マジック名カード集 ~『エクソダス』編~

晴れる屋メディアチーム

はじめに

みなさま、「名カード集」へようこそ。

この「名カード集」では、時代を過去へと遡り、昔のエキスパンションの名だたるカードを紹介していきます。

今回は強力エンチャントが多数収録された『エクソダス』をご紹介しましょう。

『エクソダス』ってどんなセット?

『エクソダス』とは、1988年6月に発売されたテンペスト・ブロックの最終エキスパンションであります。収録カードは全143種類ですが、その多くが構築環境で目覚ましい活躍をみせ、デッキ名を冠するものとなりました。特にエンチャントはコンボ向きのカードが多く、『エクソダス』の名前を聞くとコンボデッキを思い浮かべる方もいるかもしれませんね。

精神力ドルイドの誓い適者生存

悪名高きMOMAパンデモノートナイトメアサバイバルなどエンチャントをキーにしたデッキが多数存在しています。

また、『エクソダス』は初めてレアリティごとのエキスパンションシンボルの色が変わったセットです。以前のセットと比べて、どれがレアなのか格段に分かりやすくなりました。

禁止

《禁止》

バイバック ― カードを2枚捨てる。(あなたはこの呪文を唱えるに際し、他のコストに加えてカードを2枚捨ててもよい。そうした場合、その解決に際し、このカードをあなたの手札に加える。)

呪文1つを対象とし、それを打ち消す。

キーワード能力は引き続き「シャドー」「バイバック」ですが、内「バイバック」には変化が生まれています。追加コストとしてマナを払うのではなく、ライフや手札など何らかのリソースを支払うようになったのです。動画で紹介されている《禁止》はその代表格であり、毎ターン2枚以上のカードが引けるならこれ1枚で相手の行動を完封できるほど強力なカードでした。

『エクソダス』の名カードたち

《精神力》

精神力

《精神力》

カードを1枚捨てる:アーティファクト1つかクリーチャー1体か土地1つを対象とする。あなたはそれをタップまたはアンタップしてもよい。

『エクソダス』を、いや、この年を代表するといっても遜色ないカードが《精神力》です。青のクァドラプルシンボル(同じ種類のマナ・シンボルが4つある)を持つこのカードはマナコストこそ重いものの、ひとたび戦場に出れば手札すべてがパーマネントをタップないしアンタップすることが可能となります。単純に《島》を対象にするだけでは手札1枚=1マナと割に合いませんが、複数のマナが生成できるパーマネントがあれば話は変わってきます。そして、それは《トレイリアのアカデミー》という形で存在してしまったのです。

モックス・ダイアモンド魔力の櫃トレイリアのアカデミー

MoMa。マジック史上最強のコンボデッキのキーカードは『エクソダス』に生まれました。《モックス・ダイアモンド》などの0~1マナアーティファクトを並べ《トレイリアのアカデミー》のマナ生成数を増やしていきます。コンボパーツが足りなければドローを進め、迅速な《精神力》の設置を目指します

意外な授かり物時のらせん天才のひらめき

《精神力》の設置、それはゲームの終わりを意味します。手札すべてが《トレイリアのアカデミー》のアンタップコストとなり、大量のマナが生成可能となるのです。稼いだマナから《意外な授かり物》《時のらせん》を連発し、最終的に大量のマナからの《天才のひらめき》によって勝負が決まるのです。

ドリーム・ホール瞑想先細りの収益

6マナと重いキーカードを持ちながら、1~3ターンで勝負が決まる速度のデッキ、それがMoMaでした。当然ながら2ヵ月で禁止カードが出されたわけですが、ここからがこのMoMaの恐ろしいところです。《精神力》が無事だったこともあり、禁止改定を乗り越えて環境に存在し続けたのです。《トレイリアのアカデミー》がなければ《ドリーム・ホール》によって《精神力》をキャストし、《意外な授かり物》が去れば《瞑想》が、《時のらせん》《先細りの収益》が代役を務めました。

最終的に、3度目の禁止改定により《精神力》自身が禁止カードに指定され、MoMaは解体となりました。しかし、自身が禁止カードになるまでの8ヵ月間、同デッキは姿を変えながらも環境に存在し続け、都合6枚の禁止カードを出した恐るべきデッキだったのです。

《繰り返す悪夢》

繰り返す悪夢

《繰り返す悪夢》

クリーチャーを1体生け贄に捧げる,《繰り返す悪夢》をオーナーの手札に戻す:あなたの墓地にあるクリーチャー・カード1枚を対象とし、それを戦場に戻す。この能力は、あなたがソーサリーを唱えられるときにのみ起動できる。

『エクソダス』を代表する強力リアニメイト呪文。ほかのリアニメイト呪文と比べてマナコストはやや高いものの、名前の通り繰り返し使えるのが魅力なカードとなっています。運用には墓地と戦場の両方にクリーチャーが必要となるため巨大クリーチャーを釣り上げる高速リアニメイト戦略よりは、戦場に出たときの誘発型能力(ETB能力=Enter The Battlefield)を持つクリーチャーを使い回すことで徐々に戦況を有利にしていくコントロール戦略の方が合致していました。

適者生存花の壁ネクラタル夜のスピリット

同じく『エクソダス』より加わった《適者生存》とは相性が良く、墓地へリアニメイト先を用意しながらコストとして生け贄元となる軽量クリーチャーも用意できました。戦場に出たときの誘発型能力を持つ《花の壁》をコストに《ネクラタル》《大クラゲ》を使い回し、最後は《夜のスピリット》が蹂躙したのです。《繰り返す悪夢》《適者生存》を組み合わせたデッキはナイトメア・サバイバルと呼ばれ、強力なボードコントロールデッキとなりました。

