USA Modern Express vol.48 -モダンに現れた消えない亡霊-

Kenta Hiroki

Kenta Hiroki

はじめに

みなさんこんにちは。

『ゼンディカーの夜明け』リリースから1ヵ月以上が経ちましたが、同セットのモダンへの影響は予想以上に大きく、新カードを使ったデッキが毎週のように登場して結果を残しています。

今回の連載ではModern ChallengeとModern Champ Qualの入賞デッキをみていきたいと思います。

Modern Challenge #12221071
引っ張りだこの《スカイクレイブの亡霊》

2020年10月25日

  • 1位 Devoted Combo
  • 2位 Azorius Taxes
  • 3位 Restore Balance
  • 4位 Dimir Mill
  • 5位 Blue Moon
  • 6位 Bant Company
  • 7位 Heliod Combo
  • 8位 Selesnya Field

トップ8のデッキリストはこちら

《スカイクレイブの亡霊》が環境に与えた影響は大きく、Death and Taxesを一気にトップメタに匹敵するデッキへと引き上げ、さらにSpiritsなどの白いクリーチャーベースのデッキを強化することに貢献しています。実際に今大会ではBant CompanyやHeliod Combo、Selesnya Fieldなどさまざまなデッキで採用されていました。

プレイオフまで勝ち残ったデッキすべてが異なるアーキタイプであり、多種多様なデッキが活躍するモダンらしい結果となりました。

デッキ紹介

Azorius Taxes

《スカイクレイブの亡霊》が登場して以来、どの大会でも上位で見かけるようになったDeath and Taxes。一般的には白単色ですが、今大会で準優勝したリストは青を足したバージョンでした。

スカイクレイブの亡霊呪文捕らえ

青を足したことで《呪文捕らえ》を採用できるようになり、妨害手段が増えたことでコントロールやコンボに強い構成になっています。

ETB能力(戦場に出たときに誘発する能力)持ちのパーマネントを多数採用しているので「相棒」の《空を放浪するもの、ヨーリオン》によってカードアドバンテージを稼ぐことができ、単色と比較してミッドレンジ寄りのデッキといえます。

☆注目ポイント

Confounding Conundrum

《当惑させる難題》《自然の怒りのタイタン、ウーロ》《成長のらせん》などのランプ戦略やフェッチランドの起動を牽制できるため、《レオニンの裁き人》と並んで多くのデッキに対して強力な妨害要素として機能します。マナコストが軽くキャントリップ付きなので安定性の向上にも一役買っており、《ちらつき鬼火》《空を放浪するもの、ヨーリオン》とシナジーがあります。2枚以上張れば複数回能力が誘発するので、2枚目以降が腐らないのもこのエンチャントの強みです。

Glasspool Mimic

《玻璃池のミミック》がフル搭載されています。呪文/土地の両面カード(以下、スペルランド)はフレキシブルさが特徴であり、自軍のクリーチャーをコピーする能力もこのデッキにフィットしています。《スカイクレイブの亡霊》《石鍛冶の神秘家》など戦場に出たときの誘発型能力を持つ優秀なクリーチャーが多いため、何枚引いても無駄になりません。

Selfless Savior

《無私の救助犬》《ルーンの与え手》とともに防御の要であり、装備品を付けたクリーチャーや《呪文捕らえ》を除去から守ることで自分の優位を確固たるものとします。また、相手の除去に対応して《霊気の薬瓶》から出すことで、カウンターのようにも機能します。

Modern Champ Qual
モダンでも猛威を振るう《ウーロ》《オムナス》

2020年11月1日

  • 1位 4C Uro
  • 2位 Amulet Titan
  • 3位 Jund Death’s Shadow
  • 4位 4C Uro
  • 5位 Izzet Prowess
  • 6位 Selesnya Titan Field
  • 7位 Amulet Titan
  • 8位 Temur Control

トップ8のデッキリストはこちら

Modern Champ Qual上位には《自然の怒りのタイタン、ウーロ》を採用した多色コントロールや《原始のタイタン》デッキが多く見られ、アーキタイプが散っていたModern Challengeとは異なる結果となりました。Champ Qualはイベントへの参加権がかかっているため、プレイヤーはChallengeよりも安定性のあるデッキを優先する傾向にあるのです。

さまざまなデッキが活躍している現在のモダンですが、今大会を制した《自然の怒りのタイタン、ウーロ》デッキは各色から優秀なスペルを採用しているため、苦手なマッチアップが少なく頭一つ抜けている印象です。

デッキ紹介

4C Uro

スタンダードではその強さゆえに禁止カードに追い込まれた《自然の怒りのタイタン、ウーロ》《創造の座、オムナス》コンビは、強豪集うModern Champ Qualの上位を支配するほどの強さでした。

