MOCSでのデッキ選択 ~前編:ティムールスケープシフト~

Goncalo Pinto

Translated by Kohei Kido & Nobukazu Kato

原文はこちら
(掲載日 2020/11/23)

11月13日から15日にかけ、とうとう開催されたMagic Onlineチャンピオンシップ2019。私は参加者24名のなかの1人として本大会に参加しました。フォーマットは、モダン・パイオニア・ヴィンテージキューブの3つ。

結果は7位。スイスラウンドを4位通過して優勝したマイケル・ジェイコブ/Michael Jacobと勝ち点は同じだったものの、タイブレイカーの差で通過できませんでした。

この記事は、本大会におけるデッキ選択を解説する前編に当たるものです。前編では、モダン部門で使用したティムール《風景の変容》(以下、ティムールスケープシフト)を取り扱います。パイオニアで選択したスゥルタイ昂揚については後編でご紹介しますので、お楽しみに。

ティムールスケープシフトのいろは

ティムールスケープシフトは1枚コンボのデッキです。戦場に7枚以上の土地を揃え、《風景の変容》で山や《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》をサーチし、一挙に大ダメージを与えます。

風景の変容溶鉄の尖峰、ヴァラクート

《ヴァラクート》の効果を誘発させるには、最低でも《ヴァラクート》1枚と山6枚が必要ですから、土地7枚はコンボを成立させるうえでの最低限の枚数です。《風景の変容》から6枚の山を同時に戦場に出すことにより、そのすべてが《ヴァラクート》を誘発させ、相手に18点のダメージが入ることになります。

初期ライフの20点には届きませんが、モダンではフェッチランドやショックランドでライフを失うので、たいていは18点で事足ります。仮に相手のライフが18点より多いのであれば、あらかじめ戦場にもう1枚土地を追加で並べておくことで、2枚目の《ヴァラクート》や7枚目の山をサーチできるようになり、前者であれば36点、後者であれば21点のダメージが与えられます。詳しい計算については後ほどご紹介しますね。

なんでグルールじゃなくてティムールなの?

より歴史が深い赤緑タイタンシフトは、相手が何を狙っていようとも自分が先に7~8枚の土地を並べることに特化させたデッキです。対して、ティムールスケープシフトは青をベースにしたデッキであり、相手のゲームプランを遅延させながら土地を伸ばしていきます

神秘の聖域

このアーキタイプにおいて非常に重要なカードの1枚が《神秘の聖域》です。その効果でライブラリートップに置いた呪文を《差し戻し》《成長のらせん》で即座に引き込んだり、《謎めいた命令》《自然の怒りのタイタン、ウーロ》と合わせることでロックをしたり、手札破壊された《風景の変容》を回収したりと、島を3つ要求する条件を踏まえても、青の色を濃くする価値はあります。

デッキリストとカード選択

Magic Onlineの”PTQ”でトップ8に入賞したOskiyaa (オスカー・ガルシア・ムニョス/Oscar Garcia Muñoz; @oskiyaa)のリストを参考にしました。ご存知でない方のために説明しますと、オスカーはスペイン人のグラインダーで、PTQ突破・グランプリやプロツアーでの好成績・シルバーレベルなどでプロツアーに5~6連続で出場したことがあり、息を吸うようにマジックをするプレイヤーです(タバコもかなり吸いますね)。

そんな彼ですから、そのカード選択には信頼を置けます。ただ、鵜呑みにすることは避けたかったので、自分の手で十分な数のゲームをこなし、自分自身のリストを練り上げました。

これがMOCSに登録したリストです。後ほどのサイドボードガイドもこちらをベースに解説します。ただ、みなさんの置かれた状況・メタゲームに合わせてリストを調整するには、なぜ私がこういったカード選択をしたのかを知っておく必要があるでしょう。

28/29枚のマナベース

ではまずはマナベースから。ここは非常にシンプルです。少なくとも必要なのは以下のカードになります。

ケトリアのトライオーム

4

蒸気孔

4

踏み鳴らされる地

2

山

1

溶鉄の尖峰、ヴァラクート

2

コンボを成立させるために必要な土地です。赤マナ源は《稲妻》やサイドボードのカードに必要というのもありますが、山を引きすぎて《風景の変容》からサーチするものが足りなくなるという事態を防ぐために、最低でも山は11枚必要になります。ただ、11枚中6枚を引いてしまっても、ちゃんと相手のライフを0にできますので不安になることはありません。これも後ほど解説しますのでご心配なく。

