競技EDHへの招待状

Jacob Nagro

Jacob Nagro

Translated by Kohei Kido

原文はこちら
(掲載日 2020/02/20)

はじめに

Nexus Super Leagueが主催するチーム統率者リーグのために、直近数カ月の私は競技EDHをプレイしてきました。イベントの賞品や賞金がすごいというわけではないのですが、マジックの異なる一面に注目して遊ぶというのは楽しいものです。

至福の休息

競技EDHのいろんな側面を見てきました。以前一緒に住んでいたルームメイト2人が横でよく対戦していたという時期もありましたからね。自分でもやろうと思っていたのですが、プレイヤーズツアー・プロツアーのフォーマットを練習するのに時間が取られてなかなかやることができませんでした。プレイヤーズツアー・プロツアーがこのご時世であまり開催されなくなって時間ができたのでやっとできるようになりました。SpellTableを使ってウェブカメラでかつてのルームメイトや他の友人ともオンライン対戦できています。

EDHから得られる体験

タッサの神託者汚れた契約Demonic Consultation

EDHで強いデッキというものはほとんどコンボデッキです。ライフ40の対戦相手が3人いる状態でゲームが始まるので、ライフに関係なく勝利するカードの組み合わせを揃えて勝利するのが最適なのはごく自然です。現在これを可能にするコンボの中で最強なのは《タッサの神託者》《Demonic Consultation》《汚れた契約》の組み合わせです。少量のマナで成立するコンボで、EDHで強い2色を使うデッキに入れることができます。《汚れた契約》自体も強いカードですし、《Demonic Consultation》も許容範囲の水準のカードなので、このコンボをデッキに取り入れるために入れる必要がある弱いカードは1枚(《タッサの神託者》)だけです。

ギトラグの怪物結界師ズアー首席議長ヴァニファール

EDHデッキにはよくあるパターンとして、統率者をコンボパーツとして利用する方法を組み込むパターンが存在していて、これが2番目に強い勝利手段です。統率者をコンボに使用することで、勝利するために探し当てる必要があるカードの数を減らしています。よくある方法は無限マナさえあれば勝利できる統率者を利用する方法です。カード2枚のコンボで無限マナを出す方法はそれなりに存在していて、たとえば統率者が《トリトンの英雄、トラシオス》なら無限マナからデッキを引ききってそこから勝利手段を成立させればいいだけです。

死の国からの脱出

3番目によく見ることになる勝利ルートは《死の国からの脱出》を利用したものだと言っていいと思います。レガシーで使えた頃のように《ライオンの瞳のダイアモンド》《水蓮の花びら》《思考停止》を組み合わせることで全プレイヤーを切削したり、自分を切削して《タッサの神託者》を唱えることができます。

縫い師への供給者弱者選別

EDHで《死の国からの脱出》を使って勝つために青は必須ではないということも言及しておいた方がいいでしょうね。《弱者選別》《縫い師への供給者》の組み合わせを利用してマナを増やす方法が存在しています。そのマナを使って勝利につながるカードを掘り当てることも、他の方法で《縫い師への供給者》を生け贄にして追加の切削カードを得ることもできます。

セヴィンの再利用直観

現状では《死の国からの脱出》は少し過大評価されていると考えています。《死の国からの脱出》を引いていないと効果の薄いカードを多くデッキに入れることになるからです。とはいえ、ジェスカイカラーを含む色のデッキなら問題ないと言えそうです。《直観》《セヴィンの再利用》の組み合わせによって、《直観》1枚で《死の国からの脱出》を立ち上げられるからです。現在最強のデッキだと考えられている《織り手のティムナ》《ルーデヴィックの名作、クラム》を統率者にしたデッキにも搭載されています。

EDHで勝利する方法は今まで触れていないものもまだ多く存在しています。多様な選択肢のあるフォーマットです。ただ上でも言いましたが、このフォーマットは初期ライフが多い多人数戦なので基本的にコンボのフォーマットだということは強調しておきます。それでもたまに戦闘ダメージが意味を持つ時はあります。

