はじめに
みなさんこんにちは。
いよいよ4月1日に日本国内のテーブルトップのイベントが解禁されます。オンラインの大会も4月10日にBIG MAGIC Open ONLINEが開催されるなどイベントが充実しています。
さて、今回の連載では先週末に開催されたLegacy Challengeの入賞デッキを見ていきたいと思います。
Legacy Challenge #12277638
2つのコンボデッキ
2021年3月27日
- 1位 Aluren
- 2位 Food Chain
- 3位 Death and Taxes
- 4位 Grixis Delver
- 5位 Cephalid Breakfast
- 6位 Izzet Delver
- 7位 Elves
- 8位 Maverick
トップ8のデッキリストはこちら
現環境で人気がありコンスタントに入賞していたTemur DelverやBant Miraclesといったデッキは今大会ではプレイオフに残らず、Grixis DelverやIzzet Delverが結果を残していました。Grixis Delverは《夏の帳》を意識しハンデスが不採用で、Izzet Delverは《瞬唱の魔道士》を採用したミッドレンジ寄りのスタイルとなっていました。
今大会のプレイオフで印象的だったのは決勝まで勝ち残ったFood ChainとAlurenの2つのコンボデッキです。
どちらのデッキもデッキ名になっているカードを使ったコンボデッキであると同時に、《自然の怒りのタイタン、ウーロ》を軸にしたミッドレンジとしてもふるまえるのが特徴です。ほかにもCephalid BreakfastやMaverickなど、禁止改定後の環境はさまざまなアーキタイプが結果を残しています。
デッキ紹介
Aluren
環境を問わず常に一定数見られるクリーチャーベースのコンボデッキ。《突然の衰微》や《氷牙のコアトル》といったカードでミッドレンジのようにふるまい、相手の隙を見て《魔の魅惑》を着地させてコンボを決めることができます。
《魔の魅惑》コンボをちらつかせつつ《自然の怒りのタイタン、ウーロ》や《空を放浪するもの、ヨーリオン》でアドバンテージを稼いでいく動きは対策が困難なので、このデッキとの対戦難易度は高めです。
基本的に除去やアドバンテージを取る手段が多めに採られているミッドレンジなので、Delver系を含めたほかのフェアデッキに強い構成になっています。ANTなどこのデッキよりも速いコンボデッキとのマッチアップは不利が付きます。
☆注目ポイント
《魔の魅惑》の能力で《洞窟のハーピー》+《追跡する影、ウキーマ》の無限ループコンボを狙っていきます。相手もクリーチャーをインスタントタイミングでプレイできるデメリットがありますが、《時を解す者、テフェリー》の常在型能力によってカバーすることができるので安全にコンボを成立させることができます。
無限ループ後の勝ち手段として、今回のリストではライフをドレインする《追跡する影、ウキーマ》が採用されています。《寄生的な大梟》と異なり、ドレインの能力の発動条件に黒のパーマネントをコントロールしている必要がないので使いやすくなっています。コンボに必要なクリーチャーはすべて《護衛募集員》でサーチすることができます。また、自軍のクリーチャーをバウンスすることをコストにする《北極マーフォーク》の能力を利用することで、《護衛募集員》の能力を使いまわせます。
《空を放浪するもの、ヨーリオン》を「相棒」にすることでデッキが80枚になりましたが、各種ドロースペルや《ニッサの誓い》《護衛募集員》などサーチ手段のおかげでデッキの動きも安定しています。《自然の怒りのタイタン、ウーロ》や《空を放浪するもの、ヨーリオン》を活用することで《魔の魅惑》コンボを対策されても勝てるのがこのデッキの強みです。
Food Chain
《自然の怒りのタイタン、ウーロ》ミッドレンジとコンボのハイブリットはAlurenだけではありません。《食物連鎖》コンボも今大会で結果を残していました。
《食物連鎖》+追放領域からプレイできるクリーチャー(このデッキでは《霧虚ろのグリフィン》または《不死身、スクイー》)によって無限マナを生成し、最終的に《歩行バリスタ》による無限ダメージでゲームに勝利します。サーチスペルの《運命の操作》によって《霧虚ろのグリフィン》と《不死身、スクイー》を追放することでコンボの下準備をしていきます。
