はじめに
みなさんこんにちは。
今月末にThe Last Sun 2020が開催されます。そのフォーマットの1つであるパイオニアは、各地で予選が開催されているなど盛り上がりを見せています。
さて、今回の連載では第3期パイオニア神挑戦者決定戦と、先週末に開催されたPioneer Challengeの入賞デッキを見ていきたいと思います。
第3期パイオニア神挑戦者決定戦
最強はニヴ=ミゼット
2020年11月21日
- 1位 5C Niv
- 2位 Mono Red Prowess
- 3位 4C Omnath
- 4位 Reclamation Control
- 5位 4C Omnath
- 6位 4C Omnath
- 7位 Burn
- 8位 Reclamation Control
平山 怜
トップ8のデッキリストはこちら
久々に開催されたテーブルトップの大規模イベントであった第3期パイオニア神挑戦者決定戦は、参加者100人越えと大盛況でした。
今大会で上位入賞したデッキは、4C OmnathやReclamation Control、5C Nivといった多色のミッドレンジ、コントロールが中心で、《自然の怒りのタイタン、ウーロ》と《創造の座、オムナス》という最強コンビの強さを証明する結果となりました。
デッキ紹介
5C Niv
1 《島》
1 《沼》
1 《山》
1 《森》
4 《寓話の小道》
2 《インダサのトライオーム》
2 《ラウグリンのトライオーム》
2 《ゼイゴスのトライオーム》
1 《ケトリアのトライオーム》
1 《サヴァイのトライオーム》
2 《草むした墓》
1 《繁殖池》
1 《神無き祭殿》
1 《蒸気孔》
2 《水没した地下墓地》
2 《根縛りの岩山》
1 《氷河の城砦》
1 《陽花弁の木立ち》
-土地 (28)- 4 《森の女人像》
3 《自然の怒りのタイタン、ウーロ》
1 《創造の座、オムナス》
3 《ニヴ=ミゼット再誕》
-クリーチャー (11)-
3 《思考消去》
2 《戦慄掘り》
1 《苦渋の破棄》
1 《殺戮遊戯》
4 《白日の下に》
1 《永遠神の投入》
1 《影の評決》
4 《時を解す者、テフェリー》
1 《先駆ける者、ナヒリ》
-呪文 (21)-
5C Nivはその名の通り、《ニヴ=ミゼット再誕》を軸にした5色のグッドスタッフでパイオニアを代表するミッドレンジです。
5色なので採用できるカードの選択肢が多く、除去を多用するため環境のアグロデッキに強いのでデッキの選択肢としても有力です。
アドバンテージを得る手段が豊富なため、相手よりも先にリソースが尽きることは稀で、5C Nivを超えるデッキパワーを持つミッドレンジ戦略はパイオニアには存在しないといっても過言ではありません。
☆注目ポイント
このデッキのキーカードである《森の女人像》は、除去耐性があるのでマナ源として信頼性が高く、タフネスが3あるのでアグロの猛攻を受け止めることにも貢献します。特に、パワー2のクリーチャーが中心のMono Blackとのマッチアップで輝くクリーチャーです。
《白日の下に》をフル搭載しているこのデッキは、コンボ対策の《殺戮遊戯》など特定の戦略に刺さるカードを1枚ずつメインに採用するなど、ツールボックス的な要素もあります。
《苦渋の破棄》はマッチアップによってはライフロスが痛くなりますが、《完全なる終わり》よりも1マナ軽く、ミッドレンジ同型やコントロールとのマッチアップでは使いやすい除去スペルとなります。
《永遠神の投入》はコストこそ重いですが、《自然の怒りのタイタン、ウーロ》のために墓地を肥やして相手のクリーチャーを除去できる優秀なスペルで、決勝戦のMono Red Prowessとのマッチアップでも活躍していました。
もともと採用するカードの選択肢が豊富だった5C Nivでしたが、『ゼンディカーの夜明け』から登場した新カードによって選択肢がさらに広がりました。《創造の座、オムナス》はスタンダードでも猛威を振るっていた1枚で、2回目の「上陸」から《ニヴ=ミゼット再誕》や《白日の下に》に繋げやすくなりました。
軽量のクリーチャーとプレインズウォーカーを一掃できる《影の評決》は有用なスイーパーとして定着しています。現環境の代表的なアグロデッキであるMono Black AggroやBurnを始めとした各種《夢の巣のルールス》デッキ、ミッドレンジやコントロールの主力の《自然の怒りのタイタン、ウーロ》や《死の飢えのタイタン、クロクサ》などに対する回答になるなど、さまざまなマッチアップ、シチュエーションに対応できます。
