Translated by Nobukazu Kato
(掲載日 2021/06/01)
はじめに
みなさんようこそ!今日は『ストリクスヘイヴン:魔法学院』リーグウィークエンドに向けてどう調整してきたのかを簡易的なレポート形式で話そう。この大会はスタンダードとヒストリックのダブルフォーマットで行われた。
今回調整チームに加わってくれたのは、セバスティアン・ポッツォ/Sebastian Pozzo、マティアス・レヴェラット/Matias Leveratto、ハビエル・ドミンゲス/JavierDominguezといったリーグメンバー、それから世界中の友人たちだ。
スタンダード
スタンダードの調整に数日を充てると、チームはセバスティアンのメタゲーム予測を信じることにした。その彼の予想とは、ジェスカイサイクリングの立ち位置が良いということ。メンバー全員が彼の意見に従い、あとはデッキ提出締切前に全デッキに対するプランを少し練ることにした。大胆なデッキ選択だったが、彼のメタゲーム予想が的中していれば、大きなアドバンテージになり得る。
では、今回のリーグウィークエンドで使用したデッキリストとサイドボードプランを紹介しよう。
デッキリスト
サイドボードプラン
スゥルタイ根本原理
対 スゥルタイ根本原理
ディミーアローグ
対 ディミーアローグ
ナヤアドベンチャー
対 ナヤアドベンチャー
ティムールアドベンチャー
対 ティムールアドベンチャー
赤単
対 赤単(先手)
対 赤単(後手)
白単
対 白単
ミラーマッチ
対 ミラーマッチ
大会レポート
対戦相手 | 結果 | |
---|---|---|
1回戦 | クリス・ボッテロ (ティムールアドベンチャー) |
1-2 |
2回戦 | イヴァン・フロック (スゥルタイ根本原理) |
2-1 |
3回戦 | マイク・シグリスト (赤単) |
0-2 |
7回戦 | クリス・ボッテロ (ティムールアドベンチャー) |
0-2 |
8回戦 | ケンジ・エガシラ (ジェスカイサイクリング) |
2-0 |
9回戦 | イヴァン・フロック (スゥルタイ根本原理) |
2-0 |
1回戦
大したことないように見えて、結果的にゲームを落とす致命的なミスをしてしまった。事前情報として、相手のリストには《神秘の論争》2枚、《軽蔑的な一撃》2枚、《アールンドの天啓》2枚、《エンバレスの宝剣》が1枚入っている。
ミスをしたときの盤面はこうだ。
ここでの正解は、《アイレンクラッグの紅蓮術師》を追加、《記憶漏出》を「サイクリング」、《黄金架のドラゴン》を除去、《繁栄の狐》で攻撃という流れだ。こうすれば相手のライフは8になり、盤面には7/7の《繁栄の狐》と2体の《アイレンクラッグの紅蓮術師》、手札には《天頂の閃光》がある状態になる。
ところが。ところがだ。あろうことか「サイクリング」して《繁栄の狐》で攻撃したあと《天頂の閃光》で勝ちにいってしまった。
この《天頂の閃光》が打ち消されたら負ける可能性を十分に考え切れていなかった(相手が勝つには《アールンドの天啓》を2枚、あるいは《アールンドの天啓》と《エンバレスの宝剣》が必要だったが、実際に彼は持っていた)。
一見すると、自分視点ではライフが16もあって”安全”であるように思える。しかし、《軽蔑的な一撃》で《天頂の閃光》が弾かれると、相手は《アールンドの天啓》を唱え、追加ターンに《エンバレスの宝剣》をキャスト。きっちりプレイすれば簡単に勝てたゲームを落とす結果になった。
なぜあんなに勝ち急いだのかわからない。相手の打ち消しをケアした立ち回りをして次のターンに勝つことはできたはずだ。だけど……まだまだこれから強くなれる余地があるってことだろう!1回戦の模様を全て観たい人はここをチェックしてみて欲しい。
2ゲーム目は勝てたものの、3ゲーム目は敗北。かなり厳しいスタートとなり、少し気持ちが落ち込んだ。
2回戦(+9回戦)
2回戦と9回戦は似たような展開で、2-1と2-0で勝利した。負けたゲームは土地2枚の手札をキープして、3枚目が見つけられない試合だった。先手4ターン目に《出現の根本原理》を唱えられた試合でそんな不運が回ってきたのは幸運だったけどね。
(土地の枚数は、ジェスカイサイクリングの事故要因のひとつになっている。だけど、この問題を改善しようとすれば、必ずデッキのバランスを崩してしまうことになるだろう。)
スゥルタイ根本原理に対しては打ち消し呪文を用意してあるし、しっかりとしたゲームプランも練ってあった。だけど、スゥルタイはどんな相手にも対応できる力があるから、ジェスカイサイクリング対策のサイドボードを何枚か用意しているはずだと予想していた。
ところが、2回戦の相手、イヴァン・フロック/Ivan Flochはジェスカイサイクリングに痛烈に刺さる《エルズペスの悪夢》や《真っ白》が1枚もない。メインデッキには《取り除き》もなかったため、《繁栄の狐》を序盤から出し、「サイクリング」で力を溜め、《天頂の閃光》一発で勝てるライフ圏内まで落とす展開が許された。
3回戦
赤単とは厳しい戦いになる。1ゲーム目にテンポ良く動かれた挙句に《エンバレスの宝剣》を出されると敗色濃厚だ。サイド後は《レッドキャップの乱闘》を3枚用意しているけど、1ゲームに勝つのがいかに難しいか証明しているとも言えるね。
1ゲーム目、相手は先手2ターン目に《義賊》、3ターン目に《鍛冶で鍛えられしアナックス》、4ターン目には《エンバレスの宝剣》!
2ゲーム目は、土地が1枚しかない6枚をキープ。2枚目の土地が見つかったのは7ドロー目のことで、対するマイク・シグリスト/Mike Sigristは4ターン目に《鍛冶で鍛えられしアナックス》を含むクリーチャー4体で攻撃し《エンバレスの宝剣》を装備させる動きだった。
2回戦はどうしようもなかった。1回戦の1ゲーム目のミスをいまだに引きずり、メンタルは落ち込んでいた。
4回戦から6回戦はヒストリックになる。ここは後半部分で話そう!
7回戦
7回戦目の相手はクリス・ボッテロ/Chris Botelho。1ゲーム目は接戦を落とすことになったんだけど、勝敗を決めたカードは何だったと思う?《エンバレスの宝剣》だ(もう嫌になっちゃうね……)。
8回戦
8回戦目はケンジ・エガシラ/Kenji Egashiraとのミラーマッチで、信じられないような展開になった。1ゲーム目はいまだにどうして勝てたのかわからない。
2ゲーム目も難しい試合で、こんな結末を迎えた(その結末を知りたくない人は下の画像を見ないでね!最高のトップデッキをしたミラーマッチを楽しみたいならぜひ動画を観て欲しい。基本的には「サイクリング」を上手く繋げて《天頂の閃光》を見つけたほうが勝つ)。
スタンダードの総合成績は3勝3敗(上手くやれば4-2になっていた)。
1回戦目のミスは悔しいけど、デッキ選択は”悪くなかった”と思っている。ジェスカイサイクリングが得意とするナヤアドベンチャーが若干数いると予想していたが、MPLとライバルズ・リーグを合わせても選んだのは1人だけ。結局デッキ選択でアドバンテージを得ることはできなかったね。
ヒストリック
《ヴェロマカス・ロアホールド》かフェニックスか
さて、続いては刺激的なヒストリックの時間だ。
新しいデッキを試す時間は十分にあったため、マティアスはランク戦で好成績を出していた《ヴェロマカス・ロアホールド》デッキを用意してきた。実際に自分でも使ってみたが、かなりパワフルなデッキであるという印象を持った。