耳の痛い静寂エーテル宣誓会の法学者

特に《耳の痛い静寂》《エーテル宣誓会の法学者》のような対戦相手を拘束する要素がゲームに入ってくるとそうですね。ゲームの速度自体が下がってビートダウンが視野に入りやすくのに加えて、初期ライフが40あることを悪用しているカードがそれぞれのプレイヤーのデッキに入っているので、初期ライフも数字よりはかなり少なく感じられるはずです。

むかつき真鍮の都色あせた城塞

《むかつき》《ネクロポーテンス》はほとんどの黒いデッキで定番カードですし、初期ライフが20であることを前提としてデザインされたカードはほとんど悪用されています。《真鍮の都》《マナの合流点》は必ずと言っていいほどデッキに入っていて、《色あせた城塞》ですら採用されることがあります。そうは言ったものの、私がEDHについて学んでいく過程で勝利手段となるコンボを1つも採用していないデッキを見たことはないと思います。

最強クラスのデッキたち

EDHにはバカげたくらい選択肢がたくさん存在していますが、私が最強クラスだと信じているデッキについて話していこうと思います。

《織り手のティムナ》《ルーデヴィックの名作、クラム》

織り手のティムナルーデヴィックの名作、クラム

自分が所属するチームではまだ誰もLeagueで使用していないデッキですが、《織り手のティムナ》+《ルーデヴィックの名作、クラム》から始めていきましょう。これが直近の優勝チームが使っていたデッキリストです。

1 《否定の契約》
1 《渦まく知識》
1 《蒸気の連鎖》
1 《暗黒の儀式》
1 《Demonic Consultation》
1 《払拭》
1 《悟りの教示者》
1 《狼狽の嵐》
1 《ギャンブル》
1 《ギタクシア派の調査》
1 《伝国の玉璽》
1 《精神的つまづき》
1 《神秘の教示者》
1 《思案》
1 《汚物の雨》
1 《赤霊破》
1 《沈黙》
1 《白鳥の歌》
1 《吸血の教示者》
1 《思考停止》
1 《陰謀団の儀式》
1 《悪魔の教示者》
1 《最後の賭け》
1 《リム=ドゥールの櫃》
1 《マナ吸収》
1 《汚れた契約》
1 《叱責の風》
1 《偏向はたき》
1 《激情の後見》
1 《否定の力》
1 《ジェスカの意志》
1 《直観》
1 《記憶の裏切り》
1 《法務官の掌握》
1 《セヴィンの再利用》
1 《Timetwister》
1 《Wheel of Fortune》
1 《意外な授かり物》
1 《むかつき》
1 《意志の力》
1 《深淵への覗き込み》
1 《Mystic Remora》
1 《死の国からの脱出》
1 《ネクロポーテンス》
1 《リスティックの研究》
1 《金属モックス》
1 《宝石の睡蓮》
1 《ライオンの瞳のダイアモンド》
1 《水蓮の花びら》
1 《魔力の墓所》
1 《モックス・ダイアモンド》
1 《オパールのモックス》
1 《魔力の櫃》
1 《太陽の指輪》
1 《秘儀の印鑑》
1 《友なる石》
1 《厳かなモノリス》
1 《独創のタリスマン》
1 《威圧のタリスマン》
1 《発展のタリスマン》
1 《願い爪のタリスマン》
-呪文 (61)-

細かいところはかなり自由にできますが、これらのカードの多くは他の《織り手のティムナ》+《ルーデヴィックの名作、クラム》デッキに採用されているだけでなく、EDH一般で見られるものです。EDHで最強のデッキはこれではなさそうだという印象ですが、それでも最強クラスのデッキではあって、EDHの定番カードの展覧会のようなデッキとしてはこれ以上のものはないでしょう。

リスティックの研究

初めのころ、私は統率者のデッキカラーにさえ合えば必ず採用されるようなカードの一部に対して懐疑的だったのですが、数ゲーム遊んだ後にはその多くに納得いくようになりました。《リスティックの研究》のようなカードは「相手が従わないと罰を与えるパーマネント」のカテゴリーに入るカードで、対戦相手に罰を回避して立ち回ることを許していますが、対戦相手1人ではなく対戦相手全員がその対象です。