Mono Red Prowess
軽いクリーチャーと火力により速攻で相手のライフを攻めるシンプルな赤単色のアグロデッキ。両面カードの《髑髏砕きの一撃》を採用することで土地をわずか16枚まで削り、極力マナフラッドに陥らないように調整されています。
火力が多めに搭載されているため、除去やスイーパーでクロックを流されても相手のライフを削りきることができます。《自然の怒りのタイタン、ウーロ》と《創造の座、オムナス》を採用したデッキが多く勝ち残るなかで、準優勝という好成績を残していたことからも要注目のデッキです。
ほかのデッキと比べてもリーズナブルなので、パイオニア入門デッキとしてもオススメです。
☆注目ポイント
三科選手のリストで一番印象に残ったのは、メインからフル搭載された《集団的抵抗》です。「増呪」持ちなので中盤以降余ったマナを活用しやすく、このデッキにとってマスト除去となる《創造の座、オムナス》を除去しつつ、相手やプレインズウォーカーにダメージを入れられる優秀な火力です。また、引きすぎた土地を有効牌に変換できる能力も強力です。
アドバンテージを稼げる《舞台照らし》や《ボーマットの急使》、最後の一押しとなる《ラムナプの遺跡》など、赤単色ながら息切れしにくい構成になっています。
サイドに4枚採用されている《乱動する渦》は、あの《硫黄の渦》を彷彿とさせるエンチャントで、各種《自然の怒りのタイタン、ウーロ》&《創造の座、オムナス》デッキ、Jeskai Luuka、The Spyなどミッドレンジからコントロール、コンボ相手に刺さるサイドカードとして定着しています。
Pioneer Challenge #12233113
単色プレインズウォーカーコントロールが優勝
2020年11月28日
- 1位 Mono Red Superfriends
- 2位 The Spy
- 3位 Jeskai Luuka
- 4位 The Spy
- 5位 The Spy
- 6位 Azorius Yorion
- 7位 Esper Control
- 8位 5C Niv
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現環境を代表するコンボデッキであるThe Spyがプレイオフに3名入賞する中、オリジナル色の強い赤単色のプレインズウォーカーデッキが優勝を果たしました。
ほかには、Esper Controlや5C Nivといったコントロールやミッドレンジも結果を残していました。
デッキ紹介
Mono Red Superfriends
3 《戦場の鍛冶場》
4 《ラムナプの遺跡》
4 《大瀑布》
4 《ダークスティールの城塞》
1 《爆発域》
1 《屍肉あさりの地》
-土地 (20)- 4 《砕骨の巨人》
4 《難題の予見者》
1 《不屈の巡礼者、ゴロス》
-クリーチャー (9)-
4 《神々の憤怒》
4 《ヴァラクートの覚醒》
3 《アイレンクラッグの妙技》
3 《突沸の器》
4 《精神迷わせの秘本》
4 《反逆の先導者、チャンドラ》
1 《目覚めた猛火、チャンドラ》
4 《精霊龍、ウギン》
-呪文 (31)-
3 《減衰球》
3 《漸増爆弾》
1 《爆発域》
1 《約束された終末、エムラクール》
1 《嵐の怒り》
1 《破滅の刻》
1 《目覚めた猛火、チャンドラ》
-サイドボード (15)-
同じ赤単でも先ほどご紹介したMono Red Prowessとは大きく異なるプレインズウォーカーを多数搭載したコントロールデッキ。
《神々の憤怒》などスイーパーや除去で時間を稼ぎ、《突沸の器》や《アイレンクラッグの妙技》といったスペルでマナ加速して、強力なプレインズウォーカーを早い段階からプレイしていきます。
単色ですが《難題の予見者》をプレイするために、《ダークスティールの城塞》など無色マナが出る土地をマナ基盤に組み込んでいるので、実質2色のような印象です。
☆注目ポイント
《浄化の野火》は《ニクスの祭殿、ニクソス》など特定の土地を対策する以外でも、自分の《ダークスティールの城塞》や《大瀑布》といった破壊されない土地を対象に取ることでマナ加速としても使えます。そのほか、《突沸の器》や《アイレンクラッグの妙技》を利用することで《目覚めた猛火、チャンドラ》や《精霊龍、ウギン》など強力なプレインズウォーカーを4ターン目からプレイすることが可能です。
