はじめに
みなさん、こんにちは。
来月にリリースされる新セット『カルドハイム』のプレビューが公開され始めていますが、好きなカードは見つかりましたか?
さて、今回の連載ではModern Challengeの入賞デッキを見ていきたいと思います。
Modern Challenge #12242677
安定のUroコントロール
2021年1月2日
- 1位 Sultai Field
- 2位 Mono Red Prowess
- 3位 Azorious Spirits
- 4位 Rakdos Death’s Shadow
- 5位 Bant Stoneblade
- 6位 Selesnya Field
- 7位 Izzet Prowess
- 8位 Rakdos Midrange
トップ8のデッキリストはこちら
年明け早々に開催されたModern Challengeを制したのは、現環境のトップメタである《自然の怒りのタイタン、ウーロ》コントロールでした。
MMM Finals 2020 東京でも優勝していたMono Red Prowessや定番のRakdos Death’s Shadow、Izzet Prowess、Selesnya Fieldなどが順当に結果を残しているなか、Bant StonebladeやSpiritsなども入賞しており、多様性のあるモダンらしい結果となりました。
デッキ紹介
Sultai Field
1 《沼》
2 《冠雪の島》
1 《冠雪の森》
1 《ゼイゴスのトライオーム》
2 《繁殖池》
2 《湿った墓》
2 《神秘の聖域》
4 《霧深い雨林》
4 《汚染された三角州》
2 《溢れかえる岸辺》
1 《涙の川》
2 《廃墟の地》
2 《死者の原野》
-土地 (28)- 4 《自然の怒りのタイタン、ウーロ》
1 《原始のタイタン》
-クリーチャー (5)-
Sultaiカラーの《自然の怒りのタイタン、ウーロ》コントロールデッキです。ミッドレンジ寄りの4C Uro Omnathと異なり、インスタントスペルが多めに採用されているなど、よりコントロール寄りの構成となっています。
☆注目ポイント
《思考囲い》《突然の衰微》《暗殺者の戦利品》といった軽いフレキシブルなスペルにアクセスできるところが、Sultaiバージョンを選択する最大の理由となります。《致命的な一押し》や《血の長の渇き》、《滅び》などの優秀な除去もあり、各種クリーチャーデッキとのマッチアップにも対応できます。
トリプルシンボルと色拘束が強いものの、柔軟性がある《大魔導師の魔除け》を採用しているため、ほかのミッドレンジやコントロールデッキとのマッチアップに有利がつきます。《神秘の聖域》で《大魔導師の魔除け》を再利用してアドバンテージを稼ぐ動きが強力です。
《原始のタイタン》は《約束の刻》よりも1マナ重くなりますが、クリーチャーなので《否定の力》でカウンターされない脅威として同型戦で特に強さを発揮します。
Rakdos Midrange
2 《山》
3 《血の墓所》
4 《血染めのぬかるみ》
4 《汚染された三角州》
4 《黒割れの崖》
-土地 (22)- 4 《マグマの媒介者》
3 《死の飢えのタイタン、クロクサ》
4 《砕骨の巨人》
4 《歴戦の紅蓮術士》
-クリーチャー (15)-
現環境で活躍しているミッドレンジは《自然の怒りのタイタン、ウーロ》デッキだけではありません。モダン定番のミッドレンジであるJundから緑を切って、赤黒の2色に絞ったミッドレンジが最近Modern Challengeで結果を残し続けています。
《血編み髪のエルフ》や《タルモゴイフ》といった緑の優秀なクリーチャーを諦める代わりに、マナ基盤が安定するようになり、土地コンボを始めとした多くのデッキに刺さる《血染めの月》を無理なく運用できるようになりました。これによって、Jundが苦戦を強いられていたAmulet TitanやTronといった土地コンボデッキとの相性も改善されています。
Jundと同様にハンデスや除去で相手のプランを妨害しつつ、《死の飢えのタイタン、クロクサ》や《歴戦の紅蓮術士》などで勝利を目指していきます。先日のカニスター選手の記事にも詳しく解説があるので、そちらもご覧ください。
☆注目ポイント
このデッキの特徴は、《砕骨の巨人》や《歴戦の紅蓮術士》、《死の飢えのタイタン、クロクサ》といったアドバンテージを取れるクリーチャーでまとめられていることです。なかでも《マグマの媒介者》は、赤を使うミッドレンジの新戦力として定着しています。後半トップデッキすると不要牌になりやすいハンデススペルも、能力で有効牌に変えることができます。
2色になったことでマナ基盤が安定したため、メインから《血染めの月》を採用する余裕ができました。《原始のタイタン》デッキや各種多色コントロールなど、現環境で幅を利かせているデッキの多くが特殊地形に依存しているので、《血染めの月》を通すことでそのままゲームに勝つことができるマッチも多くなります。
このデッキには《マグマの媒介者》や《歴戦の紅蓮術士》、《ヴェールのリリアナ》といった手札を捨てる手段が多く、《死の飢えのタイタン、クロクサ》を容易に「脱出」させることができます。
Modern Challenge #12242683
Hammer Timeがワンツーフィニッシュ
2021年1月3日
- 1位 Hammer Time
- 2位 Hammer Time
- 3位 Hammer Time
- 4位 4C Uro Omnath
- 5位 Hammer Time
- 6位 Azorious Spirits
- 7位 Rakdos Death’s Shadow
- 8位 Burn
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ここ最近上位でよく見られるようになったHammer Time。《シガルダの助け》よって《巨像の鎚》をクリーチャーに装備させ、瞬殺を狙うコンボデッキです。今大会ではプレイオフに半数の入賞者を出し、決勝戦はHammer Timeのミラーと凄まじいパフォーマンスを見せました。
デッキ紹介
Hammer Time
5 《冠雪の平地》
1 《神無き祭殿》
4 《湿地の干潟》
1 《吹きさらしの荒野》
4 《無声開拓地》
4 《墨蛾の生息地》
-土地 (20)- 4 《メムナイト》
4 《羽ばたき飛行機械》
4 《純鋼の聖騎士》
4 《石鍛冶の神秘家》
-クリーチャー (16)-
2 《オーリオックのチャンピオン》
2 《流刑への道》
2 《思考囲い》
2 《解呪》
2 《トーモッドの墓所》
2 《真髄の針》
1 《夢の巣のルールス》
-サイドボード (15)-
《巨像の鎚》をクリーチャーに装備させて瞬殺を狙うアグロコンボデッキで、《シガルダの助け》の効果によって2ターン目から10点以上のダメージをたたき出すことができます。
一見するとファンデッキのような印象を与えますが、《鋼打ちの贈り物》や《石鍛冶の神秘家》といった《巨像の鎚》を効率的にサーチする手段に加えて、《シガルダの助け》と《純鋼の聖騎士》というマナを支払わずに装備させる手段を持ち合わせているため動きが安定しています。
このデッキにとって必須のパーツが2マナ以下のパーマネントに集中しているため、《夢の巣のルールス》を無理なく「相棒」にすることができます。コンボを妨害されても《夢の巣のルールス》+《ミシュラのガラクタ》でカードアドバンテージを稼ぎ、体勢を立て直して再びコンボを狙うこともできます。
☆注目ポイント
《シガルダの助け》を利用することで、《巨像の鎚》など装備品がコンバットトリックとして機能するようになり奇襲性が高くなります。インスタントでの除去を強いるので、相手側もタップアウトしにくくなるのです。
装備品が場に出るたびにカードをドローできる《純鋼の聖騎士》や、除去されたクリーチャーや装備品などを墓地から再利用できる《夢の巣のルールス》の存在もあり、息切れしにくい構成になっています。《ミシュラのガラクタ》や《バネ葉の太鼓》、各種装備品など軽いアーティファクトを多用しているので「金属術」の条件を満たすのも容易です。
4C Uro OmnathやRakdos Midtrangeといった除去や妨害スペルを多用するデッキや、The Spyなどこのデッキよりも速度で勝るコンボデッキに対抗するために、サイドには《思考囲い》が忍ばせてあります。
プロテクションを持つ《オーリオックのチャンピオン》や《ブレンタンの炉の世話人》は、Rakdos MidrangeやMono Red Prowessに対して《巨像の鎚》を装備させることができれば、速やかにゲームを終わらせることが可能です。
Modern Challenge #12247559
環境最強の土地
2021年1月9日
- 1位 Amulet Titan
- 2位 4C Uro Omnath
- 3位 Heliod Combo
- 4位 Dredge
- 5位 Amulet Titan
- 6位 4C Uro Omnath
- 7位 Bant Stoneblade
- 8位 Izzet Prowess
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今大会の決勝戦はAmulet Titanと4C Uro Omnathの対決で、スタイルこそ異なるデッキでしたが、どちらのデッキも《死者の原野》を搭載した長期戦に強い戦略です。
《死者の原野》は現環境で最高の土地であることは間違いなく、上位入賞したほかのデッキはHeliod Comboなど無限コンボによって《死者の原野》を無視できる要素を含んだデッキや、Prowess系のような高速アグロなどが中心でした。
先週末のModern Challengeの上位を支配したHammer Time対策として、決勝戦まで勝ち残ったAmulet TitanとUro Omnathを含めた多くのデッキが、低マナ域のパーマネントをまとめて流せる《仕組まれた爆薬》をサイドに採用していました。
デッキ紹介
Bant Stoneblade
1 《冠雪の平地》
1 《冠雪の森》
1 《虹色の眺望》
2 《繁殖池》
1 《神聖なる泉》
1 《寺院の庭》
2 《神秘の聖域》
4 《溢れかえる岸辺》
4 《霧深い雨林》
1 《沸騰する小湖》
1 《溢れかえる果樹園》
1 《廃墟の地》
-土地 (24)- 4 《氷牙のコアトル》
4 《石鍛冶の神秘家》
1 《尊敬される語り手、ニアンビ》
3 《自然の怒りのタイタン、ウーロ》
-クリーチャー (12)-
2 《失脚》
1 《呪文嵌め》
2 《マナ漏出》
2 《差し戻し》
1 《剥奪》
3 《大魔導師の魔除け》
3 《否定の力》
2 《謎めいた命令》
1 《饗宴と飢餓の剣》
1 《殴打頭蓋》
2 《精神を刻む者、ジェイス》
1 《ドミナリアの英雄、テフェリー》
-呪文 (24)-
2 《エイヴンの思考検閲者》
2 《夏の帳》
2 《天界の粛清》
2 《仕組まれた爆薬》
1 《封じ込める僧侶》
1 《ヴェンディリオン三人衆》
1 《夜群れの伏兵》
1 《払拭》
-サイドボード (15)-
モダンのコントロールのエキスパートで、配信者でもあるTSPJendrekが今大会で使用したのは、BantカラーのStonebladeでした。
青白バージョンと異なり、装備品やプレインズウォーカーのほかにも《自然の怒りのタイタン、ウーロ》と《氷牙のコアトル》が使えるので、脅威の密度が増して全体的にデッキパワーが向上しています。
☆注目ポイント
装備品を使うこのデッキでは、回避能力と瞬速を持つ《氷牙のコアトル》は攻守に優れたクリーチャーとして機能します。《尊敬される語り手、ニアンビ》は見慣れないカードですが、瞬速持ちで《氷牙のコアトル》など場に出たときの能力を持つクリーチャーをバウンスすることでアドバンテージを稼ぐことができます。元々は《瞬唱の魔道士》が採用されていた枠でしたが、《選択》など軽いインスタントスペルが少なめのこのリストでは有効活用が難しいので妥当な変更だと言えます。
従来までのBant Stonebladeは、《貴族の教主》などマナクリーチャーを採用して《呪文捕らえ》や《聖トラフトの霊》といった3マナ域を2ターン目から展開していく動きもできるテンポ寄りのミッドレンジでしたが、TSPJendrekのリストは《大魔導師の魔除け》《謎めいた命令》《ドミナリアの英雄、テフェリー》などを採用したコントロール寄りの構成になっています。コントロールデッキ定番の《神秘の聖域》+《謎めいた命令》(《大魔導師の魔除け》)が搭載されていることからも、長期戦を見据えた戦略であることは明白です。
Bantバージョンにするメリットのひとつとして、サイドに採用されている《夏の帳》を使えることが挙げられます。Rakdos MidrangeやDeath’s Shadowなど現環境にはハンデスを使うデッキが多く、それ以外でもカウンターを多用する各種《自然の怒りのタイタン、ウーロ》デッキといった多くのマッチアップで使えるスペルです。
サイドに追加の勝ち手段として採用されている《夜群れの伏兵》は、インスタントタイミングで動くことが多いこのデッキの戦略にフィットしたクリーチャーです。トークンを生成する能力も、装備品を搭載したこのデッキではより強力なものとなります。
総括
《原始のタイタン》デッキや4C Uro Omnathなど《死者の原野》や《自然の怒りのタイタン、ウーロ》を採用したデッキが散見されているものの、Death’s Shadow系やRed Prowess系、Rakdos Midrange、Heliod Combo、また最近の大会で結果を残し続けているHammer Timeなどさまざまなアーキタイプが活躍しています。モダンは、歴代の強力なカードを組み合わせて楽しむことができるフォーマットであることに変わりはないようです。
来月には『カルドハイム』もリリースされるので、2021年のモダンはさらに盛り上がることが期待できます。
以上、USA Modern Express vol.51でした。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいモダンライフを!