はじめに
みなさんこんにちは。いよいよ『モダンホライゾン2』がリリースされますね。強力なカードが多数収録されているため、レガシー環境に大きな変化が訪れそうです。
さて、今回の連載ではLegacy Challengeの入賞デッキを見ていきたいと思います。
Legacy Challenge 5/23
Izzet Delverが支配する環境
2021年5月23日
- 1位 Izzet Delver
- 2位 Doomsday
- 3位 Izzet Delver
- 4位 Bant Control
- 5位 ANT
- 6位 Izzet Delver
- 7位 Izzet Delver
- 8位 Izzet Delver
Izzet Delverがプレイオフの半数以上を占めるという結果で幕を閉じた今回のLegacy Challenge。『ストリクスヘイヴン:魔法学院』から登場した《表現の反復》が与えた影響は大きく、マナ基盤の面で安定しているIzzet Delverが現在のDelver系の主流になりました。
コンボデッキではDoomsdayが結果を残しています。キャントリップやサーチスペルによる安定性とカウンターやハンデスによってコンボを守る手段も豊富で、レガシーの代表的なコンボデッキの一つとして定着しています。
デッキ紹介
Izzet Delver
筆者も今大会に参加しました。デッキは現環境のトップメタである《表現の反復》入りのIzzet Delverを使用しました。マッチアップなど幸運にも恵まれて優勝することができました。
使用したリストは《若き紅蓮術士》が不採用で《厚かましい借り手》がメインから採られている型です。《若き紅蓮術士》は色拘束がゆるく《不毛の大地》と一緒に使いやすいのですが、回避能力がないためShowcase Qualifierでも優勝していたElvesとのマッチアップでそこまで強くなく、さらには《疫病を仕組むもの》をメインから採用しているデッキも散見されていたため、今回のリストを使用しました。
☆注目ポイント
《表現の反復》は、土地を置いて1マナのスペルをプレイできる3ターン目以降にプレイする以外にはアドバンテージを獲得する条件がそれほど厳しくなく、軽いスペルを多用するこのデッキにフィットしています。基本土地を採用する余裕があるIzzet Delverは、《不毛の大地》にも耐性があり土地も並びやすくなるのでアドバンテージを最大限に活かしやすくなります。
《表現の反復》はOops All Spellsなど高速コンボデッキなどに対しては遅くなりますが、青いカードなので《意志の力》や《否定の力》のコストとして使えるので無駄になることはありません。コンボデッキでもDoomsdayなどサイドから除去を導入し《悪意の大梟》や《自然の怒りのタイタン、ウーロ》といった追加の勝ち手段を使ってくるデッキに対しては、ほかのフェアデッキと同様にアドバンテージ源として機能します。
《表現の反復》が実質3マナ域のように機能しているため、このデッキに採用されている3マナ域は少数です。採用されている数少ない3マナ域の《厚かましい借り手》は、《タルモゴイフ》や《聖遺の騎士》など高タフネスの脅威、《マリット・レイジトークン》や装備品など厄介な置物をメインから対処する手段になりつつ、回避能力持ちの脅威にもなる使いやすいカードです。《厚かましい借り手》を含めてこのデッキの脅威は、除去耐性はないもののすべて飛行を持っているのでダメージが通りやすいのも特徴です。
《自然の怒りのタイタン、ウーロ》デッキに対しては、《表現の反復》の提供するカードアドバンテージによって十分に渡り合えるようになったことから、《運命の神、クローティス》の必要性が薄れて現在は青赤の2色が主流になっています。《Tropical Island》を採用する必要がなくなったため、マナ基盤がさらに安定するようになりました。
『モダンホライゾン2』からも高タフネスクリーチャー対策として使えそうな《待機》や、話題の《敏捷なこそ泥、ラガバン》、デッキの構成を調整する必要が出てきますが高いポテンシャルを秘めた《ドラゴンの怒りの媒介者》など、新戦力になりそうなカードが数種類見られるので楽しみです。MOでは今週から実装されるのでいろいろと試してみることをおすすめします。
Doomsday
今大会で筆者が決勝戦で対戦した相手です。《悪意の大梟》と《自然の怒りのタイタン、ウーロ》を搭載したコントロール寄りのDoomsdayコンボを使用していました。
Doomsdayコンボは《暗黒の儀式》や《水蓮の花びら》といったマナ加速を利用し、《最後の審判》をプレイしてライブラリーにコンボに必要なカードのみを残します。《留まらぬ発想》や各種ドロースペルを使いデッキ内の残りのカードを引いて《タッサの神託者》に繋げていきます。
各種キャントリップによってコンボパーツを探しやすく、ハンデスやカウンターなどコンボを守る手段も豊富です。デッキに多数搭載されているハンデスやカウンターはコンボを守ると同時に相手のプランを妨害する役割を果たします。
☆注目ポイント
メインから搭載されている《悪意の大梟》と《自然の怒りのタイタン、ウーロ》は、Delver系などに対してコンボパーツを探しつつコンボを完成させるまでの時間を稼ぎます。《自然の怒りのタイタン、ウーロ》はコンボ以外の追加の勝ち手段として有力で、コンボと対処法が異なるためこのデッキとの対戦難易度は高めです。特にこのカードに対する回答が限られているDelver系に対しては、有力な勝ち手段となります。
サイドからは《突然の衰微》や《致命的な一押し》といった除去とともに、追加の勝ち手段として《タルモゴイフ》と《疫病を仕組むもの》が投入されます。火力で処理しにくい《タルモゴイフ》は、Delver系とのマッチアップでコンボ以外の有力なフィニッシャーとして活躍します。《疫病を仕組むもの》は、《若き紅蓮術士》のほかにもDeath and Taxesが使う《スレイベンの守護者、サリア》などを対策する手段にもなります。
