スタンダード情報局 vol.33 -白単アグロは氷雪系最強-

晴れる屋メディアチーム

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はじめに

みなさんこんにちは。

先週末には大規模トーナメントが複数開催され、スタンダードの環境が大きく動きました。環境の王者であったスゥルタイ根本原理がどのような構成へと変化したのか注目です。

今回は日本選手権2020ファイナル$5K Kaldheim Championship Qualifierの大会結果を振り返っていきます。

日本選手権2020ファイナル

順位 プレイヤー名 デッキタイプ
優勝 玉田 遼一 スゥルタイ根本原理
準優勝 井川 良彦 イゼットテンポ
トップ4 三原 槙仁 ナヤアドベンチャー
トップ4 原根 健太 スゥルタイ根本原理
トップ8 川田 一喜 スゥルタイ根本原理
トップ8 米谷 優輝 ディミーアローグ
トップ8 熊谷 陸 スゥルタイ根本原理
トップ8 棚橋 雅康 スゥルタイ根本原理

(※デッキタイプをクリックするとリストが閲覧できます。)

参加者26名で開催された日本選手権2020ファイナルは、スゥルタイ根本原理を使用した玉田 遼一選手の優勝となりました。同アーキタイプはトップ8の内5つを占めていましたが、なかでも玉田選手のレシピはミラーマッチに強い構成となっていました。

メタゲーム

デッキタイプ 使用者数
スゥルタイ根本原理 10
グルールアドベンチャー 4
赤単アグロ 3
ディミーアローグ 2
その他 7
合計 26

前週の$5k Kaldheim Championship Qualifier以降、スゥルタイ根本原理は増加傾向にあったため、参加者の4割近くが選択したのも納得です。スゥルタイ根本原理がミラーマッチを意識する一方で、アグロデッキに対してはガードが下がると読み、グルールアドベンチャーや赤単アグロを選択したプレイヤーも複数名いました。ですが、その牙城を崩すまでには至らなかったようです。

トップ8デッキリストはこちら

大会放送リンクはこちら

スゥルタイ根本原理

『カルドハイム』リリース以降、環境をけん引する存在となったスゥルタイ根本原理。除去呪文によりボードを掌握し、マナ加速から《出現の根本原理》へと繋げ、《キオーラ、海神を打ち倒す》《星界の騙し屋、ティボルト》といったビッグスペルでゲームを締めます。

ボードコントロール力は高いものの、立ち位置としてはランプデッキにあたり、大味が売りのデッキとなっていました。ですが、優勝デッキからは除去を減らして打ち消しとアドバンテージ源を増やすなどメタゲームの変化が如実に感じられ、ミラーマッチに強い構築となっているのです。

神秘の論争否認

《取り除き》《絶滅の契機》といった除去呪文を抜き、代わりに採用されたのは《神秘の論争》《否認》の打ち消し呪文。どちらもミラーマッチでは絶大な効果を誇ります。特に《神秘の論争》1マナで《出現の根本原理》を対処できるテンポ面で優れたカードとなっています。

多元宇宙の警告

ゲーム展開がビッグスペルと打ち消し呪文を巡るリソース勝負となったことで、ドロー呪文の《多元宇宙の警告》が採用されています。これまではイゼットテンポや青単などの氷雪系によくみられた環境最高峰のアドバンテージ呪文であり、マナを分割してキャストできるのが強みとなります。マナ加速する分手札が枯渇してしまうので、それを補いつつ、増えたマナの使い道を見つけにいくことができますね。

狼柳の安息所

干渉手段だけだった2マナ域に、マナ加速である《狼柳の安息所》が採用されているのも大きな変化です。2マナと軽く、クリーチャー除去が当たらないのでゲームプランが安定します。天敵である《スカイクレイブの亡霊》が環境から減っているのも追い風であり、メタゲームに適したカードとなっています。《出現の根本原理》は緑マナのトリプルシンボル呪文であるため、緑マナを生成できるのもポイントとなりますね。

イゼットテンポ

ライバルズリーグに所属する井川 良彦選手が選択したのはイゼットテンポ。瞬速を持ちのクロックを打ち消し呪文でバックアップしていくデッキであり、相手の呪文を2マナ以下のインスタント呪文で対処することでテンポ(マナコストの差分による利益)を得ていきます。後の先をとりやすいものの、攻め時が難しく、バランス感覚を問われるアーキタイプとなっています。

