はじめに
みなさんこんにちは。
禁止改訂から1か月以上が経ち、マジック・オンライン(以下、MO)の大規模なイベントであるShowcase Challengeも開催されたことで新環境の全貌が明らかになってきました。
今回の連載では、Pioneer Showcase Challengeの入賞デッキを見ていきたいと思います。
Pioneer Challenge #12269133
新環境のコンボデッキ
2021年3月7日
- 1位 Sram Aura
- 2位 Naya Winota
- 3位 Lotus Combo
- 4位 Niv to Light
- 5位 Mono Black Vampires
- 6位 Naya Winota
- 7位 5C Control
- 8位 Gruul Aggro
トップ8のデッキリストはこちら
5種類のカードが禁止になったことで環境が激変したパイオニア。新環境になって初めて開催されたShowcase Challengeは、禁止改定によって失ったカードがなかったSram Auraが順当に勝ち上がりました。
ほかにはNaya WinotaやLotus Comboといった同じく禁止改定の影響を受けなかったコンボデッキが結果を残しています。
パイオニアの代表的なアグロデッキであるMono Black Aggroも勝ち残っていました。《思考囲い》や《致命的な一押し》など効率的なスペルで相手のプランを妨害しつつ、クロックでライフを攻める戦略は相手を選ばず強力です。
デッキ紹介
Sram Aura
ほかのデッキが試行錯誤段階の新環境では、Mono Black Aggroや今大会で優勝したSram Auraなどのアグロデッキが勝ち組になる傾向にあります。Sram Auraは旧環境でもそこそこ結果を残していたデッキで、禁止改定によって失ったカードもなかったため有力な選択肢の一つとされていました。
クリーチャーにオーラを付けて強化していくモダンのBoglesと似たデッキですが、Orzhovカラーのこのデッキは《思考囲い》や《軍団の最期》など妨害スペルが使えるので、サイド後のゲームでも有利に立ち回ることができます。
デッキ名にもなっている《上級建設官、スラム》はこのデッキの核となるドローエンジンです。オーラの弱点としてクリーチャーが除去されてしまうとカードアドバンテージを失ってしまいますが、《上級建設官、スラム》はその弱点を補う役目も果たします。
☆注目ポイント
Mono Black AggroとBurnとのマッチアップで強さを発揮するクリーチャーがそれぞれメインから採用されています。プロテクション(黒)を持つ《浄光の使徒》は、Mono BlackやRakdosといったデッキとのマッチアップにおいて除去耐性の高さから信頼性のあるクロックになります。墓地対策になる起動型能力も多くのマッチアップで効果的に使えます。
タフネス4の《ラゴンナ団の先駆者》は、火力スペルが中心のBurnとのマッチアップでは除去されにくい脅威として活躍します。
《命の恵みのアルセイド》は絆魂持ちなので、オーラで強化させればダメージレースを有利に進めることができます。また、除去を多用するデッキに対してはオーラで強化したクリーチャーを保護する役目を果たします。
ほかにクリーチャーを守る手段として《ケイラメトラの恩恵》があります。モダンのInfectなどに採用されている《顕在的防御》のように機能し、《至高の評決》のように破壊系のスイーパーからも守れる万能スペルです。
サイドの《騒音のアフィミア》は毎ターントークンを生みだすアドバンテージエンジンとして機能します。相手がオーラを付けたクリーチャーに除去を使ってくれるので、生き残りやすいのもポイントです。
Naya Winota
現在パイオニアで注目を集めているのは《軍団のまとめ役、ウィノータ》を軸にしたコンボデッキです。
《軍団のまとめ役、ウィノータ》の能力で《アングラスの匪賊》のコストを踏み倒すことができるので、最速4ターン目にゲームに勝つことができる爆発力のあるデッキです。フェッチランドを使えないパイオニアでは「紛争」の条件を満たすのが難しく、環境の主要な除去である《致命的な一押し》で《軍団のまとめ役、ウィノータ》が除去されづらいのも、このデッキが幅を利かす理由の一つです。