相手を拘束するカードが多く使われてゲームスピードが相当落ちて、誰でも《リスティックの研究》のためにマナを払えるような状態になっても、ある時点で誰かがゲームの勝利を手にするために動いて他のプレイヤーが止めようとします。そうなると《リスティックの研究》を置いておいたプレイヤーはまとまった量のカードをドローできるのです。またEDHの序盤はマナ加速に費やされることが多く、《リスティックの研究》への支払いを躊躇してマナ加速できないと対戦相手にとって不利な状況となるのでドローを許容してでもマナ加速しないといけません。ですので序盤に《リスティックの研究》を戦場に出せると大きなメリットがあります。

宝石の睡蓮船殻破り敵対工作員

新しい『統率者レジェンズ』のカードも何枚かデッキリストに入っていることに気づくと思います。特筆に値するのは《宝石の睡蓮》《船殻破り》《敵対工作員》で、EDHで存在感を示しています。《船殻破り》《敵対工作員》は両方とも対戦相手にだけ制約を課す能力を持っていて、大きく試合をリードするプレイングの余地があります。

Wheel of FortuneTimetwister

《船殻破り》は各種《Wheel of Fortune》効果を持つカードと組み合わせるとコンボになり、ゲームに敗北する方が難しいほどの優位を得られます。《Wheel of Fortune》系カードはマナ加速を引きすぎたときにそれを生かせるようにしてくれるとともに、大きく後れを取った試合でも挽回できる可能性を用意してくれるので、元々こういうデッキでは定番カードでした。

《宝石の睡蓮》によって『統率者レジェンズ』以降は使用される統率者が大きく変化しました。統率者以外は多くのデッキを似たようなデッキリストにすることが可能なので、統率者として《宝石の睡蓮》のマナ加速を生かせるものを使わないと不利になります。統率者がコンボパーツではなかったとしても、1~2ターン目の《ルーデヴィックの名作、クラム》といったシンプルな動きでもゲームをかなり優位に進められます。

《刃を咲かせる者、ナジーラ》

刃を咲かせる者、ナジーラ

コンボパーツでありながら《宝石の睡蓮》の3マナで唱えられるという統率者の地位は大きく向上していて、そういった根拠から私やチームメイトは《刃を咲かせる者、ナジーラ》が最強の統率者だと考えています。

固有色のルールのおかげで《刃を咲かせる者、ナジーラ》《宝石の睡蓮》でズルをできる上で5色統率者でもある数少ないカードです。3マナで唱えられるのは《樹の神、エシカ》と合わせても2種類しか存在していません。

倍増の季節

初見では《刃を咲かせる者、ナジーラ》《ゴブリンの熟練扇動者》《軍勢の戦親分》のようなカードに見えるかもしれません。出たターンに自動的にトークンを出さない代わりに、「1体以上の戦士が攻撃するとき」とは書いていないのでロングゲームになったときに試合を大きく自分の側に引き寄せられます。これはつまりブロッカーのいない対戦相手さえいるなら攻撃するたびに戦士の数が倍になるということなのです。

浄火の戦術家、デリーヴィー自然の意志

十分な数の攻撃クリーチャーさえいれば、《浄火の戦術家、デリーヴィー》《自然の意志》とのコンボが成立して、攻撃クリーチャーを利用してマナを生みだすことで《刃を咲かせる者、ナジーラ》を起動し続けられます。これを始動するときは、たいていブロッカーがいないか、いたとしても少数しかいないプレイヤーを狙うところから始まり、戦闘フェイズを重ねるうちに莫大な数の戦士トークンを得て対戦相手を全員倒すことができます。

コンボパーツはどちらもマナを生みだすパーマネントが5つ必要なように見えるかもしれませんが、《浄火の戦術家、デリーヴィー》は同じ土地を複数回対象に取れますし、《自然の意志》は複数人にダメージを与えていれば複数回誘発します。つまりこれらのカードは《刃を咲かせる者、ナジーラ》さえ統率者になっていて、各色1マナずつ出せるマナ基盤が整えば1枚コンボになっています。

タッサの神託者耳の痛い静寂溜め込み屋のアウフ

《タッサの神託者》+《Demonic Consultation》/《汚れた契約》の最強コンボもこのデッキには搭載されていますし、全色にアクセスできるので他に欲しいものがあればなんでも入れられます。《耳の痛い静寂》《溜め込み屋のアウフ》も使えて、かつこのデッキが行動に制約をかける効果にそれなりに耐性があるのもいいところです。