基本的なデッキの動きについては、下記の記事で解説しているので、ここでは特徴的なカードのみをみていきます。

アショクの消去

《アショクの消去》はイゼットテンポの中ではかなり重い呪文の部類ですが、ソーサリータイミングのビッグスペルに対して効果的です。《出現の根本原理》はその典型であり、打ち消すと同時にデッキに残る3枚を無効化できるため、キーカードがはっきりしたデッキに強力無比に作用します。

また、サイドボードに採用されている《星界の大蛇、コーマ》への数少ない対処手段にもなっています。

$5K Kaldheim Championship Qualifier

順位 プレイヤー名 デッキタイプ
優勝 gabriel silva 白単アグロ
準優勝 Abe Corrigan 白単アグロ
トップ4 renegadEgg ジェスカイサイクリング
トップ4 Adam Cohen スゥルタイ根本原理
トップ8 Toni Ramis Pascual スゥルタイ根本原理
トップ8 Thierry Ramboa スゥルタイ根本原理
トップ8 Noriyuki Mor ティムールミッドレンジ
トップ8 Davor Detecnik 白単アグロ

(※デッキタイプをクリックするとリストが閲覧できます。)

参加者347名で開催された$5K Kaldheim Championship Qualifierは白単アグロを使用したgabriel silva選手が制しました。スゥルタイ根本原理の天下が続くと思われた矢先、メタゲームは大きな変化を遂げて、一晩にしてスゥルタイシフトが敷かれていました。トップ8に3名を輩出した白単アグロは間違いなく今大会の勝ち組であり、決勝戦はミラーマッチとなりました。

メタゲーム

デッキタイプ 使用者数 トップ16
スゥルタイ根本原理 61 4
グルールアドベンチャー 60 2
赤単アグロ 52 3
白単アグロ 30 3
ディミーアローグ 18 1
エスパースタックス 17 1
スゥルタイコントロール 15 0
その他 94 2
合計 347 16

スゥルタイ根本原理とグルールアドベンチャーがほぼ同数で最上位アーキタイプとなっていますが、真打は単色のアグロデッキです。軽量クリーチャーを駆使した速攻戦略は、除去を減らしたスゥルタイ根本原理では対処が間に合わず、苦汁をなめる結果となりました。《空を放浪するもの、ヨーリオン》を「相棒」とする弊害もあり、80枚のデッキで安定してアグロの海を渡りきるには、単体除去だけでなく《絶滅の契機》《影の評決》の枚数も増量する必要がありそうです。

トップ8デッキリストはこちら

白単アグロ

後述の赤単アグロと同様に、スゥルタイ根本原理に強いアーキタイプとして現れた白単アグロ。赤単アグロよりもクリーチャーの質が高く、《巨人落とし》《スカイクレイブの亡霊》といった除去もあるので、クリーチャーマッチでも引けを取りません。さらにアグロデッキが氷雪一辺倒ということもあり、それらに強いカードを積んだ柔軟な全方位デッキとなっているのです。

傑士の神、レーデイン

《傑士の神、レーデイン》こそ白単アグロの強みであり、現在のメタゲームのキモとなるカードです。マナ加速からビッグスペルをキャストするスゥルタイ根本原理に対しては、マナ加速先の重い呪文にさらに追加コストを要求します。これによりプランを崩し、その隙にビートダウンを目指していくのです。

さらにこのクリーチャーが優れているのは対スゥルタイ根本原理だけではなく、氷雪系アグロデッキに対してもです。氷雪土地をタップインさせることで、アグロデッキの命といえる展開力を封じてしまいます。テンポが命のアグロデッキにとってこの能力は致命的であり、《傑士の神、レーデイン》こそが数ある氷雪デッキのなかでも白単アグロが優れている理由となるのです。

赤単アグロには《霜噛み》がありますが、条件を満たすには3枚目となる氷雪土地が必要になります。赤単側が後手の場合、3枚目の土地はタップインとなるため、除去できたとしても同ターンに複数行動がとれず、テンポ面で大きな遅れをとることになってしまいます。しかも、このクリーチャーを対処した後には《軍団の天使》《戦闘の神、ハルヴァール》といった優れたアタッカーが控えています。避雷針の観点からも優れたクリーチャーといえるでしょう。