Legacy Challenge #12297479
オリジナルデッキの勝利
2021年5月29日
- 1位 Dimir Flash
- 2位 Golgari Depths
- 3位 Food Chain
- 4位 Izzet Delver
- 5位 Temur Delver
- 6位 Hogaak
- 7位 Omni-Tell
- 8位 4C Midrange
トップ8のデッキリストはこちら
Delver系がプレイオフの半数を占めた先週末のLegacy Challengeと比較すると、Golgari Depths、Food Chainといったさまざまなアーキタイプが結果を残していました。Delver系はもっとも人気のあるデッキで常に安定した成績を残し続けています。
今大会で優勝を果たしたのは、なんとフェアリーとならず者をフィーチャーしたオリジナリティーの高いDimir Flashでした。
デッキ紹介
Dimir Flash
さまざまなアーキタイプが見られるレガシーの中でも個性的なDimir Flash。
《狡賢い夜眷者》や《ウーナの黒近衛》といった普段あまり見かけないカードが見られます。メインデッキ内のほとんどのクリーチャーが瞬速持ちなのが特徴で、カウンターを構えながらクロックを展開する動きはコントロールやコンボとのマッチアップで特に強さを発揮します。
☆注目ポイント
メインのクリーチャーがほぼ瞬速持ちのこのデッキでは、《狡賢い夜眷者》は重要なカードになります。マナコストの削減によって構えながら脅威を展開するというプレイングがしやすくなり、カウンター耐性も青いデッキが多いレガシーでは有用です。
『統率者レジェンズ』統率者デッキから登場した《船殻破り》と《敵対工作員》の2体の瞬速クリーチャーも採用されています。ドロースペルやフェッチランドを使用しないデッキのほうが少数のレガシーでは、奇襲性もありパワーも3とクロックとしても強力です。《敵対工作員》はならず者なので《ウーナの黒近衛》による部族シナジーの恩恵も受けられます。このデッキが3マナを立てているときは、ドロースペルやフェッチランドの起動をするときに注意する必要があります。
《苦花》と《呪文づまりのスプライト》というフェアリーの部族シナジーも搭載されています。軽いスペルが多いレガシーでは、多くの場合《呪文づまりのスプライト》は確定カウンターのように機能します。《変わり谷》を起動することでフェアリーカウントを増やすこともできるので覚えておきたいところです。また、《狡賢い夜眷者》によって《呪文づまりのスプライト》は1マナの打ち消されないカウンターとしてプレイできます。
《疫病を仕組むもの》《最後の望み、リリアナ》などIzzet Delverに有効なカードがサイドボードに多数採用されています。2枚と多めに採られている《水流破》も、《スプライトのドラゴン》《若き紅蓮術士》《表現の反復》に加えて《紅蓮破》や《稲妻》などを対策できるのでIzzet Delverとのマッチアップで使えます。
Golgari Depths
今大会で準優勝と好成績を残したのはGolgari Depthsでした。
《Elvish Spirit Guide》や《水蓮の花びら》などマナ加速を利用して、《演劇の舞台》や《吸血鬼の呪詛術士》によって《暗黒の深部》の氷(ice)カウンターを取り除いて《マリット・レイジトークン》を出して速やかにゲームを終わらせます。《この世界にあらず》などコンボを守る手段も持ち合わせているため、対策が薄いデッキとのマッチアップでは圧倒的な強さを見せます。
Delver系にとっては、メインに《厚かましい借り手》を採用していないバージョンでは《不毛の大地》がほぼ唯一の現実的な対抗手段です。Delver側はサイド後もほとんど《マリット・レイジトークン》を除去する手段を持たないため、Delver系に対しては相性がいいデッキと言えます。
☆注目ポイント
《輪作》はキーカードの《演劇の舞台》や《暗黒の深部》のほかにも、墓地コンボに対して《ボジューカの沼》をサーチしたり《マリット・レイジトークン》を相手の除去から守るために《セジーリのステップ》をサーチしたりとフレキシブルな使い方ができます。相手の《不毛の大地》に合わせて使うことで実質的にカウンターすることも可能です。
《演劇の舞台》+《暗黒の深部》(《吸血鬼の呪詛術士》+《暗黒の深部》)のコンボを成立させたあとは《マリット・レイジトークン》での攻撃を一度通せばたいていは勝ちですが、相手の除去や妨害からトークンを守る手段は必須です。《この世界にあらず》は《厚かましい借り手》や《剣を鍬に》といったバウンスや除去に加えて《カラカス》も止めることができます。
サイドにフル搭載されている《突然の衰微》は非常にフレキシブルなスペルで、《秘密を掘り下げる者》や《スプライトのドラゴン》などのDelver系のクロックや《罠の橋》など厄介な置物を処理できます。
追加のコンボを守る手段として《森を護る者》が採用されています。《森を護る者》は相手の単体除去を無力化するため、このクリーチャーが場に出ればコンボを妨害されにくくなります。
《森の知恵》は、Bant Miraclesなど主に《剣を鍬に》を採用したコントロールデッキ相手にサイドインされます。《マリット・レイジトークン》が《剣を鍬に》で追放されてしまったとしても大量にライフを回復することができるため、積極的にライフを支払ってアドバンテージを得やすく再度コンボを決めることも容易です。
総括
この環境のレガシーもMOでは終了し、新環境に突入します。
MOでは今週から『モダンホライゾン2』が実装され、今週末にはLegacy Showcase Challengeも開催される予定なので、早くも新カードの活躍する姿が見られます。
USA Legacy Express vol.183は以上になります。それでは次回の連載でまた会いましょう。楽しいレガシーライフを!