ロングゲームになったときに《刃を咲かせる者、ナジーラ》に対抗できる統率者も多くはないので《刃を咲かせる者、ナジーラ》が戦場に残っている限り1対1交換もそこまでためらわずに済みます。戦士を十分な数に増殖させるだけでプレイヤーを倒すことができるのも稀ではなく、土地を起こしたりせずふつうに《刃を咲かせる者、ナジーラ》の能力起動を絡めるとそれが早まります。

ラノワールのエルフ新生化異界の進化

スゥルタイカラーを含むデッキではよく見かけるセットもこのデッキには含まれています。マナクリーチャーと《新生化》/《異界の進化》の組み合わせです。マナクリーチャーはロケットスタートを可能にして2ターン目《刃を咲かせる者、ナジーラ》の確率を上げてくれますが、多いとゲーム後半で不要牌となります。《新生化》《異界の進化》はマナクリーチャーを《タッサの神託者》《浄火の戦術家、デリーヴィー》に変える機会を提供してくれるだけでなく、必要とあれば相手の行動に制約を加えるクリーチャーを出してゲーム速度を落とすことも可能にします。

《トリトンの英雄、トラシオス》《愚者滅ぼし、テヴェシュ・ザット》

トリトンの英雄、トラシオス愚者滅ぼし、テヴェシュ・ザット

次に紹介したいデッキは最強デッキに躍り出る余地がありそうではあるものの、まだあまり研究されていないデッキ、《トリトンの英雄、トラシオス》+《愚者滅ぼし、テヴェシュ・ザット》です。

宝石の睡蓮

このデッキの元となったアイデアはアレン・ウー/Allen WuとEDHについて話しているときに生まれました。『統率者レジェンズ』と《宝石の睡蓮》が世に出る前は《トリトンの英雄、トラシオス》《激情の薬瓶砕き》《織り手のティムナ》の組み合わせが最強のデッキだと考えられていました。多くの色を使えるのは常に魅力的ですが、この組み合わせの問題は《宝石の睡蓮》を使う強力な動きがないことです。

《愚者滅ぼし、テヴェシュ・ザット》《宝石の睡蓮》を使う強力な動きとなるカードです。《トリトンの英雄、トラシオス》《愚者滅ぼし、テヴェシュ・ザット》の組み合わせは統率者で手札を補充できるので、マナ加速が充実した手札を求めてマリガンすることを肯定してくれます。

宝石の洞窟古えの墳墓魔力の櫃

《愚者滅ぼし、テヴェシュ・ザット》はシングルシンボルなので《ルーデヴィックの名作、クラム》のようなカードと比べて序盤、それこそ1ターン目に出せるパターンが増加します。最近参加したleagueの試合では《宝石の洞窟》でスタートしてから《古えの墳墓》《魔力の櫃》で1ターン目《愚者滅ぼし、テヴェシュ・ザット》に成功し、そのままそれを勝利に繋げました。

タッサの神託者法務官の掌握

このデッキに搭載されている勝利手段自体は少なめで、勝つときはほぼ毎回なんらかの形で《タッサの神託者》を使って勝利します。なんらかの理由で《タッサの神託者》が使えないときは《法務官の掌握》で他のプレイヤーの勝利手段を借りることができます。

等時の王笏劇的な逆転トリトンの英雄、トラシオス

また十分な数のマナが出る土地でないパーマネントをコントロールしていれば、《等時の王笏》《劇的な逆転》を使って無限マナを生成して《トリトンの英雄、トラシオス》でデッキを引ききることができます。そこからは《船殻破り》を出してからの《Timetwister》で相手の手札を空に保ちつつ、《有毒の蘇生》で繰り返して自分のデッキにある好きなカードを好きなだけ唱えられます。

デッキにあるカードを何度でも唱えられるということは、どんなパーマネントでも《暗殺者の戦利品》で破壊でき、全員のデッキを《法務官の掌握》で追放でき、《白鳥の歌》《王冠泥棒、オーコ》で無限の鳥トークンや大鹿トークンを作れるということです。もはやデッキに勝利手段がないという状況になることも考えられますが、たいていの場合は《法務官の掌握》にデッキの枠を1枚割く価値はあると思います。

