USA Legacy Express vol. 177 -デルバーに囲まれて-

Kenta Hiroki

はじめに

みなさんこんにちは。

今年に入ってからテーブルトップのイベントが開催されなくなってしまったのは残念ですが、幸い現在はMOがあり配信も充実しているので、家にいながらレガシーを楽しむことができます。ここ数週間はLegacy Showcase ChallengeやLegacy Super Qualifierなど、オンラインのレガシーの大会が充実していました。

さて、今回の連載では上記2つのイベントの入賞デッキを見ていきたいと思います。

Legacy Challenge #12250127
Delver系多数、最後まで勝ち残ったのはDeath and Taxes

2021年1月17日

  • 1位 Death and Taxes
  • 2位 Temur Delver
  • 3位 Temur Midrange
  • 4位 Temur Delver
  • 5位 Snow Miracles
  • 6位 Temur Delver
  • 7位 Temur Delver
  • 8位 The Spy

トップ8のデッキリストはこちら

2021年最初のShowcase Challengeは参加者166名と大盛況でした。

Temur Delverがプレイオフの半数に入賞と最大勢力で、最後まで勝ち残ったのはDeath and Taxesです。

Death and Taxesはデッキ習得難易度は高めですが、現環境のトップメタの一角であるDelver系に強いこともあり、『ゼンディカーの夜明け』リリース以来安定した成績を残し続けています。

デッキ紹介

Death and Taxes

スカイクレイブの亡霊

Death and Taxesは《王冠泥棒、オーコ》《疫病を仕組むもの》《戦慄衆の秘儀術師》といった厄介なパーマネントによって一時期は厳しい立ち位置でしたが、《王冠泥棒、オーコ》《自然の怒りのタイタン、ウーロ》などに対処できる《スカイクレイブの亡霊》が『ゼンディカーの夜明け』から登場したことで復権を果たしました。

昨年MOで開催されたEternal Weekendでも結果を残すなど、現環境の非青デッキの中では最高のデッキのひとつです。

☆注目ポイント

石鍛冶の神秘家護衛募集員ちらつき鬼火

白単のクリーチャーをベースにしたデッキですが、軽い効率的な除去や《石鍛冶の神秘家》パッケージ、デッキ内のクリーチャーを状況に応じてサーチしてくる《護衛募集員》、それを含めた場に出たときの能力持ちのクリーチャーを使いまわせる《ちらつき鬼火》など、アドバンテージを稼ぐ手段が豊富なため長期戦に強いデッキです。

迷宮の霊魂

メインから採用されている《迷宮の霊魂》は、多くのデッキに採用されている《渦まく知識》などのキャントリップ呪文や《森の知恵》《自然の怒りのタイタン、ウーロ》《氷牙のコアトル》といったカードのドローをシャットアウトできる優秀なクリーチャーです。

スカイクレイブの亡霊

先ほども説明しましたが、《王冠泥棒、オーコ》などプレインズウォーカーを対処できる《スカイクレイブの亡霊》は、このデッキのメタのポジションを変えてしまうほどのクリーチャーでした。《ちらつき鬼火》のおかげで、相手にイリュージョン・トークンを渡してしまう効果にも対応できます。

流刑への道議会の採決耳の痛い静寂精神壊しの罠

サイドには《流刑への道》《議会の採決》といった追加の除去が採用されており、Delver系などほかのクリーチャーデッキに対してはコントロールデッキのように振舞うことができます。

白単なのでThe SpyやTESといった高速コンボは不利なマッチアップなので、サイド後は《耳の痛い静寂》《精神壊しの罠》が投入されます。特に0マナカウンターのように機能する《精神壊しの罠》は、このデッキにとっては貴重なコンボ対策となります。

Snow Miracles

《対抗呪文》《終末》といったカードを採用した古典的なMiraclesに近い構成のSnowko。青同型用の《紅蓮破》(《赤霊破》)と、Death and TaxesやElvesなど小型クリーチャーを並べてくるデッキとのマッチアップ用の《紅蓮地獄》のために赤をタッチしたスタイルです。