しかし、その強さゆえに1999年4月、スタンダードで禁止カードとなってしまいました。現在はレガシーやヴィンテージでは使用できるものの、統率者戦でも禁止カードとなっています。

《スパイクの織り手》

スパイクの織り手

《スパイクの織り手》

《スパイクの織り手》は、その上に+1/+1カウンターが3個置かれた状態で戦場に出る。

(2),《スパイクの織り手》から+1/+1カウンターを1個取り除く:クリーチャー1体を対象とし、その上に+1/+1カウンターを1個置く。

(1),《スパイクの織り手》から+1/+1カウンターを1個取り除く:このターンに与えられるすべての戦闘ダメージを軽減する。

テンペスト・ブロックで登場したスパイクは数が出るごとに能力が付与されてきましたが、最終エキスパンションとなった『エクソダス』ではかなりとがった能力を持ったものが登場しました。《スパイクの織り手》は、マナと自身に+1/+1カウンターがある限り、《濃霧》効果により戦闘を無効化できたのです。最大で3回、しかし、+1/+1カウンターの数を増やせば半永久的に時間を稼ぐことができました。

ドルイドの誓いガイアの祝福

《スパイクの織り手》は起動型能力を使い続けることで自ら戦場を離れるため、クリーチャー数に依存する《ドルイドの誓い》と相性が良く、最適な防御手段となりました。アジア太平洋選手権98を制した中村 聡氏のスパイクの誓いや、プロツアーシカゴ99の勝利により広く世に知られるようになったBob Maher氏(現マジック・プロツアー殿堂)のメイヤーオースは、《スパイクの織り手》によりアグロデッキの攻撃を完封したのです。

当時は《真髄の針》《魔術遠眼鏡》ほど便利な対策カードはなく、思い当たるのは《呪われたトーテム像》くらいなもの。したがって、《ガイアの祝福》のリシャッフル効果で延々と現れ続ける《スパイクの織り手》は、火力のないデッキにとっては悪夢以外の何ものでもありませんでした

《伏魔殿》

伏魔殿

《伏魔殿》

クリーチャーが1体戦場に出るたび、そのクリーチャーのコントローラーが選んだクリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーは「このクリーチャーは、それに自身のパワーに等しい点数のダメージを与える」ことを選んでもよい。

すべてのクリーチャーにパワー分の火力を内蔵するエンチャント。ただし、相手のクリーチャーも誘発してしまうため、普通に使用するとあまりお得ではありません。なるべくなら軽くパワーの高いクリーチャーで、最大限のダメージを与えたいものです。となれば、やはりコンボデッキとなりますね。

伏魔殿ファイレクシアン・ドレッドノート再活性

パンデモノートはその名の通り、《伏魔殿》《ファイレクシアン・ドレッドノート》を組み合わせたコンボデッキ。《伏魔殿》を設置後、《ファイレクシアン・ドレッドノート》×2枚、もしく1枚を《再活性》にすることで24点のダメージを与えます。コンボ枚数3枚と比較的少なく、また、マナ拘束も緩いのが特徴です(絶対必要なのは赤マナのみ)。

完全にメタ外であった同デッキはアジア太平洋選手権98を勝ちあがり、結果的に準優勝となっています。因みに決勝戦で土をつけたデッキこそ、上で紹介したスパイクの誓いなのです。

《突撃の地鳴り》

突撃の地鳴り

《突撃の地鳴り》

土地カードを1枚捨てる:クリーチャー1体かプレインズウォーカー1体かプレイヤー1人を対象とする。《突撃の地鳴り》はそれに2点のダメージを与える。

かつての《大地の刃》のリメイク版にして、クリーチャーも対象にとれるようになったのがこの《突撃の地鳴り》。代償として赤のトリプルシンボルとなり、かなり使いにくくなっています。《大地の刃》には《土地税》という最高の相棒がありましたが、代わりとなるカードはあったのでしょうか?

壌土からの生命血染めのぬかるみ忘れられた洞窟

ポイントは土地をダメージに変換できることです。土地を回収するなら《壌土からの生命》、ということでエクステンデッドにおいて、2つのデッキが誕生しました。《独房監禁》《突撃の地鳴り》《壌土からの生命》の防御的なラインから構築されるCAL(デザイン:三原 槙仁)と、《土を食うもの》《壊滅的な夢》による攻撃的なボードコントロールを狙うアグロロームです。

方向性こそ多少異なりますが、基盤は同じく《壌土からの生命》と「サイクリング」土地で土地を回収し続け、《突撃の地鳴り》でダメージに変換していくもの。2マナと1枚のカードから6点のダメージを生成する《壌土からの生命》《突撃の地鳴り》と抜群の相性であり、エクステンデッドの勢力図を変えたほどでした。

まだある名カード

さて、『エクソダス』名カード集、お楽しみいただけたでしょうか。しかし、「あの有名カードなくない?」「もっといいカードあるよ!」と思われた方もいらっしゃるはず。

もっと『エクソダス』のカードについて知りたい方は、ぜひ、動画もご覧ください!

次回の「名カード集」では、『ウルザズ・サーガ』をお届けいたします。

この記事内で掲載されたカード

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

晴れる屋メディアチーム 晴れる屋メディアチームの記事はこちら

このシリーズの過去記事

過去記事一覧へ