コンボ以外でもこのデッキは青赤緑の3色から優秀なクリーチャーを集めているのでTemur Midrangeのようにふるまうことができます。コンボを仕込みつつ土地を伸ばして《自然の怒りのタイタン、ウーロ》などクリーチャーで攻める戦略は、特にフェアデッキとのマッチアップで強さを発揮します。
☆注目ポイント
《食物連鎖》+《霧虚ろのグリフィン》+《歩行バリスタ》という3種類のカードを必要とするコンボですが、《運命の操作》で《霧虚ろのグリフィン》や《不死身、スクイー》をサーチすることで疑似的な2マナ4ドロースペルとして機能するので十分なカードアドバンテージを稼ぐことができます。
追放領域からプレイできる《霧虚ろのグリフィン》は《意志の力》や《否定の力》のコストとしても最適で、カードアドバンテージを失わずにピッチスペルをプレイすることができるようになります。Temurカラーを使うメリットの一つとして墓地からもプレイできる《不死身、スクイー》が使えることです。より信頼性の高いブロッカーとなるので《永遠の災い魔》よりも優先的に採用されています。
《ハイドロイド混成体》は《歩行バリスタ》と並ぶこのデッキのフィニッシャー兼アドバンテージ源です。どちらのクリーチャーも《帝国の徴募兵》によってサーチしてくることが可能で、このサーチカードにアクセスできるところもTemurカラーの魅力です。ほかにも《稲妻》や《紅蓮破》、特殊地形に依存したデッキに刺さる《月の大魔術師》などが使えるのも赤を使う理由になります。
サイドには『カルドハイム』から登場した《秘密を知るもの、トスキ》が採用されています。カウンターされず、破壊不能なので対策が難しく、《氷牙のコアトル》など回避能力を持つクリーチャーを搭載したこのデッキでは、カードアドバンテージ源として期待できます。《帝国の徴募兵》でもサーチ可能で、コンボが対策されやすくなるサイド後にミッドレンジプランにシフトしやすくなります。
Legacy Challenge #12277648
Miraclesのワンツーフィニッシュ
2021年3月28日
- 1位 Bauble Miracles
- 2位 Bant Snow Miracles
- 3位 Death and Taxes
- 4位 Mono Red Stompy
- 5位 Omnath Control
- 6位 Mono Green Post
- 7位 Temur Delver
- 8位 Grixis Delver
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土曜日のLegacy Challengeと同様にさまざまなデッキが結果を残しています。
コンボデッキが多かった土曜日のLegacy Challengeと比べると、今大会ではDelver系やMiraclesなどフェアデッキやMono Red Stompyといったプリズン系、Cloud PostやOmnath Controlといったビッグマナ系が中心でした。
最終的に決勝まで残ったのは、現環境でコンスタントに結果を残しているBant Miraclesと純正青白のMiraclesでした。
デッキ紹介
Bauble Miracles
《ミシュラのガラクタ》+《予報》をカードアドバンテージ源として《天使への願い》をフィニッシャーとした古典的なMiracles。
デッキパワーでは《自然の怒りのタイタン、ウーロ》《氷牙のコアトル》《夏の帳》といったカードが使えるBant Miraclesに軍配が上がりますが、純正青白バージョンはマナ基盤に基本地形をより多く含める余裕があるため、《不毛の大地》や《血染めの月》といったアンチ特殊地形カードにも耐性があります。Mono Red StompyやDelver系といったデッキとのマッチアップに強いデッキになります。
基本的な戦略は《師範の占い独楽》が使えた時代のMiraclesと変わらず、カウンターや除去、スイーパーで序盤をしのいでいき各種ドロースペルやプレインズウォーカーで徐々にゲームを有利な方向にもっていき、最終的に《精神を刻む者、ジェイス》の奥義か《天使への願い》を「奇跡」でプレイしてゲームを終わらせます。
☆注目ポイント