メインからカウンターを多めに採用しているのでより長期戦向けの構成になっており、ほかのSnowkoに対して強い構成となっています。

《終末》《氷牙のコアトル》《剣を鍬に》など除去やスイーパーを多数搭載しているので、Delver系などクリーチャーデッキは有利なマッチアップになります。

☆注目ポイント

終末氷牙のコアトル

このデッキでは《終末》《渦まく知識》《神秘の聖域》容易に「奇跡」を仕込むことができます。《終末》をケアして少数のクリーチャーで攻めようとすると《氷牙のコアトル》によって不利な交換を強いられることになるので、クリーチャーで攻めるデッキにとっては非常に厄介です。

否定の力意志の力対抗呪文大魔導師の魔除け

《否定の力》《意志の力》の2種類のピッチスペルを採用しているので、プレインズウォーカーや《自然の怒りのタイタン、ウーロ》といった勝ち手段を積極的にプレイしやすくなります。《対抗呪文》はコントロール同型のプレインズウォーカーや《実物提示教育》《騙し討ち》など、コンボデッキのキーカードに対する追加のカウンターとして役に立ちます。

《大魔導師の魔除け》はレガシーではあまり見かけないスペルですが、モダンと同様に《神秘の聖域》で再利用する動きが強力で、1マナ以下のパーマネントを奪取するモードも《霊気の薬瓶》《マリット・レイジトークン》対策になるのも評価に値するポイントです。

サメ台風

《サメ台風》は主にプレインズウォーカーを守るために使いますが、ゲーム後半になるとフィニッシャーとしても振舞えるフレキシブルさがこのカードの魅力です。「サイクリング」することで墓地のカードも増えるので、《自然の怒りのタイタン、ウーロ》の「脱出」コストも払いやすくなります。

Legacy Showcase Challenge:大会レポート

Temur Delver

今回挙げたLegacy Showcaseには筆者も参加していました。デッキは使い慣れたTemur Delverを使用し、マッチアップにも恵まれてトップ8に入賞することができました。

ここでは筆者の使用したTemur Delverについて見ていきたいと思います。使用したDelverは、その前の週のLegacy Challengeで優勝していたAndreas_Muellerのリストをそのまま使用しました。メインから《王冠泥棒、オーコ》以外の緑のカードを不採用にすることでマナ基盤の負担を減らし、基本地形を採用する余裕を持たせたIzzet Delverタッチ緑に近い構成になっています。ほかのバージョンと比べて同型などの《不毛の大地》などアンチ特殊地形に耐性があります。

ラウンド デッキ 対戦成績
ラウンド1 Eldrazi Post 2-1
ラウンド2 Reanimator 2-1
ラウンド3 Karn Echoes 2-1
ラウンド4 The Spy 2-1
ラウンド5 Sliver 2-1
ラウンド6 Snow Miracles 0-2
ラウンド7 Snowko(《一日のやり直し》) 2-1
ラウンド8 Death and Taxes 2-1
ラウンド デッキ 対戦成績
SE1 Death and Taxes 0-2

☆注目ポイント

冠雪の島冠雪の山

このバージョン注目ポイントのひとつとして、メインでは最速でも3ターン目まで緑マナを必要としないため、ほかのTemur Delverでは難しかった基本土地を無理なく採用することができます。しかし、基本地形の《山》《目くらまし》をプレイするためにバウンスすることができなかったり、序盤に引いてきた《Tropical Island》は多くの場合は《不毛の大地》の対象になってしまうため、土地をプレイ、サーチする順序には気をつけていきたいところです。

若き紅蓮術士

《タルモゴイフ》に代わる2マナ域を務めるのは《若き紅蓮術士》です。《タルモゴイフ》は除去耐性が皆無なので、このデッキが苦手とするSnowkoとのマッチアップではトークンを多数並べることができる《若き紅蓮術士》のほうが活躍に期待できます。単体除去が中心でスイーパーの少ない現環境では脅威となり、《戦慄衆の秘儀術師》ともシナジーがあります。また、墓地に依存しないのもこのクリーチャーの強みです。

《タルモゴイフ》《わめき騒ぐマンドリル》を諦めたことでデッキ内のクリーチャーがすべて《稲妻》で対処されてしまうため、同型戦のクリーチャーの質の面では若干不利が付きますが、事故が起きにくいマナ基盤は捨てがたいところです。