続いては、青と緑のマナ基盤を強固にするフェッチランド・ショックランド・基本土地です。

Breeding Pool

2

森

1

島

2

霧深い雨林

4

沸騰する小湖

4

先ほど重要だと述べた《神秘の聖域》ですが、その効果を少なくとも2回は使えるようにするために最低でも2枚は採用したいところです。念のため言っておきますが、《神秘の聖域》は島の基本土地タイプを持つので、フェッチランドからサーチできます。そのため、島が3つ戦場に揃ったときのために余剰のフェッチランドは温存しておくことも考えられます。

ここまでご紹介した土地を合わせると28枚になります。多いように感じるかもしれませんが、実はそんなことありません。繰り返すようですが、土地を7枚並べる必要があるデッキですからね。しかもときには高速で!7~8枚目までは滞りなく土地を伸ばしていかなければならないのです。

シルンディの幻視シルンディの島嶼

私のリストでは《シルンディの幻視》を1枚採用しています。追加の土地でありながら、《風景の変容》《謎めいた命令》などのキーカードを掘り当ててマナフラッドを予防できるカードです。

実質的な土地の枚数は30枚まで増やしても問題ないと思います。増やすのであれば、追加の《シルンディの幻視》、青絡みのフェッチランド、《神秘の聖域》あたりになるでしょう。

呪文

《風景の変容》 4枚

風景の変容

4

参考にしたオスカーの元のリストでは、3枚しか採用されていませんでした。その枚数になる理屈もわかりますが、メインデッキについては4枚にすることが重要だろうと私は思います。《風景の変容》はこのデッキのメインプランですし、1ゲーム目はお互いに相手に刺さるカードを持ち合わせていませんからね。

1枚だけサイドアウトすることはよくあります。《ウーロ》が主役になるマッチアップや、ロングゲームになって複数枚引いたときに負け筋になるような場合です。

《差し戻し》 4枚

差し戻し

4

デッキ内で最強の呪文です。多くを語るまでもありません。《神秘の聖域》との相性は相手にとって嫌なものでしょう。実際、相手が3ターン目に《血染めの月》を唱え、それを何度も《差し戻し》、結局相手がそのエンチャントを着地させる前に《風景の変容》で勝利したことは何度もあります。

《謎めいた命令》 3枚

謎めいた命令

3

その使い勝手の良さから重要な1枚です。枚数を変えるとすれば2枚に減らすよりも4枚に増やすと思いますが、今は3枚が適正だと考えています。《ウーロ》《謎めいた命令》《神秘の聖域》を絡めた「謎めいた」ロックにハマってしまうアーキタイプもあるので、このカードは欠かせない存在です。

《否定の力》 2枚

否定の力

2

サイドボードからの対策への解答でありながら、メインデッキからでも機能する打ち消しです。《血染めの月》《沸騰》と対峙する機会が多いのであれば、メインかサイドに追加してもいいでしょう。

《大魔導師の魔除け》 3枚

大魔導師の魔除け

3

オスカーのリストとの最大の違いです。この魔除けは実に多彩な働きをします。インスタントタイミングの《予言》は土地詰まりを防止し、3マナの打ち消しは《差し戻し》《謎めいた命令》の中間的な存在です。最後のモードも無意味ではありません。サイズの上がった《教区の勇者》《死の影》を奪って勝利したことが何度もあります。

《成長のらせん》 4枚

成長のらせん

4

これも欠かせないカードです。インスタントであることが肝で、マナ加速をするか妨害をするか、相手の動きを待ってからその判断を下せます。絶対にサイドアウトしないカードは《成長のらせん》しかありません

土地をセットする効果とドロー効果は《神秘の聖域》と相性抜群です。フェッチランドから《神秘の聖域》をサーチし、たとえば《謎めいた命令》をライブラリートップに戻し、《成長のらせん》を唱え、戻した《謎めいた命令》を引き込み、追加の土地を置いて《謎めいた命令》を唱えるといったことができます

(もっと欲張りたいのであれば、その《成長のらせん》でセットしたフェッチランドから2枚目の《神秘の聖域》をサーチして《成長のらせん》を回収し、次のターンにそれを唱えれば《風景の変容》によるコンボが決まるほど土地が伸びます)。

《稲妻》 4枚

稲妻

4

山を11枚入れる都合で赤マナを確保できるのですから、マジック史で有数の赤の呪文を使わない手はないでしょう。軽量のクリーチャーをさばけますし、フェッチランドやショックランドを使わない相手に対して3点を与えるという大役も担えます。その3点があれば、《風景の変容》からのコンボキルに必要な山の枚数を8枚から7枚に減らせるのです。

《自然の怒りのタイタン、ウーロ》 3枚

自然の怒りのタイタン、ウーロ

3

《瞬唱の魔道士》がこのデッキのプランBだった時代もありましたね。このカードは単体で勝てるマッチアップもありますし、そういったマッチアップはかつて相性が悪いものでした。ジャンドのようなミッドレンジや赤系のアグロは、土地7枚と《風景の変容》以外にも心配の種が増えたことになります。

自由枠

メタゲームに合わせてデッキの枠を空けるとすれば、追加の土地枠1~2枚に加えて、下記のカード群が第一候補になります。

《遥か見》 1枚

遥か見

1

8枚目の《成長のらせん》です(5~7枚目は《ウーロ》)。《探検》にするという手もありますが、どちらもソーサリーに変わりないので、望む土地を確実に置けるこちらを選びました。

《イゼットの魔除け》 1枚

イゼットの魔除け

1

メインデッキから投入できる《翻弄する魔道士》への追加の解答でありながら、その他のマッチアップでも腐らないカードを採用すべきだと考えました。厄介な《時を解す者、テフェリー》を対処できることもあって、このカードに白羽の矢が立った形です。

《レンと六番》 2枚

レンと六番

2

自分の中で一番葛藤があるカード。たいていはフェッチランドを回収する”だけ”です。特に頭を悩ませるのは、2ターン目は《差し戻し》《成長のらせん》という2つの強力な呪文が揃っているターンだということ。しかし、結局使わないのは間違いだろうという考えになりました。フェッチランドを回収する”だけ”でも十分な強さだったです。

読者の方が枚数を増やしたいと思ったとしても間違いだとは思いませんが、そうするのであればフェッチランドの枚数を9~10枚まで引き上げることを視野に入れて下さい。ただし、《樹木茂る山麓》は入れないように。基本土地や《踏み鳴らされる地》をサーチできますが、《神秘の聖域》をサーチできないのは致命的です。《溢れかえる岸辺》《汚染された三角州》を入れましょう。

サイドボード

サイドボードは、みなさんが置かれているメタゲームに合わせて特に調整が必要な部分です。後述のサイドボードガイドでは、特定のマッチアップの相性を改善するカードを提案していきます。しかしその前に、まずは私がMOCSで使用したサイドボードについて軽く説明させてください。

《神々の憤怒》《焼けつく双陽》 各1枚

神々の憤怒

1

焼けつく双陽

1

使用者が多くなるだろうと予想した人間デッキを意識しての採用です。《神々の憤怒》《焼けつく双陽》と違ってドレッジに対しても痛烈に刺さるので全体火力としてはベストな選択肢です。

《仕組まれた爆薬》 1枚

仕組まれた爆薬

1

さらなる人間対策。ラクドスシャドウにも効果的で、赤系のアグロにもサイドインできます。

《幻惑の旋律》 2枚

幻惑の旋律

2

ラクドスシャドウの使用率が高まると予想していましたし、大会参加者の1人であるJaberwockiが使うことも知っていました。ラクドスシャドウのようなデッキには《幻惑の旋律》《神秘の聖域》で使い回す動きが効果てきめんです。

《夏の帳》 3枚

夏の帳

3

ウーロパイルやシャドウデッキに強く、コンボを守ったり押し通したりするのに使います。

《炎の斬りつけ》 1枚

炎の斬りつけ

1

アグロに対する軽い除去であり、《翻弄する魔道士》への追加の解答です。その他の呪文と比べると、《イリーシア木立のドライアド》《エルフの開墾者》を除去できる点が評価できます。

