マジック名カード集 ~『アライアンス』編~

晴れる屋メディアチーム

はじめに

みなさま、「名カード集」へようこそ。

この「名カード集」では、時代を過去へと遡り、昔のエキスパンションの名だたるカードを紹介していきます。

今回はあの有名アンコモンを輩出した『アライアンス』をご紹介しましょう。

『アライアンス』ってどんなセット?

『アライアンス』とは、1996年6月に発売されたアイスエイジ・ブロックの1番目のエキスパンションであり、初の小型エキスパンションであります。セット名の『アライアンス』は「同盟」を意味しており、それゆえにエキスパンションシンボルは”はためく三角旗“となっております。収録カードは全144種類ながら強力なカードが多く、エターナル環境では現役のカードが何枚も存在しています。

その代表格が代替コストを持つ「ピッチスペル」です。

意志の力

《意志の力》

「あなたは、《意志の力》のマナ・コストを支払うのではなく、1点のライフを支払うとともにあなたの手札から青のカード1枚を追放してもよい。」

「呪文1つを対象とし、それを打ち消す。」

コストとして手札を投げ捨てる(追放する)ことからこのような呼び名がついたといわれておりますが、その強さたるやマジックの戦略を根本から覆すものとなりました。例にあげた《意志の力》は先手必勝といわれたタイプ1(現ヴィンテージ)の環境を大きく変えた1枚でもあります。

Lake of the Dead

《Lake of the Dead》

《Lake of the Dead》が戦場に出る場合、代わりに沼を1つ生け贄に捧げる。そうした場合、《Lake of the Dead》を戦場に出す。そうしなかった場合、それをオーナーの墓地に置く。

(T):あなたのマナ・プールに(黒)を加える。

(T),沼を1つ生け贄に捧げる:あなたのマナ・プールに(黒)(黒)(黒)(黒)を加える。

また、置き換え土地と呼ばれる特殊地形が登場しました。一見するとカードアドバンテージを失い、テンポ面でも遅れをとりそうなデザインですが、コストに見合うだけの強力な能力を有しております。《Lake of the Dead》《沼》1枚から5マナを生成するマナドライブ能力であり、小型クリーチャーによるアグロ戦略をはじめネクロ系のコントロールまで幅広く使用されたカードです。

このように『アライアンス』はゲーム戦略を大きく変えるカードが生まれたのです。

『アライアンス』の名カードたち

《Thawing Glaciers》

Thawing Glaciers

《Thawing Glaciers》

《Thawing Glaciers》はタップ状態で戦場に出る。

(1),(T):あなたのライブラリーから基本土地カードを1枚探し、そのカードをタップ状態で戦場に出す。その後、あなたのライブラリーを切り直す。次のクリンナップ・ステップの開始時に、《Thawing Glaciers》をオーナーの手札に戻す。

《Thawing Glaciers》基本土地を繰り返しフェッチできるカードです。しかもこのカード自身がターンの終わりに手札へと戻るため、時間をかければこれ1枚でライブラリーからすべての基本土地を場に出すことも可能なのです。カードアドバンテージ・デッキ圧縮の観点から優れたカードであり、手札に来た基本土地をライブラリーへと戻せる《渦まく知識》《精神を刻む者、ジェイス》とは強烈なシナジーを形成します。

渦まく知識High Tide

かつてのスタンダードでは、かの有名な青白コントロール、カウンターポストの地盤を支え、《渦まく知識》などと黄金タッグを形成しました。スタンダードを去るとその後はエクステンデッドの《High Tide》や青いデッキ用のサイドボードとして詰まれることがござました。速いデッキに対しては真価を発揮しきれないこともありましたが、コンボや遅いデッキとのマッチアップでは手札の減らない土地として使用されたのです。

《Contagion》

Contagion

《Contagion》

あなたは、《Contagion》のマナ・コストを支払うのではなく、あなたは1点のライフを支払うとともにあなたの手札にある黒のカードを1枚、追放することを選んでもよい

1体か2体のクリーチャーを対象とする。それらの上に-2/-1カウンターを2個、望むように割り振って置く。

可愛い黒猫が描かれていますが、そのイラストに反して効果は実に強力。《意志の力》と同じピッチスペルの1種であり、ゲーム最序盤から自分の展開を阻害せずに相手のクリーチャーを除去できるため、テンポ面で優れた効果を発揮しました。通常、ピッチスペルはその強さの代償としてカードアドバンテージ面では損するようにデザインされていますが、《Contagion》は1~2体のクリーチャーを対象にとれるので問題ありません。

極楽鳥クウィリーオン・レインジャーリバー・ボア

大量ドローできる《ネクロポーテンス》とは非常に相性がよく、アグロデッキの展開をスローダウンさせるのに一役かっていました。『ミラージュ』加入後のスタンダードは緑のシステムクリーチャーを多用した5CGなどのデッキが生まれており、マナ基盤を整える《極楽鳥》《クウィリーオン・レインジャー》《リバー・ボア》は恰好の餌食となってしまったようです。