運命の神、クローティス

今回のサイドボードでのMVPは、なんといってもサイドに2枚採用された《運命の神、クローティス》です。この赤緑の神は除去や《自然の怒りのタイタン、ウーロ》を多用するSnowkoとのマッチアップ(7ラウンド目)で活躍しました。このカードを対策する手段は限られており、《紅蓮破》にも引っかからないのでサイド後は《王冠泥棒、オーコ》よりも信頼性のある勝ち手段になり得ます。墓地対策としても優秀で、悩みの種となる《自然の怒りのタイタン、ウーロ》対策も兼ねます。

Legacy Super Qualifier #12250132
オーコデッキが多数入賞

2021年1月21日

  • 1位 Sneak and Show
  • 2位 Temur Delver
  • 3位 The Spy
  • 4位 Elves
  • 5位 Snowko
  • 6位 Hogaak
  • 7位 Temur Delver
  • 8位 Snow Miracles

トップ8のデッキリストはこちら

今大会はAll-Accessサブスクリプションサービスのおかげで、昨年MOで開催されたEternal Weekend 2020と同様に参加者は特別にすべてのカードを使用できたため、カード資産によるデッキの選択がなく参考になるデータと言えます。

プレイオフに進出した半数がTemur DelverやSnowkoといった《王冠泥棒、オーコ》を採用した青ベースのデッキでした。ほかにはElves、Hogaak、The Spyといった《王冠泥棒、オーコ》を無視できるコンボデッキが中心となっています。

The SpyはShowcase Challengeでも勝ち残っており、最近大きな大会の上位でよく見られるようになりました。

デッキ紹介

Sneak and Show

コンボを押し通すことにフォーカスした構成になっており、マナ加速の《猿人の指導霊》やソフトカウンターの《目くらまし》が採用されています。

全体的に綺麗にまとまったリストで、Sneak and Showをトライする場合はこのリストからスタートすることをおすすめします。

☆注目ポイント

目くらまし

基本的にこのデッキは短期戦を挑むことになるので、《呪文貫き》《狼狽の嵐》よりもマナコストがかからない《目くらまし》が優先されています。相手の手札が整う前に無理やりコンボを通して勝負を決めてしまおうという戦略です。

古えの墳墓裏切り者の都水蓮の花びら猿人の指導霊

Delver系の《目くらまし》などソフトカウンターを可能な限り回避するために、最近は《古えの墳墓》《裏切り者の都》といった2マナランドや《水蓮の花びら》のほかにも、《猿人の指導霊》を採用したリストも多く見られます。

秘儀の職工大祖始

サイドの《秘儀の職工》は、対策としてサイドインされることの多い《封じ込める僧侶》の影響を受けないため有力なサイドボードの選択肢となります。Show and Tell系に対しては、相手はサイド後に除去を減らす傾向にあるので対処されにくいのも評価に値します。《大祖始》は対策されにくく、速やかにゲームを決めることができるので有力な《実物提示教育》の追加の選択肢となります。

総括

テーブルトップでは再録禁止カードの値段の高騰が続いているため、敷居の高い印象のあるレガシーですが、再録禁止という概念がないMOではデッキを組むコストも比較的リーズナブルです。All-Accessサブスクリプションサービスもあるので、これを機会にレガシーがさらに盛り上がることが期待できそうです。

王冠泥棒、オーコ戦慄衆の秘儀術師アーカムの天測儀

レガシーコミュニテー内では環境の研究が進むにつれて、《王冠泥棒、オーコ》《戦慄衆の秘儀術師》《アーカムの天測儀》などが環境を歪めているのではないかと懸念する声も上がっているようです。『ゼンディカーの夜明け』からの新カードはDeath and Taxesの復権やThe Spyなどマイナーなポジションにあったデッキの強化に貢献しました。『カルドハイム』後の環境がどうなるか楽しみです。

USA Legacy Express vol. 177は以上になります。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいレガシーライフを!

この記事内で掲載されたカード

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

Kenta Hiroki アメリカ在住のプレイヤー。 フォーマットを問わず精力的に活動しており、SCGやグランプリの結果などからグローバルな最新情報を隔週で発信する「USA Modern Express」「USA Legacy Express」を連載中。 Kenta Hirokiの記事はこちら