はじめに
みなさんこんにちは。
新セット『カルドハイム』がオンラインとテーブルトップの両方でリリースされ、新しいカードを試すのが楽しい時期です。
さて、今回の連載では先週末に開催されたPioneer Challengeの入賞デッキを見ていきたいと思います。
Pioneer Challenge #12258812
安定のBurn
2021年2月6日
- 1位 Boros Heroic
- 2位 Azorius Spirits
- 3位 Mono Red Aggro
- 4位 Lotus Combo
- 5位 Dimir Control
- 6位 Azorius Control
- 7位 Burn
- 8位 Mono Red Aggro
トップ8のデッキリストはこちら
アグロが強いパイオニアらしく、新環境になってもBurnやMono Red Aggroといった赤いデッキが安定した成績を残しています。
そのほかには、アグロデッキに強い《吸収》をメインからフル搭載しているAzorius Controlや、《集団的蛮行》《ゲトの裏切り者、カリタス》をメインから採っているDimir Controlも上位で見られました。
現環境のコントロールは、2色で事故を起こしにくく、コントロールしながらライフゲインができる手段をメインから用意したバージョンが勝ちやすいようです。
デッキ紹介
Boros Heroic
軽いクロックと火力で相手のライフを攻める戦略は、効率的な除去が少ないパイオニアでは無類の強さを見せます。
「相棒」ルールが変更されても《夢の巣のルールス》の強さは健在です。このカードを絡めた持久戦と早急な対応を要求する高速クロックに同時に対応することは困難で、このデッキをトップメタの一角に押し上げることに貢献しています。
☆注目ポイント
アグロ同型が多くなるパイオニアでは《ボロスの魔除け》は4点火力以外のモードを使う場面も結構あります。2つ目のモードで自軍のクリーチャーを破壊不能にすることによって、コントロールデッキの《至高の評決》を対策することが可能です。ほかのクリーチャーデッキとのマッチアップでは、二段攻撃を与える3つ目のモードをコンバットトリックとして使えます。相手のブロッカーを一方的に打ち取ることで除去のように機能します。
MOグラインダーの_BATUTINHA_のリストでもっとも印象に残ったのはメイン、サイドと合わせて4枚採用されている《アダントの先兵》です。2マナパワー3でクロックとしても優秀で、破壊不能を得られるのでコントロールに強いクリーチャーです。
対抗色のダメージランドや『ゼンディカーの夜明け』から登場した《針縁の小道》など、アンタップ状態で場に出る土地に恵まれているため、このデッキのマナ基盤は安定しています。白を使うことで《石の宣告》などサイドボードの選択肢も広がります。
Mono Red Aggro
Boros型よりもマナ基盤のバランスを重視したバージョンが赤単で、4枚採用された《ラムナプの遺跡》が特徴です。過去のスタンダードでも活躍したRamunap Redを彷彿とさせます。
☆注目ポイント
《ラムナプの遺跡》は最後の一押しとして有用な土地で、中盤から終盤で余ったマナを有効活用する手段になります。赤単バージョンはより速度を重視している分《夢の巣のルールス》が使えないので、中盤以降に息切れしやすくなっています。そのため、最後の数ライフを削り切る手段があることは重要です。
「出来事」で火力スペルとして使える《砕骨の巨人》は「果敢」クリーチャーを強化することができ、クリーチャーとしても3マナパワー4と中々のスペックで、このデッキにとって貴重なアドバンテージが取れるカードの1枚です。
《灼熱の血》は赤いアグロデッキの追加の除去兼火力として定番のサイドカードとして定着しています。『ゼンディカーの夜明け』から登場した《乱動する渦》はこのデッキにとって最高の収穫でした。《自然の怒りのタイタン、ウーロ》《創造の座、オムナス》《這い寄る恐怖》などのライフゲインを妨害しつつ毎ターンダメージが入り、エンチャントなのでクリーチャーよりも対策されにくいためコンボやミッドレンジ、コントロール全般に有効です。