稲妻流刑への道

《創造の座、オムナス》登場後もデッキの基本的な動きは変わらず、《稲妻》《流刑への道》といった軽量除去や各種カウンターでゲームをコントロールしていきます。プレインズウォーカーでアドバンテージを獲得していき、最終的に《自然の怒りのタイタン、ウーロ》《死者の原野》でゲームを終わらせるのです。

自然の怒りのタイタン、ウーロ死者の原野成長のらせん

早い段階で《死者の原野》をアクティブにするため、《自然の怒りのタイタン、ウーロ》《成長のらせん》を使って土地を伸ばしていきます。7枚目の土地へとたどり着くことこそが、このデッキのキーとなります。

☆注目ポイント

Omnath, Locus of Creation

10種類以上のフェッチランドが使えるので、複数回「上陸」することはパイオニアよりも容易です。《創造の座、オムナス》の4点ライフゲインはProwessやBurnなどアグロデッキとのマッチアップで強く、3度「上陸」すればプレイヤーとプレインズウォーカーへ直接ダメージが入るので、コントロールやミッドレンジとのマッチアップでも強さを発揮します。

さらにモダンでは《レンと六番》という強力なプレインズウォーカーが使えます。[+1]能力でフェッチランドを再利用できるので、安定して複数回の「上陸」を狙えます。

炎渦竜巻

アグロからコンボまでさまざまなデッキと当たるモダンでは、メインは除去とカウンターを中心としたバランスの良い丸い構成になっています。その分サイドボードは特定のデッキに刺さる局所的なカードでまとめられています。

《炎渦竜巻》は最近よく見られるスイーパーになりました。《至高の評決》よりも除去できる範囲は狭まりますが、《スレイベンの守護者、サリア》のマッチアップではマナコストが軽い《炎渦竜巻》に軍配が上がります

封じ込める僧侶天界の粛清

Death and TaxesやHumansなど《霊気の薬瓶》デッキが増えているので《封じ込める僧侶》は有力なサイドカードになります。Rakdos Death’s Shadowの《死の影》《スカイクレイブの災い魔》は対策する必要があるため、《天界の粛清》も必須となります。

4C Uro Control(Time Warp)

《時間のねじれ》+《神秘の聖域》のコンボを搭載した多色コントロール。《神秘の聖域》《時間のねじれ》を再利用することで複数の追加ターンを得て、プレインズウォーカーによりアドバンテージを稼ぎます。

《レンと六番》によってフェッチランドを再利用できるため、《神秘の聖域》をサーチし続けることができます。プレインズウォーカーが戦場にある状態で複数の追加ターンを得ることで、勝利するには十分なアドバンテージを稼ぐことができるのです。

☆注目ポイント

Time Warp神秘の聖域

《時間のねじれ》は5マナと重いスペルになりますが、このデッキには豊富なマナ加速呪文が採用されています。《成長のらせん》《自然の怒りのタイタン、ウーロ》に加えて、《創造の座、オムナス》とフェッチランドの組み合わせでも追加ターンを得ることができます

マナで優位に立つことで《神秘の聖域》+《時間のねじれ》のコンボにもスムーズに移行することが可能です。一般的な4Cよりも《創造の座、オムナス》にフォーカスしたバージョンなので、メインから4枚採用されています。

Wrenn and Six

《レンと六番》の[+1]能力によってフェッチランドを再利用することができるので、毎ターン安定して複数回「上陸」を狙え、さらに追加の《神秘の聖域》を探す手段も確保できます。《レンと六番》はコンボを成立させるための1枚になるため、このデッキでは4枚採用されています。

Veil of Summer

サイド後は《時間のねじれ》を確実に通すために《夏の帳》が投入されます。メインボードは追加ターンコンボに寄せている分一般的な4C Uro Controlと比べて除去や妨害が少なめになっているので、サイドボードには追加の除去やカウンターなどにスペースの多くが割かれています。

Selesnya Titan Field

《原始のタイタン》といえば《風景の変容》《精力の護符》を軸にした土地コンボが定番ですが、《エラダムリーの呼び声》を採用してツールボックス的な要素を取り入れたミッドレンジバージョンも最近見られるようになりました。

不屈の追跡者ラムナプの採掘者原始のタイタン

Selesnya Titan Fieldは《不屈の追跡者》《ラムナプの採掘者》でアドバンテージを稼ぎつつ、《原始のタイタン》をプレイしてゲームを終わらせるミッドレンジコンボです。《流刑への道》《天界の粛清》を採用できるのが白のメリットであり、流行の《スカイクレイブの亡霊》も使うことができます。

サイドボードの選択肢が豊富でコンボデッキや《血染めの月》にも耐性があります。爆発力のAmulet Titan、安定のSelesnya Titanといった区分になります。