戦闘の神、ハルヴァール戦闘の神、ハルヴァール

これまで白単アグロのマナカーブの頂点は《軍団の天使》が勤めていましたが、その特性からメインボードには1~2枚しか入らず、引けない場合は中盤以降はパワー不足気味となっていました。《戦闘の神、ハルヴァール》はその穴を埋めるだけではなく、状況に応じた使い道を選択できます。

クリーチャーに《スカイクレイブの大鎚》が装備されていれば、《戦闘の神、ハルヴァール》をキャストすることで自動的に付け替えられ、さらにそのダメージクロックは倍化します。わずか4マナと1枚のカードで対戦相手に2つのパーマネントへの対処を迫れるのです。逆に装備品がなく打点不足ならば《領界の剣》となり、アドバンテージを失うことなくダメージを稼いでくれます。

伝説のカードながら複数引いても腐らないのも強みであり、打点の上がり方から《戦闘の神、ハルヴァール》は白の《エンバレスの宝剣》ともいうべき攻撃力を有したクリーチャーなのです。

ドラニスの判事

ここにきて、スタンダードでも存在感を示し始めた《ドラニスの判事》。その背景にはスゥルタイ根本原理の活躍があります。メインボードは速度一辺倒ながら、サイド後はメタクリーチャーを絡めたビートダウンへと変化していきます。《傑士の神、レーデイン》に加えて《ドラニスの判事》《出現の根本原理》を封殺してくれる1枚。矢継ぎ早にキャストされるメタカードを前に、スゥルタイ側も捌きながらフィニッシャーに繋げるには至難の業となっています。

もちろん、効果があるのは《出現の根本原理》だけではありません。アドベンチャーデッキや《スカルドの決戦》、「相棒」にも強い仕様であり、現在のメタゲームに最適なクリーチャーとなっています。

赤単アグロ

惜しくもトップ8入賞はなりませんでしたが、メタゲームに変革をもたらしたのはこの赤単アグロに違いありません。スゥルタイ根本原理の優勝の裏で開催された、SCG Tour Online Satellite(予選大会)で大きな飛躍をみせたのです。ミラーマッチを意識したスゥルタイ根本原理に対し、速攻クリーチャーと《エンバレスの宝剣》を用いた短期決戦はダメージの通りが良く、一晩にして単色アグロ天下となったのです。

《エンバレスの宝剣》《朱地洞の族長、トーブラン》というわかりやすい詰めカードがあり、攻撃力の高さこそ白単アグロにはない魅力となっています。

火刃の突撃者

クリーチャー選択やマナカーブに大きな変化はありませんが、初速に優れた《アクームのヘルハウンド》よりも《火刃の突撃者》を優先しているのはポイントです。序盤のダメージこそ劣るものの、クリーチャー戦に強く、《朱地洞の族長、トーブラン》《リムロックの騎士》とシナジーを形成します。

《エンバレスの宝剣》さえ戦場にあれば《火刃の突撃者》は速攻クリーチャーとなるため、《義賊》《熱烈な勇者》と併せてライフを詰める役割を担います。消耗戦やトップデッキした場合の強みこそ《アクームのヘルハウンド》よりも《火刃の突撃者》を優先する理由といえますね。

乱動する渦

《乱動する渦》は防御不能のクロックであると同時に、《出現の根本原理》へのメタカードにもなっています。迂闊にキャストしようものなら勝負を決める1枚となり、10点ものダメージを稼いでくれるのです。

今週末の勝ち組を探せ!!

白単を筆頭とした単色アグロデッキが隆盛したことで、ボードコントロール能力の高いデッキに追い風が吹きそうです。しかし、スタックスのような重い呪文でのコントロールは美味しくありません。

初子さらいイマースタームの捕食者

ならば、クリーチャー主体のボードコントロールであるラクドスサクリファイスはチャンスかもしれません。相手のクリーチャーを《初子さらい》で奪い、《イマースタームの捕食者》の糧としていきましょう。

「ラクドスサクリファイスでデッキ検索する」

今週末には$5K Kaldheim Championship Qualifierが控えていますね。次回はそれらの情報をお届けしたいと思います。

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