ライブラリーのトップを確認できる《ミシュラのガラクタ》は「奇跡」スペルや《予報》と相性のいいカードです。相手のターンにカード引くことができることを利用し、自分のターンに《渦まく知識》で《終末》をライブラリートップに戻して、相手のターンに「奇跡」を誘発させるというプレイングもできます。
サイド後は3ターン目《僧院の導師》から即座にモンクトークンを生成する動きが強力です。フェッチランドと組み合わせることでドローの質を向上させることもでき、サイドに忍ばせてある《相殺》もより妨害手段として機能しやすくなります。
《予期せぬ不在》は対策できるカードの受けが広く、相手のフェッチランドの起動に合わせて使うことで除去のように機能します。このデッキではX=0でプレイして《予報》で落とすことで厄介なパーマネントを対処しつつカードアドバンテージを稼ぐという使い方もできます。
《神秘の聖域》は「奇跡」スペルとサイドに採用されている《相殺》と相性が良く、要所での活躍が期待できます。メイン、サイドともに綺麗にまとまっておりクラシックなコントロールが好きな方はトライしてみてはいかがでしょうか。
Omnath Control
レガシー版のOmath Control。《成長のらせん》や《自然の怒りのタイタン、ウーロ》で土地を伸ばしていき、最終的に《原始のタイタン》から《死者の原野》に繋げていき毎ターン湧き出てくるゾンビトークンで勝利します。デッキを十分に圧縮した後に《運命のきずな》で複数の追加のターンを得ることも可能です。
《壌土からの生命》エンジンが搭載されているので、土地を伸ばしつつ《自然の怒りのタイタン、ウーロ》のために墓地を肥やすことも容易です。デッキパワーが高くアドバンテージを獲得する手段も豊富なので、Delver系などほかのフェアデッキに対して無類の強さを見せます。
多色でフィニッシャーの一つが特殊地形の《死者の原野》であるため、《血染めの月》を採用したデッキは苦手なマッチとなります。
☆注目ポイント
《死者の原野》は土地なので対策されにくく、《不毛の大地》で割られてしまっても《壌土からの生命》によって再利用することが可能です。Miraclesなどがサイドインしてくる《基本に帰れ》でも完全に対処されることがないのが強みです。
ほかの青ベースのミッドレンジ、コントロールと同様にサイドには《花の絨毯》が積まれています。環境の多くのデッキが青いデッキなので、効率的なマナアドバンテージ獲得手段として定着しています。特に妨害をソフトカウンターやマナ否定に頼っているDelver系にとってはほぼマストカウンターとなります。
《伝承の収集者、タミヨウ》は墓地を肥やす手段として有用で、《自然の怒りのタイタン、ウーロ》を「脱出」させやすくし、《渦まく知識》でライブラリートップに戻したカードを落とすのにも使えます。墓地に必要なカードが落ちても[-3]能力で回収することができます。《思考囲い》や《トーラックへの賛歌》が散見されるレガシーでは、ハンデスをシャットアウトできる常在型能力も重要なものになります。
特殊地形を多用しているので、《血染めの月》を対策するためにサイドの《活性の力》は必須となります。《The Tabernacle at Pendrell Vale》や《ボジューカの沼》など、特定のマッチアップで有効な土地をサーチするために《輪作》も採用されています。サイドに1枚だけ採用されているライブラリー破壊能力を持つ《イプヌの細流》は、Doomsdayとのマッチアップ用です。
総括
禁止改訂から1か月以上が経った現在でもコンボからコントロールまでさまざまなデッキが結果を残しています。
ミッドレンジやコントロールが増えてきたことでDelver系は上位では数を減らしつつありますが、ほぼ毎回プレイオフに入賞しています。どのバージョンのDelverが優れているかはメタによるところが大きく、まだメタが固まり切っていない現在ではそれぞれのプレイヤーの好みのスタイルに合わせて選択されているようです。
来週末はオンラインBMOのほかにもMOPTQも開催されるなどイベントが充実しているので楽しみですね。今回の連載が参考になったのなら幸いです。
以上USA Legacy Express vol. 180でした。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいレガシーライフを!