USA Modern Express vol.57 -青に染まりつつあるモダン-

Kenta Hiroki

はじめに

みなさんこんにちは。

来月にモダン専用の特殊セット『モダンホライゾン2』がリリースされることもあり、モダンは現在もっとも熱いフォーマットの一つです。

今回の連載では、先週末に開催されたPTQとModern Challengeの入賞デッキを見ていきたいと思います。

Modern Challenge #12291651
青いコントロールが強いメタゲーム

2021年5月8日

  • 1位 Esper Control
  • 2位 Scapeshift
  • 3位 Boros Prowess
  • 4位 Izzet Breach
  • 5位 Sultai Bring to Light
  • 6位 Jund Death’s Shadow
  • 7位 Heliod Company
  • 8位 Sultai Bring to Light

トップ8のデッキリストはこちら

優勝したEsper Controlも含めてトップ4入賞のIzzet Breach、《夢の巣のルールス》を「相棒」にしたSultai Bring to Lightなど青いコントロールが多数上位で見られました。

デッキ紹介

Esper Control

Esper Control

クリックで拡大

Esper Controlは除去やカウンター、プレインズウォーカーでゲームをコントロールしていくデッキで、トップメタではないものの常に安定した成績を残し続けています。

《致命的な一押し》など軽い除去の選択肢が豊富で、それらを《瞬唱の魔道士》で使いまわすことができます。《ケイヤの手管》のようなフレキシブルなスペルにも恵まれおり、現環境で人気のあるProwess系のアグロに対して強く立ち回れます。

また、カウンターを多く採っているので《太陽冠のヘリオッド》《集合した中隊》などキーカードが3-4マナ域に集中しているHeliod Companyにも強く、メタ的にもいい立ち位置にあります。

☆注目ポイント

水没した地下墓地氷河の城砦

Boros Prowessなどライフを攻めてくるデッキを意識していたようで、《水没した地下墓地》《氷河の城砦》といったチェックランドが多めに採用されています。

エスパーの魔除け

《エスパーの魔除け》のおかげでメインからエンチャントに触ることが可能です。《楽園の拡散》《血染めの月》だけでなく、《大歓楽の幻霊》《イリーシア木立のドライアド》といったクリーチャー・エンチャント対策にもなります。手札破壊のモードを相手のアップキープに撃つことで、カウンターでの対処が難しい《魂の洞窟》を使うデッキや、Tronなど土地コンボとのマッチアップで有力な妨害として機能します。

喉首狙いケイヤの手管滅び

除去の枠には《喉首狙い》がメインとサイド合わせて4枚採用されています。《ケイヤの手管》はEsperカラーを使う明確な理由の一つで、除去や墓地対策、ライフゲインと1枚のカードにコントロールにとって必要なものが揃っているフレキシブルなスペルです。モダンはクロックパーミッションのようなデッキが少数なので、カウンターされない《至高の評決》の必要性は薄く、黒が濃い構成なので全体除去には《滅び》が選択されています。

Sultai Bring to Light

Sultai Bring to Light

クリックで拡大

今大会で2名の入賞者を出した《夢の巣のルールス》を「相棒」にした多色のミッドレンジ。

《致命的な一押し》《突然の衰微》《大魔導師の魔除け》《謎めいた命令》など各色の優秀なスペルや、《夢の巣のルールス》《ミシュラのガラクタ》などアドバンテージを獲得する手段が豊富です。

☆注目ポイント

白日の下に夢の巣のルールス

従来の《白日の下に》を搭載したデッキは、Niv to Lightや5C Bring to Light Scapeshiftといった重コントロールが主流でした。最近では《白日の下に》によって《星界の騙し屋、ティボルト》を直接出せることが評価され、《夢の巣のルールス》を「相棒」にした軽い構成のミッドレンジでも見られるようになりました。

瞬唱の魔道士ミシュラのガラクタ仕組まれた爆薬虚無の呪文爆弾

《夢の巣のルールス》によって、《瞬唱の魔道士》《ミシュラのガラクタ》といったカードを使いまわすことで毎ターンアドバンテージを稼ぐことができます。サイド後も《仕組まれた爆薬》を再利用する動きが強く、《虚無の呪文爆弾》で墓地対策しながらドローもできるため、Dredgeなど墓地を使うデッキとのマッチアップでも重宝します。