《Phyrexian Devourer》

Phyrexian Devourer

《Phyrexian Devourer》

《Phyrexian Devourer》のパワーが7以上になったとき、それを生け贄に捧げる。

あなたのライブラリーの一番上のカードを追放する:《Phyrexian Devourer》の上に+1/+1カウンターをX個置く。Xはその追放されたカードの点数で見たマナ・コストである。

そのイラストから「おにぎり」と呼ばれ、当時は使い道のないカードとしての烙印を押されてしまった《Phyrexian Devourer》。キャストするには重すぎ、サイズアップこそできるものの一歩間違えれば自壊してしまう使いにくさを知ればその評価もやむを得ないでしょう。

しかし、このクリーチャーは一瞬ですが、エクステンデッドのスポットライトの下へと現れました。ときは1999年の世界選手権、日本三大地雷と呼ばれた笹沼 希予志選手は《Phyrexian Devourer》を使用した「おにぎりシュート」というデッキを持ち込もうとしていました。

修繕投げ飛ばし

まずは《修繕》により《Phyrexian Devourer》を戦場へと出し、ライブラリーを餌にパンプアップし続けます。パワーが7を越えた段階で生け贄に捧げる効果が誘発しますが、それにスタックしてさらにパンプアップしていきます。この過程を繰り返しパワーが20を越えたところで、《投げ飛ばし》で勝利!というなんとも豪快なデッキとなっておりました。しかし、大会前日にエラッタが出たことで、幻のデッキとなってしまったのです(同エラッタは2011年9月のオラクル更新で解除)。

トリスケリオン歩行バリスタ壊死のウーズ

現在は無限ダメージコンボの立役者として、統率者で人気のクリーチャーとなっています。《Phyrexian Devourer》《トリスケリオン》《歩行バリスタ》を墓地に置き、《壊死のウーズ》をキャストすれば、ライブラリーの総マナコスト分のダメージを与えることが可能なのです

《Krovikan Horror》

Krovikan Horror

《Krovikan Horror》

終了ステップの開始時に、《Krovikan Horror》があなたの墓地にあり、そのすぐ上にクリーチャー・カードがある場合、あなたは《Krovikan Horror》をあなたの手札に戻してもよい。

(1),クリーチャーを1体、生け贄に捧げる:クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。《Krovikan Horror》はそれに1点のダメージを与える。

スタッツこそ4マナ2/2平均以下ですが、システムクリーチャーとしてアグロの詰め役、ボードコントロール力、自軍を追放除去から守るなど多彩な用途があります。さらに墓地から手札へ戻るためカードを捨てる効果とも相性が良く、カードアドバンテージエンジンにもなったのです。手札に戻る条件は直上にクリーチャーが必要と少し変わったものですが、マナが不要なため専門デッキを組めば使い勝手のいいカードでした。

スタンダード時代は先ほどの《Contagion》と合わせて黒単アグロなどに採用されましたが、このクリーチャーはエクステンデッドでこそ輝いたといえるでしょう。

野生の雑種犬ゾンビの横行ゴブリンの太守スクイー

故・石田 格氏がグランプリ仙台01に持ち込んだのは《Krovikan Horror》と『メルカディアンマスクス』の《ゴブリンの太守スクイー》の2種類の手札へ戻るクリーチャーをアドバンテージ源として組み込んだのが攻撃的な墓地活用デッキ、ワイルドゾンビでした。デッキの名を冠した《野生の雑種犬》《ゾンビの横行》を共鳴者として使用し、毎ターンノーコストで追加ダメージソースを得るアグレッシブな戦略をとっていたのです。《Krovikan Horror》はゾンビ・トークンを生成するカードでありながら、中盤以降はトークンを直接火力に変換する1枚で2役を兼ね備えておりました。

《ゴリラのシャーマン》

ゴリラのシャーマンゴリラのシャーマン

《ゴリラのシャーマン》

(X)(X)(1):点数で見たマナ・コストがXである、クリーチャーでないアーティファクト1つを対象とし、それを破壊する。

最後にご紹介するのはモックスモンキーの相性で知られるヴィンテージ環境の天敵、軽量アーティファクトが好物の《ゴリラのシャーマン》です。アーティファクトを破壊する起動型能力を持っていますが、そのコストは重く、やや使いにくい印象です。2マナのアーティファクトを破壊するのに、5マナ必要では割高に感じてしまいます。

Mox Pearl教議会の座席

しかし、環境が変わればその制圧力は類をみません。モックスモンキーの呼び名からもわかる通り、ヴィンテージではわずか1マナで《Mox Pearl》やアーティファクト土地などのマナソースを片っ端から叩き割っていきます。フォーマットの特性上除去カードの採用枚数が少ないこともあり、打ち消しもらすと制圧されかねません。

アーティファクト土地といえばパウパーでは6種類すべてが使用可能であるため、同フォーマットの親和デッキに対しても《ゴリラのシャーマン》はメタクリーチャーとなっています。

まだある名カード

さて、『アライアンス』名カード集、お楽しみいただけたでしょうか。しかし、「あの有名カードなくない?」「もっといいカードあるよ!」と思われた方もいらっしゃるはず。

もっと『アライアンス』のカードについて知りたい方は、ぜひ、動画もご覧ください!

次回の「名カード集」では、『ミラージュ』をお届けいたします。

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