愚者滅ぼし、テヴェシュ・ザット

《刃を咲かせる者、ナジーラ》デッキのように、統率者を重要な駒として守って戦うような試合展開ができるデッキだと考えています。《刃を咲かせる者、ナジーラ》のように対戦相手のライフを攻める代わりに、手札を補充しながら《愚者滅ぼし、テヴェシュ・ザット》の奥義で相手を脅かすことができます。《愚者滅ぼし、テヴェシュ・ザット》は意外とすぐに忠誠度[-10]の奥義を使えるようになります。

またちょうど忠誠度[10]で奥義を使うと、奥義解決前に《愚者滅ぼし、テヴェシュ・ザット》は統率者領域に移動しているので、自らの能力で戦場に戻せることは覚えておきましょう。そこから自分がコントロールしている統率者たちで勝てるかもしれませんし、それが勝ちに結びつかなくても最低保障として《愚者滅ぼし、テヴェシュ・ザット》で生け贄にして3枚ドローすることはできます。

ディミーアのギルド門

私はこの3種類のデッキが最強デッキの候補になるとは考えていますが、100枚のハイランダーデッキの常として選択肢は膨大に存在していて、実際に最強のデッキがどれなのか特定するのは難しいことです。人々はさまざまなデッキで勝てていますが、私の競技者としての直感は「3色以上で青と黒を含むデッキ」ではないデッキというのはデッキ強度が足りないと言っています。でも一方でどのような色の組み合わせでも戦えるはずです。

祖神の使徒、テシャールギトラグの怪物

《祖神の使徒、テシャール》《ギトラグの怪物》のような統率者を使っていると対戦相手を妨害することが苦手なデッキにはなりますが、統率者中心にデッキを組んでコンボの方向性を強化することができます。実のところ、一般論としてEDHで妨害はあまり強くありません。対戦相手1人を妨害するために使うというよりは自らのゲームプランを押し通すために役立てたほうがいいものです。

多人数戦の理論

露天鉱床マナ吸収

EDHのような多人数戦フォーマットを遊んだことがなければデッキリストに含まれていないカードがなぜ含まれていないのかピンとこないかもしれませんね。「ほとんど誰も《露天鉱床》を使っていない?」「全ての青いデッキが《マナ吸収》を使うわけでもない?」EDHを始めるときに私もこういった問いを自分に投げかけていました。でも考えた上で実際にプレイしてみると、そうなっている理由とそれが正しい理由が見えてきました。

4人戦に着席すると25%の勝率で試合が始まります。2位というものはなく、勝つか負けるか、あるいは引き分けるかです。2人戦と同じですね。誰かのリソースを潰すために自分のリソースを潰して1対1交換をすると、そのプレイヤーと自分の勝率を下げて残り2人を相対的に有利にしているだけなのです。

押し進み

ほとんどのデッキが自分のゲームプランを押し通すように構築されているのはこういった理由からで、妨害するカードとして入っているものも自分の勝利を近づけるために使うのがふつうです。自分に飛んできた対戦相手の妨害を打ち消すとか、《耳の痛い静寂》《敵対工作員》のように行動に制約を加えてくる厄介なパーマネントへの解答を持っておくといった具合です。

敵対

多人数戦の他の側面で、こちらの方が直感的かもしれませんが、強力ではあるもののその場ではゲームに勝たないような動きをすると、残り3人の仮想敵は自分になります。《王冠泥棒、オーコ》は有史以来最強のプレインズウォーカーかもしれませんし、対戦相手の統率者を統率者領域に戻さずにバニラクリーチャーにするのでとても効果的に見えるかもしれません。でも対戦相手3人が攻撃してくる状態でプレインズウォーカーを守り切るのは難しいのです。《王冠泥棒、オーコ》や他の一部のプレインズウォーカーは使われているものの、多人数戦の特性から多くのプレインズウォーカーは使うに値しません。