Pioneer Challenge #12258816
パイオニアでもあのカードが活躍
2021年2月7日
- 1位 The Spy
- 2位 Mono Black Aggro
- 3位 Temur Reclamation
- 4位 Rakdos Arcanist
- 5位 Azorius Spirits
- 6位 Burn
- 7位 Niv to Light
- 8位 The Spy
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優勝は現環境で最高のコンボデッキのThe Spyでした。頻繁に上位で見かけるデッキなので最低限の対策はしておきたいところです。
モダンやレガシーで暴れ回っている《嘘の神、ヴァルキー》は、パイオニアでもNiv to LightやRakdos Midrangeに採用されています。
特にNiv to Lightは、『カルドハイム』がMOに実装された直後に開催されたPioneer Challengeで、kanisterことPiotr Glogowski選手が《嘘の神、ヴァルキー》を搭載したNiv to Lightを使用し優勝したことで話題になっていました。
デッキ紹介
Niv to Light
1 《冠雪の島》
1 《冠雪の沼》
1 《冠雪の山》
1 《冠雪の森》
4 《寓話の小道》
2 《インダサのトライオーム》
2 《ケトリアのトライオーム》
2 《ラウグリンのトライオーム》
1 《ゼイゴスのトライオーム》
2 《草むした墓》
2 《湿った墓》
1 《血の墓所》
1 《繁殖池》
2 《陽花弁の木立ち》
1 《氷河の城砦》
1 《根縛りの岩山》
1 《マナの合流点》
-土地 (27)- 4 《森の女人像》
2 《嘘の神、ヴァルキー》
3 《自然の怒りのタイタン、ウーロ》
2 《創造の座、オムナス》
3 《ニヴ=ミゼット再誕》
-クリーチャー (14)-
2 《突然の衰微》
1 《轟音のクラリオン》
1 《絶滅の契機》
1 《殺戮遊戯》
1 《完全なる終わり》
4 《白日の下に》
4 《時を解す者、テフェリー》
2 《先駆ける者、ナヒリ》
-呪文 (19)-
2 《神秘の論争》
2 《夢を引き裂く者、アショク》
1 《秋の騎士》
1 《概念泥棒》
1 《ドビンの拒否権》
1 《ラクドスの復活》
1 《殺戮遊戯》
1 《ケイヤの誓い》
1 《湧き出る源、ジェガンサ》
-サイドボード (15)-
《嘘の神、ヴァルキー》はパイオニアでも第一線で活躍できるスペックでした。モダンやレガシーと異なりパイオニアには「続唱」持ちのスペルがなく、《星界の騙し屋、ティボルト》を1-2ターン目に場に出すという動きはできませんが、《白日の下に》によって出すことができます。
Niv to Lightは基本的にアドバンテージを稼ぎ続けることで息切れをしないように構築されており、ほかのミッドレンジやコントロールに対して有利が付きます。《轟音のクラリオン》《絶滅の契機》《突然の衰微》《戦慄掘り》といったスイーパーや除去、ライフゲインできる《自然の怒りのタイタン、ウーロ》などを多用するので、アグロデッキ全般にも強いデッキです。ただ遅いデッキなためThe Spyなどコンボデッキは苦手なマッチアップとなります。
☆注目ポイント
《白日の下に》は《嘘の神、ヴァルキー》をサーチすることでティボルトとしても出せるので、デッキの構成に大きな制限を加えることなく運用できます。《嘘の神、ヴァルキー》は相手の手札からクリーチャーカードを追放する能力があるので普通に2マナ域のクリーチャー、妨害スペルとしても優秀で、特に相手の《自然の怒りのタイタン、ウーロ》を追放して次のターンに能力を起動するという動きが強力です。
《殺戮遊戯》はコンボデッキ以外でも勝ち手段が少ないコントロールとのマッチアップでも有用な妨害スペルとして機能します。Reclamation Controlとのマッチアップでは、《自然の怒りのタイタン、ウーロ》を追放すれば《サメ台風》以外信頼できる勝ち手段がなくなるのでゲームを有利に進めることができます。
《白日の下に》によってサイドボードにさまざまなカードを加えることが可能なのでツールボックス的な側面もあります。追加の《殺戮遊戯》や置物対策になる《秋の騎士》、コントロールやコンボデッキの追加のドローを妨害する《概念泥棒》などを状況に応じてサーチしてこれます。《ラクドスの復活》はReclamation Controlや同型とのマッチアップで活躍する強力なスペルで、相手のプレインズウォーカーを除去しつつ手札を落とすことで反撃の目を摘むことができます。
Rakdos Arcanist
2 《冠雪の山》
4 《寓話の小道》
4 《血の墓所》
4 《荒廃踏みの小道》
4 《竜髑髏の山頂》
1 《ロークスワイン城》
1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》
-土地 (22)- 4 《縫い師への供給者》
4 《戦慄衆の秘儀術師》
4 《死の飢えのタイタン、クロクサ》
4 《若き紅蓮術士》
2 《嘘の神、ヴァルキー》
-クリーチャー (18)-
《戦慄衆の秘儀術師》や「相棒」の《夢の巣のルールス》などアドバンテージを取る手段が豊富なのが特徴です。Rakdos Arcanistというアーキタイプは『ゼンディカーの夜明け』リリース前から見られたデッキで、パイオニアではトップクラスの妨害スペルである《思考囲い》を強く使える戦略です。
《縫い師への供給者》で墓地を肥やし、《死の飢えのタイタン、クロクサ》を「脱出」させて各種ハンデスで相手の手札を破壊しつつ、《夢の巣のルールス》によって墓地に落ちたパーマネントを再利用していきアドバンテージの差を広げていきます。
このデッキも『カルドハイム』からの強力な新カードである《嘘の神、ヴァルキー》を採用しています。
☆注目ポイント
《戦慄衆の秘儀術師》によってマナコストを支払わずに墓地からスペルをプレイできるので、《若き紅蓮術士》で容易にエレメンタル・トークンを並べることができます。《村の儀式》によってエレメンタル・トークンを追加のドローに変換することができ、《戦慄衆の秘儀術師》で再利用も可能です。また、《縫い師への供給者》を能動的にサクリファイスする手段にもなるなど、このデッキのキーとなるスペルです。
《灯の収穫》や《村の儀式》といったクリーチャーを能動的にサクリファイスする手段が豊富なため、《初子さらい》は除去スペルのように機能します。墓地を肥やせる《縫い師への供給者》は《死の飢えのタイタン、クロクサ》の「 脱出」コストを払いやすくしたり、《戦慄衆の秘儀術師》でアドバンテージを取りやすくなるのでこのデッキには欠かせないクリーチャーです。
『カルドハイム』からの収穫もありました。《荒廃踏みの小道》のおかげでデッキのマナ基盤の安定性がさらに向上しています。《死の飢えのタイタン、クロクサ》など色マナを要求されることの多いこのデッキにとっては、見た目以上に大きな収穫です。話題のカードである《嘘の神、ヴァルキー》はこのデッキにも採用されています。墓地に依存しないフィニッシャーとして有用で、勝ち手段の種類を散らしておくのは墓地に依存しがちなこのデッキにとっては重要です。
総括
モダンやレガシーにも大きな影響を及ぼしている《嘘の神、ヴァルキー》/《星界の騙し屋、ティボルト》は、パイオニアでもNiv to LightやRakdosを中心に活躍しています。
モダンやレガシーと異なり「続唱」の存在しないパイオニアですが、《白日の下に》という《星界の騙し屋、ティボルト》のコストを踏み倒せる手段があるので十分脅威となります。Niv to LightやRakdos Arcanistは、旧環境でもたびたび大会の上位入賞するほど強かったデッキなので、今後どのように調整されていくのかが楽しみです。
USA Pioneer Express vol.17は以上になります。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいパイオニアライフを!