》
2 《凪魔道士の威圧》
1 《塵へのしがみつき》
1 《夢の巣のルールス》
-サイドボード (15)-
リーグ・ウィークエンドでヨーリオンデッキはあまりいい成績を上げられなかったので、デッキの使用率は下がると思っています。メインデッキはクリーチャー主体のデッキを倒せるように構築して、サイドボード後に打ち消し呪文をデッキに入れたほうがいいでしょう。
サイドボードガイド
グルール
vs. グルール
序盤の《マーフォークの風泥棒》は相手の《鎖巣網のアラクニル》のせいで弱く、相手の主な除去は《焦熱の竜火》なので《死住まいの呼び声》も上手く機能しません。相手のベストカードは戦場のクリーチャーに依存している《グレートヘンジ》と《エンバレスの宝剣》なので、除去の枚数を最大化して臨みたいです。相手の「脱出」カードに対する主な対策は《凪魔道士の威圧》であるため、《塵へのしがみつき》はメインデッキに多く残したくないカードです。
ラクドスミッドレンジ
vs. ラクドスミッドレンジ
相手には強力な「脱出」カードが多くあるので、直感的に《遺跡ガニ》をサイドアウトしたいと思うかもしれません。しかし試行錯誤の結果、全力で相手を「切削」し、その道中で「脱出」クリーチャーをカウンターするか奪うことが唯一上手くいくゲームプランでした。厳しいマッチアップですが、「切削」するというゲームプランを維持して勝利まで相手の「脱出」に耐え続けるのが一番です。
相手はこちらのクリーチャーを除去するので2:1交換が必要となり、そういった理由から《死住まいの呼び声》もこのプランに必要なカードです。
アゾリウスヨーリオン
vs. アゾリウスヨーリオン
相手のほうがデッキのカードが重いので相性がよく、ゲームのペースを支配するのは私たちです。多くの場合、《ガラスの棺》や《スカイクレイブの亡霊》に上手くマナを使わせないために、3ターン目か4ターン目までクリーチャーを出さないプレイが正着となります。
こちらがかけ始めたプレッシャーに対処するために相手が土地をフルタップしたら《物語への没入》を唱えればよく、ディミーアローグはロングゲームも戦えるので相手が試合をコントロールするのは困難なのです。相手が勝つには6ターン目にエンチャントとしての《サメ台風》や《夢さらい》を唱えることなのですが、それも比較的簡単に止められます。
相手の除去の多くは追放除去なので、《死住まいの呼び声》は必要ありません。《空の粉砕》に対する解答としては、《夢の巣のルールス》と《アガディームの覚醒》が残っています。
ミラーマッチ
vs. ミラーマッチ
ミラーマッチではコントロールプランは全く機能せず、テンポがすべてだと思っています。なので自分の墓地を追放して《物語への没入》を遅らせられるとはいえ、《塵へのしがみつき》は使いたくありません。そういう状況は稀で、よくあるパターンは片方のプレイヤーが加速的にゲームで優位になっていくパターンなので、とにかくテンポよく動けるカードが必要です。
《凪魔道士の威圧》は強力なカードではあって、後手のほうが使いやすいカードだと感じています。先攻のプレイヤーが《夢の巣のルールス》を先に唱える可能性が高いですからね。後手なら《凪魔道士の威圧》を2枚デッキに残して、代わりに《無情な行動》を減らしていいと思います。《死住まいの呼び声》で出たクリーチャーを除去できませんからね。
ティムールランプ
vs. ティムールランプ
これも相性のいい相手です。相手にプレッシャーをかけながら、重い呪文を打ち消せばいいだけですからね。
プレイングはとても簡単で、《神秘の論争》に注意する必要があるのと、《鎖巣網のアラクニル》が採用されていると想定し、《塵へのしがみつき》を何枚かデッキに残しておくことです。《凪魔道士の威圧》はいらないのでサイドアウトします。
おわりに
今日はここまでです。本当にいいデッキができたと思うので、試してもらえると嬉しいです。また次回。