物語の終わり

サイドの《物語の終わり》は、TronやNiv to Lightのようにプレインズウォーカーや伝説のスペルを多用するデッキとのマッチアップで有力なカウンターとして活躍します。

Modern Champs #12293241
パイオニア環境を支配したあのコンボデッキがモダンでも活躍

2021年5月14日

  • 1位 Izzet Prowess
  • 2位 Dimir Inverter
  • 3位 Sultai Bring to Light
  • 4位 Gruul Ponza
  • 5位 Esper Control
  • 6位 Titan Shift
  • 7位 Jund Death’s Shadow
  • 8位 Izzet Breach

トップ8のデッキリストはこちら

MOで開催されたモダンのPTQは、現環境トップメタの一角であるHeliod Companyがプレイオフには不在で、Esper ControlやSultai Bring to Light、 Izzet Breachといった青いデッキが多数入賞していました。

そんななか決勝まで残ったのはIzzet ProwessDimir Inverterでした。

デッキ紹介

Dimir Inverter

Dimir Inverter

クリックで拡大

Dimir Inverterは、かつてパイオニアの環境を支配した《真実を覆すもの》をキーカードとした青黒のコンボデッキで、《真実を覆すもの》が禁止カードに指定されるまで常に大きな大会の上位を独占していました。

真実を覆すものタッサの神託者

デッキの基本的な動きはパイオニア時代と変わらず、ハンデスや除去、カウンターを駆使してコントロールとして立ち回り、最終的に《真実を覆すもの》で自分のライブラリーを追放して《神秘を操る者、ジェイス》《タッサの神託者》による特殊勝利を狙っていきます。コントロールとして振舞いつつコンボによる勝利を狙う動きは、あの《欠片の双子》コンボを彷彿とさせます。

☆注目ポイント

黄金牙、タシグル大祖始の遺産

パイオニアと異なり《時を越えた探索》が使えないモダンでは、コンボを決める難易度が高めです。《黄金牙、タシグル》《時を越えた探索》のようにはいかないものの、墓地のカードを減らしつつコンボ以外の勝ち手段としても機能します。《大祖始の遺産》は能動的に墓地のカードを追放する手段になると同時に、Dredgeなど墓地を使うデッキに対してメインから有利が取れるようになります。

殻船着の島

《殻船着の島》は自分のライブラリーを追放するこのデッキに合ったカードでコンボパーツとして機能します。《殻船着の島》《タッサの神託者》を追放した状態で《真実を覆すもの》をプレイできれば、《殻船着の島》から《タッサの神託者》をインスタントスピードでプレイすることができます。

セッジムーアの魔女

サイドボードには追加の勝ち手段として《セッジムーアの魔女》が採用されています。トークンを生成する「魔技」は、《僧院の導師》を彷彿とさせます。《コジレックの審問》など軽いソーサリーやインスタントを多用するこのデッキに合っているクリーチャーです。

Modern Super Qualifier #12293244
深紅に染まった環境

2021年5月16日

  • 1位 Gruul Ponza
  • 2位 Amulet Titan
  • 3位 Dredge
  • 4位 Eldrazi Tron
  • 5位 Izzet Prowess
  • 6位 Izzet Prowess
  • 7位 Orzhov Stoneblade
  • 8位 Izzet Prowess

トップ8のデッキリストはこちら

対策が厳しかったのか、禁止改定直後の環境で猛威を振るっていたHeliod Companyは上位では見られませんでした。その代わり今大会では、優勝こそ逃したもののIzzet Prowessが3名もプレイオフに残っていました。

ほかには、Amulet TitanやDredge、Orzhov Stoneblade、Eldrazi Tronといった多くのアーキタイプが結果を残しています。

優勝したのは《血染めの月》をメインからフル搭載した赤緑の土地破壊デッキPonzaでした。

デッキ紹介

Gruul Ponza

Gruul Ponza

クリックで拡大

Ponzaといってもメインに採用されている土地破壊スペルは《略奪》のみで、最近はマナ否定戦略を取り入れつつ緑赤の優秀なスペルを集めたミッドレンジ寄りの構成になっています。

《血染めの月》《三なる宝球》など相手の行動に大きく制限を加えるプリズン要素を搭載しており、土地コンボなど特殊地形に依存するデッキや多色コントロールなどマナ基盤が貧弱なデッキとの相性がいいデッキです。

《東屋のエルフ》《楽園の拡散》といったマナ加速から、2ターン目に《略奪》《血染めの月》によって相手のプランを妨害する動きが 強力です。《歴戦の紅蓮術士》《反逆の先導者、チャンドラ》などカードアドバンテージを取れるカードが豊富なので、中盤以降のゲームも有利に進みやすくなります。

☆注目ポイント

運命の神、クローティス

《運命の神、クローティス》は登場当初はあまり使われていませんでしたが、対策されにくい勝ち手段であり、信頼性のあるマナ加速としても機能するところが評価され、現在ではメインから採用したリストも多く見られます。《東屋のエルフ》《楽園の拡散》《レンと六番》など赤緑のパーマネントが並びやすいこのデッキではクリーチャー化も容易です。

歴戦の紅蓮術士レンと六番

手札の余分な土地を《歴戦の紅蓮術士》によってカードドローに変換することができるので、《レンと六番》はより強力なプレインズウォーカーとして特にコントロールにとって脅威となります。

大いなる創造者、カーン

《大いなる創造者、カーン》によるシルバーバレット戦略も採用されています。Burnだけでなく最近はDimir Mill対策にもなる《不死の霊薬》《墓掘りの檻》など各種墓地対策、HumansやDeath and TaxesなどETB能力持ちのクリーチャーを多用するデッキ対策の《倦怠の宝珠》、クリーチャーデッキ対策の《罠の橋》、相手の行動を制限する《三なる宝球》《液鋼の塗膜》などを状況に応じて探していきます。

Dredge

Dredge

クリックで拡大

環境を問わず常に一定の使用率があるDredge。「発掘」を利用して《這い寄る恐怖》でドレインしつつ、《ナルコメーバ》《秘蔵の縫合体》といったクリーチャーをマナを支払わずに展開したり、《アゴナスの雄牛》を「脱出」させてビートダウンしていきます。

メインから墓地を対策することは難しく、1ゲーム目は多くのマッチアップで無類の強さを見せます。このデッキでは0マナのドレインとして機能する《這い寄る恐怖》の存在もあり、Burnなどにも有利が付きます。

サイド後はマッチアップにかかわらず相手の墓地対策が厳しくなりる傾向にあります。相手の対策が増えるサイド後のゲームをどう戦うのかが、このデッキを使う上でもっとも難しいところの一つです。

☆注目ポイント

アゴナスの雄牛身震いする発見

《ゴルガリの墓トロール》《信仰無き物あさり》が禁止になったことで弱体化を強いられましたが、《アゴナスの雄牛》や『ストリクスヘイヴン:魔法学院』から登場した《身震いする発見》といった新戦力に恵まれて環境に留まり続けています。

「脱出」持ちの《アゴナスの雄牛》は、墓地を肥やすのが容易なこのデッキと相性がいいクリーチャーで、爆発力の向上に一役買っており主力のクリーチャーとして定着しています。

《身震いする発見》《安堵の再会》のように手札の「発掘」カードを墓地に落として「発掘」させることができます。ライフゲインもBurnなど速攻でライフを攻めてくるデッキとのダメージレースを有利にしてくれます。カードを墓地に落とす手段が増えたことで、3-4ターン目にゲームを決めやすくなりました。《安堵の再会》と異なり、手札のカードを墓地に落とせるのはスペル解決時なのでカウンターには弱くなります。

爆発域自然の要求

サイド後は《虚空の力線》《安らかなる眠り》《墓掘りの檻》などを対処する必要があるので 《爆発域》《自然の要求》がサイドに採用されています。特に《爆発域》はアグロデッキのクロックを処理する手段にもなり、《壌土からの生命》で再利用することもできるので便利です。

総括

表現の反復

旧環境からメタの上位に位置していたIzzet Prowessは、『ストリクスヘイヴン:魔法学院』から登場した《表現の反復》を獲得したことでさらに強化されました。MOPTQでも多数の入賞者を出すなど、現在もっとも安定した成績を残しています。

来月に『モダンホライゾン2』のリリースが控えており、また環境が大きく変化することが予想されます。

以上、USA Modern Express vol.57でした。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいモダンライフを!

この記事内で掲載されたカード

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

Kenta Hiroki アメリカ在住のプレイヤー。 フォーマットを問わず精力的に活動しており、SCGやグランプリの結果などからグローバルな最新情報を隔週で発信する「USA Standard Express」「USA Modern Express」「USA Legacy Express」を連載中。 Kenta Hirokiの記事はこちら