21年5月『シーズンの移行と集まってプレイするイベントについて』
こんにちは、統率者戦大好きいってつです。今回は号外記事です。2021年5月14日、Wizards of the Coast(以下ウィザーズ)よりマジックのeスポーツに関連した告知がなされました。これについていってつがレポートします。
カジュアルプレイヤーにとってプロリーグの変更は無関係かもしれません。しかしこの告知にはカジュアルプレイヤーにもかかわる、マジックのプレイ環境についてのウィザーズの考えが込められています。
何が決まったのか
2021-2022シーズンではライバルズ・リーグとマジック・プロリーグのイベント総数を削減する予定です。
既存の「セット・チャンピオンシップ」の形式は引き続き維持されます。
『ストリクスヘイヴン』チャンピオンシップと比較して賞金総額を増額し、賞金体系を見直します。2021-2022シーズンでは3つのセット・チャンピオンシップが開催され、それぞれの賞金総額は450,000ドルになる予定です。
2021-2022シーズンでは、リーグ・ウィークエンドおよび「ガントレット」イベントは行われない予定です。
2021-2022シーズンは、マジック・プロリーグおよびライバルズ・リーグの最終シーズンとなります。所属選手たちは次のリーグ・シーズンのために戦うのではなく、世界選手権出場の席を懸けて競い合うことになります。
世界選手権の賞金総額は250,000ドルの予定です。
決定している具体的な施策について引用しました。
賞金制大会がなくなってしまうわけではないようです。とはいえ、クラス昇格のかかった試合を週末に控えたタイミングでのリーグ終了は衝撃的なものでした。
そもそもなぜウィザーズはこのような決定を下したのでしょうか。記事では”Gathering(集まること)”の魅力が強調されています。
これまで何があったのか
ここからがカジュアルプレイヤー、統率者戦プレイヤーにも重要な部分です。
MTGアリーナの登場以来、「ウィザーズはもはやテーブルのマジックを終わらせるつもりなのではないか」といった声を聞くようになっていました。
煩雑なルール処理がすべて自動化され、自宅にいながら世界中のプレイヤーと瞬時にマッチングされる。デッキの編集も簡単。プロ選手の試合はもちろんのこと、一般のプレイヤーが参加できる賞金制大会もたびたび開かれています。ツイッターでは「マジック初心者です!とりあえずアリーナから始めます!」といった新たなひな鳥のさえずりが聞こえてきます。アリーナの丁寧なチュートリアルはマジックプレイヤーを育てる巣でもあったのです。
その一方でパンデミックの発生、スタンダードでの禁止カードの増加により、テーブルトップ、いわゆる「紙のマジック」の競技シーンはかつての盛り上がりを失いつつあります。多くのプレイヤーが「マジックは対面で遊びたい」と思っているにも関わらず、です。
数年前からマジックのeスポーツ事業を推し進めていたウィザーズにとって、パンデミックの発生はある意味「ピンチはチャンス」な盤面だったはず。これを機にマジックのeスポーツ化は加速すると多くのプレイヤーも考えていたことでしょう。
しかし、このことがかえってテーブルトップ……Gatheringの魅力を浮き彫りにしていきます。アリーナはテーブルトップの完全な代替品ではなかったのです。
そしてウィザーズはマジックのプレイ環境の整備に際し、次のような「真理」を大前提に置いた、と語っています。
これからのGathering
ウィザーズは「マジック・コミュニティに再び盛大なお祭りを戻したくて仕方ない」としています。そして掲げられたのが5つの真理です。
対面でのプレイがマジックならではの強みであること。
デジタル・プレイも残すこと。
参加しやすさを大事にすること。
我慢も必要であること。
柔軟性を大事にすること。
この5つの真理のなかには、カジュアルプレイヤー、統率者プレイヤーこそ読むべきことが書かれていました。
「参加しやすさを大事にすること」の項目にはこうあります。
参加しやすさを大事にすること。つまり、プレイの機会を幅広くご用意します。地域のイベントや「コマンドフェスト」を成功させることから、より多くのプレイヤーが参加できるさまざまなレベルのイベント環境を整備することまで、あらゆる内容を検討しています。
これまでもカジュアルな公認イベント、統率者戦の公認イベントが開かれてきました。こうしたイベントがまた開かれるだけではなく、より多様なレベルに合わせたイベントが開かれることが検討されています。
今後、ひょっとすると競技度高めの統率者戦イベントが開かれたり、スタンダードだけではなくパイオニア・モダンでもカジュアルなイベントがたくさん開かれるようになったりするのかもしれません。
「プロ・シーンだけではなく、カジュアルプレイヤーやローカルコミュニティもケアしていく」というウィザーズの姿勢が改めて示されました。
まとめ
2021年5月14日現在、国内での公認イベントはすべて「一時停止」になっています。
今回のウィザーズの告知については様々な意見があります。今回決まったのは「賞金制大会の終了」でも「eスポーツ事業の終了」でもありませんでした。この苦難の時を乗り越えた先を見据えたウィザーズの戦略を伝えるものでした。5月28日にはアメリカでの店舗イベントが再開される予定です。アメリカで実際にどんなイベントが開かれるのか注目したいです。
そう遠くない未来、また《島》をタップして青マナを出せる日がやってくるのを夢見ながら、私は今日も手を洗うことにします。
それではみなさん、どこかのイベントでまたお会いしましょう!