数日を費やしてデッキを調整、Tier1デッキとスパーリングを行った。大幅な変更が加えられたが、《火の予言》と《記憶の欠落》は環境に合った強力なカードであり、デッキに定着した。するとデッキはほぼ全てのデッキに対して良いパフォーマンスを見せ始める。例外はイゼットフェニックスと《ヴェロマカス・ロアホールド》をあっさりと処理できるデッキだ。
その裏でハビエルはイゼットフェニックスの調整に集中していた。2つのデッキを手に取ってみると、ハビエルは《ヴェロマカス・ロアホールド》デッキよりもイゼットフェニックスのほうが環境に対して有利に戦えるという感想だった。
デッキ登録締め切りの数日前、セバスティアンはイゼットフェニックスに心を決め、君も使うべきだと勧めてきた。俺はイゼットフェニックスの《表現の反復》があまりにも好きだったからだ(《ヴェロマカス・ロアホールド》デッキに《火の予言》が入る前は《表現の反復》を使っていたが、一番上手く使えるデッキとは言えなかった)。
イゼットフェニックスを試してみると、ハビエルの言っていることに納得がいった。グルールやその他のクリーチャーデッキに強く、ジェスカイコントロールに負けることもなかった(オラクルパクトについてはあとで話そう)。
一方、マティアスは新テクノロジーである《原初の潮流、ネザール》を試し、好感触を得ていた。どちらのデッキを選ぶべきか迷ったが、結局はセバスティアンとハビエルの意見に乗り、イゼットフェニックスを登録した。
ハビエルは世界でトップクラスの選手だ(世界で一番かどうかはわからない)。その選手が大会に向けて調整し、《ヴェロマカス・ロアホールド》デッキを使うことに納得しなかったのだから、彼の考えを信じることにしたんだ。
大会レポート
対戦相手 | 結果 | |
---|---|---|
4回戦 | クリスティアン・ハウク (ディミーアローグ) |
2-1 |
5回戦 | グジェゴジュ・コヴァルスキ (ディミーアパクト) |
0-2 |
6回戦 | ケンジ・エガシラ (ジャンドサクリファイス) |
2-0 |
10回戦 | ルカ・マーニ (ディミーアローグ) |
2-0 |
11回戦 | ジェイコブ・ウィルソン (ディミーアパクト) |
1-2 |
12回戦 | 石村 信太朗 (グリクシスパクト) |
0-2 |
ディミーアローグとのマッチはどちらも素晴らしいものだった。ぜひ観戦してみることをおすすめするよ。両選手から良いプレイがたくさん繰り出される試合だ。
ケンジとの試合については、相性がすごく良いと思っていた。しかも幸運なことに、《弧光のフェニックス》を戻しながら相手の動きを妨害できる強い手札だったね。
さて、オラクルパクトの時間だ。大会後に《タッサの神託者》が禁止になったけど、これについては個人的に喜ばしく思っているよ。実は調整段階でこのデッキを試していたけど、どれほど強いのか見極められず、早々に選択肢から外していた。だから本番で使用者が多いなんて思ってもなかったけど、知ってのとおり、これは見当違いだったね。
3回もオラクルパクトに当たり、1ゲームしか勝てなかった。その勝てた試合も、チームにお願いしてメインデッキに1枚だけ移した《神秘の論争》のおかげだったのは可笑しな話だったね。2ターン目の《願い爪のタリスマン》を何のリスクもなしに3ターン目に起動させてしまうのが嫌だったから、1枚だけメインに入れたかったんだ。
サイドボード後は相性は飛躍的に良くなる。有利とさえ言えるかもしれない。だけど、本番は4ゲームとも勝てなかった。多少の不運があったと思う。
これからについてだけど、最後のMPLメンバーになれるポジションにつけている。その目標を叶えられるようにがんばってみるよ!