☆注目ポイント

Elvish ReclaimerFlagstones of Trokair

《エルフの開墾者》《トロウケアの敷石》とシナジーがあり、状況に応じて《魂の洞窟》《ギャレンブリグ城》《ボジューカの沼》などをサーチしつつマナ加速することができます。

イリーシア木立のドライアドEladamri's Callスカイクレイブの亡霊

《エラダムリーの呼び声》はこのデッキのキーとなる《イリーシア木立のドライアド》《原始のタイタン》を含め、その時々で必要なクリーチャーをサーチできる優秀なスペルです。

さらに《スカイクレイブの亡霊》が加わったことで、選択肢も広がっています。《スカイクレイブの亡霊》《血染めの月》をはじめとした厄介なパーマネント全般に対する解答となり、このデッキにとっても大収穫でした。

Boil

サイドには《自然の怒りのタイタン、ウーロ》デッキを含めた青デッキに刺さる《沸騰》が忍ばせてあります。

Modern Challenge #12223585
コンボデッキの勝利

2020年11月1日

  • 1位 Ad Grace
  • 2位 4C Uro Control
  • 3位 Amulet Titan
  • 4位 Mono Red Prowess
  • 5位 Rakdos Death’s Shadow
  • 6位 Mono Blue Tron
  • 7位 Ponza
  • 8位 Death and Taxes

トップ8のデッキリストはこちら

Champ Qualの裏番組的なイベントであった今回のModern Challenge。いつものモダンらしく、アグロからコンボまで多種多様なデッキが結果を残していました。

優勝したのはコンボデッキのAd Grace。固定パーツが多くすでに完成されたデッキであり、『ゼンディカーの夜明け』のカードはなくとも結果を残しています。

デッキ紹介

Rakdos Death’s Shadow

『ゼンディカーの夜明け』からの新カード、《スカイクレイブの災い魔》はプレビュー段階からモダンの《死の影》デッキの新戦力として注目を集めていました。《スカイクレイブの災い魔》は追加の《死の影》として前評判通りの活躍を見せ、現在はモダンの主要なカードに定着しています。

《死の影》デッキはミッドレンジ寄りのJundなどいくつかのバージョンが存在しますが、最近の主流はRakdosです。2色のため安定性があり、速攻クリーチャーが加わったことでより攻撃的な構成になっています。

☆注目ポイント

Scourge of the SkyclavesDeath's Shadow

《スカイクレイブの災い魔》は2マナにして追加のフィニッシャーであり、《死の影》と並んでこのデッキの主力を務めます。以前よりも脅威となるカードが増えたことでコントロールやミッドレンジ側はより多くの除去が必要になりましたが、《思考囲い》《コジレックの審問》があるため、必要な除去を手札にキープすることは困難を極めます。

死の飢えのタイタン、クロクサBomat Courier夢の巣のルールス

《ボーマットの急使》はクロックこそ遅いものの、手札を使い切りやすいこのデッキでは貴重なアドバンテージ源となります。相手にとってはマスト除去となり、除去された場合は《死の影》などの本命クリーチャーが生き残りやすくなります。

墓地へ落ちたカードは《死の飢えのタイタン、クロクサ》の「脱出」コストになったり、《夢の巣のルールス》で再利用することができるので、さらなるアドバンテージの獲得に繋がります。

Blood MoonKozilek's Return

基本地形が少ないものの、サイドボードには《血染めの月》が忍ばせてあります。4C Uroや土地コンボに対しては相手のほうが被害が大きくなり、デッキリストが公開されていない大会では奇襲性があります

《コジレックの帰還》は最近見かけるようになった全体火力スペルです。活躍が目覚ましいDeath and Taxesの主力はタフネス2までの小型クリーチャーが多く、効果的です。

総括

Champ Qualの結果では土地コンボや多色コントロールが上位に複数残りました。しかし、Modern Challengeの結果を合わせて考えるに、『ゼンディカーの夜明け』後のモダンは新カードを含めた多種多様なデッキが活躍する良環境だといえます。

メタゲームは無視できない要素ですが、ほかの構築フォーマットよりもやり込みが重視されるのがモダンです。みなさんも好きなデッキや戦略をカスタマイズして、大会へ参加してみてはいかがでしょうか。

以上、USA Modern Express vol.48でした。

それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいモダンライフを!

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Kenta Hiroki

Kenta Hiroki アメリカ在住のプレイヤー。 フォーマットを問わず精力的に活動しており、SCGやグランプリの結果などからグローバルな最新情報を隔週で発信する「USA Standard Express」「USA Modern Express」「USA Legacy Express」を連載中。 Kenta Hirokiの記事はこちら