マナクリーチャーやトークンを生成する能力を持つクリーチャーなど人間でないアタッカーを並べる手段にも困りません。優秀なクリーチャーを多数採用しているため、《軍団のまとめ役、ウィノータ》に頼らずともミッドレンジとして振る舞うことができます。
☆注目ポイント
《異界の進化》は《軍団のまとめ役、ウィノータ》をサーチする手段であり、デッキに一貫性をもたらします。《復活の声》のようにトークンを残してくれるクリーチャーがいるので、アタッカーを減らさずに追加コストを払うことができます。
『カルドハイム』からも新戦力が導入されています。猫・トークン2体を生成する《エシカの戦車》はこのデッキと相性が良く、攻撃するたびにトークンを生成しアドバンテージを稼ぐのでアグロプランも取りやすくなります。
サイド後は相手の除去が増え《軍団のまとめ役、ウィノータ》を対処されやすくなりますが、《スカルドの決戦》のおかげでミッドレンジプランにシフトすることが容易になりました。また、コンボ対策にも長けているのが白いデッキの特徴で、《安らかなる眠り》や《エメリアのアルコン》といった対策カードが採用されています。
Lotus Combo
環境を牽引していたコンボデッキであるThe Spyは消滅しましたが、まだまだコンボデッキは存在します。
Lotus Comboも去年の8月に《死の国からの脱出》が禁止になったことで弱体化を強いられましたが、キーカードの《演劇の舞台》+《睡蓮の原野》は残っているので結果を残し続けています。
デッキの基本的な動きは変わらず、《砂時計の侍臣》や《見えざる糸》で《睡蓮の原野》をアンタップさせてマナを増やし、最終的に《願いのフェイ》や《首謀者の収得》から勝ち手段に繋げていきます。
☆注目ポイント
追加の土地を出すことができる《樹上の草食獣》は、タフネス3で到達持ちなのでSpiritsのように飛行クリーチャーが中心のデッキに対して時間を稼ぐことに貢献します。
打ち消されない《パルン、ニヴ=ミゼット》は、インスタントやソーサリーを多用するこのデッキに合ったフィニッシャーで、対策としてカウンターを追加してくるデッキやSpiritsなどに対しての有力な追加の勝ち手段になります。色拘束はきついですが、《睡蓮の原野》があるので問題なくプレイできます。
《巧みな軍略》で墓地を肥やしながらパーツを集めつつ、《時を越えた探索》でさらにカードを探します。墓地に落ちたカードも《バーラ・ゲドの復活》で回収することができ、ハンデスで落とされたコンボパーツを拾ったりと器用に立ち回ることが可能です。
Mono Black Vampires
《思考囲い》と《致命的な一押し》という優秀な1マナスペルを使える黒はパイオニアで人気のある色の一つです。Mono Black Aggroはパイオニアが設立されて以来活躍し続けているデッキで、《ロークスワイン城》や《変わり谷》などの強力な特殊地形を無理なく運用できるのもこのデッキの強みなのです。
今大会で結果を残したのは《傲慢な血王、ソリン》を搭載した吸血鬼バージョンでした。VampiresはMono Black Aggroと比べると効率性では劣りますが、よりロングゲームに強い構成になっています。吸血鬼部族シナジーのおかげでライフゲイン手段も多く、特に赤いアグロデッキとの相性が改善されています。
☆注目ポイント
吸血鬼には《才気ある霊基体》《ゲトの裏切り者、カリタス》《漆黒軍の騎士》といった多くの優秀なクリーチャーがいます。それらに加え《薄暮の勇者》と《傲慢な血王、ソリン》によって序盤からアドバンテージを稼ぐことが可能です。
「キッカー」によって自分の墓地のクリーチャーをリアニメイトできる《忘却の虚僧》は、単体でも回避能力持ちのパワー2絆魂と最低限の基準を満たしたスペックで、特に赤いアグロデッキとのマッチアップで活躍します。
総括
禁止改定直後に開催されたPioneer Showcase Challengeでは、Mono Black AggroやLotus Comboなど禁止改定によって失ったカードがなかったデッキや『カルドハイム』からの新戦力にも恵まれたWinotaコンボなどが中心でした。
アグロが活躍する傾向にあるメタを想定し、ほかのアグロに強いSram Auraやコンボデッキが新環境のパイオニアで活躍しそうです。
以上、USA Pioneer Express vol.19でした。それでは次回の連載でまた、楽しいパイオニアライフを!