多人数戦のとても興味深い要素としてターンの順番に対応したゲームプレイングがあります。詳しくない人のために説明すると優先権はターンの順番で進行していきます。そのために打ち消し呪文を使おうかという場面でこのような状況が何度かありました。自分の前の手番のプレイヤーが重要な呪文、あるいは勝利に直結する呪文を唱えていて私はこれを打ち消せます。打ち消すべきでしょうか?先ほども言及しましたが1対1交換は自分と妨害されているプレイヤーの2人だけが不利になる行動です。

タッサの神託者Demonic Consultation

では自分の前の手番のプレイヤーが《タッサの神託者》を唱えて誘発能力のスタック上で《Demonic Consultation》を唱えたとして、それは私が打ち消すべきものでしょうか?それとも残り2人のプレイヤーが解答を持っていると信じて優先権を放棄すべきでしょうか?もちろんその場の状況次第なので常に正しい絶対の答えはありません。でも私が知っている範囲では、打ち消さない方がいい状況は割と頻繁に発生します。

否定の契約

究極の状況として私の手札が《タッサの神託者》《Demonic Consultation》《否定の契約》で自分のターンに5マナは出せるという状況を想定しましょう。そうなると自分よりも手番が後ろの2人のプレイヤーが《Demonic Consultation》への解答を持っているという可能性を全力で考えるでしょう。他のプレイヤーが打ち消してくれれば自分のターンに対戦相手の打ち消し呪文が1枚減った状態でコンボを展開できますからね。

沈黙夏の帳

ここまで極端な状況には遭遇したことがありませんが、多人数戦での妨害カードに存在している論点に焦点を当ててくれます。そして採用されている打ち消し呪文の多くが0~1マナなのも、対戦相手の減速ではなく自分のゲームプランを押し通すために使うことを想定しているからなのです。これらの理由からEDHで最強の色は黒だと考えています。各種サーチカードで多様なコンボを簡単に成立させられますし、白か緑が使えれば《沈黙》《夏の帳》のように自分のコンボを押し通すためならほとんどの打ち消し呪文よりも強力なカードも使えます。

まとめ

奔放なる遊戯

競技EDHへの参入障壁は高く見えるかもしれませんが、デッキ構築と構築理論について考えるのが好きならぜひ試してみるべきです。ウェブカメラ越しに紙でプレイするのは、競技的であるということを考えるとなおさら変な感じがするかもしれませんが、正直に言えば友人と遊んでいる分にはかなり楽しめます。デッキの多様性が高すぎて、ときには他人のプレイミスが自分の敗北につながるので、たとえば賞金額の高い大会でこのフォーマットをやりたいとは全く思っていませんが、キューブドラフトのような楽しむためのフォーマットとしては最高ですね。

カジュアルなEDHがマジックで有数の人気フォーマットなのはみなさんご存じだと思いますが、私のような競技プレイヤーにとってはデッキを最適化することに意識が行き過ぎていて競技的ではないデッキを組もうと意識するのは困難です。全員が同じステージに立っていて、全員が価値を目指すためのデッキ構築をしている環境を得られれば、きっとみんなで楽しめますよ。

知識の渇望

この記事の読者のみなさんの一部にでも、もっと競技EDHについて知りたいと思ってもらえていたら幸いです。 フォーマットについて知りたい人にオススメできる情報源はCompetitive EDH Decklist Databaseです。大量のデッキリストが見られて、多くのデッキには専用のDiscordサーバーも存在しています。

もし質問があったらぜひTwitterで聞いてください!みなさん最後まで読んでくれてありがとうございます!

ジェイコブ・ナグロ(Twitter)

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Jacob Nagro

Jacob Nagro アメリカ出身のプロプレイヤー。 彼の最初の活躍はグランプリ・デンバー2016でのことで、「青白フラッシュ」を用いてトップ8に入賞した。その後も惜しまぬ努力を続けた結果、彼の労力は2016-2017シーズンのシルバーレベルという形で報われることになる。 《大いなるガルガドン》と《恐血鬼》が印象的な「赤黒ブリッジヴァイン」を駆使してマジック25周年記念プロツアーで7位入賞を果たす。そしてこの素晴らしい成績は彼をゴールドレベルへと押し上げたのだ。 Jacob Nagroの記事はこちら