《霊気の疾風》 3枚

霊気の疾風

3

《魂の洞窟》から唱えられた《原始のタイタン》にも対応できる利点があります。《血染めの月》に対しても、《島》があるならば気兼ねなくタップアウトして行動していけます。《ウーロ》や赤系のアグロと速度勝負する際には、1ターン稼ぐことが明暗を分けることもあるでしょう。

《丸焼き》 1枚

丸焼き

1

《時を解す者、テフェリー》《夢を引き裂く者、アショク》を除去するために入れました。特にアショクは戦場に残ってしまうとまさに悪夢です。

《ザルファーの魔道士、テフェリー》 2枚

ザルファーの魔道士、テフェリー

2

私なりのウーロパイルへの切り札です。ウーロパイルは《夏の帳》《霊気の疾風》をサイドインしてくることが多いですが、初代のテフェリーはそれらをすり抜けられます。

《否定の力》に消されないのも強みです。しかも、相手のエンドフェイズに唱えられるので、仮にテフェリーを巡って打ち消し合いが発生しても、相手だけ《否定の力》をピッチスペルで唱えられません。

スケシ算

頭を悩ませるゲームはあまりありません。自分の戦場と墓地をざっと目を通し、山の枚数を確認します。7枚で18点、8枚で相手のライフを0にできるという意味では実質的に無限のダメージを与えられることにはもう触れましたね。

このデッキでどんぶり勘定では勝てない試合を何試合かこなせばデッキに何枚の山が残っているのかを自然にカウントできるようになるでしょう。

残った山の枚数と相手に与える必要があるダメージを考慮して、土地を何枚生け贄に捧げればいいのか知りたいときに一番早く答えを得られる方法はベルナルド・サントス/Bernardo Santosに聞くことです。デッキ調整を彼に手伝ってもらっている間、私が計算をするために口を開くまでもなく、彼が「山はX枚残ってるからYダメージ与えられる。」と答えをくれました。まだ彼 @Bernardocssaをフォローしていない方のために、スケシ算に使える図を用意しておきました。

Scapeshift-Math

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知っていると得する豆知識

さて、続いては覚えておくとたまに役立つ知識をまとめてご紹介します。なかにはご存知のものもあるかもしれません。まだまだ細かいテクニックを知っているぞという方はぜひ私に教えて下さいね!

フェッチランドのサーチ先

3ターン目までは基本土地タイプ・島以外の土地はできるだけサーチしないようにしましょう。3ターン目に青マナ源を3つ揃えておけば、《大魔導師の魔除け》を唱えられますし、4ターン目に《神秘の聖域》をアンタップインできる可能性を作りだせます。

ケトリアのトライオーム

基本的に最初にフェッチランドからサーチすべきは《ケトリアのトライオーム》であり、2ターン目に全色を使えるようにしておきます。2つ目の赤マナ源が必要でなければ、それ以上《ケトリアのトライオーム》をサーチするのは避けましょう。繰り返すようですが、ライブラリーに一定数の山が必要なデッキですからね。

ただ、フェッチランドからサーチするものを決めるときに考慮すべきことがもうひとつあります。それは手札の土地の枚数です。手札に土地が少ないのであれば、原則通り《ケトリアのトライオーム》をサーチします。「サイクリング」することはないでしょうし、以降のターンで引きたい土地はアンタップインの土地のはずですから。

他方、土地が多い手札の場合は、基本土地や《繁殖池》をサーチします。これ以上土地を引いてしまうにしても、できるだけそれが「サイクリング」できる《ケトリアのトライオーム》である確率を高めるためです。

基本土地《山》の価値

基本土地タイプ・山の土地をライブラリーに残すことが大切であるのは再三お伝えしてきました。ですが、そのなかでも基本土地の《山》は特別な意味を持っています。

腕の立つプレイヤーは《風景の変容》が唱えられたときのために《幽霊街》《廃墟の地》を起動できる状態を維持してくることがあります。もし《風景の変容》から基本土地タイプ・山の土地がきっかり6枚しか戦場に出なかった場合、《ヴァラクート》の能力が解決時にも山の枚数をチェックすることを利用し、相手はその内のひとつを破壊してその他の山5枚がダメージを与えられないようにしてくるかもしれません。

幽霊街廃墟の地内にいる獣

しかし、もしここで基本土地の《山》がライブラリーの中にあれば、それを《幽霊街》《廃墟の地》の効果で戦場に出すことができるため、さらにダメージを上乗せできます。すでに《山》を引いてしまった場合や、相手が《風景の変容》後に《内にいる獣》などで山を破壊しようと目論んでいると思う場合は、コンボを次のターンに持ち越すことを検討しましょう。臨機応変に対応するのです!

《謎めいた命令》ロック

謎めいた命令自然の怒りのタイタン、ウーロ神秘の聖域

特定のデッキに対しては、《謎めいた命令》を使ったロックで勝てることがあります。このロックは、まず《謎めいた命令》で相手のクリーチャーをすべてタップしつつ、2つ目のモードで戦場の《神秘の聖域》を手札に戻します。返しのターン、《神秘の聖域》《謎めいた命令》をライブラリートップに回収し、《ウーロ》で攻撃すれば、土地を伸ばしつつ積み込んでおいた《謎めいた命令》を次のターンも使えるようになるのです。

《風景の変容》を唱える前にすべてのマナを捻出する

《風景の変容》は4マナのカードでありながら、コンボには7~8枚の土地を必要とします。つまり、通常この呪文は数マナを浮かせた状態で唱えられるわけです。間違いなく後続のアクションがない/手札がないという場合は例外ですが、《風景の変容》が解決した後に相手が何かしてくることを考えれば、すべての土地をタップしてマナを出してしておくべきでしょう。

沸騰

手札に《差し戻し》があるのにマナを出し忘れると、《沸騰》《ヴァラクート》の6回分の誘発が無駄にされて負け!なんてことになりかねません。気をつけましょう。

《夏の帳》からコンボを開始する

夏の帳

たいていのデッキはこの異次元の緑の呪文から最大のリターンを得ようとしますが、ティムールスケープシフトはそこまでする必要はありません。順調にいけば《風景の変容》を唱えた後のゲーム展開は存在しないからです。

相手に重いマナ・コストの呪文を使わせてから、《夏の帳》を使って様子見をしたのちに《風景の変容》を使いましょう。ときにはアップキープに《夏の帳》を唱えることもあります。そうすれば、フェッチランドからサーチした《神秘の聖域》で回収してドローフェイズに再び《夏の帳》を引けます。

《ザルファーの魔道士、テフェリー》《ウーロ》を瞬速で唱えられる

ザルファーの魔道士、テフェリー

《ザルファーの魔道士、テフェリー》が戦場に出てしまえば、非常に優勢になります。《ウーロ》の「脱出」を自分のターンにすることなく、相手のターン終了時に仕掛けられるのですから!

《神秘の聖域》の誘発スタックで呪文を唱える

これは《シルンディの幻視》との兼ね合いでよく起きる状況です。たとえば、《神秘の聖域》の青マナを使って《シルンディの幻視》を唱えたいが、その効果で《神秘の聖域》で回収したカードを手札に加えたくない、とします。

《神秘の聖域》をフェッチランドからサーチし、墓地の呪文を対象にとり、デッキトップに戻す効果をスタックに乗せ、ここで《シルンディの幻視》を唱えれば、そのあとにデッキトップに戻す(あるいは戻さない)判断を決めることができるのです。

自分の呪文に《差し戻し》

差し戻し

よくあるのは、打ち消し呪文の対象になっている自分の呪文を《差し戻し》することです。相手の《否定の力》《差し戻し》して、ピッチコストに充てる青のカードをもう一枚持っていないことを期待するのではなく、自分の《風景の変容》《差し戻し》すれば、アドバンテージを得つつ《風景の変容》を再び唱えられます

ルーンの与え手献身のドルイド

こちらは頻繁にある状況ではないですが、自分の《稲妻》《差し戻し》することは頭の片隅に入れておいたほうがいいでしょう。たとえば、相手の場に《ルーンの与え手》《献身のドルイド》がいたとします。《献身のドルイド》《稲妻》を放つと相手は《ルーンの与え手》で「プロテクション(赤)」を与えようとするでしょう。そこで自らの《稲妻》《差し戻し》すれば相手の《ルーンの与え手》の能力が解決する前に再び《稲妻》を使えるのです。

