USA Legacy Express vol.182 -煙霧を連鎖させて-

Kenta Hiroki

はじめに

みなさんこんにちは。

表現の反復ウィザーブルームの初学者セッジムーアの魔女

『ストリクスヘイヴン:魔法学院』がリリースされてしばらくが経ちましたが、《表現の反復》《煙霧の連鎖》とのコンボパーツとして話題になっていた《ウィザーブルームの初学者》《セッジムーアの魔女》など、レガシーでも使えるカードが数種類見られるようです。

それでは『ストリクスヘイヴン:魔法学院』が環境にどのような影響を与えたのか、Legacy Challengeの結果を見ながら解析していきたいと思います。

Legacy Challenge #12289703
新戦力を獲得したDelver

2021年5月1日

  • 1位 Izzet Delver
  • 2位 Omni-Tell
  • 3位 Izzet Delver
  • 4位 Elves
  • 5位 Temur Delver
  • 6位 Temur Delver
  • 7位 Nic Fit
  • 8位 Selesnya Depths

トップ8のデッキリストはこちら

Delver系がもっともポピュラーなアーキタイプで、IzzetとTemurなどバージョンに違いは見られるもののプレイオフの半数を占めていました。

デッキ紹介

Izzet Delver

Izzet Delver

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今大会で優勝を果たしたIzzet Delverは、ほかのバージョンと比べて特徴的なリストでした。

『ストリクスヘイヴン:魔法学院』で登場した《表現の反復》がフル搭載されており、「果敢」クリーチャーにフォーカスしたアグレッシブな構成ながら、ロングゲームにも対応できる構成になっています。

☆注目ポイント

表現の反復

注目の新カード、《表現の反復》Delver系のアドバンテージ源として採用されています。軽いスペルを多用するこのデッキでは、得られるアドバンテージを活用しやすく、「果敢」クリーチャーや《スプライトのドラゴン》などスペルによって強化できるクリーチャーと相性がいいスペルです。

発展の代価水没

LandsやCloud Post、各種多色デッキとのマッチアップで2マナ6点ほどのダメージが期待できる《発展の代価》は、速さに特化したこのバージョンの方向性に合っています。また、火力による除去が中心で高タフネスのクリーチャーの処理を苦手とするため、サイドには《水没》が採られています。

Legacy Challenge #12289713
Doomsdayが勝利

2021年5月2日

  • 1位 Doomsday
  • 2位 Selesnya Depths
  • 3位 Mono Green Cloudpost
  • 4位 Izzet Delver
  • 5位 Izzet Delver
  • 6位 Ruby Storm
  • 7位 4C Control
  • 8位 Death and Taxes

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土曜日のChallengeと比べると少なめになりますが、依然としてDelver系が上位に勝ち残っています。TemurバージョンよりもIzzetバージョンのほうが安定して上位に入賞しています。

今大会ではRuby Srormや《豊かな成長》を採用した多色コントロールなど、多種多様なデッキが結果を残していました。

デッキ紹介

Ruby Storm

Ruby Storm

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赤単色のストーム系のコンボデッキ。赤いスペルのコストを減少させる《ルビーの大メダル》《古えの墳墓》、各種儀式スペルでマナを増やしてき、最終的に《燃え立つ願い》《苦悶の触手》をサーチして勝利します。必要な色マナは《ライオンの瞳のダイアモンド》《魔力変》を利用して捻出していきます。

デッキ自体は以前から存在したもののファンデッキのような存在で、大きな大会で結果を残すことはありませんでした。しかし、《ジェスカの意志》《語りの神、ビルギ》といった新戦力の登場によって、Legacy Challengeでも結果を残せるほどにまで強化されました。

爆発力のある構成で、ハンデスを採用していないのにもかかわらず相手のカウンターを突破して強引にコンボを決めることができます。ただ、ANTなどほかのストームコンボと異なり青のキャントリップを採用していないため、長期戦で体制を立て直すのは難しくなります。

☆注目ポイント

ルビーの大メダル

赤いスペルのマナコストを減少させる《ルビーの大メダル》によって《煮えたぎる歌》はよりマナ効率の高いスペルになり、《魔力変》はキャントリップ付きのマナ加速、フィルターになるなどこのデッキにとってもっとも重要なカードの1枚です。

語りの神、ビルギジェスカの意志

《語りの神、ビルギ》は『カルドハイム』から登場したカードで、このデッキのエンジンです。赤いスペルをプレイする度に赤マナを加える第1面は、《ルビーの大メダル》とともに疑似的なマナ加速として機能します。

『統率者レジェンズ』統率者デッキから登場した《ジェスカの意志》は、《語りの神、ビルギ》とともにこのデッキをトーナメントレベルにまで押し上げることに貢献したカードの1枚です。1ターン目に7マナを生み出す強力なマナ加速として使えるほかにも、ほぼ3マナ3ドロースペルとしても機能するフレキシブルなスペルです。

防御の光網

青いデッキ対策としてメインから《防御の光網》が採られています。青いデッキにとってはほぼマストカウンターになるので、《防御の光網》にカウンターを使わせた後にコンボを仕掛けることが可能です。

引き裂き目覚めた猛火、チャンドラ

サイドには『ストリクスヘイヴン:魔法学院』から登場した《引き裂き》が採用されています。Delver系のクロックやDeath and Taxesのヘイトベアーを対策するための除去としてだけでなく、コンボを妨害してくる置物にも触れる大変フレキシブルなスペルです。コンボ以外のフィニッシャーとして《目覚めた猛火、チャンドラ》もサイドに忍ばせてあります。特にコントロールデッキとのマッチアップに刺さる追加のフィニッシャーで、Delver系とのマッチアップでもサイドインされます。

Legacy Challenge #12291649
新カードを搭載したあのデッキが優勝

2021年5月8日

  • 1位 Humans
  • 2位 Temur Midrange
  • 3位 Izzet Delver
  • 4位 Kuldotha
  • 5位 Mono Red Stompy
  • 6位 Izzet Control
  • 7位 Mono Green Post
  • 8位 Jeskai Delver

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今大会でもDelver系がトップ16以内に多数の入賞者を出していました。しかし、環境を歪めるほどの強さではなく、プレイオフでも多種多様なアーキタイプが勝ち残っていました。

デッキ紹介

Humans

Humans

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今大会で見事に優勝を果たしたレガシー版のHumans。

『ストリクスヘイヴン:魔法学院』からの新戦力である《精鋭呪文縛り》が早速メインからフル搭載されています。

《サリアの副官》の全体強化による爆発力は脅威で、《翻弄する魔道士》など妨害能力を内蔵したクリーチャーも搭載されており、対応力も持ち合わせています。《霊気の薬瓶》《魂の洞窟》といったカードの恩恵でカウンターにも耐性があり、現環境のトップメタであるDelver系に強いデッキです。

☆注目ポイント

精鋭呪文縛り

《精鋭呪文縛り》はレガシーのHumansを一つ上の段階へと押し上げました。似た能力を持つ《帆凧の掠め盗り》と異なり、《精鋭呪文縛り》自身が場から離れてもカードは追放されたままの状態で、相手は追放されたカードの追加コストを支払う必要があります。《不毛の大地》も使えるので追加の2マナを払うことは困難で、クロックが速いこのデッキでは実質ハンデスのように機能します。

《霊気の薬瓶》との相性も抜群で、相手のドローステップに《霊気の薬瓶》から出すというプレイングが強力です。また、相手の手札を見る能力によって《翻弄する魔道士》をより強く使うことができます。

魅力的な王子スカイクレイブの亡霊

《魅力的な王子》によって《精鋭呪文縛り》《サリアの副官》などETB能力持ちのクリーチャーを使いまわすことができます。特に《精鋭呪文縛り》を使いまわすことで、相手の手札を複数枚追放する動きが強力です。《スカイクレイブの亡霊》は人間クリーチャーではありませんが、フレキシブルな除去性能を持つためメインから採用されています。

オルゾフの司教エーテル宣誓会の法学者月の大魔術師溜め込み屋のアウフ

サイドボードにはElves対策になる《オルゾフの司教》《疫病を仕組むもの》、コンボ対策の《エーテル宣誓会の法学者》、LandsやCloud Postなどとのマッチ用の《月の大魔術師》、Karn Echoなどアーティファクトを多用するデッキ対策に《溜め込み屋のアウフ》など妨害能力を内蔵したクリーチャーが中心に採用されています。

墓掘りの檻

クリーチャー以外のサイドボードのカードではHogaakなど墓地を使うデッキだけでなく、Elvesとのマッチアップでも使える《墓掘りの檻》がフル搭載されているなど、複数のマッチアップで有効なカードが優先されています。

Legacy Challenge #12291659
やはり強いウーロ

2021年5月10日

  • 1位 Sultai Control
  • 2位 Izzet Delver
  • 3位 Mono Red Stompy
  • 4位 Izzet Delver
  • 5位 Ninja
  • 6位 Cephalid Breakfast
  • 7位 Izzet Delver
  • 8位 Smog Combo

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先週日曜日に開催された今大会もIzzet Delverが安定した成績を残しており、現在ではTemurバージョンよりもマナ基盤が安定しているIzzetバージョンのほうが人気があります。

今大会でもCephalid BreakfastやNinjaといったデッキが結果を残しているなど、多様性のある現環境のレガシーらしい結果になりました。

デッキ紹介

Smog Combo

Smog Combo

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ウィザーブルームの初学者煙霧の連鎖

最近話題の《ウィザーブルームの初学者》《煙霧の連鎖》のコンボデッキが結果を残しています。『ストリクスヘイヴン:魔法学院』リリース当初は《ウィザーブルームの初学者》《煙霧の連鎖》コンボを搭載したDelver系や多色コントロール、ミッドレンジなどさまざまなバリエーションが試されていました。ミッドレンジとして振舞いつつ相手の隙を見てコンボフィニッシュを狙う動きは、かつてモダンの環境を支配した双子を彷彿とさせます。

今大会で入賞したリストは、コンボパーツである《ウィザーブルームの初学者》を含めたデッキ内の緑クリーチャーを状況に応じて《緑の太陽の頂点》でサーチすることができるツールボックス的な要素もあります。

カウンターは不採用で、相手を妨害する手段として《陰謀団式療法》《思考囲い》といったハンデススペルを多めに採っています。0マナのカウンターを採用していないのでこのデッキよりも速いコンボデッキとのマッチアップは不利が付きそうですが、サイド後には《花の絨毯》《疫病を仕組むもの》などがサイドに採用されていることもありDelver系に強い構成となっています。

☆注目ポイント

豊穣な収穫

『モダンホライゾン2』からミスティカルアーカイブに先行収録された《豊穣な収穫》は、土地かスペルを確実に入手できるところが強みで序盤は必要な土地を確保することが可能になり、マナが余る中盤から終盤において余分な土地を引くことを避けつつスペルを手に入れることができます。

Spellseeker緑の太陽の頂点

《煙霧の連鎖》をサーチする手段として《呪文探求者》《ウィザーブルームの初学者》をサーチする手段として《緑の太陽の頂点》がそれぞれ採用されておりデッキに一貫性をもたらします。また、《緑の太陽の頂点》《ウィザーブルームの初学者》を除去から保護する《森を護る者》や追加の勝ち手段である《自然の怒りのタイタン、ウーロ》もサーチしてくることができます。

トーナメントレポート

Izzet Delver

Izzet Delver

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先々週末にMOで開催されたLegacy Showcase Qualifierでトップ4に入賞できたので、今回はおまけとして本戦で使用したデッキの解説をしていきたいと思います。

表現の反復

『ストリクスヘイヴン:魔法学院』から登場した《表現の反復》をアドバンテージ源としてフル搭載したIzzet Delver。表現デルバーとも呼ばれています。今回使用したIzzet Delverのリストはmw_94gAがツイッター上で挙げていたものを参考にAlexJayChenが調整を加えたものでした。

運命の神、クローティス

サイドボードの《運命の神、クローティス》のために緑がタッチされています。緑マナ源がメインの《Tropical Island》1枚だけなので相手の《不毛の大地》が懸念されますが、《運命の神、クローティス》をサイドインするマッチアップは多色の《自然の怒りのタイタン、ウーロ》デッキなど《不毛の大地》を採用していないデッキがほとんどです。

ラウンド デッキ 結果
ラウンド1 Hogaak 2-1
ラウンド2 Temur Delver 2-0
ラウンド3 Lands 2-1
ラウンド4 Elves 2-0
ラウンド5 Temur Delver 0-2
準々決勝 Hogaak 2-0
準決勝 Mono Red Stompy 1-2

☆注目ポイント

表現の反復

《表現の反復》によって《意志の力》《否定の力》で失ったアドバンテージを容易に取り返せるので、積極的にプレイできるようになりました。同型でも除去や脅威を補充しやすくなったことも評価するポイントです。

また、《表現の反復》をフルに採用した結果1マナドロースペルの依存度が減り、2マナのスペルが増えたため《虚空の杯》への耐性が上がりました。マッチは負けてしまったもののプレイオフでのMono Red Stompyとのマッチアップでは、相手に1ターン目に《虚空の杯》をX=1で張られたゲームでも勝ことができるほどでした。

天上の餌あさり

《天上の餌あさり》は除去されやすいのが難点ですが、一度でも戦闘に入ることができればアドバンテージが得ることができるので相手に掛かるプレッシャーは相当なものになります。特にこのバージョンでは《表現の反復》を使いまわす動きが強力です。

墓掘りの檻無のロッド水没猛火の斉射

墓地対策はマストなので、サイドにはElvesなど各種《緑の太陽の頂点》デッキに対してもサイドインできる《墓掘りの檻》を採用しています。ほかには、《無のロッド》《水没》《猛火の斉射》など複数の異なるマッチアップで使えるカードであると同時に、各マッチアップで高い効果が望めるカードでまとめられています。

《運命の神、クローティス》は墓地対策ですが、DredgeやReanimatorといった高速墓地コンボ対策としては悠長でほぼ《自然の怒りのタイタン、ウーロ》デッキ専用のカードになります。

Showcase Qualifier本戦は招待制なだけあり、参加人数は少なかったもののすべてのマッチがLegacy ChallengeやPTQで上位でよく見られる顔ぶれで非常に手ごたえのあるイベントでした。優勝できなかったのは残念でしたが、機会があればまた挑戦してみたいと思います。

総括

『ストリクスヘイヴン:魔法学院』は《煙霧の連鎖》コンボという新しいアーキタイプを生み出したほかにも、Izzet Delverを始めとした既存のデッキを強化することにも貢献しています。

《煙霧の連鎖》コンボはまだまだ研究の余地がある戦略で、今後どのように進化していくのか目が離せません。6月には『モダンホライゾン2』もリリースされるので、どのようなカードが収録されるのか楽しみです。

以上、USA Legacy Express vol.182でした。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいレガシーライフを!

この記事内で掲載されたカード

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Kenta Hiroki アメリカ在住のプレイヤー。 フォーマットを問わず精力的に活動しており、SCGやグランプリの結果などからグローバルな最新情報を隔週で発信する「USA Standard Express」「USA Modern Express」「USA Legacy Express」を連載中。 Kenta Hirokiの記事はこちら