マジック名カード集 ~『オンスロート』編~

晴れる屋メディアチーム

はじめに

みなさま、「名カード集」へようこそ。

この「名カード集」では、時代を過去へと遡り、昔のエキスパンションの名だたるカードを紹介していきます。

今回は裏向きで戦場に出る変異クリーチャーが登場した『オンスロート』をご紹介しましょう。

『オンスロート』ってどんなセット?

『オンスロート』とは、2002年10月に発売された全350種類のカードが収録されたオンスロート・ブロックの大型エキスパンション。ブロック全体を通して特定のクリーチャー・タイプをサポートしており、部族デッキの躍進に繋がりました。

賛美されし天使スカークの猛士乱打する岩角獣

新キーワード能力はクリーチャーを裏向きで戦場へ出す「変異」。構築戦では《賛美されし天使》などごく一部のカードしか活躍しませんでしたが、リミテッドにおいては違います。本来のマナ・コストではなく「(3)を支払うことで、裏向きで2/2のクリーチャーとして唱えられる」ため、たとえ色の合わないクリーチャーであっても「変異」さえあればピック対象となったのです。通常のリミテッドよりもクリーチャー不足に陥りにくい反面、「変異」同士の戦闘は複雑な読み合いであり、難しさと面白さが同居した環境といえるでしょう。

霊体の地滑り稲妻の裂け目新たな信仰めった切り

また、ウルザ・ブロック以来となる「サイクリング」が復活し、《霊体の地滑り》《稲妻の裂け目》のようなシナジーを形成するカードも登場します。「サイクリング」コストもカード毎に違っており、カードによっては「サイクリング」時にボーナスもついていたため、構築戦にも登場しました。

非凡な虚空魔道士

ライバルズリーグに所属し、現在もトッププレイヤーの一人として活躍を続けるカイ・ブッディ/Kai Budde選手(現マジック・プロツアー殿堂)がデザインしたインビテーショナルカード、それが《非凡な虚空魔道士》です。2マナパワー2と最低限のスタッツを持ちながら打ち消し呪文を内蔵しており、戦場にいるだけで相手にプレッシャーがかかるもの。ほかにウィザードがいればその数だけ《対抗呪文》が起動できるのです。

因みにこの《非凡な虚空魔道士》のカードイラストですが、顔以外の部分が先に描かれていたものに、後から似顔絵にしたもの。インビテーショナルカードながら大不評だったことで、その後マジック褒賞プログラムやタイムシフトに再録時は下記の新イラストになりました。

非凡な虚空魔道士

『オンスロート』の名カードたち

《刃の翼ロリックス》

刃の翼ロリックス

《刃の翼ロリックス》

飛行、速攻

《刃の翼ロリックス》は赤の伝説のピット・ファイター。ピット・ファイターとは、伝説の大型クリーチャーの総称であり、《戦慄をなす者ヴィザラ》《全能なる者アルカニス》など各色に存在しています。6マナとやや重いマナコストながら、速攻があるためリセット呪文の返しに最適であり、そのまま押し切ってしまうほどの攻撃力を持っています。飛行があるため競ったダメージレースにも強く、ビートダウンデッキをはじめビッグレッドなどコントロール色の強いデッキにも採用されました。

煮えたぎる歌金属モックス

ポンザやビッグレッドなど、相手のクリーチャーやマナベースを攻めて展開を遅らせつつ、こちらは《刃の翼ロリックス》による短期決戦へと持ち込みます。ミラディン期のスタンダードには《煮えたぎる歌》《金属モックス》があったことで、予想だにしないタイミングでの着地が可能でした。当時は《刃の翼ロリックス》を対処できる単体除去が少なく、着地した場合は火力2枚による合わせ技で除去しなければなりませんでした。マナベースを攻めることで、除去のするためのマナすらも確保できず、《刃の翼ロリックス》の進撃を止める術を持たなかったのです。

《燻し》

燻し

《燻し》

点数で見たマナ・コストが3以下のクリーチャー1体を対象とし、それを破壊する。それは再生できない。

《燻し》は『オンスロート』を代表する単体除去であり、黒の除去呪文には珍しい黒のクリーチャーをも対象にとれるようになっています。2マナのインスタントと序盤を凌ぐのにはうってつけのカードであり、黒単コントロールをはじめサイカトグなどで使用されました。

野生の雑種犬サイカトグ

当時のスタンダードには、厄介な2種類のクリーチャーが存在していました。《野生の雑種犬》《サイカトグ》です。前者は当時最強の熊でありマッドネスの起点となる打撃とシステムを兼ね備えた軽量クリーチャー、後者は火力や戦闘などダメージに強いフィニッシャーでした。どちらも《恐怖》が効かず、単体除去の《無垢の血》《チェイナーの布告》ではほかのクリーチャーを犠牲にされてしまい対処することは難しくなっていました。《燻し》《野生の雑種犬》《サイカトグ》を目の敵にしたようなデザインであり、まさに環境が求めていたカードだったのです。

《貪欲なるベイロス》

貪欲なるベイロス

《貪欲なるベイロス》

ビーストを1体生け贄に捧げる:あなたは4点のライフを得る。

《貪欲なるベイロス》は史上初のデメリットのない単色の4マナ4/4クリーチャー。優秀なサイズに加えて、ビーストを生け贄に捧げることでライフを得る能力を持っており、バーン戦略やダメージレースに強いデザインとなっています。自分自身がビーストであるため、たとえほかにビーストがいなくても最低限4点の回復が見込めるようになっています。

当時は戦闘ダメージのルールは現在と異なっており、ダメージをスタックに積んで与えつつ、自身を生け贄に捧げてライフを回復する美味しい使い方も可能だったのです。

藪跳ねアヌーリッド争乱の崖地生ける願い

『オンスロート』期のスタンダードでは、白や赤と組み合わせた攻撃的なデッキに居場所を見出し、中堅クリーチャーとして攻守にわたる活躍を見せました。ほかの優秀なクリーチャーとともに白ならば《栄光》による突破力が、赤ならば《争乱の崖地》によるボードコントロールが加わったのです。《生ける願い》によるウィッシュボードが組み込めたのも大きく、クリーチャー主体のデッキながら対応力が高く、《起源》と絡ませて実に粘り強く戦うことができました。

《アクローマの復讐》

アクローマの復讐

《アクローマの復讐》

すべてのアーティファクトと、すべてのクリーチャーと、すべてのエンチャントを破壊する。

サイクリング(3)

《アクローマの復讐》《神の怒り》の亜種にして、クリーチャーと一緒にエンチャントやアーティファクトまで流せる《ネビニラルの円盤》のソーサリー版。オデッセイ-オンスロート期のスタンダードでは、白系デッキは《霊体の地滑り》など巻き込まれれるパーマネントを使用することと、6マナという重さがネックとなりそれほど採用されませんでした。

電結の荒廃者金属ガエル頭蓋囲い

しかし、ブロックが『オデッセイ』から『ミラディン』へと移り変わると、時代は親和を中心としたアーティファクト全盛期を迎えます。クリーチャーだけではなく、装備品や土地までもアーティファクトだったことで、親和の戦場すべてを流せる《アクローマの復讐》の価値はうなぎ登りに高まります。白単や青白コントロールにおける対親和デッキへの必殺兵器として採用され、「サイクリング」が付与されていたことでコントロールマッチでも無駄にならないカードだったのです。

《火花鍛冶》

火花鍛冶

《火花鍛冶》

(T):クリーチャー1体を対象とする。《火花鍛冶》は、それとあなたにX点のダメージを与える。Xは、戦場に出ているゴブリンの数に等しい。

『オンスロート』のリミテッドを語る上で無視できないクリーチャーがコモンにいます。それこそが《火花鍛冶》です。2マナと非常に軽く、クリーチャー限定のティムであり、さらにある程度ダメージを調節できるのです。反面自分にも同じダメージを食らってしまいますが、クリーチャー1体とライフではまったく釣り合っていません。相手からすればこの砲台を除去しない限り満足にクリーチャーを展開することも叶わないのですから。

『オンスロート』が「変異」と種族を中心としたリミテッドだったこともあり、《火花鍛冶》はその制圧力を遺憾なく発揮しました。ほかにゴブリンを1体用意するだけで、簡単に2点のダメージが飛ばせるようになり、除去がない色に対してはそのまま完封してしまうほどでした。それはスタンダードとて例外ではありません。

ゴブリンの戦長スカークの探鉱者

オンスロートブロックで優秀なゴブリンが多数揃ったことで、ゴブリンはファンデッキの域を超えてひとつのアーキタイプとして確立されました。《火花鍛冶》は2マナ域を埋めながら、クリーチャーデッキに対しては置き火力として睨みを効かす存在に。特にマナクリーチャーからスタートする緑系のデッキにとっては目の上のたん瘤となりました。

中盤以降は《ゴブリンの戦長》と一緒に召喚することでマナコストを軽減するだけではなく、速攻を付与し、即座に射撃が可能になります。構築戦では《スカークの探鉱者》などと組み合わせればダメージも調節でき、見た目以上に制圧力が高く使いやすくクリーチャーでした。

評価が大きく変わったカード

ここまで紹介した名カードとは対照的に、『オンスロート』にはこれまでまったく見向きもされなかったカードがあります。

煙霧の連鎖

《煙霧の連鎖》《蒸気の連鎖》などと同じく、対象となったプレイヤーがコピーできる呪文。コピーに条件がなく、自分の手札が多いときに使うと不利になってしまうため、構築戦で採用されることはありませんでした。

ウィザーブルームの初学者

しかし、『ストリクスヘイヴン:魔法学院』でインスタントやソーサリー、コピーで誘発する「魔技」が登場すると評価は一変。ほかの《連鎖》と違い、コピーにリソースが不要な《煙霧の連鎖》は自身を対象とすることで無限にコピーが可能です。

これにより《ウィザーブルームの初学者》《煙霧の連鎖》を組み合わせた無限ダメージコンボが成立しました。コンボの片割れがクリーチャーであるため対処は簡単ではあるものの、必要マナは黒と緑の2色4マナと少ないため、構築自由度が高くなっています。色を足すも良し、妨害手段やドロー呪文を増やすも良しとなっています。

まだある名カード

さて、『オンスロート』名カード集、お楽しみいただけたでしょうか。古いエキスパンションのなかには今回の《煙霧の連鎖》のような、後々評価が上がるカードがあります。今一度、『オンスロート』に収録されたカードを見直すことで、新たなコンボやシナジーの発見に繋がるかもしれませんね。

もっと『オンスロート』のカードについて知りたい方は、ぜひ、動画もご覧ください!

次回の「名カード集」では、『レギオン』をお届けいたします。

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