《大魔導師の魔除け》でパーマネントを盗もう

《大魔導師の魔除け》は土地でないパーマネントならコントロールを奪えることを忘れないでください。ときには《霊気の薬瓶》《精力の護符》を打ち消さずに着地を許してからコントロールを奪った方がメリットがあるということです。この2種類のカードで一番頻繁に起こりますが、《探検の地図》《大祖始の遺産》のコントロールを奪えたこともあります。

探検の地図大祖始の遺産

《ウーロ》/《成長のらせん》《シルンディの幻視》は土地として置けない

シルンディの島嶼

《シルンディの幻視》を土地として置きたいなら自分のターンに1枚土地を置く権利で置いてください。《成長のらせん》/《ウーロ》で土地として置くことはできません

サイドボードガイド

読者の方が一番読みたい章にたどりつきました!

ウーロパイル

対 ウーロパイル

Out

稲妻 稲妻 稲妻 稲妻
風景の変容
謎めいた命令

In

夏の帳 夏の帳 夏の帳
ザルファーの魔道士、テフェリー ザルファーの魔道士、テフェリー
丸焼き

《謎めいた命令》が一番効果的ではない打ち消し呪文です。《夏の帳》《神秘の論争》で簡単に防がれてしまいます。コンボを準備するのには時間がかかることが多く、いずれ《風景の変容》は引けます。《風景の変容》を何枚も手札に抱えてしまうと試合で不利になります。

相性を改善するには

神秘の論争

《神秘の論争》をサイドに追加しましょう。打ち消し合戦では非常に効果的で、《時を解す者、テフェリー》《夢を引き裂く者、アショク》に対処する手段としても優れています。

ラクドスシャドウ、ジャンドシャドウ、ジャンド

対 ラクドスシャドウ、ジャンドシャドウ、ジャンド

Out

差し戻し 差し戻し 差し戻し 差し戻し
否定の力 否定の力
イゼットの魔除け

In

夏の帳 夏の帳 夏の帳
幻惑の旋律 幻惑の旋律
炎の斬りつけ
仕組まれた爆薬

《死の影》のコントロールは奪えますが、そうすると自分のライフを参照するようになることは覚えておいてください。

ターンの終わりや本来なら致命傷となる《ティムールの激闘》による二段攻撃の一段目をあえて受けて自分のライフを意図的に減らさせたあとにコントロールを奪って、サイズの大きい《死の影》で攻撃して試合への勝利を目指すことも頻繁に発生します。相手のライフもたいてい少ないですからね。

相性を改善するには

MOCSで対戦すると想定していたためすでに合わせたサイドボードにはなっていますが、《幻惑の旋律》《仕組まれた爆薬》をもう1枚追加すればさらに相性は良くなります。

The Spy

対 The Spy

Out

稲妻 稲妻 稲妻 稲妻

In

夏の帳 夏の帳 夏の帳
ザルファーの魔道士、テフェリー

相手が勝つには高速でコンボを成立させる必要があります。《差し戻し》は相手に1ターンむだにさせる大役を担います。相手は1ターンに2回《欄干のスパイ》/《地底街の密告人》を唱えると《復讐蔦》の誘発が失敗してしまうので、実質的にコンボができませんからね。

相手のデッキにはカードが1枚しか残っていないタイミングがあるので、誘発が全てスタックに乗っている状態で《大魔導師の魔除け》で相手に2枚ドローさせると勝利できます。

相性を改善するには

相手に勝利するために必要なものはすでにデッキに入っています。相手が先手2ターン目にコンボを成立させることは稀なので、そうなったら結果を受け入れましょう。

貪欲な罠魂標ランタン

墓地対策カードをサイドボードに入れることは可能です。墓地対策カードを利用したサイドボーディングが機能するためにはゲーム開始時の手札に確保できるように3~4枚は必要です。

自分なら《魂標ランタン》《貪欲な罠》で散らすでしょうね。《貪欲な罠》は奇襲をかけることができて《神秘の聖域》で使いまわすこともできます。《自然のままに》に破壊されませんが、《夏の帳》《神聖の力線》《否定の力》との相性が良くありません。

2種類を混ぜることで相手は対応するために多くのカードをサイドインしなければならず、結局かみ合わずに墓地対策カードでこちらが勝利できるかもしれないので複数種類入れるのは有効な戦術です。

アミュレットタイタン

対 アミュレットタイタン

Out

自然の怒りのタイタン、ウーロ 自然の怒りのタイタン、ウーロ
稲妻 稲妻
イゼットの魔除け

In

霊気の疾風 霊気の疾風 霊気の疾風
炎の斬りつけ
仕組まれた爆薬

なぜか世間では好んで使われているようなので《沸騰》には気をつけてください。相手が4マナ立たせてこちらのゲームのペースに合わせてくれるなら、それに応じたプレイすればいいだけです。

このマッチアップでは《霊気の疾風》は優れたカードです。《霊気の疾風》を使いまわせるように《神秘の聖域》の誘発をむだに使うことがないようにしましょう。相手は《夏の帳》を用いないことが多いですが、《魂の洞窟》には気をつけてください。

相性を改善するには

このデッキはMOCSのメタゲームで多いと想定していたので、すでにサイドボードには《霊気の疾風》が3枚入っています。4枚目の《霊気の疾風》か相手の《精力の護符》に対応するための《霊気のほころび》のようなカードを追加すれば相性はさらに良くなりますが、これ以上増やす必要はないと思います。

セレズニアタイタン

対 セレズニアタイタン

Out

自然の怒りのタイタン、ウーロ 自然の怒りのタイタン、ウーロ 自然の怒りのタイタン、ウーロ
稲妻
イゼットの魔除け

In

霊気の疾風 霊気の疾風 霊気の疾風
炎の斬りつけ
仕組まれた爆薬

このデッキとはアミュレットタイタンと似た試合になります。サイドボーディングで唯一違うところは後手なら《稲妻》を4枚ともデッキに残してもいいかもしれないところです。《エルフの開墾者》を除去することが非常に重要だと感じているからです。

イゼット果敢、赤単オボシュ、赤単バーン

対 イゼット果敢、赤単オボシュ、赤単バーン

Out

差し戻し 差し戻し 差し戻し 差し戻し
謎めいた命令
風景の変容

In

霊気の疾風 霊気の疾風 霊気の疾風
炎の斬りつけ
焼けつく双陽
仕組まれた爆薬

この3種類のデッキとの試合運びは異なりますが、どのデッキに対しても同じサイドボーディングです。話を単純にすれば自分が死ぬ前に《ウーロ》を出すゲームです。相手が《血染めの月》をサイドインしてくることを警戒してください。基本土地の《島》をフェッチしてくることで《血染めの月》に対して《霊気の疾風》を使えるようにしておきましょう。

相性を改善するには

嵐の乗り切り

1マナの赤の除去か《嵐の乗り切り》を何枚かサイドに足せば相性は確実に改善します。

エルドラージトロン

対 エルドラージトロン

Out

イゼットの魔除け

In

炎の斬りつけ

《魂の洞窟》《大いなる創造者、カーン》が厄介です。でもこの2種類すらそこまで怖くはありません。たとえば相手が《大いなる創造者、カーン》の忠誠度を[-2]して能力を使ったあとに《稲妻》を使えば《液鋼の塗膜》とのコンボを実質的に打ち消すことができます。《謎めいた命令》で相手のクリーチャーをタップしつつカードを引いて《風景の変容》のための時間稼ぎをすることもできます。

現実を砕くもの難題の予見者

このマッチアップで稀に使える鮮やかなプレイングとして、何らかの方法で相手の《現実を砕くもの》を対象にとり、《風景の変容》を捨てることで《難題の予見者》から守るプレイングが存在しています。これができればあとは《神秘の聖域》でアップキープに山札の上に乗せて試合に勝利するだけです。

トロン

対 トロン

Out

稲妻 稲妻

In

霊気の疾風 霊気の疾風

相性を改善するには

このマッチアップは改善の余地が大きいです。対策のためにサイドボードの枠を割かなければならないほど流行っているデッキではないと考えていますが、《浄化の野火》《神秘の聖域》と組み合わせると相手は痛手を受けます。《高山の月》も相手を無力化する力があるので有効です。

浄化の野火高山の月

サイドボードに《高山の月》があればウーロパイルやエルドラージトロン、タイタン系デッキに対してもサイドインすると思います。《死者の原野》《魂の洞窟》を無力化できますからね。

グルールミッドレンジ

対 グルールミッドレンジ

Out

自然の怒りのタイタン、ウーロ 自然の怒りのタイタン、ウーロ
遥か見
風景の変容

In

霊気の疾風 霊気の疾風 霊気の疾風
焼けつく双陽

《ウーロ》が非常に強力なマッチアップですが、《沸騰》《血染めの月》のリスクを考えるとフルタップするのは避けたいところです。

相性を改善するには

メインかサイドに《否定の力》を追加すれば便利です。でもグルールミッドレンジ自体が現状ではあまり強いと考えていないので過剰に気にしてはいけません。

ドルイドコンボ

対 ドルイドコンボ

Out

自然の怒りのタイタン、ウーロ 自然の怒りのタイタン、ウーロ 自然の怒りのタイタン、ウーロ
謎めいた命令 謎めいた命令
遥か見

In

霊気の疾風 霊気の疾風 霊気の疾風
炎の斬りつけ
神々の憤怒
焼けつく双陽

厄介な《夏の帳》を相手はサイドインしてきます。《否定の力》をデッキに残して《霊気の疾風》をサイドインするのはそれが理由です。打ち消し呪文よりも除去で相手のクリーチャーに対処しましょう。

相性を改善するには

追加の1マナ除去があれば最高ですね。できればインスタントタイミングで使えるカードが良いです。

人間

対 人間

Out

差し戻し 差し戻し 差し戻し 差し戻し
否定の力 否定の力

In

焼けつく双陽 神々の憤怒 霊気の疾風 炎の斬りつけ
仕組まれた爆薬 丸焼き

現在のデッキリストでは入っていることが多い《月の大魔術師》には要注意です。

相性を改善するには

このデッキを最重要の仮想敵としてデッキを組んだので、解答となるカードを散らすことで備えはできています。《炎渦竜巻》のような全体除去と1~2枚の単体除去を追加すればさらに相性は改善されるでしょう。

ヘリオッドカンパニー

対 ヘリオッドカンパニー

Out

自然の怒りのタイタン、ウーロ 自然の怒りのタイタン、ウーロ 自然の怒りのタイタン、ウーロ
謎めいた命令 謎めいた命令
遥か見

In

霊気の疾風 霊気の疾風 霊気の疾風
炎の斬りつけ
神々の憤怒
焼けつく双陽

ドルイドコンボと似た試合になります。相手は《夏の帳》をサイドインしてくるので相手のクリーチャーにうまく対処すべきです。

一度出てしまった《太陽冠のヘリオッド》に対する解答として一番良いものが《謎めいた命令》によるバウンスなので基本的には対処するのは困難です。相手がライフを得るのも厄介です。こちらが勝利するには土地が7枚ではなく8枚必要になりますからね。相手が無限ライフコンボを決めたら負けです。

《謎めいた命令》でロックをかけることはできると思うかもしれませんが、私は不可能だと思っています。そのうち相手はロックを破綻させるようにして無限ダメージコンボを成立させるからです。

相性を改善するには

無効霊気のほころび

このデッキが多いと想定するなら《無効》が良いかもしれません。結局《夏の帳》で対処される上に範囲が狭すぎる呪文ではあります。《霊気のほころび》《太陽冠のヘリオッド》に対する手堅い解答になるのでこれらを少しずつ足すのが相性を改善するいい方法かもしれません。

おわりに

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みなさんの大会での健闘を祈っています!

ゴンサロ (Twitter)

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Goncalo Pinto ポルトガル出身の古豪。同郷のマルシオ・カルヴァリョをはじめHareruya Latinの面々と親交が深く、彼らと共に日々研鑽を積んでいる。 プロツアー『ドミナリア』ではマルシオと共にトップ8へと勝ち進み、準決勝にて同郷対決を制して準優勝を記録。見事にゴールドレベルを確定させてHareruya Prosへと加入した。 Goncalo Pintoの記事はこちら