さまざまなデッキで採用されているアドバンテージ源の《精神迷わせの秘本》は、マナフラッドを防止しつつドローの質を高めることができます。おまけのライフゲインもアグロデッキとのマッチアップで時間を稼いでくれます。手札を入れ替える《ヴァラクートの覚醒》は全体的にコストの重いこのデッキとマッチしています。
赤単色ですが、マナフィルターの能力を持つ《大瀑布》を利用することで《不屈の巡礼者、ゴロス》の起動能力を使ってアドバンテージを稼ぐことができます。さらに、《不屈の巡礼者、ゴロス》自身の能力によって《大瀑布》をサーチしてこれるので、次のターンには能力を起動することができます。
Pioneer Challenge #12233117
BurnとUroデッキの2強
2020年11月29日
- 1位 Mono Red Prowess
- 2位 Sultai Reclamation Control
- 3位 5C Niv
- 4位 Burn
- 5位 Burn
- 6位 4C Omnath
- 7位 5C Niv
- 8位 Mono Black Aggro
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8位のMono Black Aggroを除いた、入賞デッキのすべてが各種UroデッキとBurnで、両デッキの存在感を示す結果となりました。
デッキ紹介
Mono Black Aggro
4 《ロークスワイン城》
4 《変わり谷》
1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》
-土地 (24)- 4 《血に染まりし勇者》
4 《戦慄の放浪者》
4 《漆黒軍の騎士》
4 《屑鉄場のたかり屋》
1 《スカイクレイブの影》
4 《残忍な騎士》
4 《悪ふざけの名人、ランクル》
2 《騒乱の落とし子》
-クリーチャー (27)-
モダンでも幅広くプレイされている《思考囲い》は、パイオニアでもThe SpyやJeskai Luukaのようなコンボデッキに対する貴重な対策カードとして活躍しています。《思考囲い》の強さを最大限に活かせる戦略の一つとして、パイオニアが設立されて以来、形を変えつつ常にメタの中に存在し続けています。
《致命的な一押し》や《無情な行動》といった優秀な低マナ除去が使えるのも特徴です。《騒乱の落とし子》や《悪ふざけの名人、ランクル》など中堅クリーチャーにも恵まれており、全体的にバランスが取れているのも結果を残している理由の一つです。
☆注目ポイント
単色デッキなので土地に余裕があり、《変わり谷》や《ロークスワイン城》が採用されています。この2種類の特殊地形のおかげでマナフラッドによる息切れがしにくく、コントロール相手でも粘り強く立ち回ることができます。
《スカイクレイブの影》は「上陸」で墓地からプレイできるクリーチャーで、「キッカー」によって5/3になるので中盤以降も十分に戦力になります。パワーが3あるので《森の女人像》で足止めされないのも評価に値します。
《思考囲い》や《騒乱の落とし子》、《ロークスワイン城》などライフを失う効果があるカードを多用しているので、失ったライフを回復させる手段も必要になってきます。メインでは《残忍な騎士》のほかにも、サイドに《霊気圏の収集艇》や《ゲトの裏切り者、カリタス》も採用されています。《ゲトの裏切り者、カリタス》は《戦慄の放浪者》ともシナジーがあり、中盤以降余ったマナを活用する手段にもなります。
総括
カードプールがモダンやレガシーよりも狭いため、Reclamation Controlや4C Omnathなど少し前にスタンダードで活躍していたデッキでも十分に戦力になるようです。Mono Red Prowessなどトーナメントレベルで活躍できるデッキが比較的安価で組めるものも多く、モダンやレガシーと比べて参入しやすいのもパイオニアの魅力の一つです。
パイオニアはThe Last Sun 2020のフォーマットなのに加えて、近い将来にMTGアリーナでも導入される予定なので来年以降はさらなる盛り上がりが期待できます。
USA Pioneer Express vol. 14は以上となります。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいパイオニアライフを!