Translated by Kohei Kido
(掲載日 2020/01/20)
はじめに
イゼット果敢がModern Challengeで優勝して以来、このデッキを使用してきました。イゼット果敢はモダンでもっともアグロ傾向の強いデッキで3ターン目に勝利することも可能です。対戦相手の妨害をするカードが使用されていない環境であればあるほど強くなります。
イゼット果敢
私が使っているデッキリストはこれです。
クリーチャー
以上のクリーチャーがデッキの核です。
《僧院の速槍》と《損魂魔道士》がデッキでもっとも優れたクリーチャーです。序盤からやすやすと相手のライフに大きなダメージを与えることができます。ゲーム開始時の手札に入っているのが理想です。
《嵐翼の精体》と《スプライトのドラゴン》は2種類の1マナクリーチャーと比べると、戦場に出るのが遅いので相手に与えられるダメージも少なくなります。しかしキーワード能力の飛行によって地上クリーチャーを無視してダメージを押し通せるので重要です。相手はダメージをどんどん受けてしまうので対処しなければいけなくなります。《魔力変》から《嵐翼の精体》を唱えるのは2ターン目の理想の動きの1つです。
メインデッキのクリーチャーではないカードも元となったデッキリストと大部分が変わっていません。一部の枠でさまざまなカードを試したのでその研究成果について解説していきましょう。
《選択》vs《血清の幻視》vs《手練》
《選択》と《手練》は《血清の幻視》と違って唱えたその場で、引く前にデッキを1枚多く見ることができるという意味で似ています。1マナのクリーチャーが複数枚あるものの土地が1枚しかない手札を《選択》があるという理由でキープしたことも多いのでこの点は重要です。
《選択》ではなく《血清の幻視》であったとしたら、1ターン目にクリーチャーを出さずに《血清の幻視》を唱えなければ手札を整えられず、本来与えられたダメージを与えられなくなってしまいます。デッキトップから《選択》を引いて、今すぐにサイドインした対策カードが欲しいときにもこの性質は重要です。
インスタントであるという《選択》の性質も好ましく感じています。クリーチャーがダメージを与えることに成功したら《選択》ではなく《舞台照らし》を唱えたいという状況になることがあります。《手練》だと必ず戦闘前メインフェイズに唱えなければいけないので《舞台照らし》を唱える選択肢はなくなるのです。
《噴出の稲妻》vs《炎の稲妻》vs《溶岩の撃ち込み》
初めは《炎の稲妻》を使っていましたが、「フラッシュバック」することはほとんどありませんでした。《溶岩の投げ矢》と《焦熱島嶼域》がデッキに入っているので、5マナまで土地が伸びることはめったにないのです。《溶岩の撃ち込み》についてはこのデッキよりも火力呪文を多く採用しているボロスバーンでしか使えません。果敢デッキは戦闘ダメージで勝つデッキなのであまり噛み合っていないからです。
《噴出の稲妻》がこの枠で使えるカードの中では一番優れています。戦闘中に唱えると《損魂魔道士》の能力と合わさってシナジーもありますからね。
サイドボード
《血染めの月》
4色オムナスは厳しい対戦相手で、《血染めの月》は相手があまり想定せずに立ち回り、また《死者の原野》を無効にすることから勝利に結びつきやすいカードです。《血染めの月》に対する脆弱性を持つデッキに対して別の角度からの攻め手を生むカードでもあります。相手は《霊気の疾風》や《天界の粛清》をクリーチャーに使わざるを得ないことが多いのも《血染めの月》を使いやすくしています。
ランプやトロンにも有効です。《血染めの月》をサイドボードに入れているものの、《島》をフェッチできるようにデッキに入れる必要性はないと判断しました。デッキに入っているほとんどの呪文が赤の呪文なので、《島》を入れると複数の呪文を唱えたいときに障害になります。
《魂標ランタン》
対処しにくい《自然の怒りのタイタン、ウーロ》と《死の飢えのタイタン、クロクサ》に対して有効なカードです。ドレッジやザ・スパイに対する墓地対策カードとしても機能します。毎ターン1マナ構えている必要がないことや、自分の墓地は追放しないことから《大祖始の遺産》よりも使いやすいと感じています。
《歴戦の紅蓮術士》《騒乱の歓楽者》
除去が多いデッキに対してデッキをミッドレンジ帯に寄せて長期戦を戦えるようにするためのカードです。序盤に引いてしまうと弱いので《騒乱の歓楽者》を複数枚入れるのは好きではありません。2ゲーム目に《騒乱の歓楽者》を見た相手が《魂標ランタン》や《大祖始の遺産》をサイドインしてくることがあって、そうなると複数枚《騒乱の歓楽者》を入れるのは一層リスクが高くなります。《歴戦の紅蓮術士》は1/1のトークンを2枚生むことも可能なので除去に対してより良いカードです。
《蒸気の絡みつき》
ハンマータイムがメタゲーム上位にいるという事情がなければ、私はこのカードをサイドボードに入れないでしょう。ライフレースに勝利するための時間稼ぎには十分であることが多く、《巨像の鎚》が装備された《オーリオックのチャンピオン》に対する唯一の解答でもあります。
コツと小技
サイドボードガイド
4色オムナス
1ゲーム目に相手が除去の量が多い手札を持っていて、《自然の怒りのタイタン、ウーロ》の「脱出」も達成してしまうと厳しくなってしまいます。ダメージを通せるときに最大のダメージを通し続ける必要があります。私は《レンと六番》が相手の場にいても無視することが多いです。
サイドボーディングでは試合への影響力が低い呪文をサイドアウトします。《魂標ランタン》は《自然の怒りのタイタン、ウーロ》のために取っておいて、相手の土地があまり起きていないタイミングで《血染めの月》を唱えましょう。
対4色オムナス
ハンマータイム
相手のクリーチャーに《巨像の鎚》が装備されるのを許してしまうのが一番起こりやすい負け筋です。手札に除去があるなら必ずマナを立てておきましょう。サイドボード後は相手側にイゼット果敢に効果てきめんな《オーリオックのチャンピオン》があります。相手のコンボを減速させながら早期決着を狙う必要があります。
対ハンマータイム
ラクドスミッドレンジ
デッキに除去呪文とカードアドバンテージを稼ぐカードがたくさん入っているので相性が悪い相手です。《嵐翼の精体》が相手に対して有利になれるカードです。相手の主な除去である《致命的な一押し》と《砕骨の巨人》の「出来事」によって除去されないためです。
対ラクドスミッドレンジ
ヘリオッドカンパニー
相手が序盤に《集合した中隊》で無限ライフコンボを成功させる幸運を得ない限りは有利です。《議事会の導師》が場に出ていない限り、《溶岩の投げ矢》は相手の無限ライフコンボの成立を防ぐために便利なカードです。《呪文貫き》の対象となるカードは極わずかですが、相手にとってもっとも勝利につながりやすい《集合した中隊》を防ぐことができるのでサイドインさせています。
対ヘリオッドカンパニー
原始のタイタンデッキ
相手が《イリーシア木立のドライアド》と《原始のタイタン》のコンボを成立させる前に相手のライフを削り切る競争です。《イリーシア木立のドライアド》を生かしておくと《溶鉄の尖峰、ヴァラクート》でクリーチャーを焼くことが可能になってしまうので、《イリーシア木立のドライアド》を除去できるなら除去することが多いです。相手はバウンスランドで《光輝の泉》を手札に戻して出し直すことでライフを回復することもできます。
サイドボード後は《原始のタイタン》デッキによく効く《血染めの月》が使えます。《血染めの月》が場に出ている状態で相手が《イリーシア木立のドライアド》を出すと、《血染めの月》の効果が上書きされて《イリーシア木立のドライアド》の能力が適用された状態になることは覚えておいてください。
対原始のタイタンデッキ
アドグレイス
1ゲーム目に相手はあまり強く妨害してこないので速いスピードで追い詰めて、《ファイレクシアの非生》が場に出ていないのなら《天使の嗜み》を使わざるを得ないように仕向けましょう。サイドボード後は《削剥》と《呪文貫き》で相手のコンボを減速させることをめざします。
対アドグレイス
おわりに
この記事はここまでです!1ターンで大量のダメージを与えられるコンボ寄りのクリーチャーデッキが好きな人は、ぜひこのデッキを試してみてください。もし質問があればTwitterで気軽に聞いてもらえれば答えられます。
最後まで読んでくれてありがとう!
ケルヴィン・チュウ (Twitter)